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ミツハナ脱退編
席替え再び
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「じゃあ、席替えを始めます。前回と同じようにあみだくじね。席替え委員は……」
あけみっちがサッチの方を見る。
「須藤さんと藤木さん、お願い」
「はーい」
サッチがいつもの調子で軽く返事をし、前に出る。藤木さんは少し緊張した表情で前に出た。
「それでは、窓側の一番前の人から名前を書いていってください」
どんどんと名前が埋まり、俺が三つ残ったうちの一つに名前を書く。別にどこでも良いのだが、悩んだふりをした。
「はい。では結果を発表します。あけみっちが番号札を渡しますのでそれが新しい席です」
あけみっちが窓際前列から順に番号札を渡していく。
一喜一憂する声が教室に響く中、ヒデキがこちらを向いたが気づかないふりをした。
俺はあけみっちから『6』と書かれた札を渡された。窓側の一番後ろだ。これで全員の番号が決まった。
帆乃花ちゃんが『5』、友巴ちゃんが『12』だ。つまり、俺の前が帆乃花ちゃん、隣が友巴ちゃんだ。
で、俺の今に席にヒデキが座り、その隣に藤木さん、ヒデキの前にはサッチだ。
ここまでは出来レースで、あとは本当に運だ。
その運によって俺の斜め前の席になったのは、明るい小太り男子であった。帆乃花ちゃんの隣が男子とは……。
今や浮かれた小太りとなった男子が帆乃花ちゃんに愛想を振り撒く。
はぁー、ストレスがたまる。
「じゃあ資料のの五十一、二ページを開いて。そこから江戸時代のSDGsについて三十分でまとめるように」
しまった。今日はの日本史の資料集を持ってくる日だった。
机の中にひょっとして入ってないか……。
「どうした、梅谷?」
退職も近いであろう年齢の先生が、めざとく俺の行動に気づく。
「すみません……資料集を忘れました」
「仕方ないなぁ。隣に見せてもらえ」
友巴ちゃんを見ると、にこりと微笑みかけてくる。
か、可愛すぎる。
これからずっと教科書とか資料集とか忘れることにしよう。
机を右にずらし友巴ちゃんの横につく。
一つの資料集を見ながら二人で勉強なんて幸せだ。
その日の帰りだ。
「シュウゴ。ちょっと付き合え」
笑顔というか、にやけ顔のヒデキに呼び止められた。
「俺、くじ運めっちゃ良くねえか。隣に藤木、前に須藤だぜ。乳デカツートップに囲まれてるなんて超ラッキーこの上ない」
「ああ。良かったな」
あみだくじが、運ではなくて、仕組まれていることはまだ知らないようだ。
「お前も、森崎が隣、佐原が前だろ。前回といい運が良いよな。しかしお互い、斜め前が男子というのはいただけないな。せめて地味でも女子が良かったぜ」
「まあ、そこは運だからな」
俺は友巴ちゃんと帆乃花ちゃんがまわりにいればそれで満足だ。そう思った。が、すぐにヒデキの言葉を思い知らされることになる。
次の日、ヒデキのやつは教科書を忘れたとか言って、隣の藤木さんに見せてもらっていた。それはいい。ご勝手にどうぞ、だ。
許せないのは、明るい浮かれ小太り男子だ。こいつ、性格も愛嬌もいい。だが、教科書を忘れたと言って帆乃花ちゃんに見せてもらうのは許さーん!
あけみっちがサッチの方を見る。
「須藤さんと藤木さん、お願い」
「はーい」
サッチがいつもの調子で軽く返事をし、前に出る。藤木さんは少し緊張した表情で前に出た。
「それでは、窓側の一番前の人から名前を書いていってください」
どんどんと名前が埋まり、俺が三つ残ったうちの一つに名前を書く。別にどこでも良いのだが、悩んだふりをした。
「はい。では結果を発表します。あけみっちが番号札を渡しますのでそれが新しい席です」
あけみっちが窓際前列から順に番号札を渡していく。
一喜一憂する声が教室に響く中、ヒデキがこちらを向いたが気づかないふりをした。
俺はあけみっちから『6』と書かれた札を渡された。窓側の一番後ろだ。これで全員の番号が決まった。
帆乃花ちゃんが『5』、友巴ちゃんが『12』だ。つまり、俺の前が帆乃花ちゃん、隣が友巴ちゃんだ。
で、俺の今に席にヒデキが座り、その隣に藤木さん、ヒデキの前にはサッチだ。
ここまでは出来レースで、あとは本当に運だ。
その運によって俺の斜め前の席になったのは、明るい小太り男子であった。帆乃花ちゃんの隣が男子とは……。
今や浮かれた小太りとなった男子が帆乃花ちゃんに愛想を振り撒く。
はぁー、ストレスがたまる。
「じゃあ資料のの五十一、二ページを開いて。そこから江戸時代のSDGsについて三十分でまとめるように」
しまった。今日はの日本史の資料集を持ってくる日だった。
机の中にひょっとして入ってないか……。
「どうした、梅谷?」
退職も近いであろう年齢の先生が、めざとく俺の行動に気づく。
「すみません……資料集を忘れました」
「仕方ないなぁ。隣に見せてもらえ」
友巴ちゃんを見ると、にこりと微笑みかけてくる。
か、可愛すぎる。
これからずっと教科書とか資料集とか忘れることにしよう。
机を右にずらし友巴ちゃんの横につく。
一つの資料集を見ながら二人で勉強なんて幸せだ。
その日の帰りだ。
「シュウゴ。ちょっと付き合え」
笑顔というか、にやけ顔のヒデキに呼び止められた。
「俺、くじ運めっちゃ良くねえか。隣に藤木、前に須藤だぜ。乳デカツートップに囲まれてるなんて超ラッキーこの上ない」
「ああ。良かったな」
あみだくじが、運ではなくて、仕組まれていることはまだ知らないようだ。
「お前も、森崎が隣、佐原が前だろ。前回といい運が良いよな。しかしお互い、斜め前が男子というのはいただけないな。せめて地味でも女子が良かったぜ」
「まあ、そこは運だからな」
俺は友巴ちゃんと帆乃花ちゃんがまわりにいればそれで満足だ。そう思った。が、すぐにヒデキの言葉を思い知らされることになる。
次の日、ヒデキのやつは教科書を忘れたとか言って、隣の藤木さんに見せてもらっていた。それはいい。ご勝手にどうぞ、だ。
許せないのは、明るい浮かれ小太り男子だ。こいつ、性格も愛嬌もいい。だが、教科書を忘れたと言って帆乃花ちゃんに見せてもらうのは許さーん!
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