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「もう一度、希望を持ってもいいですか?」
しおりを挟む 目が覚めるとレイズナーが隣で私を見つめていることに驚き、昨晩を思い出し顔が真っ赤になった。
「おはようヴィクトリカ」
「これで本当に夫婦になったわね」
互いに裸で寝たらしく、どこを見ていいか分からず天井を睨み付けていると、レイズナーがキスをしてきた。
「これからは寝室を一緒にしないか。パーティから戻ってからの話しだが」
昨日私に触れた手が、再び体に触れてくる。
キスは次第に熱を帯び、アイラが入って来なければ、私はまた自分を見失うところだった。彼女はノックはするようになったものの、せっかちな性格故か、返事を待たずに扉を開ける。
アイラは素っ裸の私たちを見て、レイズナーが無理矢理襲ったのだと勘違いし、怒り狂いながら彼を追い回す。
誤解を解くため説明しなくてはならず、再び私は自分の顔が赤くなるのを感じた。
*
婚約パーティは、王都からやや離れたヒースの父が所有する屋敷で行われるということだった。一泊二日で、明日の昼には向こうを発つ。
従者の他に、護衛としてハンが名乗り出た。
気が進まないなら行かなくていい、とレイズナーは言ってくれたけど、私には出席する理由が山ほどあった。
帰ってからの楽しみもある。
アイラとハンに、言葉を教える約束をしている。テオと一緒に料理をするのも、帰ったその日にすることになっている。今までは考えられなかったことだけど、彼女たちとの交流を、私は楽しみにしていた。
馬車で、隣にいるレイズナーを盗み見ようとして失敗した。視線に気付いた彼が私を見たからだ。
「何だ?」
「いいえ、あなたの目の色って、とても綺麗だと思って」
彼はわずかに笑った。
レイズナーの盗み見に失敗する理由には気がついていた。彼はいつも、私の様子を気にかけている。
彼は私のことが好きなんだ。結婚を申し込んだのも、初めからただ、それだけだった。
このまま、本当の夫婦になれるかもしれない。
そう思うと、心も落ち着いていた。レイズナーを処刑するなんて、きっとお兄様の脅しに違いない。だって二人は友人だったんだから。
お兄様に言おう。私は自分の意思でレイズナーと一晩共にしたし、これから先もそのつもりだと。私は意思のある一人の人間で、お兄様の言うことを聞いているだけの人形じゃない。
パーティが終わったら、レイズナーに、お兄様から言われたことを伝えよう。レイズナーが人を殺したことがあるなんて、誤解に違いない。彼は、皆が言っているような冷酷非道の人間じゃないんだから。
会場に着くと、ポーリーナとヒースが連れ立ってやってきた。
「まあレイブン、馬子にも衣装ね」
「彼をそんな風に言わないで」
「あら! お姉様だってレイブンを嫌っていたでしょう?」
わざとレイズナーに聞かせるようにポーリーナは言う。言葉に気をつけながら答えた。
「以前は確かに、そうだったわ。だけど、今は考えを改めたの」
腕を組む私とレイズナーをじっと見つめ、ポーリーナははっとしたように言った。
「彼に抱かれたのね!」
ヒースがぎょっとした様子でポーリーナを見た。
側にいた貴族達がざわつき私たちを見ても、ポーリーナは収まらない。
「そうなんでしょう? 彼と寝たんだわ!」
レイズナーが微かに眉を上げ私を見る。彼の口元に、まいったとでも言いたげな笑みがあるのを見て、私は安堵した。彼は妹の癇癪気味な当てつけを、気にしていないようだ。
「ポーリーナ。なんてことを大声で言っているんです。夫婦なんだもの、当然のことでしょう?」
その時聞こえた鋭い声に、私は自分の頬が緩むのを禁じ得なかった。
「ルイサお姉様!」
貴族達の中から現れたのは大きなお腹を抱えたルイサお姉様だった。会うのは年始の挨拶で渡航して以来、数ヶ月ぶりだった。相変わらず、他を圧倒する豪華絢爛なドレスを着て、きっちりと結い上げられたブロンドの髪には宝石がちりばめられた飾りが埋め込まれ、隙の無い完璧な化粧をしていた。
レイズナーとヒースが頭を下げる。
「レイブン、わたくしの可愛い妹を妻にした気分はどう?」
「この世で一番幸福な思いです」
「でしょうね。違う言葉が返ってきたら、わたくしはあなたを殺していたでしょう」
レイズナーの口元が引きつるのが見えた。
「後で、ゆっくり話しましょう、ヴィクトリカ。二人きりでね?」
じゃ、と言ってお姉様が去る。そっけないのは、今後の作戦のためだろうか。
でも、と私は思う。
助けを求めた手前情けないことではあるけれど、レイズナーとの関係を続けていくことに希望を見いだしていることを、言わなくてはならない。
お姉様が去ると、ポーリーナとヒースも別の客の世話があると去って行った。
お兄様は夕食に間に合うように到着するとのことだった。それまでは立食形式のパーティが続く。
レイズナーと私は、それぞれ話しかけてくる人たちの相手をし、そのうちに距離が空いていった。
ポーリーナが再びやってきたのはその頃だ。かなり酒を飲んでいる様子で、顔が上気している。
「ヴィクトリカお姉様、お元気ぃ?」
楽しそうに私の腕を掴むと、庭の外へ連れ出した。庭にも数人の貴族達が立ち話をしていたが、こちらを気に留めた様子もない。
ポーリーナははしゃぎながら言った。
「なんていい気分なのかしら? こんなの、久しぶりだわ! 皆、私を羨ましがるんだもの、主役になった気がするわ」
「もちろんあなたが主役なのよポーリーナ。今日のあなたはとても綺麗よ。私からもお祝いを言うわ」
「お姉様、幸せそうね」
「ええ、まあ」
一瞬にして、ポーリーナは冷めた視線になる。
「ヒースが言っていたわ。お姉様って彼を愛さなかったんでしょう? ヒースがどれほど寂しい思いをしてたか知ってる? レイブンに乗り換えて、さぞご満悦でしょうね」
「そんなんじゃないわ!」
驚いて声を荒げた。ヒースがそんなことを言うなんて。それともポーリーナの嘘だろうか。
「皆が見ているわ。声を小さくしてね?」
「私は式の日まで、花婿が違う人になっていただなんて知らなかった。ヒースを愛していたし、レイズナーなんて愛していなかった! 彼との結婚なんて望んでいなかったわ!」
言い切ると、今度はポーリーナが目を見開いた。
「嘘よ! お姉様の嘘つき!」
「ヴィクトリカが言っていることは本当さ」
突然、レイズナーの声がした。振り返ると、片手にワイングラスを持った彼がいる。
「俺は彼女欲しさに結婚を申し込み、君たちのお兄様はそれを認めた。ヴィクトリカ王女は、望まぬ結婚に身を堕とし、悪魔と評される極悪人と結ばれた。それが全てで、それ以外の真実などない」
ポーリーナは、ひどく打ちのめされた表情になる。私も冷静でいられなかった。たとえ始まりは無理矢理だったとしても、今はレイズナーと夫婦としてやっていきたいと思っている。
だけどレイズナーは凍り付くような冷酷な表情をしていた。彼を愛していないと言ったから? 今は違うと断言できるの? ――私は何も言えなくなる。
ポーリーナは私たちを見比べて、呆然と呟いた。
「そんな……そんなはずないわ」
ふらりと彼女は立ち上がり、パーティの中に戻っていく。私はレイズナーに向き合った。
「レイズナー、今のは違うのよ。いいえ、違くはないんだけど、少なくとも今は」
「分かっているさ。君の全ての煩いの原因は俺だ、だけど君を解放するつもりはない。残念ながら、一生ね」
レイズナーは少しも分かっていない。なんと説明しようかと考えていると、庭で楽しげに話す女性の声が聞こえ、はっとしたようにレイズナーは顔をそちらへ向けた。
「おはようヴィクトリカ」
「これで本当に夫婦になったわね」
互いに裸で寝たらしく、どこを見ていいか分からず天井を睨み付けていると、レイズナーがキスをしてきた。
「これからは寝室を一緒にしないか。パーティから戻ってからの話しだが」
昨日私に触れた手が、再び体に触れてくる。
キスは次第に熱を帯び、アイラが入って来なければ、私はまた自分を見失うところだった。彼女はノックはするようになったものの、せっかちな性格故か、返事を待たずに扉を開ける。
アイラは素っ裸の私たちを見て、レイズナーが無理矢理襲ったのだと勘違いし、怒り狂いながら彼を追い回す。
誤解を解くため説明しなくてはならず、再び私は自分の顔が赤くなるのを感じた。
*
婚約パーティは、王都からやや離れたヒースの父が所有する屋敷で行われるということだった。一泊二日で、明日の昼には向こうを発つ。
従者の他に、護衛としてハンが名乗り出た。
気が進まないなら行かなくていい、とレイズナーは言ってくれたけど、私には出席する理由が山ほどあった。
帰ってからの楽しみもある。
アイラとハンに、言葉を教える約束をしている。テオと一緒に料理をするのも、帰ったその日にすることになっている。今までは考えられなかったことだけど、彼女たちとの交流を、私は楽しみにしていた。
馬車で、隣にいるレイズナーを盗み見ようとして失敗した。視線に気付いた彼が私を見たからだ。
「何だ?」
「いいえ、あなたの目の色って、とても綺麗だと思って」
彼はわずかに笑った。
レイズナーの盗み見に失敗する理由には気がついていた。彼はいつも、私の様子を気にかけている。
彼は私のことが好きなんだ。結婚を申し込んだのも、初めからただ、それだけだった。
このまま、本当の夫婦になれるかもしれない。
そう思うと、心も落ち着いていた。レイズナーを処刑するなんて、きっとお兄様の脅しに違いない。だって二人は友人だったんだから。
お兄様に言おう。私は自分の意思でレイズナーと一晩共にしたし、これから先もそのつもりだと。私は意思のある一人の人間で、お兄様の言うことを聞いているだけの人形じゃない。
パーティが終わったら、レイズナーに、お兄様から言われたことを伝えよう。レイズナーが人を殺したことがあるなんて、誤解に違いない。彼は、皆が言っているような冷酷非道の人間じゃないんだから。
会場に着くと、ポーリーナとヒースが連れ立ってやってきた。
「まあレイブン、馬子にも衣装ね」
「彼をそんな風に言わないで」
「あら! お姉様だってレイブンを嫌っていたでしょう?」
わざとレイズナーに聞かせるようにポーリーナは言う。言葉に気をつけながら答えた。
「以前は確かに、そうだったわ。だけど、今は考えを改めたの」
腕を組む私とレイズナーをじっと見つめ、ポーリーナははっとしたように言った。
「彼に抱かれたのね!」
ヒースがぎょっとした様子でポーリーナを見た。
側にいた貴族達がざわつき私たちを見ても、ポーリーナは収まらない。
「そうなんでしょう? 彼と寝たんだわ!」
レイズナーが微かに眉を上げ私を見る。彼の口元に、まいったとでも言いたげな笑みがあるのを見て、私は安堵した。彼は妹の癇癪気味な当てつけを、気にしていないようだ。
「ポーリーナ。なんてことを大声で言っているんです。夫婦なんだもの、当然のことでしょう?」
その時聞こえた鋭い声に、私は自分の頬が緩むのを禁じ得なかった。
「ルイサお姉様!」
貴族達の中から現れたのは大きなお腹を抱えたルイサお姉様だった。会うのは年始の挨拶で渡航して以来、数ヶ月ぶりだった。相変わらず、他を圧倒する豪華絢爛なドレスを着て、きっちりと結い上げられたブロンドの髪には宝石がちりばめられた飾りが埋め込まれ、隙の無い完璧な化粧をしていた。
レイズナーとヒースが頭を下げる。
「レイブン、わたくしの可愛い妹を妻にした気分はどう?」
「この世で一番幸福な思いです」
「でしょうね。違う言葉が返ってきたら、わたくしはあなたを殺していたでしょう」
レイズナーの口元が引きつるのが見えた。
「後で、ゆっくり話しましょう、ヴィクトリカ。二人きりでね?」
じゃ、と言ってお姉様が去る。そっけないのは、今後の作戦のためだろうか。
でも、と私は思う。
助けを求めた手前情けないことではあるけれど、レイズナーとの関係を続けていくことに希望を見いだしていることを、言わなくてはならない。
お姉様が去ると、ポーリーナとヒースも別の客の世話があると去って行った。
お兄様は夕食に間に合うように到着するとのことだった。それまでは立食形式のパーティが続く。
レイズナーと私は、それぞれ話しかけてくる人たちの相手をし、そのうちに距離が空いていった。
ポーリーナが再びやってきたのはその頃だ。かなり酒を飲んでいる様子で、顔が上気している。
「ヴィクトリカお姉様、お元気ぃ?」
楽しそうに私の腕を掴むと、庭の外へ連れ出した。庭にも数人の貴族達が立ち話をしていたが、こちらを気に留めた様子もない。
ポーリーナははしゃぎながら言った。
「なんていい気分なのかしら? こんなの、久しぶりだわ! 皆、私を羨ましがるんだもの、主役になった気がするわ」
「もちろんあなたが主役なのよポーリーナ。今日のあなたはとても綺麗よ。私からもお祝いを言うわ」
「お姉様、幸せそうね」
「ええ、まあ」
一瞬にして、ポーリーナは冷めた視線になる。
「ヒースが言っていたわ。お姉様って彼を愛さなかったんでしょう? ヒースがどれほど寂しい思いをしてたか知ってる? レイブンに乗り換えて、さぞご満悦でしょうね」
「そんなんじゃないわ!」
驚いて声を荒げた。ヒースがそんなことを言うなんて。それともポーリーナの嘘だろうか。
「皆が見ているわ。声を小さくしてね?」
「私は式の日まで、花婿が違う人になっていただなんて知らなかった。ヒースを愛していたし、レイズナーなんて愛していなかった! 彼との結婚なんて望んでいなかったわ!」
言い切ると、今度はポーリーナが目を見開いた。
「嘘よ! お姉様の嘘つき!」
「ヴィクトリカが言っていることは本当さ」
突然、レイズナーの声がした。振り返ると、片手にワイングラスを持った彼がいる。
「俺は彼女欲しさに結婚を申し込み、君たちのお兄様はそれを認めた。ヴィクトリカ王女は、望まぬ結婚に身を堕とし、悪魔と評される極悪人と結ばれた。それが全てで、それ以外の真実などない」
ポーリーナは、ひどく打ちのめされた表情になる。私も冷静でいられなかった。たとえ始まりは無理矢理だったとしても、今はレイズナーと夫婦としてやっていきたいと思っている。
だけどレイズナーは凍り付くような冷酷な表情をしていた。彼を愛していないと言ったから? 今は違うと断言できるの? ――私は何も言えなくなる。
ポーリーナは私たちを見比べて、呆然と呟いた。
「そんな……そんなはずないわ」
ふらりと彼女は立ち上がり、パーティの中に戻っていく。私はレイズナーに向き合った。
「レイズナー、今のは違うのよ。いいえ、違くはないんだけど、少なくとも今は」
「分かっているさ。君の全ての煩いの原因は俺だ、だけど君を解放するつもりはない。残念ながら、一生ね」
レイズナーは少しも分かっていない。なんと説明しようかと考えていると、庭で楽しげに話す女性の声が聞こえ、はっとしたようにレイズナーは顔をそちらへ向けた。
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