34 / 35
第34話 新たな誘い
しおりを挟む
ステフがわたしの席を用意して、お兄様たちが同意した後、本当にその席で昼食をとることになりました。
食事中もわたしに騎士団でのことや社交界でのこと、聖女の活動中のこと等色んなお話をしたり、わたしに質問したりしていました。お陰でこんなにも会話が続いた食事を初めて経験することが出来ました。
特に盛り上がったのは愛称でした。
「ステファニーのことはステフを呼んでいることですし、私のことはヴィヴィお姉様と呼んでも構いませんわ!」
「それなら俺はフィルお兄様と呼んでいいぞ!」
「では、私はジュリーお姉様と呼んでください~」
「わ、わかりました…」
「!!」
この瞬間、いつも落ち着いていて礼儀正しいお兄様達から想像できない程強いガッツポーズをしていました。普段とのギャップが凄まじいです。
ですが——
「そうですわフェリクス!貴方もう少し剣術の訓練加減しなさい!いつもどこか怪我をしながらシエルは学問の勉強しているんですわよ!」
「これくらいやらないと成長が進まないだ!それよりも、ヴィヴィアンヌが学問の担当をすると時間が伸びると聞いているぞ!その分を剣術に回してほしいくらいだ!」
「ではここは間をとって、私がシエルちゃんとお茶会する時間を加えるということにしましょ~」
「「全く間をとってない!」ですわ!」
「それならステフがお姉さまとお茶会する!いいでしょお姉さま?」
こんな風に家族で仲良く話したり、食事を出来て、とても嬉しかったです!お兄様たちの知らない一面も見ることが出来ましたし、今度はお父様やお母様——他の兄弟たちとも一緒に食べたいです!
そんな楽しい昼食から数時間後のこと。わたしは帰ってきたお母様に執務室へ呼び出されました。
「——ロドルフ様から?」
「そうだ。再来週パーン侯爵家で行われる社交パーティにロドルフ・ルナルドが招待されそうだ。そこで婚約者であるシエルも同伴してほしいと、手紙が来ている」
わたしはお母様から手紙を受け取り中を拝見すると、お母様の言う通りの内容が記されていました。
「どうせ連れて行って、大勢の前でシエルを貶すだけですわ!行く必要なんてありませんわ!」
「それを決めるのはヴィヴィアンヌ、お前ではないだろう?」
「うっ……」
わたしを思ってそう言って下さったヴィヴィお姉様ですが、お母様の鋭い眼差しと言葉に何も言えなくなりました。こういうお姉様を見るのは初めて驚きです。
さて、問題のパーティですが……答えは既に決まっています。
「同伴致します。例えパーティで何があろうとも、わたしは逃げないと決めていますので……!」
「ふっ……わかった。そう返事をするといい——」
お母様が話を切り上げようとした瞬間、コンコンコンと執務室の扉が叩かれました。
「誰だ?」
「ステファニーです!」
「ステフ?……いいぞ」
お母様はわたしを一瞥してから許可を出しました。ステフは執務室の扉を開け、綺麗にカーテシーをとりました。
「おはなしちゅうにしつれいします!」
「どうしたんだ?ステフがここに来るなんて珍しい」
「はい!さっきシエルお姉さまがパーティにいくって言ってましたよね?」
「はい、それが何か……?」
「そのパーティ、ステフもいきます!」
ステフの言葉に、わたしたちは耳を疑いました。
食事中もわたしに騎士団でのことや社交界でのこと、聖女の活動中のこと等色んなお話をしたり、わたしに質問したりしていました。お陰でこんなにも会話が続いた食事を初めて経験することが出来ました。
特に盛り上がったのは愛称でした。
「ステファニーのことはステフを呼んでいることですし、私のことはヴィヴィお姉様と呼んでも構いませんわ!」
「それなら俺はフィルお兄様と呼んでいいぞ!」
「では、私はジュリーお姉様と呼んでください~」
「わ、わかりました…」
「!!」
この瞬間、いつも落ち着いていて礼儀正しいお兄様達から想像できない程強いガッツポーズをしていました。普段とのギャップが凄まじいです。
ですが——
「そうですわフェリクス!貴方もう少し剣術の訓練加減しなさい!いつもどこか怪我をしながらシエルは学問の勉強しているんですわよ!」
「これくらいやらないと成長が進まないだ!それよりも、ヴィヴィアンヌが学問の担当をすると時間が伸びると聞いているぞ!その分を剣術に回してほしいくらいだ!」
「ではここは間をとって、私がシエルちゃんとお茶会する時間を加えるということにしましょ~」
「「全く間をとってない!」ですわ!」
「それならステフがお姉さまとお茶会する!いいでしょお姉さま?」
こんな風に家族で仲良く話したり、食事を出来て、とても嬉しかったです!お兄様たちの知らない一面も見ることが出来ましたし、今度はお父様やお母様——他の兄弟たちとも一緒に食べたいです!
そんな楽しい昼食から数時間後のこと。わたしは帰ってきたお母様に執務室へ呼び出されました。
「——ロドルフ様から?」
「そうだ。再来週パーン侯爵家で行われる社交パーティにロドルフ・ルナルドが招待されそうだ。そこで婚約者であるシエルも同伴してほしいと、手紙が来ている」
わたしはお母様から手紙を受け取り中を拝見すると、お母様の言う通りの内容が記されていました。
「どうせ連れて行って、大勢の前でシエルを貶すだけですわ!行く必要なんてありませんわ!」
「それを決めるのはヴィヴィアンヌ、お前ではないだろう?」
「うっ……」
わたしを思ってそう言って下さったヴィヴィお姉様ですが、お母様の鋭い眼差しと言葉に何も言えなくなりました。こういうお姉様を見るのは初めて驚きです。
さて、問題のパーティですが……答えは既に決まっています。
「同伴致します。例えパーティで何があろうとも、わたしは逃げないと決めていますので……!」
「ふっ……わかった。そう返事をするといい——」
お母様が話を切り上げようとした瞬間、コンコンコンと執務室の扉が叩かれました。
「誰だ?」
「ステファニーです!」
「ステフ?……いいぞ」
お母様はわたしを一瞥してから許可を出しました。ステフは執務室の扉を開け、綺麗にカーテシーをとりました。
「おはなしちゅうにしつれいします!」
「どうしたんだ?ステフがここに来るなんて珍しい」
「はい!さっきシエルお姉さまがパーティにいくって言ってましたよね?」
「はい、それが何か……?」
「そのパーティ、ステフもいきます!」
ステフの言葉に、わたしたちは耳を疑いました。
0
お気に入りに追加
36
あなたにおすすめの小説
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました
下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。
ご都合主義のSS。
お父様、キャラチェンジが激しくないですか。
小説家になろう様でも投稿しています。
突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!
至って普通のネグレクト系脇役お姫様に転生したようなので物語の主人公である姉姫さまから主役の座を奪い取りにいきます
下菊みこと
恋愛
至って普通の女子高生でありながら事故に巻き込まれ(というか自分から首を突っ込み)転生した天宮めぐ。転生した先はよく知った大好きな恋愛小説の世界。でも主人公ではなくほぼ登場しない脇役姫に転生してしまった。姉姫は優しくて朗らかで誰からも愛されて、両親である国王、王妃に愛され貴公子達からもモテモテ。一方自分は妾の子で陰鬱で誰からも愛されておらず王位継承権もあってないに等しいお姫様になる予定。こんな待遇満足できるか!羨ましさこそあれど恨みはない姉姫さまを守りつつ、目指せ隣国の王太子ルート!小説家になろう様でも「主人公気質なわけでもなく恋愛フラグもなければ死亡フラグに満ち溢れているわけでもない至って普通のネグレクト系脇役お姫様に転生したようなので物語の主人公である姉姫さまから主役の座を奪い取りにいきます」というタイトルで掲載しています。
公爵様、契約通り、跡継ぎを身籠りました!-もう契約は満了ですわよ・・・ね?ちょっと待って、どうして契約が終わらないんでしょうかぁぁ?!-
猫まんじゅう
恋愛
そう、没落寸前の実家を助けて頂く代わりに、跡継ぎを産む事を条件にした契約結婚だったのです。
無事跡継ぎを妊娠したフィリス。夫であるバルモント公爵との契約達成は出産までの約9か月となった。
筈だったのです······が?
◆◇◆
「この結婚は契約結婚だ。貴女の実家の財の工面はする。代わりに、貴女には私の跡継ぎを産んでもらおう」
拝啓、公爵様。財政に悩んでいた私の家を助ける代わりに、跡継ぎを産むという一時的な契約結婚でございましたよね・・・?ええ、跡継ぎは産みました。なぜ、まだ契約が完了しないんでしょうか?
「ちょ、ちょ、ちょっと待ってくださいませええ!この契約!あと・・・、一体あと、何人子供を産めば契約が満了になるのですッ!!?」
溺愛と、悪阻(ツワリ)ルートは二人がお互いに想いを通じ合わせても終わらない?
◆◇◆
安心保障のR15設定。
描写の直接的な表現はありませんが、”匂わせ”も気になる吐き悪阻体質の方はご注意ください。
ゆるゆる設定のコメディ要素あり。
つわりに付随する嘔吐表現などが多く含まれます。
※妊娠に関する内容を含みます。
【2023/07/15/9:00〜07/17/15:00, HOTランキング1位ありがとうございます!】
こちらは小説家になろうでも完結掲載しております(詳細はあとがきにて、)
愚かな父にサヨナラと《完結》
アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」
父の言葉は最後の一線を越えてしまった。
その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・
悲劇の本当の始まりはもっと昔から。
言えることはただひとつ
私の幸せに貴方はいりません
✈他社にも同時公開
ボロ雑巾な伯爵夫人、やっと『家族』を手に入れました。~旦那様から棄てられて、ギブ&テイクでハートフルな共同生活を始めます2~
野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
第二夫人に最愛の旦那様も息子も奪われ、挙句の果てに家から追い出された伯爵夫人・フィーリアは、なけなしの餞別だけを持って大雨の中を歩き続けていたところ、とある男の子たちに出会う。
言葉汚く直情的で、だけど決してフィーリアを無視したりはしない、ディーダ。
喋り方こそ柔らかいが、その実どこか冷めた毒舌家である、ノイン。
12、3歳ほどに見える彼らとひょんな事から共同生活を始めた彼女は、人々の優しさに触れて少しずつ自身の居場所を確立していく。
====
●本作は「ボロ雑巾な伯爵夫人、旦那様から棄てられて、ギブ&テイクでハートフルな共同生活を始めます。」からの続き作品です。
前作では、二人との出会い~同居を描いています。
順番に読んでくださる方は、目次下にリンクを張っておりますので、そちらからお入りください。
※アプリで閲覧くださっている方は、タイトルで検索いただけますと表示されます。
日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
魔力無しだと追放されたので、今後一切かかわりたくありません。魔力回復薬が欲しい?知りませんけど
富士とまと
ファンタジー
一緒に異世界に召喚された従妹は魔力が高く、私は魔力がゼロだそうだ。
「私は聖女になるかも、姉さんバイバイ」とイケメンを侍らせた従妹に手を振られ、私は王都を追放された。
魔力はないけれど、霊感は日本にいたころから強かったんだよね。そのおかげで「英霊」だとか「精霊」だとかに盲愛されています。
――いや、あの、精霊の指輪とかいらないんですけど、は、外れない?!
――ってか、イケメン幽霊が号泣って、私が悪いの?
私を追放した王都の人たちが困っている?従妹が大変な目にあってる?魔力ゼロを低級民と馬鹿にしてきた人たちが助けを求めているようですが……。
今更、魔力ゼロの人間にしか作れない特級魔力回復薬が欲しいとか言われてもね、こちらはあなたたちから何も欲しいわけじゃないのですけど。
重複投稿ですが、改稿してます
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる