席替えから始まる学園天国

空ー馬(くーま)

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ミツハナ脱退編

ナイスだ、あけみっち

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 翌朝、いつもの時期に教室に入ったが帆乃花ちゃんの姿はない。普段ならもう教室にいる時間なのだが……。

「シュウゴくん、おはようー」
「おはよう、友巴ちゃん」
「昨日は楽しかったね。特に映画が最高だったぁ。マイク様が夢に出てこないかなって思って寝たら……」
「出てきた?」
「出てきたよ、シュウゴくんが」
「俺? 何だかごめん」
「ははっ、何言ってるの。良い夢だったよ」
「なんか変なことしなかった?」
「してた、してた」
 
 もしかしてエッチなことを……。

「メロンにカレーかけてた」
「本当に変なことじゃん」

 友巴ちゃんとそんな話をしていても帆乃花ちゃんは現れず、チャイムがなった。

「あれ? ホノカちゃん休みかな?」
「どうだろう……」

 あけみっちとの話が長引いているのか。
 その時、ガラガラと前方のドアが開き、あけみっちが入ってきた。
 後ろのドアからは帆乃花ちゃんも。
 顔を見たが、泣いたような感じではない。かと言って嬉しそうでもない。

「ホノカちゃん、体調悪いの?」

 友巴ちゃんが帆乃花ちゃんに尋ねた。

「体調悪いなら俺が保健室に連れて行くぜ」
 
 明るい小太り男子が隣の帆乃花ちゃんに声をかけた。
 お前は黙っとれ。

「ダメに決まってるじゃん。私が連れてく」
 
 そうだ、そうだ。友巴ちゃんに任せろ。って帆乃花ちゃんは体調が悪いわけではないと思う。

「ありがとう。でも私、元気だから大丈夫。後で話すね」

 そう言い帆乃花ちゃんは前を向いた。

「えー! 家出!?」

 ここは例のファストフード店内だ。
 一番奥の席と言えども友巴ちゃん、声が大きいよ。そりゃまあ驚くのも無理はないけれども。

「そうなの。両親とかといろいろあってね」
「いろいろ?」
「うん。進路のこととかね」
「そうなんだ。うちなんか、私には全く無関心だから、良いのか悪いのか……。で、家出って、昨日どこに泊まったの?」
「ココアのマンション」
「えー、私もお泊まりしたかった」
「広いベッドで一人で寝ると寂しいってわかったよ。でもココアマンションは一泊だけ」
「そうなんだ。帆乃花ちゃん、今日は家に帰るんだ」
「ううん。しばらくあけみっちのマンションに泊めてもらう」
「え? あけみっちの?」

 思わず声が出た。

「うん。あけみっちが言うには、頭を冷やしてから家に帰ってこいって親が言ってるんだって。頭を冷やすのはそっちなのに。今日、もう一回あけみっちが親に電話かけてくれるんだけど、とりあえずあけみっちの所にいれば親も安心するし」

 なんだかんだ言って、帆乃花ちゃんも親に心配はかけたくないのだろう。

「そう言えばあけみっち、今日、泊まった時に何か教えてくれるって。私のためじゃなくて、シュウゴくんのために。どういうこと?」
「ん? んーん……どういうことかなあ」
「私もシュウゴくんのためになること教えてもらいたい。ホノカちゃん、あけみっちに教えてもらったら私に教えて」
「うん。よくわからないけど」
「ありがとう。よくわからないけど」

 そう言い二人が笑った。
 おそらく、あけみっちが帆乃花ちゃんに教えようとしてるのは、俺が気持ち良くなるキスと俺のアソコが気持ち良くなるテクニックだろう。
 帆乃花ちゃんに今まで以上に気持ち良くしてもらえるなんて幸せの極みだ。ナイスあけみっち!

 翌朝、教室に一番乗りして帆乃花ちゃんを待っていると、帆乃花ちゃんが二番乗りで入ってきた。あけみっちと一緒に登校するなら遅くとも始業三十分前に教室に来ると思ったが、それが的中した。
 俺の顔を見た帆乃花ちゃんは赤面した。約束どおり、早速テクニックを教えたのだな、あけみっち。

「おはよう、帆乃花ちゃん」
「うん」
「どうかした?」
「なんでもないよ」
「そっか。それでどうなりそう?」
「ど、どうって……その……」
「進路の話したんじゃないの?」
「しんろ? あー、進路ね。それがあけみっちが説得してくれて、京都の大学でも大丈夫になった」

 すごいな、あけみっち。

「でも条件としてあけみっちが提案したのが、角倉グループ所有の女性専用マンションに住むことなの。だからシュウゴくんと同棲はできないね」
「そっか……」

 まあ俺の部屋に帆乃花ちゃんがしょっちゅうくれば同棲みたいなものだろう。
 ってその前に京都の大学に合格しないといけないけど。

「ということで今日、家に帰ります。ご心配おかけしました」
「うん。とりあえず良かった。でも今度は友巴ちゃんが家出するって言いそうだね」
 
 そう言い帆乃花ちゃんと一緒に笑った。

「で、あけみっちに教わったことしてみてよ」
「やだ、ここじゃあできないよ」
「それなら、何を教わったのかだけ教えて」
「もう、恥ずかしい……」
「恥ずかしいことなの? 教室に誰もいないよ」
「ダメ。クリスマスまで待って」
 
 そうだ。もうあっという間にクリスマスだ。俺のキスと胸揉みテクニックもクリスマスまでとっておこう。
 うーん、クリスマスが今から楽しみだ。
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