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しおりを挟むセリアの熱意によって買い取りを良い値で行った後、グラレス領での現状について、冒険者たちと話し合うことになった。
冒険者のリーダーを始め、パーティーメンバーから情報を仕入れつつ、セリアは書類を分類ごとにまとめることにした。
「…グラレス領では商業組合が表通りに商店を建てていますね。こちらは商業組合のグラレス支部が独自ルートで商品を仕入れているらしいです。でも」
「そうなんですよ!ほとんどの商品が庶民的には高めに設定されてて、旅道具の新調するどころじゃなくて。」
「…はぁ」
「それも、隣の領地よりも馬鹿高いんですよ!有り得ないですよ。客も少ないので、採算が合っているのか疑問なんですよね~」
「それに道具の質が悪いのに、良質な商品と同格の扱いって!冒険者じゃ、手に負えないですよ。」
「買い取りだって、安過ぎるんですよ!あんまりです。この領地に冒険者が来なくなったら、生活出来るんですかね!?」
「本当、知り合いの人に会えて良かったです。宿には泊まれても、明日の食費が危ないところでした。商会長、ありがとうございます。」
『ありがとうございました!』
「ええ。こちらも商会に来ていただけて良かったです。…流石に、故郷から離れたくないですしね。」
冒険者から話を聞きながら、現在の状況を耳にしていく。流石に領内での商店を始めとする店舗が急に無くなったために、領での経済が傾いてきているようである。
その後も商業組合の粗悪な対応や、商品の仕入れ先が隣領であり、他家の領地を経由している事が分かる。これにはセリアも、早めの対応するかと検討することにした。冒険者パーティーからは他にも王都での噂や、見聞きしてきたことも聞かせてくれていた。一部のメンバーからは新しく差し出した茶菓子の仕入れ先やら、作り方やら聞いてきたので、教えても大丈夫な線での簡単なレシピを口頭で伝えた。
「…長々とすみませんでした。買い取りでも口利きをしていただいたのに、お茶までいただいて。」
「いえ。こちらも有意義な時間でしたから、大丈夫ですわ。ただし、ここの情報を広めなければ特に言う事はありません。」
「ええ。そのことは了承しています。これからも通いたいのですが、次も来て良いでしょうか?流石に、もう商業組合に顔は出したくありませんから。」
「はい、お待ちしています。まだ予定ですが、いづれは領地を離れようと考えています。その時になったら、連絡させて頂きます。」
「え!? わわっ、分かりました。その時になったら、よろしくお願いします。」
「では、本日は商会で泊まって行ってくださいね。明日は領を出ることを勧めます。何分、我々を嗅ぎ回っている者が居るらしいので。」
「ええ、分かりました。」
冒険者パーティーを近くに設けた宿に案内させたセリアは、騎士が見張りをしている小屋へと足を運んだのだった。
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