進化拒否したい。【完結】

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 俺は日ノ原 タケル。小学校、中学校と当たり前のように通っていた。高校受験でいくつも落とし、九回目の受験で何とか受かった高校で順風満帆じゅんぷうまんぱんとは言い難いが、寮からルームメイトと通う毎日。普段から教室では端の席に座って小説を読んでいるが、たまに突っかかる生徒も少なくない。毎回ニヤニヤして話し掛けてくるが、無視をすれば本を奪われて教師が入って来るまで返してもらえない。しかし、だからと言って話に乗ってしまうと、ゲームやらレストランやら日頃の鬱憤うっぷんやらを聴きたくもないのに聴かされ、うんざりしているタケル。
 寮へ帰ってもルームメイトとは食事と挨拶の他には交流をお互いに持たず、食事が済めば寝室に入って本を読み、起床時はお互いに協力して早起きした方が起こし、早起きした人が食事を作るといった方法を決めて日々を過ごしている。ルームメイトとは仲良い訳でもなく、寮長によって部屋割りを決められ、それに従って行動している仲というだけである。彼もまた、その日その日で行動が一つ一つ変わり、僕と違って寝坊が多くて帰りだけが早い人だった。大抵は部活動を入らないといけないという学校の決まりがあるが、入学始めは入っていたが入って数週間せずに解散となったため、帰りが早いのは仕方がない。
 そんなある日、その日だけは何かが違った。それは間違いないが、何が違ったのかは今となってはどうでも良い。その日はルームメイトの寝室に誰も居なくて、靴も無かった。そして寮の部屋の鍵が開けっ放しだった。俺はそのまま食事を済まして寮を出た。高校を目の前にした場所に交差点があり、信号が赤から青になったため、いつも通り通っていると周りの人は信号前に固まり、信号を渡っているのは俺だけだった。まるで時間が止まったかのように。しかも信号は青なのに誰も通っていなかった。そして遂に周りが動き出したと視認すると、次の瞬間に俺は空をかすんだように眺めていた。周りで騒ぐ声が聞こえ、視界が暗くなっていく。最後にルームメイトが高校のある方向から駆け付けて来るのが見えたと同時に目の前が真っ暗になった!



 そうして気付いた時には、前後左右が白い部屋に居た。足で立っているのに、足の感触が無い。ここがどこなのかを思考していると、虚空から光り輝く光の球が現れた。その光の球から渋めの声が聞こえてきた。

???:君はタケル君…、だね?私の不注意で悪かったね。

タケル:あの…、なぜ俺はここに?ここは何処どこですか?

神:ああ、記憶が欠如しているようだね。私は神を務めている者だよ。君はね、私の不注意のだけど、交通事故でトラックにかれて死んでしまったのだよ。幸いなことに、世界を彷徨さまよう筈が、ここに流れ着いたのだから。

タケル:じゃあ、俺は死んだんですね。はぁー

神:申し訳なかった!この通りだ!

タケル:別に良いですよ?だから頭を上げてくださいよ、ね?

神:ああ、ありがとう!ありがとう!

タケル:あれ?意外と死んだのに、軽くないですか?もしかして不注意とか言って、俺を誤魔化してませんか?

神:うっ…。

タケル:カマ掛けただけなのに、はまってくれて。神様って、よく人の命なんか些細な物と扱ってるように見えたから、なんとなく聞いてみたんだけどなぁー。まさか当たるとは…

神:すまない、では何か特典を授けるから許してもらえないかね?

タケル:良いですよ。

神:そうだよねー、嫌だよね。そうだよ…ねぇ…。ってマジで!?

タケル:うん?

神:いえ、特典を授けさせていただきます!はい、もちろんです!

タケル:じゃあ、特典って何をくれるの?

神:異世界へ転生か、この世界で新たな人生かを選んでいただきます。…というか、お願いします!

タケル:えええぇ……

 タケルは話を聞いた途端、予想通り過ぎて頭を抱えたくなった。
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