少女、街を出る【完結】

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店主オリバー

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「なんで、こんなことになったんじゃろうなぁ。」

 レティの居なくなった店内でオリバーは1人呟くが、誰も聞いていたものはいなかった。

◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇

 オリバーがレティに初めて会ったのは3年前だった。

 レティはフレア婆の連れとして連れて来られたのは記憶に新しい。

 始めはフレア婆の気まぐれと思って、店の端に専用の売り場を分けてやった。

 それなのに数日しか経ってないのに、冒険者崩れの荒くれ者に安過ぎな価格で販売していて驚きを通り越して頭の中が真っ白になった。

 だがそれも良い経験だと思っていたのも一時期あった。

 間違いだったと気付いた時にはもう遅かった、フレア婆にしごかれ...いや叱られた。

 発覚したのはフレア婆が帰ってきたが、レティは屋台で買った物を食べて寝ていることだった。

 律儀にもフレア婆からの仕送りを極力使っていなかったことが、原因だったのだが...。

 レティには言い聞かせたと聞いたので安心したのも束の間、今度は収入源を奇しくも辿られてしまい、商人の常識を教えていないことに叱られる毎日だった。

 そうしてフレア婆による監視...もとい見守られつつ、知識を教え込んで適正な価格にする事で荒くれ者も近寄らなくなった。


 ある時を境に、今度は珍しい色をした陶器を売り始めた。

 もちろん価格は安いが、始めと違って適正な価格より少し安い程度に抑えられていた。

 そしてその売り上げも馬鹿にできないくらい売れに売れまくっていた。

 怪しいと睨んだ儂はレティに仕入れ先を尋ねると、意外な返答が返ってきた。

"売れ行きが悪いから鍛冶屋で作った"

 おかしいと思って再び尋ねても同じ返事しかしないので、その鍛冶屋にも聞いてもレティが作ったとしか言わない。

 商人として見過ごせないと言えば、休みの日に鍛冶屋で集まった。

 鍛冶屋に着けば、レティが見当たらないので鍛冶屋の裏手を見れば、レティが陶器の元となる器を作っているのを見つけた。

 レティが陶器を焼く工程を鍛冶屋の鍛治師に頼むと儂に言ってきた。

"どうだった? オヤジさんに頼んで焼く以外は、実費だから問題ないよね?"
...と。

 いや問題以前に何故始めたのか聞いてみれば、フレア婆にプレゼントしたからだと返された事も記憶に新しかった。

◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇

「それなのに、なぜ儂は助けられんかったのだ。 いっそ抗議する前にフレア婆にチクってやろう。 レティには悪いが、ここは儂が一肌脱ごうかのう。 まぁ、やるのはフレア婆じゃろうが...」

 そう呟いて酒を煽り続けた。

 結果、翌日には二日酔いで動けなくなり、抗議どころではなくなってしまった。
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