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ミツハナ脱退編
ミツハナの現状
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水曜日の帰りだ。
部活を休んだヒデキにファストフード店に引っ張り込まれた。
「なんだよ、ヒデキ」
店内の一番奥のボックス席に入ると、ヒデキが小さな声を出した。
「まあいいから座って俺の話を聞け」
藤木さんと何かあったのか?
「ズバリ聞くが、ミツハナって知ってるよな」
ついにヒデキもその存在を知ったか。
「ん? なんだその、ミツハナ? ってやつ」
「ごまかすな。須藤から聞いた。お前がミツハナに所属していたのを」
サッチのやつ、言ったらダメだろ。
「あ、あー、あけみっちの会のことか」
「そうだ。昨日、藤木に呼ばれて、須藤も一緒にあけみっちのマンションに行った」
「それで?」
「それでって、ほとんど記憶にないけど、どうやら俺は藤木の初めての男になったらしい」
そして藤木さんはヒデキの初めての女になったのか。
「どこまで記憶があるんだ?」
「んんー、たしか甘い香りがする部屋で、あけみっちが出してくれたドリンクを飲んで……。そうしてるうちに何故か藤木と須藤がキスをし始めてお互いに服を脱がし……。そこまでぐらいが記憶があるが夢だったのか? 気がつくと、裸で寝ている藤木がいて、少量の血が股についていた」
「あけみっちは?」
「あけみっちのことなんていいだろ。俺や藤木が意識を完全に取り戻した頃に、部屋に戻ってきただけだ」
「裸で?」
「はあ? あけみっちが裸のわけないだろ。学校にいる時と同じだ。須藤は下着姿だったけどな。 普通なら須藤の下着姿に興奮するんだろうけど、目の前に裸の藤木が寝ていたら……」
そうか。あけみっちは、脱がなかったのか。
「なあ、昨日の出来事はなんだったのか説明してくれ。お前、ミツハナが何んだか知ってるだろ」
うーん。どう説明したら良いか……。
「ミツハナは秘密の花園クラブの略だ」
俺はヒデキに少し顔を近づけ、小声で説明を始めた。
「秘密の花園クラブ?」
「そう。そこでは特定の男女たちが、まあ一言で言うとイチャイチャする秘密クラブだ」
「男女たちが? 男は俺しか昨日はいなかったし、あけみっちに俺が参加するのは最初で最後と言われたぞ。お前のほかに男子がいるのか?」
最初で最後?
どうやらヒデキは、藤木さんの処女卒業のためだけに呼ばれたようだ。
「俺はもうやめたし、ほかに男子はいない。これからも呼ばないと思うぞ」
あとはあけみっちとサッチと藤木さん、それにコンシェルジュのシズカさんで活動をしていくのだろう。
「お前も誰かとやったのか?」
「してない、してない」
慌てて否定した。
本当は四人としましたけど。
友巴ちゃんや帆乃花ちゃんの名誉のため、明日、サッチには口止めしておかなければ。
「そうか。まあ、お前のことは置いておいて、今日の朝、おはようと小さな声で言ったきり藤木が目を合わせてくれないんだよ。俺、昨日、やばいことしちゃったかも」
「それは照れだな。恥ずかしくて顔が合わせられないだけだ」
その時だ。
「北川くん」
サッチがボックス席のパーティションから顔を見せた。
後ろに藤木さんもいる。
どうやら二人とも、今来たところっぽい。
「藤木さんが話をしたいって。ほら、シュウゴ、おじゃまでしょ」
俺はサッチに腕をつかまれ引っ張り出された。
ヒデキたちと離れた所で「座って」と言われ、素直に従った。
「シュウゴ。北川くんから昨日のミツハナのこと、聞いた?」
「聞いたけど」
「藤木さんの処女卒業ため北川くんを呼んだの。お互い好き同士だし、私とあけみっちとしても、藤木さんに処女卒業してほしかったから場を提供したというわけ」
二人とも藤木さんにいろいろと仕込みたいのね。藤木さん、だいぶ可愛くなったしな。
だが、それにしてもだ。
「別にミツハナでなくても……」
「そうなんだけど、昨日は北川くんの試験でもあったの」
「試験?」
「うん。でも、シュウゴは合格、北川くんは不合格」
「なんで?」
「んー、わかんない。試験官、あけみっちだもん。結局、あけみっちは服すら脱がなかったし、私も下着までと言われてたし。ちなみに二人がしてるところ、あけみっちは見てないよ」
「あけみっちはって、サッチ、お前は見てたんかい」
「うん。北川くんが暴走しないようにね。コンドームも私が渡したよ。北川くん覚えてないだろうけど。ちなみにシュウゴの方が大きかったよ、ふふっ」
「あ、あほか。それよりもサッチ、俺がミツハナにいたことヒデキに言っただろ。帆乃花ちゃんや友巴ちゃんがいたことは内緒だぞ」
「えー、なんで?」
「他の男子に知られたら二人が傷つくだろ」
「んん、まあそうね」
「それに秘密だからミツハナなんだろ。合宿のことも内緒だぞ。バラしたらサッチ、消されるぞ」
「消される? はは、なにそれ。まあいいや。シュウゴは私とだけ、めっちゃ濃いエッチしてたって言っとく」
「おい、それもやめろ」
「はは、冗談。悪の組織に消されないように黙っておく」
じゃあと言ってサッチは去っていったが不安でいっぱいだ……。
翌日。ヒデキと藤木さんは、普通に会話するくらいまでになっていた。
ヒデキが友巴ちゃん、帆乃花ちゃんを見る目に変化ないところを見ると、サッチはミツハナについて詳しく説明していないようだ。
いつもの朝のようにあけみっちは教壇に立つと教室全体をさっと見回し、ニコリと笑ったあとこちらを向いた。何かある。
「みんな、おはよう。今日はみんなにお願いがあってね。赤い羽根の共同募金を駅前でするんだけど、参加してくれる人いるかな?」
もうすでに、クラス内で俺はボランティア精神にあふれる奴、または内申のための偽善者だと思われているだろう。
それでも手を挙げないといけない。
ヒデキがあけみっちとしてしまえば、この役がヒデキに回るとも思ったが、それもなんだか嫌だ。
俺がスーッと手を挙げると、友巴ちゃんと帆乃花ちゃんも手を挙げてくれた。
驚くことに、「はい」っとサッチも挙げた。加えて藤木さんもだ。ということはもう一人、もれなく手を挙げるはず。
「俺も」
やっぱりヒデキも手を挙げた。
「手を挙げてくれたみんなありがとう。私も参加するから、今度の土曜日、お願いね」
オールキャストでおおくりする募金活動ですね。
しかし、土曜日かあ。せっかくのココアご褒美がつぶれっちまうな……。
部活を休んだヒデキにファストフード店に引っ張り込まれた。
「なんだよ、ヒデキ」
店内の一番奥のボックス席に入ると、ヒデキが小さな声を出した。
「まあいいから座って俺の話を聞け」
藤木さんと何かあったのか?
「ズバリ聞くが、ミツハナって知ってるよな」
ついにヒデキもその存在を知ったか。
「ん? なんだその、ミツハナ? ってやつ」
「ごまかすな。須藤から聞いた。お前がミツハナに所属していたのを」
サッチのやつ、言ったらダメだろ。
「あ、あー、あけみっちの会のことか」
「そうだ。昨日、藤木に呼ばれて、須藤も一緒にあけみっちのマンションに行った」
「それで?」
「それでって、ほとんど記憶にないけど、どうやら俺は藤木の初めての男になったらしい」
そして藤木さんはヒデキの初めての女になったのか。
「どこまで記憶があるんだ?」
「んんー、たしか甘い香りがする部屋で、あけみっちが出してくれたドリンクを飲んで……。そうしてるうちに何故か藤木と須藤がキスをし始めてお互いに服を脱がし……。そこまでぐらいが記憶があるが夢だったのか? 気がつくと、裸で寝ている藤木がいて、少量の血が股についていた」
「あけみっちは?」
「あけみっちのことなんていいだろ。俺や藤木が意識を完全に取り戻した頃に、部屋に戻ってきただけだ」
「裸で?」
「はあ? あけみっちが裸のわけないだろ。学校にいる時と同じだ。須藤は下着姿だったけどな。 普通なら須藤の下着姿に興奮するんだろうけど、目の前に裸の藤木が寝ていたら……」
そうか。あけみっちは、脱がなかったのか。
「なあ、昨日の出来事はなんだったのか説明してくれ。お前、ミツハナが何んだか知ってるだろ」
うーん。どう説明したら良いか……。
「ミツハナは秘密の花園クラブの略だ」
俺はヒデキに少し顔を近づけ、小声で説明を始めた。
「秘密の花園クラブ?」
「そう。そこでは特定の男女たちが、まあ一言で言うとイチャイチャする秘密クラブだ」
「男女たちが? 男は俺しか昨日はいなかったし、あけみっちに俺が参加するのは最初で最後と言われたぞ。お前のほかに男子がいるのか?」
最初で最後?
どうやらヒデキは、藤木さんの処女卒業のためだけに呼ばれたようだ。
「俺はもうやめたし、ほかに男子はいない。これからも呼ばないと思うぞ」
あとはあけみっちとサッチと藤木さん、それにコンシェルジュのシズカさんで活動をしていくのだろう。
「お前も誰かとやったのか?」
「してない、してない」
慌てて否定した。
本当は四人としましたけど。
友巴ちゃんや帆乃花ちゃんの名誉のため、明日、サッチには口止めしておかなければ。
「そうか。まあ、お前のことは置いておいて、今日の朝、おはようと小さな声で言ったきり藤木が目を合わせてくれないんだよ。俺、昨日、やばいことしちゃったかも」
「それは照れだな。恥ずかしくて顔が合わせられないだけだ」
その時だ。
「北川くん」
サッチがボックス席のパーティションから顔を見せた。
後ろに藤木さんもいる。
どうやら二人とも、今来たところっぽい。
「藤木さんが話をしたいって。ほら、シュウゴ、おじゃまでしょ」
俺はサッチに腕をつかまれ引っ張り出された。
ヒデキたちと離れた所で「座って」と言われ、素直に従った。
「シュウゴ。北川くんから昨日のミツハナのこと、聞いた?」
「聞いたけど」
「藤木さんの処女卒業ため北川くんを呼んだの。お互い好き同士だし、私とあけみっちとしても、藤木さんに処女卒業してほしかったから場を提供したというわけ」
二人とも藤木さんにいろいろと仕込みたいのね。藤木さん、だいぶ可愛くなったしな。
だが、それにしてもだ。
「別にミツハナでなくても……」
「そうなんだけど、昨日は北川くんの試験でもあったの」
「試験?」
「うん。でも、シュウゴは合格、北川くんは不合格」
「なんで?」
「んー、わかんない。試験官、あけみっちだもん。結局、あけみっちは服すら脱がなかったし、私も下着までと言われてたし。ちなみに二人がしてるところ、あけみっちは見てないよ」
「あけみっちはって、サッチ、お前は見てたんかい」
「うん。北川くんが暴走しないようにね。コンドームも私が渡したよ。北川くん覚えてないだろうけど。ちなみにシュウゴの方が大きかったよ、ふふっ」
「あ、あほか。それよりもサッチ、俺がミツハナにいたことヒデキに言っただろ。帆乃花ちゃんや友巴ちゃんがいたことは内緒だぞ」
「えー、なんで?」
「他の男子に知られたら二人が傷つくだろ」
「んん、まあそうね」
「それに秘密だからミツハナなんだろ。合宿のことも内緒だぞ。バラしたらサッチ、消されるぞ」
「消される? はは、なにそれ。まあいいや。シュウゴは私とだけ、めっちゃ濃いエッチしてたって言っとく」
「おい、それもやめろ」
「はは、冗談。悪の組織に消されないように黙っておく」
じゃあと言ってサッチは去っていったが不安でいっぱいだ……。
翌日。ヒデキと藤木さんは、普通に会話するくらいまでになっていた。
ヒデキが友巴ちゃん、帆乃花ちゃんを見る目に変化ないところを見ると、サッチはミツハナについて詳しく説明していないようだ。
いつもの朝のようにあけみっちは教壇に立つと教室全体をさっと見回し、ニコリと笑ったあとこちらを向いた。何かある。
「みんな、おはよう。今日はみんなにお願いがあってね。赤い羽根の共同募金を駅前でするんだけど、参加してくれる人いるかな?」
もうすでに、クラス内で俺はボランティア精神にあふれる奴、または内申のための偽善者だと思われているだろう。
それでも手を挙げないといけない。
ヒデキがあけみっちとしてしまえば、この役がヒデキに回るとも思ったが、それもなんだか嫌だ。
俺がスーッと手を挙げると、友巴ちゃんと帆乃花ちゃんも手を挙げてくれた。
驚くことに、「はい」っとサッチも挙げた。加えて藤木さんもだ。ということはもう一人、もれなく手を挙げるはず。
「俺も」
やっぱりヒデキも手を挙げた。
「手を挙げてくれたみんなありがとう。私も参加するから、今度の土曜日、お願いね」
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