「世界はオモロイ」3部作 第1部 転生のアメリカ編

レオ

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VOL26 「激戦! ルイジアナスーパードーム!」

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ー転生のアメリカ編 VOL26ー
「激戦! ルイジアナスーパードーム!」
ニューオーリンズ 1990年3月

今日はアメリカで初めての
スポーツ観戦だ。
一昨年まで3年間体育と保健のセンセー
(高校の講師)をやってたというのに
付き合いで野球の試合に1回だけ
行った以外他に何も観たことがない。
ルイジアナスーパードームに向かう。
ほんとはアメフトをライヴで
観たかったけどここに滞在する間に
ゲームがなかったんで
バスケットボールを観戦することに
したのだ。
昨日前売り券を買ったけどけっこう高い。
(3、4000円やったかなあ?)

巨大な銀色のドーム状の建物に到着。
着陸している巨大UFOのような迫力。
(今はあちこちにあるけど
’90当時、たぶん日本にはまだ
ドーム型の建物はなかったと思う。
それにしても規模がケタ違いだ。)
なんと8万人!を収容できる
世界最大の屋内競技場。
その高さは27階のビルに相当する。
入場の際、持ち物検査をされる。
銃器など危険物を排除するためだろう。
日本とは違うなー。
やっぱり自分がコワイ国にいるのかな
と再認識してちょっと緊張する。

中に入る。
なんというデカさ!
立派なとこやなあ!
これが屋内かと思うほど
ゆったりした空間がそこにある。
すり鉢状の客席に囲まれて
バスケットコートが用意されている。
でっかいスクリーンがいくつか
設置されてすでにウォームアップを
始めている選手らの様子が大きく
映し出されている。
オルガンの生演奏の音が
雰囲気を盛り上げてくれる。
チケットの番号を見て自分の席を
探すが、ぐるーーーっと廻って
歩くことになる。
先に売店に寄るとフランクフルトや
ポップコーンなどを買う人が
ごったがえしている。
日本と違ってアメリカでは酔うと
コーフンし過ぎたりでトラブルの元に
なるからだろうか、競技場では
アルコール類を販売していない。

コーラと食べ物を買って
やっと見つけた席につく。
しばらくすると左隣の席に
白人がひとりで座ってきた。
メガネをかけて神経質そうな顔をした
にーちゃんだ。
「Hi.」
俺が挨拶するなり彼は俺の顔を
覗き込むようにしていきなり
「キミはどっちのチームを
応援するんだ?」
と訊いてくる。
「え? そんなこと訊かれても、、、
ボクは旅行者でどっちのチームも
知らないんだ。
ゲームが観たかったから来ただけ。」
と答えると、彼は眉を寄せて
「ふーーんそうか、
俺はベアーズの大ファンなんだ。」
と言う。

今度は右隣に家族4人連れが
やってきて声をかけてきた。
「やあ、キミはひとりで来たのかい?
で、キミはどっちのチームの
ファンなんだ?」
おっちゃんが訊いてくる。
ありゃ? またや。
さっきと同じように答えると
おっちゃんは
「ウチはビーズのファンでねえ。」
とウレシそうに言う。
うーーむ、
ベアー(クマ)対ビー(ハチ)か。

試合開始ー。
バスケットボールの試合を
ライヴで観るのは初めて。
キュキュッと鳴るシューズの音が
リアルだ。
ダムッ! ダムッ!
ドリブルする音と選手のかけ声が
広大な空間に響き渡る。
早々にビーズのシュートが決まった。
「よっしゃあーーーーっ!!」
右隣のおっちゃんが大声を出して喜ぶ。
奥さんも子どもらも一緒に
はしゃいでいる。
おっちゃんは俺にニンマリと
笑いかけてくる。
すかさず今度はベアーズの選手が
豪快に宙を舞い、ボールを直接上から
ゴールに叩き込む。
どっごおーーん!!
「いいぞおーー!! ジョニいーー!!」
左隣のにーちゃんが立ち上がって叫ぶ。
「見たか、今のシュートお!
彼のプレイはまったく最高だぜえ!」
コーフンして俺に言う。
あ、あれがスラムダンクっちゅうやつか。
スゴイ迫力だ!

それからというものどっちかの得点が
入るたびに俺の両側でものすごく
アツイ叫び声が飛び交うことに
なるのだった。
ゲームは均衡を保っている。
な、なんだかえらい席に
座ってしまったぞ。

(次回「チアリーディング合戦!」に続く)

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