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VOL28 「平和な昼 狂乱の夜」
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ー転生のアメリカ編 VOL28ー
「平和な昼 狂乱の夜」
ニューオーリンズ 1990年3月
いい天気だ。
ミシシッピー川を見ながら
ぼんやりと歩く。
家族連れの平和な風景が微笑ましい。
大きな水車みたいなものが
後ろでくるくる回る有名な蒸気船
マークトウェイン号がゆったりと
進んでゆく。
確か「トムソーヤの冒険」の中に
出てくるやつと思うが。
(この数年後にこの船が故障のせいか
俺が歩いていたこの川岸に
ハデに突っ込んでしまったと
新聞で写真入りで見て驚いた!)
短い路面電車に乗って通りを眺めてみる。
賑やかな夜のバーボンストリートとは
違って日曜の穏やかな雰囲気が漂う。
ジャクソン広場で大勢の人が集まって
大道芸が披露されている。
スーパーマンのカッコをした人らが
コメディタッチの寸劇をやっている。
アメリカに来てあちこちで
大道芸人をたくさん見た。
それはとても興味深い世界で
あれで食べていけたらなあ、
とつい甘いことを考えてしまう。
歌や演奏が特別に得意なわけではなく
特技があるわけでもないけど、
こっちで日本独特の文化を
アレンジして見せたら彼らには
すごくおもしろいショー
のようではないかと思うのだが。
夕方になってまたも
バーボンストリートにくり出す。
フランスパンにエビ、タラ、カキ、
ローストビーフ、チーズなどを挟む
名物のポーボーイなどを食べる。
ライスを肉汁で煮て、チキン、
オニオンなどを入れたものに
トマトやシーフードを加えた
ニューオーリンズ風かきまぜゴハンは
ジャンバラヤというもので
やはり有名だが、トマトがダメな俺は
これにはトライしない。
(このまえ書いたけど、ガンボスープ
というやつは不覚にもトマトの味に
気付かないでウマイ!と思って
何回か食べてしまった。
普段トマトを食べないからこそ
わからなかったんやろなあ。)
フランスやスペインによる
植民地時代の影響を今も残すこの街は
フレンチクォーターと呼ばれる
エリアだけあって、建物も食べ物も
フランス調、ヨーロッパ調なものが目立つ。
ビールも飲んでほろ酔いでレストランを
出ると、なんだか大勢の人が通りの
両側に集まってきていてオドロク。
ん? なんだあ?
低いエンジン音とライトが
通りをゆっくり進んでくる。
あれは、、、、ハーレー軍団だ。
いったい何が始まるんだ?
ハーレーは10台以上いて
ライダーはみんな黄色いジャケットで
身を包んだおっちゃんだ。
隊列を組んで歩くほどのスピードで
ゆっくりゆっくり近づいてくる。
ド、ド、ド、ド、ドドド、、、、。
その50mくらい後ろにはでっかい
ひな祭りの台のようなものが続く。
台の上で白いフリルのたくさん付いた
ドレスを着飾った10人ほどの
キレイな女達がにこやかに
群集に手を振っている。
何かのお祭りやろか?
通りの人はさらにどんどん増えてきている。
台の上の女達が何かをまわりに
バラ撒き始める。
人々は我先にワーワー叫びながら
それを奪い合う。
なんやろう?
俺も足元に落ちてきたものを拾ってみる。
オモチャのプラスティックのコイン。
隣にいるおばちゃんはウレシそうに
拾ったばかりのカラフルなビーズの
ネックレスを3重くらい
ジャラジャラ鳴らして巻いている。
続いてサンバダンスのグループが
豪快な演奏をバックに
激しく踊りながら通りを進んでくる。
その次には少年少女のブラスバンドが
お揃いのユニフォームで軽快な演奏を
繰り広げる。
大人も子どもも練り歩く人達が
バラ撒くものに狂喜して飛びつく。
大騒ぎだ。
スゴイなあ!
なんでただのオモチャを取り合って
こんなに盛り上がるんやろ?
そういえば日本にもモチを取り合う
お祭りとかあるよなー。
ようするになんでもいいからワーッと
盛り上がるきっかけが欲しいのかな?
それにしてもこのパレードの規模は
一体どうなってんのやろ?
さらに続いて400ccバイク軍団、
ダンスチーム、特大ひな壇少女編など
次から次へと歌ったり、踊ったり、
演奏したり、叫んだりしながら
いろんなグループがやって来る。
路上駐車している車の屋根の上に
あたりまえのように座って
にこにこしながらポップコーンを
ほおばる子ども達、ボンネットの上に
立ってビールを飲む大人達。
信じられへん!!
車の持ち主が戻ってきたら
ケンカにならんのやろか?
昨日のバスケットボールの試合に
続いてまたもアメリカ人のアツイ
盛り上がりを目の当たりにして
俺もコーフンしてしまう。
隣にいるおばさんに
「これは何かの祭りですか?」
と訊くと
「私はフランス人なの。
わからないわ。
英語もほとんどわからないのよ。」
と言われる。
結局これがなんのパレードかも
わからずにその後もどんどん続く
パフォーマンスを俺もビールを
飲みながら楽しみ、ビーズを拾って
叫んだのであった。
帰国後に本で調べたら、
カトリック教徒はイースターの前に
断食をして身を清めるのだが、
食べれなくなるその前に
食えや飲めや歌えや踊れやの
大騒ぎをするそうな。
この期間をマルディ グラと呼ぶ。
これは1月の下旬?~3月中旬?
にまでも及ぶ。
俺は見なかったけどコンドームも
バラ撒かれたりするそうだ。
本にはこんなことも書いてあった。
バラ撒く人達は群集に向かって
「Show me something!
Give you something!」
みたいなことを叫ぶ。
「何かいいものを見せろ!
そしたら何かあげるぞ!」
というわけだ。
これに応えてファンキーな女達は
なんとノーブラのTシャツを
めくり上げて豊満なオッパイを
ほりゃーっ!と惜しげもなく
群集の目の前で放り出すのだ!
そうすると人々はさらに大騒ぎし、
ビーズやネックレスが盛大に
バラ撒かれる。
オッパイベローン!の写真付きの
この狂気の騒ぎの記事を読んで、
なんで日本ではこのイベントが
全然有名でないのかフシギに思った。
1~3月にアメリカ旅行を考える人は
この大騒ぎに参加してみるう?
「平和な昼 狂乱の夜」
ニューオーリンズ 1990年3月
いい天気だ。
ミシシッピー川を見ながら
ぼんやりと歩く。
家族連れの平和な風景が微笑ましい。
大きな水車みたいなものが
後ろでくるくる回る有名な蒸気船
マークトウェイン号がゆったりと
進んでゆく。
確か「トムソーヤの冒険」の中に
出てくるやつと思うが。
(この数年後にこの船が故障のせいか
俺が歩いていたこの川岸に
ハデに突っ込んでしまったと
新聞で写真入りで見て驚いた!)
短い路面電車に乗って通りを眺めてみる。
賑やかな夜のバーボンストリートとは
違って日曜の穏やかな雰囲気が漂う。
ジャクソン広場で大勢の人が集まって
大道芸が披露されている。
スーパーマンのカッコをした人らが
コメディタッチの寸劇をやっている。
アメリカに来てあちこちで
大道芸人をたくさん見た。
それはとても興味深い世界で
あれで食べていけたらなあ、
とつい甘いことを考えてしまう。
歌や演奏が特別に得意なわけではなく
特技があるわけでもないけど、
こっちで日本独特の文化を
アレンジして見せたら彼らには
すごくおもしろいショー
のようではないかと思うのだが。
夕方になってまたも
バーボンストリートにくり出す。
フランスパンにエビ、タラ、カキ、
ローストビーフ、チーズなどを挟む
名物のポーボーイなどを食べる。
ライスを肉汁で煮て、チキン、
オニオンなどを入れたものに
トマトやシーフードを加えた
ニューオーリンズ風かきまぜゴハンは
ジャンバラヤというもので
やはり有名だが、トマトがダメな俺は
これにはトライしない。
(このまえ書いたけど、ガンボスープ
というやつは不覚にもトマトの味に
気付かないでウマイ!と思って
何回か食べてしまった。
普段トマトを食べないからこそ
わからなかったんやろなあ。)
フランスやスペインによる
植民地時代の影響を今も残すこの街は
フレンチクォーターと呼ばれる
エリアだけあって、建物も食べ物も
フランス調、ヨーロッパ調なものが目立つ。
ビールも飲んでほろ酔いでレストランを
出ると、なんだか大勢の人が通りの
両側に集まってきていてオドロク。
ん? なんだあ?
低いエンジン音とライトが
通りをゆっくり進んでくる。
あれは、、、、ハーレー軍団だ。
いったい何が始まるんだ?
ハーレーは10台以上いて
ライダーはみんな黄色いジャケットで
身を包んだおっちゃんだ。
隊列を組んで歩くほどのスピードで
ゆっくりゆっくり近づいてくる。
ド、ド、ド、ド、ドドド、、、、。
その50mくらい後ろにはでっかい
ひな祭りの台のようなものが続く。
台の上で白いフリルのたくさん付いた
ドレスを着飾った10人ほどの
キレイな女達がにこやかに
群集に手を振っている。
何かのお祭りやろか?
通りの人はさらにどんどん増えてきている。
台の上の女達が何かをまわりに
バラ撒き始める。
人々は我先にワーワー叫びながら
それを奪い合う。
なんやろう?
俺も足元に落ちてきたものを拾ってみる。
オモチャのプラスティックのコイン。
隣にいるおばちゃんはウレシそうに
拾ったばかりのカラフルなビーズの
ネックレスを3重くらい
ジャラジャラ鳴らして巻いている。
続いてサンバダンスのグループが
豪快な演奏をバックに
激しく踊りながら通りを進んでくる。
その次には少年少女のブラスバンドが
お揃いのユニフォームで軽快な演奏を
繰り広げる。
大人も子どもも練り歩く人達が
バラ撒くものに狂喜して飛びつく。
大騒ぎだ。
スゴイなあ!
なんでただのオモチャを取り合って
こんなに盛り上がるんやろ?
そういえば日本にもモチを取り合う
お祭りとかあるよなー。
ようするになんでもいいからワーッと
盛り上がるきっかけが欲しいのかな?
それにしてもこのパレードの規模は
一体どうなってんのやろ?
さらに続いて400ccバイク軍団、
ダンスチーム、特大ひな壇少女編など
次から次へと歌ったり、踊ったり、
演奏したり、叫んだりしながら
いろんなグループがやって来る。
路上駐車している車の屋根の上に
あたりまえのように座って
にこにこしながらポップコーンを
ほおばる子ども達、ボンネットの上に
立ってビールを飲む大人達。
信じられへん!!
車の持ち主が戻ってきたら
ケンカにならんのやろか?
昨日のバスケットボールの試合に
続いてまたもアメリカ人のアツイ
盛り上がりを目の当たりにして
俺もコーフンしてしまう。
隣にいるおばさんに
「これは何かの祭りですか?」
と訊くと
「私はフランス人なの。
わからないわ。
英語もほとんどわからないのよ。」
と言われる。
結局これがなんのパレードかも
わからずにその後もどんどん続く
パフォーマンスを俺もビールを
飲みながら楽しみ、ビーズを拾って
叫んだのであった。
帰国後に本で調べたら、
カトリック教徒はイースターの前に
断食をして身を清めるのだが、
食べれなくなるその前に
食えや飲めや歌えや踊れやの
大騒ぎをするそうな。
この期間をマルディ グラと呼ぶ。
これは1月の下旬?~3月中旬?
にまでも及ぶ。
俺は見なかったけどコンドームも
バラ撒かれたりするそうだ。
本にはこんなことも書いてあった。
バラ撒く人達は群集に向かって
「Show me something!
Give you something!」
みたいなことを叫ぶ。
「何かいいものを見せろ!
そしたら何かあげるぞ!」
というわけだ。
これに応えてファンキーな女達は
なんとノーブラのTシャツを
めくり上げて豊満なオッパイを
ほりゃーっ!と惜しげもなく
群集の目の前で放り出すのだ!
そうすると人々はさらに大騒ぎし、
ビーズやネックレスが盛大に
バラ撒かれる。
オッパイベローン!の写真付きの
この狂気の騒ぎの記事を読んで、
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