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ミツハナ脱退編
新しい活動
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その日の帰り。またもやヒデキに呼び止めら、駅まで一緒に歩いた。
前をサッチと藤木さんが歩いている。
そういえば今日は火曜日だ。二人が向かう先はあけみのマンションか?
「なあ、あの二人、最近仲が良いよな。胸がデカい者同士、気が合うのか? ところで今日、俺、教科書忘れて藤木に教科書見せてもらっただろ。顔が近くて、うわーキスしてえって心の底から思ったわ。そしていつか、いや近いうちに最後までするぞ」
どうやら、ヒデキはまだキスまでしか進んでいないようだ。
「お前、わざと教科書忘れただろ」
「い、いや。俺は本当に忘れた。だけど、やつは違うな。わざと忘れて佐原に見せてもらったと俺はにらんでいる」
やつとは、明るい浮かれ小太り男子だろう。
「なあシュウゴ。お前、佐原か森崎が好きなんだろ」
「な、何を突然」
「突然じゃないぞ。前にも聞いたけど、どっちが好きなんだ?」
どっちって……。二人ともですけど何か?
「どっちにしても早く噂を流してみんなに認知してもらった方が良いぞ」
「噂って?」
「お前がどっちかと付き合っているっていう噂だ。二人を狙っている男子は俺らのクラスの連中だけじゃない。先輩たちの間でも、須藤、佐原に加え、森崎も可愛いって評判になってるからな。近いうちに誰かしら告られると思う。なんだかそういう空気になってるようななってないような……。俺は藤木と付き合っていることを噂で流すから、ついでにお前のことも流してやる」
「そ、そりゃどうも。だけどちょっとだけ待ってくれ」
「何だよ。どっちか決められないのか?」
「今はノーコメントだ」
ヒデキと別れ、俺は来た道を急ぎ引き返した。まだ二人とも学校にいるはずだ。
帆乃花ちゃんはともかく友巴ちゃんまで、狙っている男どもがいるとは。一刻も早く対策を取らねば。
教室に戻ると案の定、二人がいた。表情はよく見えないがお互いの顔の距離が近い。
夕日が差し込む教室に美少女二人。そのまま映画のワンシーンになりそうだ。
「どうしたのシュウゴくん? 忘れ物?」
「もしかして私たちに会いに来た?」
「そ、そうなんだけど大事な相談が……」
俺は二人が男どもに狙われているから対策が必要なことを手短に伝えた。
「私、実は二年になって三人に告白されたの」
「え? ホノカちゃんも。って私は二人だけどね」
まじか!? 二人とも告白されてたの?
「三人とも超速攻で振った」
「ははっ、私も。付き合っての、付きでごめんなさいって」
「で、シュウゴくんはどうしたいの?」
「そうそう。私とホノカちゃん、どっちが好き?」
二人とも、俺をいじめないでくれー。
「ははっ、もうそんなにわかりやすくあわあわしなくても。ねえ、トモハちゃん」
「そうそう。私はホノカちゃんもシュウゴくんも好き。二人もでしょ」
「うん。私もトモハちゃんとシュウゴくん、同じくらい好き」
「俺も二人が好きで、どっちか選べない……」
「選ばなくてもいいよ。だけど、シュウゴくん、それだと二股って言われるね」
実際そうなんだけど、世間体が悪いのでございます。
「よし、じゃあ私とトモハちゃんが好き合っていて男子にはまったく興味なしって噂を広めよう!」
「いいね! そしたら男子も寄ってこないから面倒くさくないし」
「その証拠に誰かが見てるところでキスしようか」
「うーん、待てないから今からしようよ、ホノカちゃん」
おいおい、俺のことは?
「ふふ。冗談。なんて顔してるの、シュウゴくん。ねえ、秘蜜の花園って名前つけたのってホノカちゃんだったけ。私たち三人グループの名前もつけようよ」
「そうね。前から思ってたんだけど、ホノカとトモハってボインが同じでしょ」
ボインが一緒?
たしかに友巴ちゃんの胸は急成長中だ。
「シュウゴくん。胸のことじゃないよ」
ん? ということは……母音のことか?
「し、知ってるよ。音の響きが一緒ってことでしょ」
「うん。オ・オ・アってね。そこから『ココア』って名前でどう? トモハプラスホノカイコールココア」
「すごい、ホノカちゃん。名付けの天才!」
え? 俺の名は?
「シュウゴくんの名前は入ってないけど……」
帆乃花ちゃん、俺の心を読めるのか?
「『ココア』の活動は週五ということで」
「おお! 帆乃花ちゃん、やっぱり天才!」
ってココアの活動って三人であれするの? 週に五回も?
「あー、ちょうど良かった。梅谷くんがいた」
そう言って教室に入ってきたのはあけみっちだ。
ミツハナを脱退したが、俺たち三人に対する態度は特に変わらない。
「今度の三者面談で、あなたの将来について大事な話があるから。私の将来にも関わるから心の準備をしておいてね」
合宿で見せた悪の女王様の笑顔がそこにはあった。
前をサッチと藤木さんが歩いている。
そういえば今日は火曜日だ。二人が向かう先はあけみのマンションか?
「なあ、あの二人、最近仲が良いよな。胸がデカい者同士、気が合うのか? ところで今日、俺、教科書忘れて藤木に教科書見せてもらっただろ。顔が近くて、うわーキスしてえって心の底から思ったわ。そしていつか、いや近いうちに最後までするぞ」
どうやら、ヒデキはまだキスまでしか進んでいないようだ。
「お前、わざと教科書忘れただろ」
「い、いや。俺は本当に忘れた。だけど、やつは違うな。わざと忘れて佐原に見せてもらったと俺はにらんでいる」
やつとは、明るい浮かれ小太り男子だろう。
「なあシュウゴ。お前、佐原か森崎が好きなんだろ」
「な、何を突然」
「突然じゃないぞ。前にも聞いたけど、どっちが好きなんだ?」
どっちって……。二人ともですけど何か?
「どっちにしても早く噂を流してみんなに認知してもらった方が良いぞ」
「噂って?」
「お前がどっちかと付き合っているっていう噂だ。二人を狙っている男子は俺らのクラスの連中だけじゃない。先輩たちの間でも、須藤、佐原に加え、森崎も可愛いって評判になってるからな。近いうちに誰かしら告られると思う。なんだかそういう空気になってるようななってないような……。俺は藤木と付き合っていることを噂で流すから、ついでにお前のことも流してやる」
「そ、そりゃどうも。だけどちょっとだけ待ってくれ」
「何だよ。どっちか決められないのか?」
「今はノーコメントだ」
ヒデキと別れ、俺は来た道を急ぎ引き返した。まだ二人とも学校にいるはずだ。
帆乃花ちゃんはともかく友巴ちゃんまで、狙っている男どもがいるとは。一刻も早く対策を取らねば。
教室に戻ると案の定、二人がいた。表情はよく見えないがお互いの顔の距離が近い。
夕日が差し込む教室に美少女二人。そのまま映画のワンシーンになりそうだ。
「どうしたのシュウゴくん? 忘れ物?」
「もしかして私たちに会いに来た?」
「そ、そうなんだけど大事な相談が……」
俺は二人が男どもに狙われているから対策が必要なことを手短に伝えた。
「私、実は二年になって三人に告白されたの」
「え? ホノカちゃんも。って私は二人だけどね」
まじか!? 二人とも告白されてたの?
「三人とも超速攻で振った」
「ははっ、私も。付き合っての、付きでごめんなさいって」
「で、シュウゴくんはどうしたいの?」
「そうそう。私とホノカちゃん、どっちが好き?」
二人とも、俺をいじめないでくれー。
「ははっ、もうそんなにわかりやすくあわあわしなくても。ねえ、トモハちゃん」
「そうそう。私はホノカちゃんもシュウゴくんも好き。二人もでしょ」
「うん。私もトモハちゃんとシュウゴくん、同じくらい好き」
「俺も二人が好きで、どっちか選べない……」
「選ばなくてもいいよ。だけど、シュウゴくん、それだと二股って言われるね」
実際そうなんだけど、世間体が悪いのでございます。
「よし、じゃあ私とトモハちゃんが好き合っていて男子にはまったく興味なしって噂を広めよう!」
「いいね! そしたら男子も寄ってこないから面倒くさくないし」
「その証拠に誰かが見てるところでキスしようか」
「うーん、待てないから今からしようよ、ホノカちゃん」
おいおい、俺のことは?
「ふふ。冗談。なんて顔してるの、シュウゴくん。ねえ、秘蜜の花園って名前つけたのってホノカちゃんだったけ。私たち三人グループの名前もつけようよ」
「そうね。前から思ってたんだけど、ホノカとトモハってボインが同じでしょ」
ボインが一緒?
たしかに友巴ちゃんの胸は急成長中だ。
「シュウゴくん。胸のことじゃないよ」
ん? ということは……母音のことか?
「し、知ってるよ。音の響きが一緒ってことでしょ」
「うん。オ・オ・アってね。そこから『ココア』って名前でどう? トモハプラスホノカイコールココア」
「すごい、ホノカちゃん。名付けの天才!」
え? 俺の名は?
「シュウゴくんの名前は入ってないけど……」
帆乃花ちゃん、俺の心を読めるのか?
「『ココア』の活動は週五ということで」
「おお! 帆乃花ちゃん、やっぱり天才!」
ってココアの活動って三人であれするの? 週に五回も?
「あー、ちょうど良かった。梅谷くんがいた」
そう言って教室に入ってきたのはあけみっちだ。
ミツハナを脱退したが、俺たち三人に対する態度は特に変わらない。
「今度の三者面談で、あなたの将来について大事な話があるから。私の将来にも関わるから心の準備をしておいてね」
合宿で見せた悪の女王様の笑顔がそこにはあった。
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