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ミツハナ脱退編
隠れ家
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ふう。とりあえず、あけみっちが俺の子を身籠もっていないことがわかってスッキリした。おまけに大企業に就職が決まったようで、一番結果オーライな状況だ。
面談控え室の教室に行き、次の男子に声がけして、玄関に向かった。
今、十五時過ぎだ。母親は先に帰ったので、これから少し時間ができる。
何しようかなと思っているとスマホがウィーンと震えた。
帆乃花ちゃんからの電話だ。
いつものファストフード店で友巴ちゃんと一緒にいるから合流しようという電話であった。もちろん二つ返事で了承した。
ちなみに、二人とも三者面談は明日だ。
「ごめんね、シュウゴくん。そろそろ面談終わる頃かと思って。トモハちゃんと待ってたの」
「シュウゴくん、面談どうだった?」
「うーん、普段の授業態度とか、進路のことを話したけど、たいした内容じゃなかったよ」
俺があけみっちの会社に内定とは今は言えない。
「シュウゴくんやホノカちゃんは、成績いいから面談も軽く終わるけど、私、成績が平均だからな」
「大丈夫よ。トモハちゃんも同じ大学に行けるようにするから」
「本当? でもどうやって?」
「それがココアよ」
ん?
俺と友巴ちゃんの頭に中にクエスチョンマークが飛ぶ。
「週五でココアで勉強会。教え合うことで、学力が身につくというから、三人にメリットがあるでしょ。きっと、三人とも成績が伸びると思う」
「え、いいの? ホノカちゃんやシュウゴくんが教えてくれるなら張り切る」
「シュウゴくんもいい?」
週五で勉強会ね……。もう少し、仲良くなれるアレが良かったよ。
まあ、なるべくレベルの高い大学に行くのに更なる勉強は必要だし、帆乃花ちゃんや友巴ちゃんと勉強できるなら嬉しい限りだ。
「うん。そうだね」
「あー、シュウゴくん。もしかしてココアの活動、何か違うことを想定してた?」
「い、いや……」
「じゃあ勉強のノルマを達成したら、ご褒美ということでシュウゴくんの考えていることをすることにしよ」
「あ、それいい! 私もそれ目指して頑張る」
ノルマは低めでお願いします。
って、友巴ちゃんが考えているご褒美と俺が考えているご褒美は同じか?
「問題は、場所ね……。毎回、ここってわけにはいかないし。誰にも見られず声も出せるところがいいわよね」
声も出せるって……帆乃花ちゃんとが考えるご褒美とは一緒のようだ。あー、早く帆乃花ちゃんを抱きたい。
「あけみっちに聞いてみたら? 別の場所を用意してくれるかも」
友巴ちゃんの言うとおり、こういう時に頼りになるのはやっぱりあけみっちか。
「んんー。じゃあ、スピーキングの練習もしないといけないから声を出せる部屋がないか、俺から聞いてみるよ」
翌日、あけみっちに「将来、英語は仕事に必須だろうから、今のうちに、スピーキングの練習をしたいけど、声を出しても恥ずかしくない場所を提供してほしい」と相談したところ、あけみっちのマンションとは別のマンションの一室を貸してくれることになった。
誰も使わない方が部屋が傷むそうで、常に掃除をし綺麗にしておくという条件がついているが、光熱水費も負担なし。トイレ、キッチンも自由に使っていいそうだ。
あけみっちは、最後に「お風呂も使っていいわよ」といい、ニタっと微笑んだ。
数日後、あけみっちが部屋の鍵を渡してくれた。鍵と言ってもサムターン式の鍵ではなくゴールドのカードキーだ。カードの作りからして、絶対に高級マンションだ。
カードは三枚用意してくれた。明らかに、俺、友巴ちゃん、帆乃花ちゃんの三人で使うことをあけみっちは想定している。
早速その日、一人でマンションの一室を見に行くことにした。
「本当にここか?」
思わず独り言が口から出た。
高層マンションではない。逆に低層を売りにしているようで、海沿いの広い敷地一帯がマンションの敷地となっている。海外のリゾートホテルがそのままマンションになったようなイメージだ。
鍵を渡された時、あけみっちが「家賃が高すぎてなかなか借り手がいない」と言っていたが、こりゃ、家賃は月五十万円くらいするのではないか。
あけみっちのマンションのように、マンション専属のコンシェルジュはいないものの、広々としたロビーは清潔そのものだ。
該当の部屋は二階建ての二階にあり、玄関からまずリビングに入った。
およそ、二十畳はあると思われるリビングとキッチンには生活に必要な一通りの家具、家電は揃っているようで、大型テレビに、冷蔵庫、電子レンジ、ソファにテーブルが置かれている。食器棚には、シンプルな柄の皿、マグカップ、フォークやスプーンが入っていた。
その他、絵画や壺といった生活に不必要な装飾はない。
1LDKの作りになっており、右手の部屋のドアを開けると大きな窓がある開放感いっぱいの白い部屋であった。
そこにはあけみっちの別荘にあったようなキングサイズのベッドが真ん中にドンと鎮座していた。
勉強はリビングでするとして、友巴ちゃんや帆乃花ちゃんとイチャイチャはこの部屋で……。いかんいかん、今日来た目的を果たさなければ。
俺は部屋中の壁、天井、家具、家電を隅から隅まで調べた。
ふう、どうやらどこにもカメラや盗聴器はないようだ。疑ってすみません。
学校から、ここまで歩いて二十分ほどか。まあ、それほど遠いというわけではないから、来られる日はここで勉強しよう。
ちなみに風呂は流石に檜ではないが、ジェットバス付きの湯船であった。大きな透明な窓から陽がさんさんと降り注ぐ。その窓を開け放つと、半露天風呂となった。もちろん、柵に覆われているためプライベートは確保されている。
風呂に入るにしても掃除道具がないため、買う必要があるな。
土曜日。掃除道具のほか、飲み物やデザート、冷凍食品などを買い込み、友巴ちゃんと帆乃花ちゃんとともにその部屋を訪れた。
「わー、すごいこの部屋。勉強するには広すぎだね」
「ねえ、冷蔵庫にジュースやお茶のペットボトルが入ってるよ」
買い出ししたものを冷蔵庫に入れようとした友巴ちゃんが言った。
この前は、冷蔵庫の中まで見ていなかったが、さすが、あけみっち。気が利く。
「もう、ここで生活できるね。三人の隠れ家的に」
「隠れ家かぁ、いいね。私、家出したらここに来よっと」
帆乃花ちゃんらしくない発言に少し驚いたが、気持ちもわかる。ここから学校に通えたらめっちゃ便利だし。
「ねえ、シュウゴくん。合宿の続きする?」
友巴ちゃんが、ベッドを見つめて言う。
「もう、トモハちゃん。勉強してからでしょ。サッチみたいになってるよ」
「ふふっ、冗談、冗談。さっさと勉強してノルマ達成しよっと」
友巴ちゃん、やる気満々ですね。勉強というよりもあちらを。そりゃもう大歓迎です。
待てよ。俺自身がノルマ達成しなかったら、おあずけになるの?
面談控え室の教室に行き、次の男子に声がけして、玄関に向かった。
今、十五時過ぎだ。母親は先に帰ったので、これから少し時間ができる。
何しようかなと思っているとスマホがウィーンと震えた。
帆乃花ちゃんからの電話だ。
いつものファストフード店で友巴ちゃんと一緒にいるから合流しようという電話であった。もちろん二つ返事で了承した。
ちなみに、二人とも三者面談は明日だ。
「ごめんね、シュウゴくん。そろそろ面談終わる頃かと思って。トモハちゃんと待ってたの」
「シュウゴくん、面談どうだった?」
「うーん、普段の授業態度とか、進路のことを話したけど、たいした内容じゃなかったよ」
俺があけみっちの会社に内定とは今は言えない。
「シュウゴくんやホノカちゃんは、成績いいから面談も軽く終わるけど、私、成績が平均だからな」
「大丈夫よ。トモハちゃんも同じ大学に行けるようにするから」
「本当? でもどうやって?」
「それがココアよ」
ん?
俺と友巴ちゃんの頭に中にクエスチョンマークが飛ぶ。
「週五でココアで勉強会。教え合うことで、学力が身につくというから、三人にメリットがあるでしょ。きっと、三人とも成績が伸びると思う」
「え、いいの? ホノカちゃんやシュウゴくんが教えてくれるなら張り切る」
「シュウゴくんもいい?」
週五で勉強会ね……。もう少し、仲良くなれるアレが良かったよ。
まあ、なるべくレベルの高い大学に行くのに更なる勉強は必要だし、帆乃花ちゃんや友巴ちゃんと勉強できるなら嬉しい限りだ。
「うん。そうだね」
「あー、シュウゴくん。もしかしてココアの活動、何か違うことを想定してた?」
「い、いや……」
「じゃあ勉強のノルマを達成したら、ご褒美ということでシュウゴくんの考えていることをすることにしよ」
「あ、それいい! 私もそれ目指して頑張る」
ノルマは低めでお願いします。
って、友巴ちゃんが考えているご褒美と俺が考えているご褒美は同じか?
「問題は、場所ね……。毎回、ここってわけにはいかないし。誰にも見られず声も出せるところがいいわよね」
声も出せるって……帆乃花ちゃんとが考えるご褒美とは一緒のようだ。あー、早く帆乃花ちゃんを抱きたい。
「あけみっちに聞いてみたら? 別の場所を用意してくれるかも」
友巴ちゃんの言うとおり、こういう時に頼りになるのはやっぱりあけみっちか。
「んんー。じゃあ、スピーキングの練習もしないといけないから声を出せる部屋がないか、俺から聞いてみるよ」
翌日、あけみっちに「将来、英語は仕事に必須だろうから、今のうちに、スピーキングの練習をしたいけど、声を出しても恥ずかしくない場所を提供してほしい」と相談したところ、あけみっちのマンションとは別のマンションの一室を貸してくれることになった。
誰も使わない方が部屋が傷むそうで、常に掃除をし綺麗にしておくという条件がついているが、光熱水費も負担なし。トイレ、キッチンも自由に使っていいそうだ。
あけみっちは、最後に「お風呂も使っていいわよ」といい、ニタっと微笑んだ。
数日後、あけみっちが部屋の鍵を渡してくれた。鍵と言ってもサムターン式の鍵ではなくゴールドのカードキーだ。カードの作りからして、絶対に高級マンションだ。
カードは三枚用意してくれた。明らかに、俺、友巴ちゃん、帆乃花ちゃんの三人で使うことをあけみっちは想定している。
早速その日、一人でマンションの一室を見に行くことにした。
「本当にここか?」
思わず独り言が口から出た。
高層マンションではない。逆に低層を売りにしているようで、海沿いの広い敷地一帯がマンションの敷地となっている。海外のリゾートホテルがそのままマンションになったようなイメージだ。
鍵を渡された時、あけみっちが「家賃が高すぎてなかなか借り手がいない」と言っていたが、こりゃ、家賃は月五十万円くらいするのではないか。
あけみっちのマンションのように、マンション専属のコンシェルジュはいないものの、広々としたロビーは清潔そのものだ。
該当の部屋は二階建ての二階にあり、玄関からまずリビングに入った。
およそ、二十畳はあると思われるリビングとキッチンには生活に必要な一通りの家具、家電は揃っているようで、大型テレビに、冷蔵庫、電子レンジ、ソファにテーブルが置かれている。食器棚には、シンプルな柄の皿、マグカップ、フォークやスプーンが入っていた。
その他、絵画や壺といった生活に不必要な装飾はない。
1LDKの作りになっており、右手の部屋のドアを開けると大きな窓がある開放感いっぱいの白い部屋であった。
そこにはあけみっちの別荘にあったようなキングサイズのベッドが真ん中にドンと鎮座していた。
勉強はリビングでするとして、友巴ちゃんや帆乃花ちゃんとイチャイチャはこの部屋で……。いかんいかん、今日来た目的を果たさなければ。
俺は部屋中の壁、天井、家具、家電を隅から隅まで調べた。
ふう、どうやらどこにもカメラや盗聴器はないようだ。疑ってすみません。
学校から、ここまで歩いて二十分ほどか。まあ、それほど遠いというわけではないから、来られる日はここで勉強しよう。
ちなみに風呂は流石に檜ではないが、ジェットバス付きの湯船であった。大きな透明な窓から陽がさんさんと降り注ぐ。その窓を開け放つと、半露天風呂となった。もちろん、柵に覆われているためプライベートは確保されている。
風呂に入るにしても掃除道具がないため、買う必要があるな。
土曜日。掃除道具のほか、飲み物やデザート、冷凍食品などを買い込み、友巴ちゃんと帆乃花ちゃんとともにその部屋を訪れた。
「わー、すごいこの部屋。勉強するには広すぎだね」
「ねえ、冷蔵庫にジュースやお茶のペットボトルが入ってるよ」
買い出ししたものを冷蔵庫に入れようとした友巴ちゃんが言った。
この前は、冷蔵庫の中まで見ていなかったが、さすが、あけみっち。気が利く。
「もう、ここで生活できるね。三人の隠れ家的に」
「隠れ家かぁ、いいね。私、家出したらここに来よっと」
帆乃花ちゃんらしくない発言に少し驚いたが、気持ちもわかる。ここから学校に通えたらめっちゃ便利だし。
「ねえ、シュウゴくん。合宿の続きする?」
友巴ちゃんが、ベッドを見つめて言う。
「もう、トモハちゃん。勉強してからでしょ。サッチみたいになってるよ」
「ふふっ、冗談、冗談。さっさと勉強してノルマ達成しよっと」
友巴ちゃん、やる気満々ですね。勉強というよりもあちらを。そりゃもう大歓迎です。
待てよ。俺自身がノルマ達成しなかったら、おあずけになるの?
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