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ミツハナ脱退編
それぞれのクリスマス
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二学期終了後、クリスマスイブ、クリスマス当日は補講などはない。三年生は補講ざんまいらしいので、高校生活の中でクリスマスを楽しむのは今年が最後だ。
クラスメイトたちがどんなクリスマスを過ごそうが全く興味はないが、今回はどうしても耳に入ってくる。
2年A組でクリスマスにパーティーをすることになったのだ。主催はあけみっちで、会場もあけみっちのマンション。あのマンションの高層階にはパーティールームもあり、マンションの住民が予約をした上で利用できるようだ。
クリスマスの日なんて利用の予約が殺到しそうだが、早くからパーティーを想定してあけみっちが予約したのか、オーナー特典でこの日は毎年貸切なのかわからない。
パーティーには、ダンディヒゲ面タカシと、あけみっちの妹のカナミさんも参加して、男女問わずヘアーアレンジやメイクの仕方を教えてくれる。これがあけみっちからみんなへのクリスマスプレゼントだそうだ。
もっともカナミさんの店を閉めてから合流のため、時間的に全員を変身させられるわけではない。一時間程度、モデルとなる生徒を使って手本を示してくれるらしい。
藤木さんの華麗なる変身を目の当たりにあしているため、女子のほとんどが参加することになった。
それにつられてか明るい小太り男子をはじめ男子の多くも参加するようだ。
俺、帆乃花ちゃん、友巴ちゃんは三人で過ごすので、当然このクリスマスパーティーには参加しない。
ヒデキと藤木さんも二人でデートするそうだ。
そしてサッチは……。
終業式が終わり、体育館から教室に戻る途中でサッチを呼び止めた。昨日はサッチを怒らせてしまったので、声をかけづらかったが、心配は心配である。
「なあ、サッチはクリスマス、どうするんだ?」
「私? クリスマスパーティーに参加するよ」
もう昨日の怒りは鎮まったようだ。
「帆乃花ちゃんのお兄さんと一緒じゃないのか?」
「違うよ。ユウちゃん、クリスマスイブから彼女とお泊まりデートだって」
「そっか」
「まあ、そんなことわかってたから何とも思ってないけど」
「で、クリスマスはどうするんだ?」
「んー、どうしようかな。シュウゴとお泊まりデートかな」
「俺は……」
「ははっ、冗談。あけみっちに、どうしてもって言われて、クリスマスパーティーに行くよ」
おそらく、あけみっちはサッチのことを心配してそう言ったのだろう。
「あけみっちは私がいないとダメだからね。ということでシュウゴとデートはまた今度」
「じゃあ、あけみっちのことはサッチに任せるわ。パーティーを盛り上げるにはやっぱりサッチがいないといかん」
「はは、了解。あー、でもいいなホノカとトモハ」
「サッチは、サッチだけを見てくれるイケメンつかまえろ。同じ歳のな。いや意外と年下の男子もいいかもしれんぞ」
「そうだね。じゃ」
サッチはそう言うと、女子たちの群れに紛れて行った。
「シュウゴ。須藤と何話してたんだ? 須藤のやつ、ちょっと暗かったぞ」
ヒデキが背後から声をかけてきた。
「ん? あけみっちのクリスマスパーティーに行くかどうか聞いてただけだ。それよりも、ヒデキ。あの件よろしくな」
「クリスマスイブは俺と一晩中カラオケするっていうアリバイ工作だろ。任せとけ。あー、やっぱりお前にお泊まりデート、先越されたわ」
「ヒデキの方が先だろ」
「俺は夜行バスに一緒に乗っただけだ。お前はクラス、いや学校の激カワ四天王のうち二人と、ちゃんとしたお泊まりデートだもんな」
「まだ二人が泊まるとは聞いてない。万が一ということでヒデキの名前を借りるだけだ。たぶん、夜には帰ってまた次の日に会うって感じだと思う」
「ふーん。面倒だな。って俺もそんな感じだ。まっ、高校でクリスマスを楽しめるのも今年だけだ。お互い良いクリスマスを過ごそうぜ」
クラスメイトたちがどんなクリスマスを過ごそうが全く興味はないが、今回はどうしても耳に入ってくる。
2年A組でクリスマスにパーティーをすることになったのだ。主催はあけみっちで、会場もあけみっちのマンション。あのマンションの高層階にはパーティールームもあり、マンションの住民が予約をした上で利用できるようだ。
クリスマスの日なんて利用の予約が殺到しそうだが、早くからパーティーを想定してあけみっちが予約したのか、オーナー特典でこの日は毎年貸切なのかわからない。
パーティーには、ダンディヒゲ面タカシと、あけみっちの妹のカナミさんも参加して、男女問わずヘアーアレンジやメイクの仕方を教えてくれる。これがあけみっちからみんなへのクリスマスプレゼントだそうだ。
もっともカナミさんの店を閉めてから合流のため、時間的に全員を変身させられるわけではない。一時間程度、モデルとなる生徒を使って手本を示してくれるらしい。
藤木さんの華麗なる変身を目の当たりにあしているため、女子のほとんどが参加することになった。
それにつられてか明るい小太り男子をはじめ男子の多くも参加するようだ。
俺、帆乃花ちゃん、友巴ちゃんは三人で過ごすので、当然このクリスマスパーティーには参加しない。
ヒデキと藤木さんも二人でデートするそうだ。
そしてサッチは……。
終業式が終わり、体育館から教室に戻る途中でサッチを呼び止めた。昨日はサッチを怒らせてしまったので、声をかけづらかったが、心配は心配である。
「なあ、サッチはクリスマス、どうするんだ?」
「私? クリスマスパーティーに参加するよ」
もう昨日の怒りは鎮まったようだ。
「帆乃花ちゃんのお兄さんと一緒じゃないのか?」
「違うよ。ユウちゃん、クリスマスイブから彼女とお泊まりデートだって」
「そっか」
「まあ、そんなことわかってたから何とも思ってないけど」
「で、クリスマスはどうするんだ?」
「んー、どうしようかな。シュウゴとお泊まりデートかな」
「俺は……」
「ははっ、冗談。あけみっちに、どうしてもって言われて、クリスマスパーティーに行くよ」
おそらく、あけみっちはサッチのことを心配してそう言ったのだろう。
「あけみっちは私がいないとダメだからね。ということでシュウゴとデートはまた今度」
「じゃあ、あけみっちのことはサッチに任せるわ。パーティーを盛り上げるにはやっぱりサッチがいないといかん」
「はは、了解。あー、でもいいなホノカとトモハ」
「サッチは、サッチだけを見てくれるイケメンつかまえろ。同じ歳のな。いや意外と年下の男子もいいかもしれんぞ」
「そうだね。じゃ」
サッチはそう言うと、女子たちの群れに紛れて行った。
「シュウゴ。須藤と何話してたんだ? 須藤のやつ、ちょっと暗かったぞ」
ヒデキが背後から声をかけてきた。
「ん? あけみっちのクリスマスパーティーに行くかどうか聞いてただけだ。それよりも、ヒデキ。あの件よろしくな」
「クリスマスイブは俺と一晩中カラオケするっていうアリバイ工作だろ。任せとけ。あー、やっぱりお前にお泊まりデート、先越されたわ」
「ヒデキの方が先だろ」
「俺は夜行バスに一緒に乗っただけだ。お前はクラス、いや学校の激カワ四天王のうち二人と、ちゃんとしたお泊まりデートだもんな」
「まだ二人が泊まるとは聞いてない。万が一ということでヒデキの名前を借りるだけだ。たぶん、夜には帰ってまた次の日に会うって感じだと思う」
「ふーん。面倒だな。って俺もそんな感じだ。まっ、高校でクリスマスを楽しめるのも今年だけだ。お互い良いクリスマスを過ごそうぜ」
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