席替えから始まる学園天国

空ー馬(くーま)

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ミツハナ脱退編

新たな計画

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 ところで、友巴ちゃんと帆乃花ちゃんはどこだ?
 浮き輪を回転できないためうまく探せない。
 もうヒデキたちのことは放っておいて良いだろう。
 俺は万歳をしてスルッと浮き輪から抜け、水面に顔を出した。

「もうなんで勝手に出るのよ」
 
 サッチが怒るが構わずあたりを見回した。
 友巴ちゃんたちがいた。波のプールから上がるところだ。
 むにゅむにゅとしたキュートな二つのお尻が俺から遠ざかっていく。

「サッチ。ヒデキたち二人にしておいてやろうぜ」
「んん、まあそれもそうね。シュウゴと二人で楽しもっと」
 
 俺は浮き輪のロープをつかみ、人混みの中、泳いだ。
 
 友巴ちゃんたちを探す。
 プライベートルームに向かう階段を上がっているのが一瞬見えた。

「なあサッチ。熱中症対策に、水分補給しようぜ。あの部屋にせっかくフリードリンクもあることだし」
「やだ、もう。あの部屋で私と二人っきりになりたいの? ねえ、絶対あの部屋でエッチなことしちゃってるカップルいるよね」
「いや、そんなカップルいない」
 
 とは言い切れないが、否定しておいた。
 部屋に入ると二人がソファで飲み物を飲んでいた。

「なんだ、ホノカたちもいたの?」
「あ、サッチとシュウゴくん。二人仲良さそうだね」
 
 帆乃花ちゃんがニコリとする。

「いや、ヒデキと藤木さんを付き合わせるために……」
「そうそう、聞いてよ。ヒデキくんたら大声で告白したの。聞こえてなかった?」
「聞こえなかったけど、結果は?」
「結果は……、丸! ってもともと両想いだったし当たり前か」
「これで目的は果たしたね」
 
 友巴ちゃんが微笑む。
 まだ入園、一時間も経ってないですけど。

「私たちも何か飲もうと。シュウゴ、何にする?」
「俺、ウーロン茶」
「お、私たちも相思相愛だね。私もウーロン茶にしようと思ってた」
「もう二人も付き合っちゃたら」
 
 そう言ったのは帆乃花ちゃんだ。
 
 えー、ひどいよ。
 って友巴ちゃんと帆乃花ちゃんの二股かけている俺はひどい奴なのだが。

「俺は、もっと……帆乃花ちゃんや友巴ちゃんと仲良くなりたい」
「ちょっと私は?」
「サッチとはもう仲がいいだろ。ほら気が合うし」
 
 サッチから受け取ったウーロン茶を見せた。

「でも合宿の時だって……」
「お前らここにいたのか」
 
 ヒデキがヌッと現れた。隣には藤木さんだ。
 ヒデキの表情は残念そうだ。もしかしてこの部屋で何かしようと企んでいたのか?
 全員でドリンク休憩をしていると急にトイレに行きたくなった。
 トイレで用を済ませているとヒデキが横に立った。

「シュウゴ、ありがとな。おかげでコクれたし、オッケーももらえた」
「いや俺は別に」
「いやいや、それに藤木の尻もここに感じられたしな。なあ、次はウォータースライダーでガッツリ密着したいんだけど……」
 
 はいはい、また小芝居ね。

「シュウゴ様、それも一回じゃなくて何度もお願いします」

 部屋に戻ると女子たちは藤木さんを中心に話をしていた。

「私たち日焼けするの嫌だし、基本的にここにいるね」
 
 帆乃花ちゃんの言葉にヒデキが反応する。

「マジで? シュウゴがウォータースライダーに行きたいってさっき言ってたけど」
「そ、そうなんだよね。あの高さからヒューって滑り降りる恐怖と爽快感がたまらないんだよね」 
 
 これまで滑ったことなどないが。

 ヒデキがうんうんとうなずく。

「藤木さんもヒデキと一緒なら怖くないんじゃない?」
「私もシュウゴくんとウォータースライダー行こうかな。藤木さんも北川くんとどう?」
 
 そう言ったのは友巴ちゃんだ。

「そうだよ。森崎もシュウゴと滑るってさ」
 
 お、たまにはヒデキも良いこと言う。俺も友巴ちゃんと密着できるぞ。

「……じゃあ私も行こうかな」
 
 藤木さんにはまだ照れがあるようだが、承知した。

「私たちマッサージチェアに座ってテレビ見とく。あとでシュウゴくん、私とも一緒ね。私、遊園地で遊んだあとでいいから」
「まあ仕方ないか。私、トモハの次はホノカね。シュウゴはみんなのものだし」
「ん? シュウゴはみんなのもの?」
「あー、北川くん。私たち四人、席が近いし機会均等ということで」
「何言ってんだ、佐原? まあお前らが仲がいいのはクラス全員が知ってるけど」
「もうヒデキ行こうぜ。ウォータースライダーって混むし」

 無理矢理ヒデキを連れ出した。

 一緒に歩く友巴ちゃん。髪をピンで留めて、完全デコ出しルックがめっちゃ可愛い。
「ねえ、シュウゴくん。もしもだけど、藤木さんに加えて北川くんがミツハナに入ってきたらどうする?」
「え? そんなことある?」
「うーん、実はあけみっちがサッチに、「シュウゴくんがダメならしょうがないから北川くんか」って。それにサッチがうなずいていて……。それが何を意味するのかわからないけど……」
 
 前を歩く二人を見る。この二人がミツハナに入ってくる……。
 俺としては、友巴ちゃんや帆乃花ちゃんの裸は誰にも見られたくないし、藤木さんの裸も見る気はない。ヒデキのやつはどうかわからないが、友巴ちゃんや帆乃花ちゃんもヒデキと絡むことはしないだろう。だが、あの甘い香りが我を忘れさせるのでひょっとしたら……。

「私、藤木さんか北川くんが入ってきたらミツハナやめようかな」
「……それがいいかも」
 
 少なくとも友巴ちゃんの裸は見られない。

「シュウゴくんは?」
「俺は……」
 
 帆乃花ちゃんと絡めなくなるのは残念だ。

「ホノカちゃんも誘って三人でヒミツの会、つくろうよ」
 
 おお、そういうことなら大賛成だ。

「じゃあ俺もやめようかな。今のミツハナ」
「ふふ、ありがとう」
 
 友巴ちゃんが俺の前にまわり、微笑む。
 あー、やっぱり友巴ちゃんの可愛い笑顔、大好きだ。こんな可愛い友巴ちゃんとエッチなことしたなんて。もっとしたいぞ。
 
 ウォータースライダーは、一人用と二人用があり、もちろん俺たちもヒデキたちも二人用を選んだ。
 頂上は結構な高さがあり、高所恐怖症ならリタイアしてもおかしくない。風も吹き寒さも感じる。
 友巴ちゃんが俺にピタリとくっつく。

「藤木さんも北川くんにくっつくと温かいよ」
 
 友巴ちゃんのアドバイスに従い、藤木さんがヒデキに絡む。胸は……思いっきりヒデキの腕に当たっている。
 おいおい、ヒデキ。昇天しそうな顔だが大丈夫か?
 
 ここのスライダー用の浮き輪は、カップルの場合、通常男がまず後ろ側に座り、その前に女が座ることになる。
 友巴ちゃんのお尻が俺の股間に密着する。
 このまま後ろからギュッと抱きしめたいが我慢だ。
 先に俺たちが滑り降り、ヒデキたちを待った。

「友巴ちゃん、あっち行っておこう」
 
 滑り降りてきたヒデキの股間が明らかにふくらんでいる。
 それを友巴ちゃんに見せないように物陰に連れて行った。

「ねえシュウゴくん。久しぶりにキスしようよ」
 
 俺の腰に手を回し友巴ちゃんが見上げてくる。
 
 もちろんですとも。
 
 力いっぱい抱くと折れてしまいそうな友巴ちゃんの身体を抱きしめ、濃厚なキスをした。
 俺の股間もむくむくとふくらんできた。
 キスしかできないのが非常に残念だ。

 このA海浜リゾートは、遊園地内にプールがあり、水着のままアトラクションを楽しめる。ルームサービスの昼食後、みんな日焼け防止のラッシュガードを着て遊園地に繰り出した。
 ジェットコースター、シューティングゲーム、バイキングなどを楽しんでいるといつのまにか日が暮れ、ナイトプールタイムになっていた。
 薄暗い中、あちらこちらで赤、黄、紫とライトアップされ、客層もファミリー中心からカップル中心になり妖艶な大人の雰囲気が漂い始めた。

「じゃあ、私、シュウゴくんと一緒に行っちゃうね」
「ちょっとホノカ、その言い方いやらしい」
 
 ヒデキの前でその定番やり取りやめてー。

 浮き輪を一つだけ持って流水プールに向かう。

「シュウゴくん。トモハちゃんから聞いた? 三人だけで新しい会作ること……」
「うん。俺もそれがいいと思う。藤木さんが入ったタイミングでやめようかなって」
「ありがとう。そう言ってくれると思った。トモハちゃんと三人でもっともっと仲良くしようね。あけみっちのマンションや別荘みたいな所がなくなるのはちょっと困るけど……」
 
 たしかに。三人で密会できる場所がほしいな。

「サッチはいいの? 帆乃花ちゃん、仲良いでしょ」
「シュウゴくんこそどうなの?」
「サッチは別に。俺は帆乃花ちゃんと友巴ちゃんがいればそれでいい」
「私一人じゃないのね」
 
 うっ。

「ふふ、いいの。私、正直シュウゴくんと同じくらいトモハちゃんが好きだし。……サッチは残ると思う。あけみっちにいろいろと仕込まれているから、あけみっちが手放さないと思うし、サッチ自身があけみっち信者だから」
 
 サッチのマシュマロのような胸を触れなくなるのは残念だな。
 それに、あけみっちが、妖艶極上テクニックで俺を攻めてくるというのも味わえない。普段は元気で明るいキャラとのギャップが好きなんだけど……。
 あれ? 俺はあけみっちのことをどう思っているんだ?
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