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第26話 フェリクスお兄様との稽古

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 フェリクスお兄様に稽古を付けていただいた日から1ヶ月が経ちました。

「まだだ!まだ踏み込みが足りないぞ!それじゃあ斬っても意味がない!」

「はい!」

 あの日以来、学園と護衛が休みの日にわたしに稽古を付けてくださるようになりました。稽古は基本実戦を想定した打ち合いなのですが……正直コリー先生より過酷です。厳しいです。剣の角度や姿勢までも指摘され、その度にお手本でわたしに打ち込んできます。当たるととても痛いです。

 ですが……

「いいぞ!今の技を忘れるな!」

「そうだ!その力加減だ!」

「やるじゃないか!その調子だ!」

 しっかり斬りつけられた時、お兄様はすぐに褒めてくださいました。それがとても嬉しくて、痛いのなんて吹き飛んでしまいます。



「よし、今日はここまでにしよう」

「はい、ありがとうございました!」

 稽古が終わり、わたしは納刀をして一礼をしました。すると稽古を見ていたコリー先生が微笑みながら拍手しました。

「とうとうフェリクス卿と稽古をしても息が上がらなくなりましたね」

「はい、初めの頃は稽古の途中で倒れていましたから」

 正直、フェリクスお兄様はコリー先生よりも強い。“両腕だから“というだけではありません。コリー先生に対して少し攻められた技も、フェリクスお兄様の前では全く通用しません。ですのでコリー先生と打ち合いをした時よりも体力を使います。

 ですが、そんなフェリクスお兄様を相手に息が上がらずにいられるということは——

「そうだな!俺の4割について来られたんだ!さらに上げても問題ないな!」

 ……道はまだまだ遠そうです。



 それからしばらくして、身体を綺麗にして普段着に着替えたわたしは、屋敷の図書館で本を広げています。学問の授業までまだ時間がありますので予習をしています。テストの正解率は上がっていますが、それでもまだまだです。学問も剣術と同様に伸ばしていかなくては……!

「とは言うものの……やはりここの数式がわかりません。どうしてこうなるのでしょう?」

 ここは前回のテストで不正解だったところなのですが……やはりわかりません。どうすればいいのでしょうか?

 わたしは首を傾げながら本と睨めっこをしていると……

「あら、本当にいましたわ」

 私に向けて放たれた言葉に顔を上げました。そして、そこに立っていた人物に驚きました。

「ヴィヴィアンヌお姉様!?」

 海のような青い綺麗な長い髪に、凛とした綺麗な顔立ち、そしてチョコレート色の目。ヴィヴィアンヌお姉様がわたしを見下ろし腕を組んでいました!

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