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縞 理央 編
期待と不案が脈を打つ
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全体的に誰が見てもこの青春と言うのは
理不尽極まりない。青春を美味しい物だと
味わえるのは容姿の整った美男美女。
会話も上手く無いといけない。クラスの真ん中を陣取る陽キャ達は執拗に俺ら陰を煙たがる。「消えろ」「キモい」「ヲタク死ね」
とか散々な言葉を吐き散らかして恰も自分が
正しいのだとクラスに主張する。
「……ひどいよ亀谷さん」
「何が?」
「これ限定のフィギュアだったのに」
「は?アンタがそんなところに置いてたからいけないんでしょ?」
ほらほら。また被害者がまた陽に炙り殺され
ている陰がいた。亀谷と言う女子生徒は
クラスの中の中心人物であり、それを支持する男子生徒やら女子生徒は多い。そして亀谷は陰の男子のフィギュアを踏み潰してしまった。
「謝ってください」
「は?何で?」
「いいから謝ってください」
そう言うと、亀谷の奥の方からいかにも
陽キャ感丸出しの陰が思うイメージのまま
の金髪ピアスの男子が亀谷の手助けをする
ように割って入って来る。
「何だお前?亀谷に文句でもあんのか?」
怯みそうになる男子、そしてそれにつけいる
ようにズバズバと罵詈雑言を浴びせる金髪。
「吉永君には関係ないよ」
「関係あるんだわ!俺の彼女だしな、いいよ俺が話を聞いてやるからちょっと廊下にでも出ようぜ」
「離せ」
肩を掴まれそして金髪と共に廊下に消えて
行き。数分後に戻って来た時には別人の
ように変わっていた。
「で?文句は?」
「無いです……」
残酷な光景だ。何一つとして悪い所はない
ただ、間違えてフィギュアを落としてそれを
踏まれ謝ってとしか言っていないのが現状。
「……」
哀れだ。ただ容姿の違いも含めての惨憺たる
日常。こんな日常がいつのものように続くと
思うと何だか憤りを感じてしまうな。
「……」
黙ってこの景色を見ているしかない。
耐え忍ぶ事しかできない。
「……」
「うるさいな!もう!」
突拍子の無い出来事、ありもしないと思った
所から声が聞こえた。窓側の一番後ろの席
からそして優はそこに目を向けた。
「黒森凜……」
美しさだけが目立った。あんなにも端の方の
席に居ると言うのに。地味で根暗な俺が一番
好む席。そんな場所に居ても彼女は凛として
そしてそこに儚げ咲く花のように美しかった。
「……」
「……」
斜陽黒森凜の席を照らした。薄っすらと微笑み、片手にはタピオカジュースを持っている。そして口を開けてストローを咥えて
チューチューと吸い始める。
「……」
黒森凜の吸う音だけがこのクラスの唯一の
音になってしまうくらいに皆が沈黙して
しまった、そして黒森凜は優を見つめた。
「何だ……一体」
「これがそうなのか、あの先生もよくわからないな」
黒森凜はこちらを見つめながら何か喋っていた。だが何を言っているかまでは理解出来なかった。距離としてもそんなには遠くない
そしてこの静けさの中なら尚更聞きやすい
はずなのにそれでも彼女の声は届かなかった。
「てかみんな黙り過ぎでしょ」
「ぷはぁ……」
「はぁはぁ……」
息を止めていた者まで現れた。やはりこの
天下五一の女子達は何か特別な力を持って
いる、それが何かはわからないけれど。
一言黙れと言えば皆が黙る。
「力かそれは」
優はボソッと喋ってしまった。
凜は優を見つめ。
「ん?何が?」
「天下五一って言うのはこの学園にとっての何なんだ?」
「……」
ニコニコと。だが眉間に皺が寄っているのは
誰が見てもわかる。クラスメイトは恐怖の
あまり逃げたしそうになる、それと自分は
知りませんそいつは誰ですか?などと現実逃避をする者まで現れていた。
「君はここの学園の生徒なの本当にー?」
「いいから答えろよ」
凜はニッコリと女神のように。
そして優の方へと近づいて行き優だけに
恐ろし気なゲス顔のように人をバカにした
ような表情を見せて来て。
「天下五一ってのはね、この学園にとってにの絶対なんだよ!お前らゴミインキャと違って…… わかる?お前らは何一つを取ったとし
ても私達には勝てないよ、まぁ取るモンなんかは無いだろけど」
酷く醜い表情をしている。怒りのままの
そう子供が駄々を捏ねるようなそんな
幼なげな怒りにも見えてしまう。
「……」
視線と視線がぶつかる。
それを見たクラスメイトはただ唖然と
その場に留まっていた。
「演説は終わったかい?」
「……何言ってんのお前?」
「そのまんまだよ」
そんな風な会話をしているのをたまたま
廊下を歩いていた縞理央は見てしまった。
天下五一が一人黒森凜と自分が心の底から
信用する事が出来た大事な相談相手の優が
いま黒森凜と揉めている理由は知らないけど。
「二人共やめなよ」
縞理央が来た瞬間にクラスメイトは
驚きを隠し切れず。
「おいまじかよ」
「天下五一の二人がいるぞ」
「しかも凜様と理央様だぞ」
「激アツアツ!」
「興奮してきた」
そんな会話が四方八方に聞こえて来る。
天下五一はこの学園に於ける絶対的権力、
先生達はこれを容認しているのか?
どうなんだ?
二人の間に手を伸ばし「落ち着いて」と
喋る理央、手を伸ばしたが為に距離が
離れていく優と凜。
「理央はさ、何で止めに入ったの?」
「え?」
理不尽極まりない。青春を美味しい物だと
味わえるのは容姿の整った美男美女。
会話も上手く無いといけない。クラスの真ん中を陣取る陽キャ達は執拗に俺ら陰を煙たがる。「消えろ」「キモい」「ヲタク死ね」
とか散々な言葉を吐き散らかして恰も自分が
正しいのだとクラスに主張する。
「……ひどいよ亀谷さん」
「何が?」
「これ限定のフィギュアだったのに」
「は?アンタがそんなところに置いてたからいけないんでしょ?」
ほらほら。また被害者がまた陽に炙り殺され
ている陰がいた。亀谷と言う女子生徒は
クラスの中の中心人物であり、それを支持する男子生徒やら女子生徒は多い。そして亀谷は陰の男子のフィギュアを踏み潰してしまった。
「謝ってください」
「は?何で?」
「いいから謝ってください」
そう言うと、亀谷の奥の方からいかにも
陽キャ感丸出しの陰が思うイメージのまま
の金髪ピアスの男子が亀谷の手助けをする
ように割って入って来る。
「何だお前?亀谷に文句でもあんのか?」
怯みそうになる男子、そしてそれにつけいる
ようにズバズバと罵詈雑言を浴びせる金髪。
「吉永君には関係ないよ」
「関係あるんだわ!俺の彼女だしな、いいよ俺が話を聞いてやるからちょっと廊下にでも出ようぜ」
「離せ」
肩を掴まれそして金髪と共に廊下に消えて
行き。数分後に戻って来た時には別人の
ように変わっていた。
「で?文句は?」
「無いです……」
残酷な光景だ。何一つとして悪い所はない
ただ、間違えてフィギュアを落としてそれを
踏まれ謝ってとしか言っていないのが現状。
「……」
哀れだ。ただ容姿の違いも含めての惨憺たる
日常。こんな日常がいつのものように続くと
思うと何だか憤りを感じてしまうな。
「……」
黙ってこの景色を見ているしかない。
耐え忍ぶ事しかできない。
「……」
「うるさいな!もう!」
突拍子の無い出来事、ありもしないと思った
所から声が聞こえた。窓側の一番後ろの席
からそして優はそこに目を向けた。
「黒森凜……」
美しさだけが目立った。あんなにも端の方の
席に居ると言うのに。地味で根暗な俺が一番
好む席。そんな場所に居ても彼女は凛として
そしてそこに儚げ咲く花のように美しかった。
「……」
「……」
斜陽黒森凜の席を照らした。薄っすらと微笑み、片手にはタピオカジュースを持っている。そして口を開けてストローを咥えて
チューチューと吸い始める。
「……」
黒森凜の吸う音だけがこのクラスの唯一の
音になってしまうくらいに皆が沈黙して
しまった、そして黒森凜は優を見つめた。
「何だ……一体」
「これがそうなのか、あの先生もよくわからないな」
黒森凜はこちらを見つめながら何か喋っていた。だが何を言っているかまでは理解出来なかった。距離としてもそんなには遠くない
そしてこの静けさの中なら尚更聞きやすい
はずなのにそれでも彼女の声は届かなかった。
「てかみんな黙り過ぎでしょ」
「ぷはぁ……」
「はぁはぁ……」
息を止めていた者まで現れた。やはりこの
天下五一の女子達は何か特別な力を持って
いる、それが何かはわからないけれど。
一言黙れと言えば皆が黙る。
「力かそれは」
優はボソッと喋ってしまった。
凜は優を見つめ。
「ん?何が?」
「天下五一って言うのはこの学園にとっての何なんだ?」
「……」
ニコニコと。だが眉間に皺が寄っているのは
誰が見てもわかる。クラスメイトは恐怖の
あまり逃げたしそうになる、それと自分は
知りませんそいつは誰ですか?などと現実逃避をする者まで現れていた。
「君はここの学園の生徒なの本当にー?」
「いいから答えろよ」
凜はニッコリと女神のように。
そして優の方へと近づいて行き優だけに
恐ろし気なゲス顔のように人をバカにした
ような表情を見せて来て。
「天下五一ってのはね、この学園にとってにの絶対なんだよ!お前らゴミインキャと違って…… わかる?お前らは何一つを取ったとし
ても私達には勝てないよ、まぁ取るモンなんかは無いだろけど」
酷く醜い表情をしている。怒りのままの
そう子供が駄々を捏ねるようなそんな
幼なげな怒りにも見えてしまう。
「……」
視線と視線がぶつかる。
それを見たクラスメイトはただ唖然と
その場に留まっていた。
「演説は終わったかい?」
「……何言ってんのお前?」
「そのまんまだよ」
そんな風な会話をしているのをたまたま
廊下を歩いていた縞理央は見てしまった。
天下五一が一人黒森凜と自分が心の底から
信用する事が出来た大事な相談相手の優が
いま黒森凜と揉めている理由は知らないけど。
「二人共やめなよ」
縞理央が来た瞬間にクラスメイトは
驚きを隠し切れず。
「おいまじかよ」
「天下五一の二人がいるぞ」
「しかも凜様と理央様だぞ」
「激アツアツ!」
「興奮してきた」
そんな会話が四方八方に聞こえて来る。
天下五一はこの学園に於ける絶対的権力、
先生達はこれを容認しているのか?
どうなんだ?
二人の間に手を伸ばし「落ち着いて」と
喋る理央、手を伸ばしたが為に距離が
離れていく優と凜。
「理央はさ、何で止めに入ったの?」
「え?」
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