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親子とアンドロイド
二十二話「親と子」
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「先輩……!あと少し……耐えてください……!私……どうにかしますんで……!」
「え?」
「大丈夫です……!私を……信じてください……!」
僕はその言葉を信じ、何とか耐え抜く。一体、桃は何をする気なのだろうか?少しばかり首を動かしそちらに視線をやると、なにやらパソコンカタカタしているのが見える。……そうか、なら耐えるしかないか。ただ、流石に持ちそうにないな……。
「母さん……少し……弱めてくれ……ないか……?」
そいつは更に強く首を絞めてきた。
「な、なあ……母、さん……ここで……何、してるんだ……?」
帰ってきたのは無言だった。
「話を……変えよう……何故……ここを、教えた……?」
また、無言。
「ここを……教え、る……理由なんて……なかったろう……?」
いくら、動けなくなるからって、あの時に教えるメリットってなんだ?まさか、雑な情報を渡せば僕が探すのを諦めるとでも?そもそもあの時に僕は推理小説が好きだと言う話をした筈だが?それとも、雫に何かあるのか?雫が動かなくなることにデメリットが?
「茜先輩……!これを……アンドロイドの……頭部に……!」
「えっ、これ何?」
「いいから……早く……!」
「わ、わかった!」
そう言って、茜はアンドロイドの頭部に手を伸ばす。すると、母親はやっと口を開いた。
「私たちに関わるな。」
少しばかりそいつの手の力が弱まった。僕は息を吸い込んでから、言った。
「邪魔されたくないから……だろ?」
「何より君には……いいや、その答えはまた後で、かしら?今じゃないわ。」
「おい!それってどういう……!」
僕がそう言った瞬間、アンドロイドは重力にしたがって倒れた。茜の手にはUSBメモリらしきものが握られており、アンドロイドの頭部は開かれてすらいなかった。
「茜先輩……!取り敢えず……そのメモリを……挿してください……!」
「え?でも、アンドロイドにはもう……」
「いいえ……きっと……遠隔で操作できるように設計されてる筈……!だから……その機能を……停止させるために……!」
「わかった。」
そう言って茜はアンドロイドの頭に手を掛けて開くとそこにあるUSBポートにメモリを挿した。
「で?あれ一体何なの?」
「簡単に言うと……コンピュータウイルスの一種……ですね……。あ……私が作成しました……。それで……どういったものかと言いますと……」
あれ?今さらっと恐ろしいこと言わなかった?
「外部からの通信を制限する……つまりはファイアウォールみたいなものです。」
「あれ?」
桃が説明をしている間に雫が目を覚ました。
「また、天海空さんのお母さんが私の体を?」
「そうだね。でももう大丈夫。」
「私が……ファイアウォールを……ダウンロードしたので……。」
「成る程。」
「それじゃ、早く行くよ!」
僕は床の切れ込みに手を掛け開く。梯子が下まで伸びている。その先は吸い込まれそうなほど真っ暗な暗闇だった。
「暗いですね。」
「息子が工場見学に来たんだから灯りくらい付けてくれてもいいのに。」
「つべこべ言わずにスマホのランプ付けてさっさと降りろ。」
「はいはい。」
そうして僕はその梯子を下っていく。
やがて、梯子の先がなくなり、僕は飛び降りた。降りたところは狭い通路だった。先が見えないほど暗く長い通路。それにしても中々に深いところに実験室があるようだ。恐らく、前回の反省を活かしてなのだろう。
「ところでさあ……皆なにやってんの?」
「安全確認。」
「安全確認を本命でやるな!」
「血縁者もう一人いるし、別にいいかなって。」
「それを本人が言うな!さっさと降りてこい!」
「冗談だって。」
そう言いながら剣がセコセコと降りてきた。
「降りながら、というか、この状況で茶番やるなよ。」
「まあ、別にいいだろ。流石にあの二人だって人殺すほど人間やめちゃいねぇさ。」
「だといいけど。」
雫に何かした以上、人に何もしない、何もしていないとは思えない。
「侵入者発見。ただちに確保します。」
僕らが下らないことを話しているときだった。どこからともなくそんな機械音声が聞こえてきた。目の前の暗闇に赤いランプが二つ光っていた。
「何て間の悪い奴だ。」
「これってまさか、戦う流れ!?僕何の準備もしてないんだけど!」
武器なんてものは何も持っていないため、僕は何とか素手で立ち向かおうと拳を握りしめファイティングポーズをとる。
「はあ……これ貸してやるよ。」
そんな僕に剣は木刀を渡してきた。
「安心しろ、二本ある。今渡したのが中学の時に買った奴だから耐久性は保証できねぇけど。」
そう言って剣はもう一本木刀を取り出し構えた。
「皆、少しだけ待ってて!すぐに片付けるから!」
「木刀貸してもらってる奴が格好付けんな!」
やがて目の前に二台の人型ロボットがその姿を表した。
「ターゲット……捕捉……確保します……。」
そんな機械音声と共にロボットの手が勢い良く僕ら目掛けて発射される。
「成る程、そうやって俺らを捕縛しようって訳か。」
僕らはその枷のような手を避けつつ、ロボットに近づき、胴体に一撃を与えた。そして一度後ろに下がる。そのタイミングで射出された手についたワイヤーが巻き取られロボットの腕に帰っていく。
「なあ、空。」
「何?」
「コイツら、叩けば壊れっかな?」
「知るか!桃に聞け!」
「ターゲット……捕捉……確保します……。」
またしても腕が発射される。僕らはそれを避け、相手を攻撃し、引く。ヒットアンドアウェイで少しずつダメージを与えていく。
「なあ、桃!」
「ひゃ……ひゃい!な……何ですか……先輩……?」
「今ロボットと闘ってるんだけどさ、どうすれば機能停止できると思う?」
「え……えっと……そうですね……そのロボットはどんな形ですか……?」
「人型!後腕飛ばしてくる!」
「人型ですか……ちょっと待ってください……!今すぐ分解して確認します……!」
分解?何を?雫を?成る程……製造者が同じなら作りが同じかもしれない、そう踏んだわけだな。なら、僕らがやることはただ一つ。耐え凌ぐのみ!
「剣、後どれくらい耐えれる?」
「この数なら何時間だろうと耐えられるが、恐らく、後から増援が来る。」
「そうだろうね。」
流石に二台だけで僕らを捕えられるとは思っていない筈。時間の問題って奴か。そんなことを考えていると、ロボットの後ろから更に二台、同じ型のロボットが現れた。
「このペースだと詰みかねねぇぞ!」
「取り敢えず、弱点らしき箇所を順番に叩いていこう!もしセンサーでも潰せたなら少しは楽になる筈さ。」
「了解。」
「ターゲット……捕捉……確保します……。」
四台のロボットが同時に両手を発射する。僕らは避けられるものは避け、避けられないであろうものは木刀で弾きながらロボットの軍勢に突っ込んでいく。
「まず狙うべきは……目か。」
僕は一台のロボットに狙いを定め、その感情のない冷ややかな単眼に木刀を突き刺した。更に三台の目も同じように潰していく。剣の方もロボットの目に対して攻撃していた。
「おおよそここがカメラだと思うが……果たして?」
僕は一度そのロボットから離れて様子を伺う。ロボットの手が本体に回収される。さあ、そこからどうする?そうやって相手の出方を伺っていると、奴らの腕が射出された。
「ちっ……別の方法で俺らを見ているな?」
あの目以外の箇所にもセンサーがあるって訳か。それとも他の場所にカメラが?取り敢えず、次に狙うべきは……。
「頚だね。」
僕はロボットの攻撃を掻い潜り近づくと、今度は頚へ攻撃を仕掛けた。木刀を横に振り、ぶつける。しかし、びくともしなかった。
「硬っ!?」
流石に金属製の頚に木刀なんかで傷を付けれるわけないか。そんな時、上から声が聞こえてきた。
「先輩……!もし……そのロボットが……このアンドロイドと同じ機構で動いているなら……頚を狙ってください……!」
やはりそうなのか。なら……!
「わかったありがとう!すぐ終わらせて降りれようにするから、後もう少しだけ待ってて!」
僕はそう言うと、背負っていたリュックサックを降ろし、中を探る。確か道具箱が……。
「あった!」
僕は道具箱を取り出すとその中のとある工具を手に取った。
「金槌なら、アイツの頚もへし折ることができる筈!」
僕はそれを手に構えるとロボット目掛けて走り出した。そして、その手が届く距離まで近づくと、金槌を相手の頚に打ち付けた。鈍い金属音と共にロボットは転倒した。僕は更にもう一撃、そいつの頚に加えてやった。すると、そのロボットは動かなくなった。僕はそれを確認すると立ち上がり回りを見渡す。
「あれ?皆倒れてんじゃん。剣、何したの?」
「少しばかり足下を掬ってやったら、この通りさ。どうやら、コイツらは起き上がるのが苦手らしい。まあ、とはいえ放っておいたらまた、立ち上がるんだけど。ほら、今のうちに止め刺しといて。」
そう言われ、僕は倒れてるロボット一体一体の頚に金槌による打撃を与えた。
「皆、降りてきていいよ。」
すべてのロボットの機能停止を確認した僕は上にいる皆にそう伝えた。
しばらくして、全員が地下通路に集結した。
「この先へ行く前に持ち物の確認をしよう。」
そう言ったのは剣だった。
「剣にしてはまともなこと言うな。」
「そりゃ、お前がステゴロで闘おうとしたのを見れば誰だって所持している武器の確認をしたくなるだろ。」
「それじゃあ、僕の持ち物だけど、道具箱と水筒とお腹空いた時のためのおにぎり三つ、万が一のためのヘルメット、明かりが必要だろうから持ってきた懐中電灯。あとはスマホと財布とモバイルバッテリー位かな。剣は?」
「俺?俺は木刀二本と竹刀二本、あとエアガン二丁。それと、2Lのスポーツドリンクとスマホと財布、それくらいかな。」
「奇遇ね。私も2Lのスポーツドリンク持ってきてるの。」
そう言って茜は自分のリュックサックの中身を取り出す。
「あとは、ラケット二本と硬式テニスボール三十球。それとまあ、スマホと財布くらいね。」
「私は言うまでもないですけど……ノートパソコン一台に……1TBのUSBメモリ三本……500mlのエナジードリンク三本……あとはスマホと……モバイルバッテリー二台……。」
「私は何が必要かいまいちわからなかったので、ジュース五本と焼きそばパン五個とボイスレコーダーとモバイルバッテリー五個。あとはスマホ位ですかね。」
全員の持ち物を確認した後、僕らは軽く作戦会議をした。
「今後の立ち回りが決まったね。まず、相手のロボットと戦闘する時、まず桃が分析をする。そしてその間他のメンバーがロボットの攻撃を引き受けたり、桃を攻撃から守ったりする。これがテンプレートだね。」
「あとは、そのときの状況に合わせて臨機応変に、だな。」
父さん、母さん、お前達まで後もうすぐだ。
(あとがき)
どうも、学生時代運動部ですらない女子に力負けしたしらす(仮)です。早く終わらせて次作らないと友人に叱られるなと思いつつ、午後四時四十五分までほとんど触れてませんでした。本当に申し訳ありませんでした。七話を投稿したときにもう遅れないと誓ったというのに……面目ありません……。というわけで以上ソシャゲでフェス限キャラを七十連で当てたしらす(仮)でした。
「え?」
「大丈夫です……!私を……信じてください……!」
僕はその言葉を信じ、何とか耐え抜く。一体、桃は何をする気なのだろうか?少しばかり首を動かしそちらに視線をやると、なにやらパソコンカタカタしているのが見える。……そうか、なら耐えるしかないか。ただ、流石に持ちそうにないな……。
「母さん……少し……弱めてくれ……ないか……?」
そいつは更に強く首を絞めてきた。
「な、なあ……母、さん……ここで……何、してるんだ……?」
帰ってきたのは無言だった。
「話を……変えよう……何故……ここを、教えた……?」
また、無言。
「ここを……教え、る……理由なんて……なかったろう……?」
いくら、動けなくなるからって、あの時に教えるメリットってなんだ?まさか、雑な情報を渡せば僕が探すのを諦めるとでも?そもそもあの時に僕は推理小説が好きだと言う話をした筈だが?それとも、雫に何かあるのか?雫が動かなくなることにデメリットが?
「茜先輩……!これを……アンドロイドの……頭部に……!」
「えっ、これ何?」
「いいから……早く……!」
「わ、わかった!」
そう言って、茜はアンドロイドの頭部に手を伸ばす。すると、母親はやっと口を開いた。
「私たちに関わるな。」
少しばかりそいつの手の力が弱まった。僕は息を吸い込んでから、言った。
「邪魔されたくないから……だろ?」
「何より君には……いいや、その答えはまた後で、かしら?今じゃないわ。」
「おい!それってどういう……!」
僕がそう言った瞬間、アンドロイドは重力にしたがって倒れた。茜の手にはUSBメモリらしきものが握られており、アンドロイドの頭部は開かれてすらいなかった。
「茜先輩……!取り敢えず……そのメモリを……挿してください……!」
「え?でも、アンドロイドにはもう……」
「いいえ……きっと……遠隔で操作できるように設計されてる筈……!だから……その機能を……停止させるために……!」
「わかった。」
そう言って茜はアンドロイドの頭に手を掛けて開くとそこにあるUSBポートにメモリを挿した。
「で?あれ一体何なの?」
「簡単に言うと……コンピュータウイルスの一種……ですね……。あ……私が作成しました……。それで……どういったものかと言いますと……」
あれ?今さらっと恐ろしいこと言わなかった?
「外部からの通信を制限する……つまりはファイアウォールみたいなものです。」
「あれ?」
桃が説明をしている間に雫が目を覚ました。
「また、天海空さんのお母さんが私の体を?」
「そうだね。でももう大丈夫。」
「私が……ファイアウォールを……ダウンロードしたので……。」
「成る程。」
「それじゃ、早く行くよ!」
僕は床の切れ込みに手を掛け開く。梯子が下まで伸びている。その先は吸い込まれそうなほど真っ暗な暗闇だった。
「暗いですね。」
「息子が工場見学に来たんだから灯りくらい付けてくれてもいいのに。」
「つべこべ言わずにスマホのランプ付けてさっさと降りろ。」
「はいはい。」
そうして僕はその梯子を下っていく。
やがて、梯子の先がなくなり、僕は飛び降りた。降りたところは狭い通路だった。先が見えないほど暗く長い通路。それにしても中々に深いところに実験室があるようだ。恐らく、前回の反省を活かしてなのだろう。
「ところでさあ……皆なにやってんの?」
「安全確認。」
「安全確認を本命でやるな!」
「血縁者もう一人いるし、別にいいかなって。」
「それを本人が言うな!さっさと降りてこい!」
「冗談だって。」
そう言いながら剣がセコセコと降りてきた。
「降りながら、というか、この状況で茶番やるなよ。」
「まあ、別にいいだろ。流石にあの二人だって人殺すほど人間やめちゃいねぇさ。」
「だといいけど。」
雫に何かした以上、人に何もしない、何もしていないとは思えない。
「侵入者発見。ただちに確保します。」
僕らが下らないことを話しているときだった。どこからともなくそんな機械音声が聞こえてきた。目の前の暗闇に赤いランプが二つ光っていた。
「何て間の悪い奴だ。」
「これってまさか、戦う流れ!?僕何の準備もしてないんだけど!」
武器なんてものは何も持っていないため、僕は何とか素手で立ち向かおうと拳を握りしめファイティングポーズをとる。
「はあ……これ貸してやるよ。」
そんな僕に剣は木刀を渡してきた。
「安心しろ、二本ある。今渡したのが中学の時に買った奴だから耐久性は保証できねぇけど。」
そう言って剣はもう一本木刀を取り出し構えた。
「皆、少しだけ待ってて!すぐに片付けるから!」
「木刀貸してもらってる奴が格好付けんな!」
やがて目の前に二台の人型ロボットがその姿を表した。
「ターゲット……捕捉……確保します……。」
そんな機械音声と共にロボットの手が勢い良く僕ら目掛けて発射される。
「成る程、そうやって俺らを捕縛しようって訳か。」
僕らはその枷のような手を避けつつ、ロボットに近づき、胴体に一撃を与えた。そして一度後ろに下がる。そのタイミングで射出された手についたワイヤーが巻き取られロボットの腕に帰っていく。
「なあ、空。」
「何?」
「コイツら、叩けば壊れっかな?」
「知るか!桃に聞け!」
「ターゲット……捕捉……確保します……。」
またしても腕が発射される。僕らはそれを避け、相手を攻撃し、引く。ヒットアンドアウェイで少しずつダメージを与えていく。
「なあ、桃!」
「ひゃ……ひゃい!な……何ですか……先輩……?」
「今ロボットと闘ってるんだけどさ、どうすれば機能停止できると思う?」
「え……えっと……そうですね……そのロボットはどんな形ですか……?」
「人型!後腕飛ばしてくる!」
「人型ですか……ちょっと待ってください……!今すぐ分解して確認します……!」
分解?何を?雫を?成る程……製造者が同じなら作りが同じかもしれない、そう踏んだわけだな。なら、僕らがやることはただ一つ。耐え凌ぐのみ!
「剣、後どれくらい耐えれる?」
「この数なら何時間だろうと耐えられるが、恐らく、後から増援が来る。」
「そうだろうね。」
流石に二台だけで僕らを捕えられるとは思っていない筈。時間の問題って奴か。そんなことを考えていると、ロボットの後ろから更に二台、同じ型のロボットが現れた。
「このペースだと詰みかねねぇぞ!」
「取り敢えず、弱点らしき箇所を順番に叩いていこう!もしセンサーでも潰せたなら少しは楽になる筈さ。」
「了解。」
「ターゲット……捕捉……確保します……。」
四台のロボットが同時に両手を発射する。僕らは避けられるものは避け、避けられないであろうものは木刀で弾きながらロボットの軍勢に突っ込んでいく。
「まず狙うべきは……目か。」
僕は一台のロボットに狙いを定め、その感情のない冷ややかな単眼に木刀を突き刺した。更に三台の目も同じように潰していく。剣の方もロボットの目に対して攻撃していた。
「おおよそここがカメラだと思うが……果たして?」
僕は一度そのロボットから離れて様子を伺う。ロボットの手が本体に回収される。さあ、そこからどうする?そうやって相手の出方を伺っていると、奴らの腕が射出された。
「ちっ……別の方法で俺らを見ているな?」
あの目以外の箇所にもセンサーがあるって訳か。それとも他の場所にカメラが?取り敢えず、次に狙うべきは……。
「頚だね。」
僕はロボットの攻撃を掻い潜り近づくと、今度は頚へ攻撃を仕掛けた。木刀を横に振り、ぶつける。しかし、びくともしなかった。
「硬っ!?」
流石に金属製の頚に木刀なんかで傷を付けれるわけないか。そんな時、上から声が聞こえてきた。
「先輩……!もし……そのロボットが……このアンドロイドと同じ機構で動いているなら……頚を狙ってください……!」
やはりそうなのか。なら……!
「わかったありがとう!すぐ終わらせて降りれようにするから、後もう少しだけ待ってて!」
僕はそう言うと、背負っていたリュックサックを降ろし、中を探る。確か道具箱が……。
「あった!」
僕は道具箱を取り出すとその中のとある工具を手に取った。
「金槌なら、アイツの頚もへし折ることができる筈!」
僕はそれを手に構えるとロボット目掛けて走り出した。そして、その手が届く距離まで近づくと、金槌を相手の頚に打ち付けた。鈍い金属音と共にロボットは転倒した。僕は更にもう一撃、そいつの頚に加えてやった。すると、そのロボットは動かなくなった。僕はそれを確認すると立ち上がり回りを見渡す。
「あれ?皆倒れてんじゃん。剣、何したの?」
「少しばかり足下を掬ってやったら、この通りさ。どうやら、コイツらは起き上がるのが苦手らしい。まあ、とはいえ放っておいたらまた、立ち上がるんだけど。ほら、今のうちに止め刺しといて。」
そう言われ、僕は倒れてるロボット一体一体の頚に金槌による打撃を与えた。
「皆、降りてきていいよ。」
すべてのロボットの機能停止を確認した僕は上にいる皆にそう伝えた。
しばらくして、全員が地下通路に集結した。
「この先へ行く前に持ち物の確認をしよう。」
そう言ったのは剣だった。
「剣にしてはまともなこと言うな。」
「そりゃ、お前がステゴロで闘おうとしたのを見れば誰だって所持している武器の確認をしたくなるだろ。」
「それじゃあ、僕の持ち物だけど、道具箱と水筒とお腹空いた時のためのおにぎり三つ、万が一のためのヘルメット、明かりが必要だろうから持ってきた懐中電灯。あとはスマホと財布とモバイルバッテリー位かな。剣は?」
「俺?俺は木刀二本と竹刀二本、あとエアガン二丁。それと、2Lのスポーツドリンクとスマホと財布、それくらいかな。」
「奇遇ね。私も2Lのスポーツドリンク持ってきてるの。」
そう言って茜は自分のリュックサックの中身を取り出す。
「あとは、ラケット二本と硬式テニスボール三十球。それとまあ、スマホと財布くらいね。」
「私は言うまでもないですけど……ノートパソコン一台に……1TBのUSBメモリ三本……500mlのエナジードリンク三本……あとはスマホと……モバイルバッテリー二台……。」
「私は何が必要かいまいちわからなかったので、ジュース五本と焼きそばパン五個とボイスレコーダーとモバイルバッテリー五個。あとはスマホ位ですかね。」
全員の持ち物を確認した後、僕らは軽く作戦会議をした。
「今後の立ち回りが決まったね。まず、相手のロボットと戦闘する時、まず桃が分析をする。そしてその間他のメンバーがロボットの攻撃を引き受けたり、桃を攻撃から守ったりする。これがテンプレートだね。」
「あとは、そのときの状況に合わせて臨機応変に、だな。」
父さん、母さん、お前達まで後もうすぐだ。
(あとがき)
どうも、学生時代運動部ですらない女子に力負けしたしらす(仮)です。早く終わらせて次作らないと友人に叱られるなと思いつつ、午後四時四十五分までほとんど触れてませんでした。本当に申し訳ありませんでした。七話を投稿したときにもう遅れないと誓ったというのに……面目ありません……。というわけで以上ソシャゲでフェス限キャラを七十連で当てたしらす(仮)でした。
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