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由布の隧道
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由布院に行った。鳥栖を出るときに駅員が「車両トラブルの所為で『ゆふ』が大体2,3時間遅れていますから、乗車券だけで構いません」と言ったので乗車券だけで乗り込んだ。筑後吉井という駅に着いて、待ち合わせで1時間ほど止まると言った。列車はエンジンを回して、退屈そうに止まっている。4,50分ほど経っただろうか、列車は動き出して日田や天ヶ瀬、豊後森等に止まって長い、長いトンネルを幾つか抜けて、由布院の駅に着いた。降りて、改札に行くと観光地ながらも片田舎らしい有人改札だった。駅員に乗車券を渡すと「特急券はどうなさいました」と言った。「鳥栖で買おうと思ったけど、駅員が遅れてるから要らない。と言ってたから買ってない」と言うと「まぁ、どうせ払い戻しなので良いです。」と呆れながら通してくれた。待合室から出ると今朝の雨でよく見えるようになった由布岳が夏空の入道雲の周りに見える。駅前の紫陽花達も雨水で川面の様に輝いている。温泉に入っても人はだれも居ない。駅に戻ると馬車が止まっていた。どことなく異国の情緒だが、湿気っているからどうも日本の感覚が抜けない。別府まで行って駅前の高等温泉に入ってから、帰ってきた。鳥栖駅で降りると夜の入道雲が、微かな月明かりに照らされていた。
それから数年して、別府に用事があって、由布院で5分停車があったから由布院で降りてみた。夏の初めであったから車室は冷房がキンキンに効いていて、車外はエンジンの排気も相まってとても暑い。太陽は意気揚々と私を照らし、夏雲は高く私を見下ろしている。愈々出発かどうか、という頃合いに外を眺めると馬車が停車していた。乗り込むのを確認すると車掌が扉を閉めて、列車は由布院の里を出発していった。後ろに見えるのは遥かに聳える帽子を被った、由布岳である。
それから数年して、別府に用事があって、由布院で5分停車があったから由布院で降りてみた。夏の初めであったから車室は冷房がキンキンに効いていて、車外はエンジンの排気も相まってとても暑い。太陽は意気揚々と私を照らし、夏雲は高く私を見下ろしている。愈々出発かどうか、という頃合いに外を眺めると馬車が停車していた。乗り込むのを確認すると車掌が扉を閉めて、列車は由布院の里を出発していった。後ろに見えるのは遥かに聳える帽子を被った、由布岳である。
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