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三年生編
エピローグ 1
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友巴ちゃんがイギリスに旅立つ日。帆乃花ちゃんと空港に向かい現地でサッチと合流した。
旅立つ友巴ちゃんも、見送る帆乃花ちゃん、サッチも笑顔であったが、俺は作り笑顔に涙目であった。
結局、友巴ちゃんが留学を終え、日本に帰国したのは大学3年生になってからだ。
それまでは年に1回帰省しただけであった。イギリスからだとそうそう頻繁に帰って来られるものではない。
帰国した時の友巴ちゃんの髪色は金色に近いダークブロンドであったため少々驚いたが、黒髪よりも大人びていて似合っていた。「可愛い」から「美しい」にステージが1つ上がったようだった。
4年生になってからは、友巴ちゃんは大学の授業もほとんどなく、京都で欧米人を相手に有料観光ガイドをした。美しいジャパニーズガールが案内してくれるということでたいへん好評であった。ちなみに京都にいる時は俺の下宿先で寝泊まりしていたが、ボロアパートで壁が薄いため、2人ともずいぶんと気をつかったものだ。
帆乃花ちゃんとは同じ大学の同じ学部ではあったが、俺は経営学を中心に、帆乃花ちゃんはマーケティングを中心に学ぶことを選んだためゼミは別々となった。
平凡な俺に比べ、帆乃花ちゃんは大学でもアイドル的な存在であったため、男どもが帆乃花ちゃんに寄ってきたが、キャンパスではなるべく帆乃花ちゃんと時間をともにすることで、彼氏がいるということを周囲に認識させた。
帆乃花ちゃんの下宿先は、あけみっちが紹介した女子専用のマンションであった。当然、俺は入ることができなかった。1回生の春、帆乃花ちゃん同伴でこそっと部屋に入ろうとしたところ帆乃花ちゃんの友人に見つかり、えらいことになった。それからは帆乃花ちゃんが俺の下宿先に泊まりに来るようになったが、あの声がうるさいと隣のメガネ女子に怒られた。
帆乃花ちゃんは京都らしいアルバイトがしたいと、すこぶる有名な神社で巫女さんのアルバイトをした。帆乃花ちゃんの巫女さん姿は凛々しく、帆乃花ちゃん目当てに参拝に来る人も多くいた。友巴ちゃんが外国人を案内する時は、巫女姿の帆乃花ちゃんのところにも寄ったため、友巴ちゃんと帆乃花ちゃんのツーショット写真が、欧米人のSNSに拡散され、海外のメディアから取材されたほどだ。
サッチは上京してすぐに地下アイドルグループのメンバーとして活躍し始めた。ファン第1号は、なんと木下だ。東京に行った同級生たちは結束が強く、一緒に過ごす時間が多いと帆乃花ちゃんがサッチから聞いたそうだ。サッチは胸の大きさで売れることを嫌い、服装に気をつかっていたそうだが、持ち前の明るさで胸の大きさなど関係なく人気地下アイドルとして巷で有名となった。ただ、勉強の方は全くしておらず、単位がやばいと木下がLINEでもらしていた。
ちなみにサッチは大学3年の時、ミスコンに出場し、聴衆者の投票による特別賞をもらった。サッチはLINEで俺に文句を言っていたが、各大学のミスは才色兼備な女子が選ばれる。勉強がからっきしのサッチが選ばれないのは当然だ。本人には言わなかったが。
女子たちはそれぞれ充実した大学生活を送ったが、俺はいたって普通の生活をしていた。大学で勉強し、空いた時間はアルバイト。たまの休みは自転車で京都の街をぶらぶらと散策という具合であった。
ただ、あけみっちからは、大学の成績が5段階評価でAかBでないと会社に入れないと言われていたため真面目に経営学について学んだ。他の連中が就職活動で一生懸命な時に学業に励んでいたわけだ。どっちが楽かというとおそらく就職活動の方だっただろう。
まあおかげで俺も3回生のうちにほとんど単位が取れていたため、4回生ではさらにアルバイトざんまいであった。
そのアルバイトで稼いだお金は、友巴ちゃんと帆乃花ちゃんとのイギリス旅行に充てた。イギリスでは友巴ちゃんのホームステイ先にも寄り歓迎された。紳士的な家庭で、父母と俺たちと同じくらいの歳の一人娘ルナという家族構成で安心した。
ルナは「日本のアニメ好き」と友巴ちゃんから聞いていたので日本でアニメグッズをたくさん購入しプレゼントしたところ大いに喜ばれた。日本に絶対に行くと俺たちに宣言し別れた。
大学は無事、成績優良で卒業できた。ほとんどがA、少しBが混じったくらいであった。
大学の卒業式は高校ほど感動や寂しさはなくあっさりと終わった。心残りはもう少し京都を満喫しておけば良かったということだけだ。
そしてまた桜の季節がやってきた。
社会人一年目の春だ。
旅立つ友巴ちゃんも、見送る帆乃花ちゃん、サッチも笑顔であったが、俺は作り笑顔に涙目であった。
結局、友巴ちゃんが留学を終え、日本に帰国したのは大学3年生になってからだ。
それまでは年に1回帰省しただけであった。イギリスからだとそうそう頻繁に帰って来られるものではない。
帰国した時の友巴ちゃんの髪色は金色に近いダークブロンドであったため少々驚いたが、黒髪よりも大人びていて似合っていた。「可愛い」から「美しい」にステージが1つ上がったようだった。
4年生になってからは、友巴ちゃんは大学の授業もほとんどなく、京都で欧米人を相手に有料観光ガイドをした。美しいジャパニーズガールが案内してくれるということでたいへん好評であった。ちなみに京都にいる時は俺の下宿先で寝泊まりしていたが、ボロアパートで壁が薄いため、2人ともずいぶんと気をつかったものだ。
帆乃花ちゃんとは同じ大学の同じ学部ではあったが、俺は経営学を中心に、帆乃花ちゃんはマーケティングを中心に学ぶことを選んだためゼミは別々となった。
平凡な俺に比べ、帆乃花ちゃんは大学でもアイドル的な存在であったため、男どもが帆乃花ちゃんに寄ってきたが、キャンパスではなるべく帆乃花ちゃんと時間をともにすることで、彼氏がいるということを周囲に認識させた。
帆乃花ちゃんの下宿先は、あけみっちが紹介した女子専用のマンションであった。当然、俺は入ることができなかった。1回生の春、帆乃花ちゃん同伴でこそっと部屋に入ろうとしたところ帆乃花ちゃんの友人に見つかり、えらいことになった。それからは帆乃花ちゃんが俺の下宿先に泊まりに来るようになったが、あの声がうるさいと隣のメガネ女子に怒られた。
帆乃花ちゃんは京都らしいアルバイトがしたいと、すこぶる有名な神社で巫女さんのアルバイトをした。帆乃花ちゃんの巫女さん姿は凛々しく、帆乃花ちゃん目当てに参拝に来る人も多くいた。友巴ちゃんが外国人を案内する時は、巫女姿の帆乃花ちゃんのところにも寄ったため、友巴ちゃんと帆乃花ちゃんのツーショット写真が、欧米人のSNSに拡散され、海外のメディアから取材されたほどだ。
サッチは上京してすぐに地下アイドルグループのメンバーとして活躍し始めた。ファン第1号は、なんと木下だ。東京に行った同級生たちは結束が強く、一緒に過ごす時間が多いと帆乃花ちゃんがサッチから聞いたそうだ。サッチは胸の大きさで売れることを嫌い、服装に気をつかっていたそうだが、持ち前の明るさで胸の大きさなど関係なく人気地下アイドルとして巷で有名となった。ただ、勉強の方は全くしておらず、単位がやばいと木下がLINEでもらしていた。
ちなみにサッチは大学3年の時、ミスコンに出場し、聴衆者の投票による特別賞をもらった。サッチはLINEで俺に文句を言っていたが、各大学のミスは才色兼備な女子が選ばれる。勉強がからっきしのサッチが選ばれないのは当然だ。本人には言わなかったが。
女子たちはそれぞれ充実した大学生活を送ったが、俺はいたって普通の生活をしていた。大学で勉強し、空いた時間はアルバイト。たまの休みは自転車で京都の街をぶらぶらと散策という具合であった。
ただ、あけみっちからは、大学の成績が5段階評価でAかBでないと会社に入れないと言われていたため真面目に経営学について学んだ。他の連中が就職活動で一生懸命な時に学業に励んでいたわけだ。どっちが楽かというとおそらく就職活動の方だっただろう。
まあおかげで俺も3回生のうちにほとんど単位が取れていたため、4回生ではさらにアルバイトざんまいであった。
そのアルバイトで稼いだお金は、友巴ちゃんと帆乃花ちゃんとのイギリス旅行に充てた。イギリスでは友巴ちゃんのホームステイ先にも寄り歓迎された。紳士的な家庭で、父母と俺たちと同じくらいの歳の一人娘ルナという家族構成で安心した。
ルナは「日本のアニメ好き」と友巴ちゃんから聞いていたので日本でアニメグッズをたくさん購入しプレゼントしたところ大いに喜ばれた。日本に絶対に行くと俺たちに宣言し別れた。
大学は無事、成績優良で卒業できた。ほとんどがA、少しBが混じったくらいであった。
大学の卒業式は高校ほど感動や寂しさはなくあっさりと終わった。心残りはもう少し京都を満喫しておけば良かったということだけだ。
そしてまた桜の季節がやってきた。
社会人一年目の春だ。
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