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カオスソルベ編
第5話「ミルフィーユvsソルベ!勇者からのペナルティー」④
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「ミルフィーユリフレクションっ!!!!!!!」
今度はミルフィーユグレイブをバトンのように回転させながら、矢を弾く。ミルフィーユにも見てわかる通り、矢自体も少しばかり光が弱くなっているようだ。
「ソルベ…お前に俺は倒せねぇよ。矢がふにゃふにゃだぜ…」
「うるさいっ!!!!絶対に倒す!!!貴様だけは…」
「そうだよな…その俺に対するしつこさが、生徒会長を追い出したことに繋がってるんだもんな!!!」
ソルベの手が震えだす…彼女が学校からいなくなった事…ソルベもとい氷見雪斗には受け入れたくない現実…
「貴様の何がわかるっ!!!!僕は彼女を…タマねぇを追い出してなんか…」
ソルベが次の矢を構えた刹那、ミルフィーユは腰にあるブレイブスプーンを握りしめた。ミルフィーユの全身はピンクの光に包まれ、徐々に姿を変えていく…これが、マジパティの変身解除方法の一つなのだが、今回は何かが違っていた。
「目を…覚ませっ!!!!!」
「ドゴォッ!!!!!!」
ソルベの腹部に一悟の拳が炸裂し、ソルベは10数センチほど後退した。しかし…
「そ…そんな…」
「あの…姿は…」
公園を覆う雪が段々と消えた事で公園に入ってきたあずき、ラテ、下妻先生の3人は目を疑った。確かに、ソルベに拳を浴びせたのは千葉一悟だが、その一悟の姿は体格がミルフィーユで、髪色、瞳の色が千葉一悟と同じ色…そして、サン・ジェルマン学園中等部のジャージを着た少女だった。髪の長さはミルフィーユの時よりもかなり短いポニーテールだ。視界が変身後と変わっていないことに気づいた一悟も、自身の違和感に気づいた。
「な…なんじゃこりゃあああああああああ!!!!」
「フン…変身を解いたという事は、「負け」を認めたという事だ…だが…逃げは許さない…」
再び構えようとした刹那、ソルベアローは弱々しい水色の光となって消えてしまった。そして、ソルベの力で生成した雪原も一瞬にして本来の姿を取り戻す。ソルベの腰にあるブレイブスプーンは石になってしまったかのように変色し、ソルベの身体から離れる…
「カラン…」
ソルベのブレイブスプーンは、地面に落ち、ブレイブスプーンが身体から離れたことで、ソルベは瞬く間に氷見雪斗の姿へと戻ってしまった。
「な…なぜだ…なぜ…」
マジパティから戻ってしまった2人の間に入るかのように、突然白いフルフェイスのヘルメットに白を基調としたライダースーツ姿の女性がやってくる。女性がフルフェイスのヘルメットを外すと、炎のような真紅のロングヘアがなびく…シュトーレンだ。彼女の表情はどことなく険しい。
「2人とも…自分のために勇者の能力を使ったわね…」
険しい表情を崩さぬよう、女勇者はまず、一悟の方を向いた。
「一悟…あなたは確かにアタシとの約束を守った…でも、カオスイーツが現れていない状態で…それも彼との決闘でミルフィーユに変身してしまった。ケンカを売られたとはいえ、マジパティの力を使う所ではないでしょ?マジパティには変身させてあげるけど、罰として暫くその姿でいてもらうわ!!」
覚悟していたとはいえ、シュトーレンの言葉が一悟に重くのしかかる。そして、シュトーレンは雪斗の方を向いて…
「雪斗…あなたはマジパティとして3つの過ちを犯してしまった…見過ごすことのできない程の重い罪…」
彼女の言葉に、雪斗の表情が曇る…そして、まるで雪斗の今の気持ちを表すかのように、ぽつぽつと雨が降り始めた。
「一つ!カオスイーツが現れていない状態でマジパティに変身したこと!!!二つ!マジパティの姿で、人間界の住人を傷つけたこと!!!」
シュトーレンの声が段々と男の声へと変わっていく…そうとう怒っているようだ。シュトーレンは雪斗の方まで歩き、雪斗の所へ近づくと…
「スパーーーーーーーーーーーーーン!!!」
雪斗の左頬に、シュトーレンの右手が激しい音を立ててぶつかった。
「そして、最後!!!己のためだけにその力を使い続けたこと!!!!!」
勇者様の言葉に、雪斗のファンであるあずきも、雪斗を擁護できなかった。
「ユキ様…あなた最低ですわっ!!!!!!」
「ライス…」
叔父に支えられながら、あずきが嗚咽する。
一悟「お前がマジパティとして好き勝手やってきた結果がこのザマだ…それでも…俺と戦いたいか?」
「僕は…ただ…」
雪斗は足元に落ちていた大きめの石を握りしめ、シュトーレンに飛び掛かるが、彼女は容易く雪斗の動きをかわす。
「玉菜はいつも雪斗に対してこう言ってた。「とんだ甘ちゃんだ」…ってね?」
雪斗は再びシュトーレンに飛び掛かるが、まるで雪斗の動きが読めているかのように動きをかわしていく。
「勇者様…こんなところで勇者の能力を…」
「もうそんな能力が戻る気配ないけどねー?でも権限は健在だし、そもそもこの甘ちゃん相手に元々の運動神経の良さだけで十分♪十分♪」
この勇者、声色を元に戻すほど余裕である。それと同時に、シュトーレンの蹴りが雪斗の右手を掠め、雪斗は思わず握っていた石を落としてしまった。
「ゴトッ…」
「僕は…まだ…負けたわけじゃ…」
諦めの悪さ…評価はしたいところだが、勇者の能力を悪用し続けた以上、これ以上の身勝手は許されない。そんな時、突然頭部に2本の鬼の角を携えた黒髪で刺客ともとれる和装メイドが雪斗の背後に回り込む。
「それなら私・ティラミスがあなたに完全敗北を差し上げましょう…氷見雪斗…」
そう言いながら、雪斗のセリフを遮るかのように、ティラミスは雪斗の延髄目掛けてチョップをかました。突然のティラミスの攻撃を受けた雪斗は、そのまま崩れるようにして雨の降る公園に倒れる。
「勇者シュトーレン…そして、マジパティども…次に会う時はあなた方にも完全敗北を差し上げましょう…それでは…」
雪斗を腕に抱えながら、ティラミスは雪斗共々フッと音を立ててどこかへ消えてしまった。その様子を一悟達は雨降る公園の中、黙って見ている事しかできなかった。
「勇者の能力を好き勝手使ってまで…どうして…俺に粘着してくるんだよ…」
今度はミルフィーユグレイブをバトンのように回転させながら、矢を弾く。ミルフィーユにも見てわかる通り、矢自体も少しばかり光が弱くなっているようだ。
「ソルベ…お前に俺は倒せねぇよ。矢がふにゃふにゃだぜ…」
「うるさいっ!!!!絶対に倒す!!!貴様だけは…」
「そうだよな…その俺に対するしつこさが、生徒会長を追い出したことに繋がってるんだもんな!!!」
ソルベの手が震えだす…彼女が学校からいなくなった事…ソルベもとい氷見雪斗には受け入れたくない現実…
「貴様の何がわかるっ!!!!僕は彼女を…タマねぇを追い出してなんか…」
ソルベが次の矢を構えた刹那、ミルフィーユは腰にあるブレイブスプーンを握りしめた。ミルフィーユの全身はピンクの光に包まれ、徐々に姿を変えていく…これが、マジパティの変身解除方法の一つなのだが、今回は何かが違っていた。
「目を…覚ませっ!!!!!」
「ドゴォッ!!!!!!」
ソルベの腹部に一悟の拳が炸裂し、ソルベは10数センチほど後退した。しかし…
「そ…そんな…」
「あの…姿は…」
公園を覆う雪が段々と消えた事で公園に入ってきたあずき、ラテ、下妻先生の3人は目を疑った。確かに、ソルベに拳を浴びせたのは千葉一悟だが、その一悟の姿は体格がミルフィーユで、髪色、瞳の色が千葉一悟と同じ色…そして、サン・ジェルマン学園中等部のジャージを着た少女だった。髪の長さはミルフィーユの時よりもかなり短いポニーテールだ。視界が変身後と変わっていないことに気づいた一悟も、自身の違和感に気づいた。
「な…なんじゃこりゃあああああああああ!!!!」
「フン…変身を解いたという事は、「負け」を認めたという事だ…だが…逃げは許さない…」
再び構えようとした刹那、ソルベアローは弱々しい水色の光となって消えてしまった。そして、ソルベの力で生成した雪原も一瞬にして本来の姿を取り戻す。ソルベの腰にあるブレイブスプーンは石になってしまったかのように変色し、ソルベの身体から離れる…
「カラン…」
ソルベのブレイブスプーンは、地面に落ち、ブレイブスプーンが身体から離れたことで、ソルベは瞬く間に氷見雪斗の姿へと戻ってしまった。
「な…なぜだ…なぜ…」
マジパティから戻ってしまった2人の間に入るかのように、突然白いフルフェイスのヘルメットに白を基調としたライダースーツ姿の女性がやってくる。女性がフルフェイスのヘルメットを外すと、炎のような真紅のロングヘアがなびく…シュトーレンだ。彼女の表情はどことなく険しい。
「2人とも…自分のために勇者の能力を使ったわね…」
険しい表情を崩さぬよう、女勇者はまず、一悟の方を向いた。
「一悟…あなたは確かにアタシとの約束を守った…でも、カオスイーツが現れていない状態で…それも彼との決闘でミルフィーユに変身してしまった。ケンカを売られたとはいえ、マジパティの力を使う所ではないでしょ?マジパティには変身させてあげるけど、罰として暫くその姿でいてもらうわ!!」
覚悟していたとはいえ、シュトーレンの言葉が一悟に重くのしかかる。そして、シュトーレンは雪斗の方を向いて…
「雪斗…あなたはマジパティとして3つの過ちを犯してしまった…見過ごすことのできない程の重い罪…」
彼女の言葉に、雪斗の表情が曇る…そして、まるで雪斗の今の気持ちを表すかのように、ぽつぽつと雨が降り始めた。
「一つ!カオスイーツが現れていない状態でマジパティに変身したこと!!!二つ!マジパティの姿で、人間界の住人を傷つけたこと!!!」
シュトーレンの声が段々と男の声へと変わっていく…そうとう怒っているようだ。シュトーレンは雪斗の方まで歩き、雪斗の所へ近づくと…
「スパーーーーーーーーーーーーーン!!!」
雪斗の左頬に、シュトーレンの右手が激しい音を立ててぶつかった。
「そして、最後!!!己のためだけにその力を使い続けたこと!!!!!」
勇者様の言葉に、雪斗のファンであるあずきも、雪斗を擁護できなかった。
「ユキ様…あなた最低ですわっ!!!!!!」
「ライス…」
叔父に支えられながら、あずきが嗚咽する。
一悟「お前がマジパティとして好き勝手やってきた結果がこのザマだ…それでも…俺と戦いたいか?」
「僕は…ただ…」
雪斗は足元に落ちていた大きめの石を握りしめ、シュトーレンに飛び掛かるが、彼女は容易く雪斗の動きをかわす。
「玉菜はいつも雪斗に対してこう言ってた。「とんだ甘ちゃんだ」…ってね?」
雪斗は再びシュトーレンに飛び掛かるが、まるで雪斗の動きが読めているかのように動きをかわしていく。
「勇者様…こんなところで勇者の能力を…」
「もうそんな能力が戻る気配ないけどねー?でも権限は健在だし、そもそもこの甘ちゃん相手に元々の運動神経の良さだけで十分♪十分♪」
この勇者、声色を元に戻すほど余裕である。それと同時に、シュトーレンの蹴りが雪斗の右手を掠め、雪斗は思わず握っていた石を落としてしまった。
「ゴトッ…」
「僕は…まだ…負けたわけじゃ…」
諦めの悪さ…評価はしたいところだが、勇者の能力を悪用し続けた以上、これ以上の身勝手は許されない。そんな時、突然頭部に2本の鬼の角を携えた黒髪で刺客ともとれる和装メイドが雪斗の背後に回り込む。
「それなら私・ティラミスがあなたに完全敗北を差し上げましょう…氷見雪斗…」
そう言いながら、雪斗のセリフを遮るかのように、ティラミスは雪斗の延髄目掛けてチョップをかました。突然のティラミスの攻撃を受けた雪斗は、そのまま崩れるようにして雨の降る公園に倒れる。
「勇者シュトーレン…そして、マジパティども…次に会う時はあなた方にも完全敗北を差し上げましょう…それでは…」
雪斗を腕に抱えながら、ティラミスは雪斗共々フッと音を立ててどこかへ消えてしまった。その様子を一悟達は雨降る公園の中、黙って見ている事しかできなかった。
「勇者の能力を好き勝手使ってまで…どうして…俺に粘着してくるんだよ…」
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