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反抗の余波-その4

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 ディセット騎士隊長が殺気の原因を無くしたことで、先程まで殺気による重圧で見えていなかった執務室を見渡すと、執事長以前に不味かった。

 執務室の押し扉の裏に気絶したメイドが壁に凭れており、執務机では領主であるガウェインが涙を流してブツブツ呟いている。

 そして執務室内の端で殴った拍子に頭から倒れた執事長がおり、現状では誰からも話を聞ける状況ではなかった。

「ディセット隊長。このメイドさん、あの教育係ですよ。」

「何!? 取り敢えず、領主様を正気に治させるんだ。確かダエナ、お前は回復魔法が使えたな?」

「ああ、なんとかしてみる。ーーヒール」

 ダエナと呼ばれた騎士はディセットの言う通りにガウェインに回復魔法を施した。

 本当のことならば、家族であるカテリア夫人かシェルフォードを呼ばなければならない状況だが、この時ばかりは回復を優先させたのだった。


ーー半刻経った頃
「ディセット、か。何か用でもあったのか?」

「というか、セバスが暴走して殺気ダダ漏れだったから止めに来たんだ。」

「ディセット、静かに聞いてくれ。大事な話なんだ。」

「なんだよ。」

「俺、シェルに、嫌われたかもしれないんだ。助けてくれ。」

『はっ!?』

「いやいや、それは無いだろう。一旦、夕食にでも話しかけてみろよ。一応、俺も付き合うから。」

「セバスはどうする?」

「それくらいは見習いにやらせとけば良いだろ?良い経験になるさ、多分。」

「おいっ!?」

『あ、ははは。』
 軽い冗談も含めながらガウェインを慰め、ダエナと他3人を執事長に付けて、ディセットは執事見習いに言伝を伝えてガウェインと食堂へと向かった。

 既に夕刻はとうに過ぎており、普段と違って執事長が居ないことにあたふたしていたが、ディセットの言伝で更に慌ただしくなってしまった。

 それ程までに、邸の構図が執事長が中心だったことの表れだった。
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