夢を売る者

ロベルト•バッジォ

文字の大きさ
上 下
6 / 10

お約束ごと

しおりを挟む
「当店は初めてですか?」

と、占い師に質問された僕は、そもそも占い屋さんに来るのが生まれて初めてであることを伝えた。

すると、占い師は

「ふふっ」と、また綺麗な声を出して笑い、僕に言った。

「ここは、あなたに、好きな夢を見ていただくための場所なんです。
 占いではありませんよ。」

、、、は?

夢を見せる?

なんの話だ?ていうか、夢を見せるって、叶えるの方の夢?それとも寝て見る方の夢?いずれにしろ、そんなこと可能なのか?

僕は、占い師の言葉に唖然としていたところ、占い師から一枚の紙を出された。

「ここに名前と住所、電話番号、緊急時の連絡先を書いてください。」

「この欄には、自分の見たい夢について、簡単に記載してください。」

「えっと、これって、、」

「ふふふっ、説明しますね。
 この用紙を書いてもらった後、あなたに、この奥にあるベッドで寝てもらいます。」

眠る方の夢だということがわかった。

続けて、占い師は言った。


「条件は簡単です。
 私と手を繋ぎながら寝るだけです。
 そうすれば、あなたは、眠りについた時、自分の好きな夢を見ることができます。」

本当にそんなことができるのか?

超能力か何かなのか?

サングラスとマスクで顔はよくわからないけど、声と雰囲気から、僕と同い年くらいの女の子だと思う。

こんな普通の女の子に、そんな特別な能力があるなんて、俄かに信じれなかった。

でも、少し冷静に考えてみれば、とりあえず適当にこの場をやり過ごせばいいやと、僕は思った。

占いみたいなもので、当たる時は当たる。

うまくいけば、自分が考えていた夢の様なものが見れるとか、そんな大したことないオチだろう。

妄想と大して変わらないだろう等と思った僕は、久しく帰っていなかった実家に帰った夢を見たい等と記入して、その用紙を占い師に提出した。

すると、占い師は言った。

「夢の時間は、現実の時間で15分程度です。」

「最後に、大事な注意事項があります。
 時間が来たら、私が合図をしますので、夢に入った時、自分が降り立った場所に、必ず戻ってきてください。
 戻ってこないと、起きれなくなるかもしれません。」

僕は、占い師の説明を聞いて、奥のベッドで仰向けになった。

アロマの香りが、照明の薄暗さとマッチして、とても、居心地が良かった。

僕が目を瞑ると、占い師が僕の左手を握ってきた。

占い師の手は、とても細く、そして、冷たかった。



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子

ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。 Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。

生贄にされた先は、エロエロ神世界

雑煮
恋愛
村の習慣で50年に一度の生贄にされた少女。だが、少女を待っていたのはしではなくどエロい使命だった。

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

彼女の母は蜜の味

緋山悠希
恋愛
ある日、彼女の深雪からお母さんを買い物に連れて行ってあげて欲しいと頼まれる。密かに綺麗なお母さんとの2人の時間に期待を抱きながら「別にいいよ」と優しい彼氏を演じる健二。そんな健二に待っていたのは大人の女性の洗礼だった…

婚約者の幼馴染?それが何か?

仏白目
恋愛
タバサは学園で婚約者のリカルドと食堂で昼食をとっていた 「あ〜、リカルドここにいたの?もう、待っててっていったのにぃ〜」 目の前にいる私の事はガン無視である 「マリサ・・・これからはタバサと昼食は一緒にとるから、君は遠慮してくれないか?」 リカルドにそう言われたマリサは 「酷いわ!リカルド!私達あんなに愛し合っていたのに、私を捨てるの?」 ん?愛し合っていた?今聞き捨てならない言葉が・・・ 「マリサ!誤解を招くような言い方はやめてくれ!僕たちは幼馴染ってだけだろう?」 「そんな!リカルド酷い!」 マリサはテーブルに突っ伏してワアワア泣き出した、およそ貴族令嬢とは思えない姿を晒している  この騒ぎ自体 とんだ恥晒しだわ タバサは席を立ち 冷めた目でリカルドを見ると、「この事は父に相談します、お先に失礼しますわ」 「まってくれタバサ!誤解なんだ」 リカルドを置いて、タバサは席を立った

処理中です...