席替えから始まる学園天国

空ー馬(くーま)

文字の大きさ
上 下
54 / 118
ミツハナ脱退編

イケメン登場!その正体は?

しおりを挟む
「赤い羽根共同募金へのご協力、お願いしまーす!」
 
 大きな声で募金を呼びかけるのは意外にも友巴ちゃんだ。
 俺やヒデキよりも声が出ている。
 声の大きさでは女子に負けていられないが、募金額は張り合う前から完敗が決まっている。
 そりゃ可愛い女子高生が笑顔で呼びかければ大抵の男はイチコロである。
 対面にいる女子四人の募金箱はみるみる重くなるが、こちら側の俺とヒデキの箱は風が吹けば飛んでいってしまうほど軽い。あけみっちが俺たちの側にいるが、保護者的についているだけで、呼びかけはしないため、その美貌はほとんど役に立っていない。
 俺が普通の顔ではなくイケメンだったら、通りすがりの女子たちが寄ってくるのだろうか?
 狙いをファミリー層にして、作り笑顔で募金を呼びかけていると、女子たちの向こう側から、大学生と思われるイケメンが近づいてきた。背がおよそ180センチ、チョコレート色の髪に爽やかな笑顔。これで服装がダサければまだいいが、センスのない俺が見ても、オシャレな着こなしをしている。簡単に言うと完璧な外見だ。

「よう、ホノカ。頑張ってるな」
 
 イケメンが帆乃花ちゃんの背後から声をかけた。
 
 おいおい、気安く帆乃花ちゃんに声をかけるなよ。帆乃花ちゃんの知り合いか?
 
 帆乃花ちゃんは声を出していて気づかない。先に気づいたのは、友巴ちゃんだ。

「ちょっと、ホノカちゃん。呼ばれてるよ。イケメンに」
 
 そのまま無視でいいよ。
 という俺の願望にも関わらず、帆乃花ちゃんは後ろを向いた。

「お、お兄ちゃん。本当に来たの?」

 え!? 帆乃花ちゃんのお兄様?

「さや香ちゃん、お久しぶり」
 
 お兄様は帆乃花ちゃんの隣のサッチにも声をかけた。

「誰かと思ったらユウちゃんじゃん。ますますイケメンになって、ますます惚れちゃうわ。彼女いるの?」
 
 募金の声がけなど忘れ、サッチはお兄様に夢中になる。サッチだけでない。友巴ちゃんも藤木さんも目が釘付けだ。

「おいおい。藤木のやつ、目がハートになってやしないか?」
 
 ヒデキがつぶやく。

「帆乃花。今日、担任の先生がいるって言ってたよな。あの人が担任だろ。話のとおりの美人先生だな」

「……そう。角倉先生。通称あけみっち」
 
 お兄様はこちらに向かってきて、あけみっちに声をかけた。

「佐原です。妹がお世話になっています」
 
 そう言い頭を下げた。

「担任の角倉です。こちらこそ佐原さんにはクラスの女子をまとめてもらっていて助かっています」
 
 頭を上げたお兄様が笑顔を見せた。
 
 きゃー
 って俺も声を出しそうだ。
 
 女子たちが募金活動も忘れこちらに寄ってきた。

「ねえユウちゃん。ユウちゃんってN大学医学部でしょ。頭いいんだし私たちの家庭教師やってよ」
 
 サッチは自分の募金箱を俺の募金箱の上に載せ、お兄様の腕に絡む。サッチの豊満な胸が腕に当たったところで、お兄様くらいのイケメンはどうってことがないらしい。

「うーん、数学くらいしか教えられないよ」

「それで十分だよ」

「私も教えてください」

「私も」
 
 なんと友巴ちゃんや藤木さんまでも、お兄様に勉強を教えてほしいと懇願した。

「そりゃ場所を用意してくれたら時間がある時にみんなまとめて教えてあげられないこともないけど」

「残念ながらそんな場所、ないですもんね」
 
 ヒデキが口を挟む。
 いくら帆乃花ちゃんのお兄様でも、友巴ちゃんの気持ちが俺ではない別の男に傾くのは避けたい。
 俺もヒデキに続く。

「サッチの家は近所だろ。サッチだけ教えてもらえば」

「うちのマンション使って良いわよ。駅近だし。みんな集まれるでしょ」
 
 おい、あけみっちー!
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

アイドルグループの裏の顔 新人アイドルの洗礼

甲乙夫
恋愛
清純な新人アイドルが、先輩アイドルから、強引に性的な責めを受ける話です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

体育座りでスカートを汚してしまったあの日々

yoshieeesan
現代文学
学生時代にやたらとさせられた体育座りですが、女性からすると服が汚れた嫌な思い出が多いです。そういった短編小説を書いていきます。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

Missing you

廣瀬純一
青春
突然消えた彼女を探しに山口県に訪れた伊東達也が自転車で県内の各市を巡り様々な体験や不思議な体験をする話

可愛すぎるクラスメイトがやたら俺の部屋を訪れる件 ~事故から助けたボクっ娘が存在感空気な俺に熱い視線を送ってきている~

蒼田
青春
 人よりも十倍以上存在感が薄い高校一年生、宇治原簾 (うじはられん)は、ある日買い物へ行く。  目的のプリンを買った夜の帰り道、簾はクラスメイトの人気者、重原愛莉 (えはらあいり)を見つける。  しかしいつも教室でみる活発な表情はなくどんよりとしていた。只事ではないと目線で追っていると彼女が信号に差し掛かり、トラックに引かれそうな所を簾が助ける。  事故から助けることで始まる活発少女との関係。  愛莉が簾の家にあがり看病したり、勉強したり、時には二人でデートに行ったりと。  愛莉は簾の事が好きで、廉も愛莉のことを気にし始める。  故障で陸上が出来なくなった愛莉は目標新たにし、簾はそんな彼女を補佐し自分の目標を見つけるお話。 *本作はフィクションです。実在する人物・団体・組織名等とは関係ございません。

処理中です...