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三年生編
合宿再 8
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「じゃあ、シュウゴ。頑張って」
「よろしくね、シュウゴくん」
「シュウゴくん、ごめんね」
女子3人が口々に俺に挨拶しタクシーに乗り込む。
俺はあけみっちとともに別荘の玄関先で女子たちを見送った。
女子たちはレストランで豪華弁当を受け取り、そのまま帰るのだ。
俺はと言うと、今朝、あけみっちに別荘の掃除を頼まれ一人残ることになった。
女子たちをあまり遅くに帰らせるのはいけないということだが、俺だけ残った理由は、おそらく掃除後のサブスクだ。あけみっちもそれを楽しみにしているに違いない。昨日の友巴ちゃんに続いてあけみっちも美味しくいただきます。
「さあ梅谷くん。まずはお風呂を掃除してくれるかしら?」
「OK。そのあとは?」
「そのあとは……、みんなが使った部屋の掃除ね」
「で、そのあとは……?」
「トイレ掃除もしてくれる?」
「……。わかった」
サブスクは、ひととおりの掃除が終わってからということだろう。
「ごめんね。ハウスクリーニングをいつもなら呼ぶんだけど、今回はそこまで掃除する必要ないから」
「どうして?」
「ん? カナミたちが夕方からここを使うからよ。実の妹だし、別にたいして気をつかわなくてもいいでしょ。同伴者はタカシだけだし。とは言え、ある程度は綺麗にしとかないとね」
夕方に来るって掃除する時間しかないじゃん……。
「あら、どうかした?そんな肩を落として」
「……サブスクが」
「あー、サブスク。今度また私のマンションでね。さあ、あまり時間がないから掃除しましょ。私はリビングとキッチンを掃除するから」
本当に掃除だけをやらされて帰ることになりそうだ……。
Tシャツにトランクス1枚になり風呂掃除をしたあと、各部屋の掃除に取り掛かる。
「うわー、何ちゅう部屋だ」
思わず口からそう出たのは、サッチの部屋の扉を開けた時だ。
布団がベッドから半分ずり落ちている。ゴミは床には落ちてはいないものの、お菓子の食べカスらしいものがじカーペットに点々と落ちている。
思わずため息が出た。
さっさと掃除して帆乃花ちゃんの部屋に移ろう。俺は好きなものは後に残しておくタイプなのだ。
サッチの部屋の次は友巴ちゃんの部屋だ。
友巴ちゃんの部屋は俺も昨晩一緒に使っていたので、楽しみはない。
掃除を済ますと帆乃花ちゃんの部屋に移りベッドに寝転がった。これがささやかな楽しみだったのだ。
あー、まだ帆乃花ちゃんの香りが残ってる。
「梅谷くん、どう? あと30分でカナミたち着くって」
あけみっちの声が、下から聞こえてきた。
あーあ、もう少し帆乃花ちゃんの香りを楽しみたかったのに。
重い身体を起こし、掃除に再び取りかかった。
トイレ掃除をしていると玄関方向から声がした。
カナミさんだ。
出迎えに行くのも変だし、そのまま掃除を続けた。
「梅谷くん、ありがとう。もう大丈夫よ」
あけみっちが俺のところにきてそう言った。
あけみっちとリビングに行くと、カナミさんとダンディ髭面タカシがソファに座っていた。
「なにお姉ちゃん。男子学生連れ込んでたの? 学校辞めたからってダメじゃん」
「さっきまで女子たちもいたわよ。あなたたちが来るから梅谷くんには掃除をお願いしたの。全くもう人聞きが悪い」
実際にマンションには連れ込まれていますが……。
「あー、ごめんごめん。冗談よ、お姉ちゃん。君、ありがとね。掃除してくれて助かったわ。お店がなかなか空けられなくて急遽今日になっちゃった」
「まあいいわ。梅谷くん、ありがとう。電車がなくなっちゃうからもう帰っていいわよ」
「俺が送って行くよ」
そう言ったのは髭ダンディだ。
「あー、そうしてくれる?タクシー呼ぶより早いから。梅谷くん、荷物持ってきなさい」
俺は何か言う間もなく髭ダンディの車に乗せられた。
駅までは車で約20分かかる。どんな話をして間を持たそうかと思ったが、髭ダンディが、退屈しないように話を振ってくれた。時折り、笑える話も織り交ぜてくる。こういう所も大人なのだ。
そんなこんなで駅のロータリーに着いた。
俺が車から降りると髭ダンディも降りてきた。
「あけみのことだが……」
髭ダンディは、義姉のことを呼び捨てにしているようだ。まあ歳は髭ダンディの方が上だからそんなものか。
「君といる時は表情が明るいんだ。これからもよろしく頼むな」
そう言い、俺の背中をバンっと叩いた。
「は、はい。頑張ります」
「じゃあ気をつけてな。掃除のお礼に今度うちの店で無料でカットしてやるから必ず来いよ」
そう言い髭ダンディは去っていった。
俺といる時はあけみっちの表情が明るい。それは嬉しいことだが、反対に言うと俺といない時は表情が暗いと言うことか。あけみっち、そんなに仕事が大変なのだろうか……。
「よろしくね、シュウゴくん」
「シュウゴくん、ごめんね」
女子3人が口々に俺に挨拶しタクシーに乗り込む。
俺はあけみっちとともに別荘の玄関先で女子たちを見送った。
女子たちはレストランで豪華弁当を受け取り、そのまま帰るのだ。
俺はと言うと、今朝、あけみっちに別荘の掃除を頼まれ一人残ることになった。
女子たちをあまり遅くに帰らせるのはいけないということだが、俺だけ残った理由は、おそらく掃除後のサブスクだ。あけみっちもそれを楽しみにしているに違いない。昨日の友巴ちゃんに続いてあけみっちも美味しくいただきます。
「さあ梅谷くん。まずはお風呂を掃除してくれるかしら?」
「OK。そのあとは?」
「そのあとは……、みんなが使った部屋の掃除ね」
「で、そのあとは……?」
「トイレ掃除もしてくれる?」
「……。わかった」
サブスクは、ひととおりの掃除が終わってからということだろう。
「ごめんね。ハウスクリーニングをいつもなら呼ぶんだけど、今回はそこまで掃除する必要ないから」
「どうして?」
「ん? カナミたちが夕方からここを使うからよ。実の妹だし、別にたいして気をつかわなくてもいいでしょ。同伴者はタカシだけだし。とは言え、ある程度は綺麗にしとかないとね」
夕方に来るって掃除する時間しかないじゃん……。
「あら、どうかした?そんな肩を落として」
「……サブスクが」
「あー、サブスク。今度また私のマンションでね。さあ、あまり時間がないから掃除しましょ。私はリビングとキッチンを掃除するから」
本当に掃除だけをやらされて帰ることになりそうだ……。
Tシャツにトランクス1枚になり風呂掃除をしたあと、各部屋の掃除に取り掛かる。
「うわー、何ちゅう部屋だ」
思わず口からそう出たのは、サッチの部屋の扉を開けた時だ。
布団がベッドから半分ずり落ちている。ゴミは床には落ちてはいないものの、お菓子の食べカスらしいものがじカーペットに点々と落ちている。
思わずため息が出た。
さっさと掃除して帆乃花ちゃんの部屋に移ろう。俺は好きなものは後に残しておくタイプなのだ。
サッチの部屋の次は友巴ちゃんの部屋だ。
友巴ちゃんの部屋は俺も昨晩一緒に使っていたので、楽しみはない。
掃除を済ますと帆乃花ちゃんの部屋に移りベッドに寝転がった。これがささやかな楽しみだったのだ。
あー、まだ帆乃花ちゃんの香りが残ってる。
「梅谷くん、どう? あと30分でカナミたち着くって」
あけみっちの声が、下から聞こえてきた。
あーあ、もう少し帆乃花ちゃんの香りを楽しみたかったのに。
重い身体を起こし、掃除に再び取りかかった。
トイレ掃除をしていると玄関方向から声がした。
カナミさんだ。
出迎えに行くのも変だし、そのまま掃除を続けた。
「梅谷くん、ありがとう。もう大丈夫よ」
あけみっちが俺のところにきてそう言った。
あけみっちとリビングに行くと、カナミさんとダンディ髭面タカシがソファに座っていた。
「なにお姉ちゃん。男子学生連れ込んでたの? 学校辞めたからってダメじゃん」
「さっきまで女子たちもいたわよ。あなたたちが来るから梅谷くんには掃除をお願いしたの。全くもう人聞きが悪い」
実際にマンションには連れ込まれていますが……。
「あー、ごめんごめん。冗談よ、お姉ちゃん。君、ありがとね。掃除してくれて助かったわ。お店がなかなか空けられなくて急遽今日になっちゃった」
「まあいいわ。梅谷くん、ありがとう。電車がなくなっちゃうからもう帰っていいわよ」
「俺が送って行くよ」
そう言ったのは髭ダンディだ。
「あー、そうしてくれる?タクシー呼ぶより早いから。梅谷くん、荷物持ってきなさい」
俺は何か言う間もなく髭ダンディの車に乗せられた。
駅までは車で約20分かかる。どんな話をして間を持たそうかと思ったが、髭ダンディが、退屈しないように話を振ってくれた。時折り、笑える話も織り交ぜてくる。こういう所も大人なのだ。
そんなこんなで駅のロータリーに着いた。
俺が車から降りると髭ダンディも降りてきた。
「あけみのことだが……」
髭ダンディは、義姉のことを呼び捨てにしているようだ。まあ歳は髭ダンディの方が上だからそんなものか。
「君といる時は表情が明るいんだ。これからもよろしく頼むな」
そう言い、俺の背中をバンっと叩いた。
「は、はい。頑張ります」
「じゃあ気をつけてな。掃除のお礼に今度うちの店で無料でカットしてやるから必ず来いよ」
そう言い髭ダンディは去っていった。
俺といる時はあけみっちの表情が明るい。それは嬉しいことだが、反対に言うと俺といない時は表情が暗いと言うことか。あけみっち、そんなに仕事が大変なのだろうか……。
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