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第34話 新たな誘い

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 ステフがわたしの席を用意して、お兄様たちが同意した後、本当にその席で昼食をとることになりました。

 食事中もわたしに騎士団でのことや社交界でのこと、聖女の活動中のこと等色んなお話をしたり、わたしに質問したりしていました。お陰でこんなにも会話が続いた食事を初めて経験することが出来ました。

 特に盛り上がったのは愛称でした。

「ステファニーのことはステフを呼んでいることですし、私のことはヴィヴィお姉様と呼んでも構いませんわ!」

「それなら俺はフィルお兄様と呼んでいいぞ!」

「では、私はジュリーお姉様と呼んでください~」

「わ、わかりました…」

「!!」

 この瞬間、いつも落ち着いていて礼儀正しいお兄様達から想像できない程強いガッツポーズをしていました。普段とのギャップが凄まじいです。

 ですが——

「そうですわフェリクス!貴方もう少し剣術の訓練加減しなさい!いつもどこか怪我をしながらシエルは学問の勉強しているんですわよ!」

「これくらいやらないと成長が進まないだ!それよりも、ヴィヴィアンヌが学問の担当をすると時間が伸びると聞いているぞ!その分を剣術に回してほしいくらいだ!」

「ではここは間をとって、私がシエルちゃんとお茶会する時間を加えるということにしましょ~」

「「全く間をとってない!」ですわ!」

「それならステフがお姉さまとお茶会する!いいでしょお姉さま?」

 こんな風に家族で仲良く話したり、食事を出来て、とても嬉しかったです!お兄様たちの知らない一面も見ることが出来ましたし、今度はお父様やお母様——他の兄弟たちとも一緒に食べたいです!



 そんな楽しい昼食から数時間後のこと。わたしは帰ってきたお母様に執務室へ呼び出されました。

「——ロドルフ様から?」

「そうだ。再来週パーン侯爵家で行われる社交パーティにロドルフ・ルナルドが招待されそうだ。そこで婚約者であるシエルも同伴してほしいと、手紙が来ている」

 わたしはお母様から手紙を受け取り中を拝見すると、お母様の言う通りの内容が記されていました。

「どうせ連れて行って、大勢の前でシエルを貶すだけですわ!行く必要なんてありませんわ!」

「それを決めるのはヴィヴィアンヌ、お前ではないだろう?」

「うっ……」

 わたしを思ってそう言って下さったヴィヴィお姉様ですが、お母様の鋭い眼差しと言葉に何も言えなくなりました。こういうお姉様を見るのは初めて驚きです。

 さて、問題のパーティですが……答えは既に決まっています。

「同伴致します。例えパーティで何があろうとも、わたしは逃げないと決めていますので……!」

「ふっ……わかった。そう返事をするといい——」

 お母様が話を切り上げようとした瞬間、コンコンコンと執務室の扉が叩かれました。

「誰だ?」

「ステファニーです!」

「ステフ?……いいぞ」

 お母様はわたしを一瞥してから許可を出しました。ステフは執務室の扉を開け、綺麗にカーテシーをとりました。

「おはなしちゅうにしつれいします!」

「どうしたんだ?ステフがここに来るなんて珍しい」

「はい!さっきシエルお姉さまがパーティにいくって言ってましたよね?」

「はい、それが何か……?」

「そのパーティ、ステフもいきます!」

 ステフの言葉に、わたしたちは耳を疑いました。 
 


 



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