29 / 56
王家の謎
28. 夜明けの時 〜リーゼロッテ〜
しおりを挟む
目が覚めると、かすかな光がカーテンの隙間から差し込む他に明かりはなく、辺りは薄暗かった。
(ここは……私の部屋?)
薄闇に視界が慣れるのを待って辺りをきょろきょろと見回すと、私が寝ているベッドの脇で、アンナが顔を突っ伏して眠っていた。
(そっか、私……)
ぼんやりとした頭の中、倒れる直前のことを思い出す。
王城で開かれる舞踏会に参加しようと、会場前まで行ったところで、ユリウスの叫び声が聞こえて。
(ああ……ついにやってしまったわ)
ヴィンフリート殿下からのお誘いを、最悪な形で台無しにしてしまった。殿下との条約も思いっきり破ってしまった。
すやすやと寝息を立てるアンナを起こさないように、そうっとベッドから抜け出した。
静かにゆっくり扉を開けリビングへ行くと、ソファに腰掛けたまま眠っているユリウスがいた。
(二人にも迷惑かけちゃったわね)
どうお詫びすれば良いか考えながら、音を立てないように注意しながら洗面台の方へ行く。さっと顔を洗い、鏡を見れば顔色はそれほど悪くない。一晩寝てすっきり回復したみたいだった。
(良かった……)
とそこへ、アンナのつんざくような悲鳴が早朝の清々しい空気を切り裂いた。
「姫様! 姫様がいない! 一大事じゃー」
「何い! 誰がリゼ様を!」
びっくりして飛び起きたのだろうユリウスの雄叫びも聞こえる。全く大袈裟な、と苦笑を漏らしながら洗面所からひょこりと顔を覗かせた。
「ここにいるわよ」
「姫様!」
「リゼ様ご無事でしたか」
二人はさっと私の方へ駆け寄ると、その場に跪き深く頭を下げた。
「昨夜はリゼ様の不調に気付かず大変申し訳ありませんでした」
「私もまさかこんなことになるとは思わず……やっぱりあの時無理にでもお止めするべきでした。すみません」
ペコペコと何度も頭を下げる二人に、私の方がいたたまれない気持ちになる。
「二人とも顔を上げて。昨夜のことは、私の自己管理ができてなかったせいなんだから、二人のせいじゃないわ」
「しかし」
「私の方が二人に迷惑かけて申し訳なかったわね。ごめんなさい。今度きちんと埋め合わせするわ」
「姫様……」
にっこり笑って見せると、ようやく二人は立ち上がり、少しだけ笑ってくれた。
「姫様、体調はもう良いのですか」
「ええ、一晩でだいぶ良くなったみたい」
「でしたら」
ユリウスがずいと歩み寄り、私の顔色を確認してから口を開いた。
「殿下がリゼ様とお話ししたいそうです。お会いになられますか」
「殿下が?」
それはまだ早いでしょ、と小突くアンナを適当にあしらいながら、ユリウスは強い瞳で頷いた。
昨夜、目の前でいきなり倒れ込んだ私のことを殿下はどう思っているんだろう。呆れたか、それとも怒り狂っているか。
ひょっとしたら、このまま婚約破棄、なんてこともあるかもしれない。大切な社交場に出られず約束も守れない、こんな役立たずの婚約者はいらない、と。
願ったり叶ったりのはずの想像が、私の胸をきつく締め上げた。
「良いわ。お会いしましょう」
決着が付くなら早い方が良い。この芽吹き始めたばかりの気持ちに目を背けていられる、今のうちに。
私の部屋に足を踏み入れるなり、殿下は厳しい顔つきで私を睨み付けた。
「出直そう」
殿下からしたら、私はまだ万全の状態には見えなかったらしい。私は慌ててベッドから体を起こした。
「いえ、大丈夫です。こんな格好でお許しいただけるのでしたら」
急に起き上がったせいで軽い目眩がして、殿下に手を握られた。ひんやりと冷たくて気持ちが良い。
目線を上げれば、殿下の端正な顔がすぐ間近にあった。やや垂れ下がった涼しげな目元に、彫りの深い凛々しい顔立ち。いつもは燃えるように激しい光を宿している瞳が、今日は静かに私を見下ろしている。
「体調はどうだ。辛くはないか」
「はい。一晩休んでだいぶ良くなりました。昨夜は大変申し訳ございませんでした。お誘いいただいたのに、台無しにしてしまって……」
誠心誠意、気持ちを込めて謝罪の言葉を口にし、頭を下げた。ベッドの上に座ったままだと軽い会釈にしか見えないかもしれないけれど、それでもきちんと私の気持ちを伝えたかった。
殿下は私の手を握ったまま、苦しそうに表情を歪めた。
「体調が悪かったなら無理もない。むしろ私の方が気づいてやるべきだった。すまない」
瞬間、私は何の反応もできずただ、馬鹿みたいに口を半開きのままぽかんとするばかりだった。
(殿下……怒ってない……?)
この面会が終わったら、今日は一日かけて地上へ戻る荷造りかしら、なんて考えていた私は、ただただ面食らい唖然とした。
「リーゼロッテが気にしていたのは、私が以前渡した、あれのことだろう」
殿下の言葉に、そういえばリビングに飾ったあれを見られたかもしれない、と思い当たった。片時も忘れないよう、あれを遵守しながらどう目的を遂行しようかと考えていた、あの条約。
「今日はそのことで話をしに来た」
私に向けられる殿下の視線は、いつかのサロンでの逢瀬の時のように温かく柔らかい。
「ディルクからリーゼロッテの話を聞いた。貴方は、私が思っているような人ではないらしい。だからあれを撤回したい」
(ディルクが?)
一体何を話したんだろう。私が婚約破棄されたくて色々画策していたこと? いや、そんな腹黒い女だって知られたら、殿下との結婚なんてますます遠のくからディルクはそんな話はしないだろう。
じゃあ何だろう。本当は字読めるんですよとか、ダンスも踊れるんですよとか、そんな話だろうか。でもそれで、あの条約を反故にする理由とは結びつかない。
少し躊躇ったものの、私は殿下に向けて少し強い口調で言い募った。
「ディルクが何を言ったか知りませんが、それはいけません。王子が一度出したものを取り下げるなんて、余程のことがない限り決してやってはいけません」
人の上に立つ者は、己の発言に責任を持つこと。簡単に撤回したり訂正したりするようでは、多くの人の信頼を勝ち取ることはできない。だからこそ、軽はずみな行動を起こすことは許されない。
そう私に教えて下さったのはオリバー様だった。
「私は大丈夫です。そのお心遣いをお伺いできただだけで充分です」
今回のことは私個人とのやりとりだけれど、それでも王族の、それも王位継承権を持つ方が、私とのいざこざで頭を下げたり自身の発言を撤回されるというのは、醜聞になりうる。
オリバー様が王になられて間もない頃、フローラと手に手を取り合いひっそり暮らしていた私は、よくオリバー様に諭された。王族たる者はこうあるべき、と蕩々と語るオリバー様の方がよっぽど態度も考えも王族らしかった。
こうしてオリバー様のことを思い出すのは、そう言えばとっても久しぶりな気がする。リングエラに来た始めの頃は毎日のように恋しく思っていたはずなのに。
「リゼ……と呼ばれていたな」
殿下の声にはっとして殿下の方に顔を向けた。優しい瞳の奥にうっすらと熱が宿っているように見えた。
「俺も君をリゼと呼んでも良いだろうか」
いつになく砕けた口調の殿下にどきりと胸が高鳴る。それに今、私の愛称を仰った? どこでそれを知ったんだろう。
殿下の茶色い瞳に宿された熱が次第に大きくなり、私まで熱に浮かされたように、何も言えないままこくりと頷いた。
「リゼ」
何度となく呼ばれたことのある自分の名前。それが殿下の声色に乗っただけで、全然違う言葉に聞こえる。
「これを肌身離さず付けていてほしい」
殿下の懐から取り出された四角い小箱を受け取る。蓋を開けてみれば、真紅の宝石を使った指輪だった。
「これは?」
「勘違いするな。結婚指輪は別で俺がちゃんと用意するつもりだ。これはその……この前の指輪の礼だ」
慌てて早口で捲し立てる殿下が、いつもと違って何だか幼く可愛らしく見える。怒ったように目を吊り上げながら、耳は真っ赤に染まっている。
「これを婚約者の証として、普段からつけていてほしい」
殿下からの初めての贈り物。殿下の髪のようにきらきらと光り輝く紅の指輪。
「ありがとうございます。大切にします」
さっそくつけてみる。私の指にぴったりと収まった指輪は見れば見るほど輝かしく、こそばゆい気分になる。
殿下の方に目を向けると、殿下も私をじっと見つめていた。茶色い切れ長の瞳が真っ直ぐに私を捕らえて離さない。身悶えしそうなほどの熱っぽさ。
その瞳がすっと細められ、殿下が微笑んでいることに気がついた。初めて見る殿下の笑顔。急に心臓の鼓動が早くなり、息苦しい。
ああ、殿下を慕う女性ってきっとこんな気持ちなのね、とぼんやり思いながら、私もゆっくり微笑んだ。
(ここは……私の部屋?)
薄闇に視界が慣れるのを待って辺りをきょろきょろと見回すと、私が寝ているベッドの脇で、アンナが顔を突っ伏して眠っていた。
(そっか、私……)
ぼんやりとした頭の中、倒れる直前のことを思い出す。
王城で開かれる舞踏会に参加しようと、会場前まで行ったところで、ユリウスの叫び声が聞こえて。
(ああ……ついにやってしまったわ)
ヴィンフリート殿下からのお誘いを、最悪な形で台無しにしてしまった。殿下との条約も思いっきり破ってしまった。
すやすやと寝息を立てるアンナを起こさないように、そうっとベッドから抜け出した。
静かにゆっくり扉を開けリビングへ行くと、ソファに腰掛けたまま眠っているユリウスがいた。
(二人にも迷惑かけちゃったわね)
どうお詫びすれば良いか考えながら、音を立てないように注意しながら洗面台の方へ行く。さっと顔を洗い、鏡を見れば顔色はそれほど悪くない。一晩寝てすっきり回復したみたいだった。
(良かった……)
とそこへ、アンナのつんざくような悲鳴が早朝の清々しい空気を切り裂いた。
「姫様! 姫様がいない! 一大事じゃー」
「何い! 誰がリゼ様を!」
びっくりして飛び起きたのだろうユリウスの雄叫びも聞こえる。全く大袈裟な、と苦笑を漏らしながら洗面所からひょこりと顔を覗かせた。
「ここにいるわよ」
「姫様!」
「リゼ様ご無事でしたか」
二人はさっと私の方へ駆け寄ると、その場に跪き深く頭を下げた。
「昨夜はリゼ様の不調に気付かず大変申し訳ありませんでした」
「私もまさかこんなことになるとは思わず……やっぱりあの時無理にでもお止めするべきでした。すみません」
ペコペコと何度も頭を下げる二人に、私の方がいたたまれない気持ちになる。
「二人とも顔を上げて。昨夜のことは、私の自己管理ができてなかったせいなんだから、二人のせいじゃないわ」
「しかし」
「私の方が二人に迷惑かけて申し訳なかったわね。ごめんなさい。今度きちんと埋め合わせするわ」
「姫様……」
にっこり笑って見せると、ようやく二人は立ち上がり、少しだけ笑ってくれた。
「姫様、体調はもう良いのですか」
「ええ、一晩でだいぶ良くなったみたい」
「でしたら」
ユリウスがずいと歩み寄り、私の顔色を確認してから口を開いた。
「殿下がリゼ様とお話ししたいそうです。お会いになられますか」
「殿下が?」
それはまだ早いでしょ、と小突くアンナを適当にあしらいながら、ユリウスは強い瞳で頷いた。
昨夜、目の前でいきなり倒れ込んだ私のことを殿下はどう思っているんだろう。呆れたか、それとも怒り狂っているか。
ひょっとしたら、このまま婚約破棄、なんてこともあるかもしれない。大切な社交場に出られず約束も守れない、こんな役立たずの婚約者はいらない、と。
願ったり叶ったりのはずの想像が、私の胸をきつく締め上げた。
「良いわ。お会いしましょう」
決着が付くなら早い方が良い。この芽吹き始めたばかりの気持ちに目を背けていられる、今のうちに。
私の部屋に足を踏み入れるなり、殿下は厳しい顔つきで私を睨み付けた。
「出直そう」
殿下からしたら、私はまだ万全の状態には見えなかったらしい。私は慌ててベッドから体を起こした。
「いえ、大丈夫です。こんな格好でお許しいただけるのでしたら」
急に起き上がったせいで軽い目眩がして、殿下に手を握られた。ひんやりと冷たくて気持ちが良い。
目線を上げれば、殿下の端正な顔がすぐ間近にあった。やや垂れ下がった涼しげな目元に、彫りの深い凛々しい顔立ち。いつもは燃えるように激しい光を宿している瞳が、今日は静かに私を見下ろしている。
「体調はどうだ。辛くはないか」
「はい。一晩休んでだいぶ良くなりました。昨夜は大変申し訳ございませんでした。お誘いいただいたのに、台無しにしてしまって……」
誠心誠意、気持ちを込めて謝罪の言葉を口にし、頭を下げた。ベッドの上に座ったままだと軽い会釈にしか見えないかもしれないけれど、それでもきちんと私の気持ちを伝えたかった。
殿下は私の手を握ったまま、苦しそうに表情を歪めた。
「体調が悪かったなら無理もない。むしろ私の方が気づいてやるべきだった。すまない」
瞬間、私は何の反応もできずただ、馬鹿みたいに口を半開きのままぽかんとするばかりだった。
(殿下……怒ってない……?)
この面会が終わったら、今日は一日かけて地上へ戻る荷造りかしら、なんて考えていた私は、ただただ面食らい唖然とした。
「リーゼロッテが気にしていたのは、私が以前渡した、あれのことだろう」
殿下の言葉に、そういえばリビングに飾ったあれを見られたかもしれない、と思い当たった。片時も忘れないよう、あれを遵守しながらどう目的を遂行しようかと考えていた、あの条約。
「今日はそのことで話をしに来た」
私に向けられる殿下の視線は、いつかのサロンでの逢瀬の時のように温かく柔らかい。
「ディルクからリーゼロッテの話を聞いた。貴方は、私が思っているような人ではないらしい。だからあれを撤回したい」
(ディルクが?)
一体何を話したんだろう。私が婚約破棄されたくて色々画策していたこと? いや、そんな腹黒い女だって知られたら、殿下との結婚なんてますます遠のくからディルクはそんな話はしないだろう。
じゃあ何だろう。本当は字読めるんですよとか、ダンスも踊れるんですよとか、そんな話だろうか。でもそれで、あの条約を反故にする理由とは結びつかない。
少し躊躇ったものの、私は殿下に向けて少し強い口調で言い募った。
「ディルクが何を言ったか知りませんが、それはいけません。王子が一度出したものを取り下げるなんて、余程のことがない限り決してやってはいけません」
人の上に立つ者は、己の発言に責任を持つこと。簡単に撤回したり訂正したりするようでは、多くの人の信頼を勝ち取ることはできない。だからこそ、軽はずみな行動を起こすことは許されない。
そう私に教えて下さったのはオリバー様だった。
「私は大丈夫です。そのお心遣いをお伺いできただだけで充分です」
今回のことは私個人とのやりとりだけれど、それでも王族の、それも王位継承権を持つ方が、私とのいざこざで頭を下げたり自身の発言を撤回されるというのは、醜聞になりうる。
オリバー様が王になられて間もない頃、フローラと手に手を取り合いひっそり暮らしていた私は、よくオリバー様に諭された。王族たる者はこうあるべき、と蕩々と語るオリバー様の方がよっぽど態度も考えも王族らしかった。
こうしてオリバー様のことを思い出すのは、そう言えばとっても久しぶりな気がする。リングエラに来た始めの頃は毎日のように恋しく思っていたはずなのに。
「リゼ……と呼ばれていたな」
殿下の声にはっとして殿下の方に顔を向けた。優しい瞳の奥にうっすらと熱が宿っているように見えた。
「俺も君をリゼと呼んでも良いだろうか」
いつになく砕けた口調の殿下にどきりと胸が高鳴る。それに今、私の愛称を仰った? どこでそれを知ったんだろう。
殿下の茶色い瞳に宿された熱が次第に大きくなり、私まで熱に浮かされたように、何も言えないままこくりと頷いた。
「リゼ」
何度となく呼ばれたことのある自分の名前。それが殿下の声色に乗っただけで、全然違う言葉に聞こえる。
「これを肌身離さず付けていてほしい」
殿下の懐から取り出された四角い小箱を受け取る。蓋を開けてみれば、真紅の宝石を使った指輪だった。
「これは?」
「勘違いするな。結婚指輪は別で俺がちゃんと用意するつもりだ。これはその……この前の指輪の礼だ」
慌てて早口で捲し立てる殿下が、いつもと違って何だか幼く可愛らしく見える。怒ったように目を吊り上げながら、耳は真っ赤に染まっている。
「これを婚約者の証として、普段からつけていてほしい」
殿下からの初めての贈り物。殿下の髪のようにきらきらと光り輝く紅の指輪。
「ありがとうございます。大切にします」
さっそくつけてみる。私の指にぴったりと収まった指輪は見れば見るほど輝かしく、こそばゆい気分になる。
殿下の方に目を向けると、殿下も私をじっと見つめていた。茶色い切れ長の瞳が真っ直ぐに私を捕らえて離さない。身悶えしそうなほどの熱っぽさ。
その瞳がすっと細められ、殿下が微笑んでいることに気がついた。初めて見る殿下の笑顔。急に心臓の鼓動が早くなり、息苦しい。
ああ、殿下を慕う女性ってきっとこんな気持ちなのね、とぼんやり思いながら、私もゆっくり微笑んだ。
0
お気に入りに追加
65
あなたにおすすめの小説
【完】あの、……どなたでしょうか?
桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー
爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」
見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は………
「あの、……どなたのことでしょうか?」
まさかの意味不明発言!!
今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!!
結末やいかに!!
*******************
執筆終了済みです。
【取り下げ予定】愛されない妃ですので。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃になんて、望んでなったわけではない。
国王夫妻のリュシアンとミレーゼの関係は冷えきっていた。
「僕はきみを愛していない」
はっきりそう告げた彼は、ミレーゼ以外の女性を抱き、愛を囁いた。
『お飾り王妃』の名を戴くミレーゼだが、ある日彼女は側妃たちの諍いに巻き込まれ、命を落としてしまう。
(ああ、私の人生ってなんだったんだろう──?)
そう思って人生に終止符を打ったミレーゼだったが、気がつくと結婚前に戻っていた。
しかも、別の人間になっている?
なぜか見知らぬ伯爵令嬢になってしまったミレーゼだが、彼女は決意する。新たな人生、今度はリュシアンに関わることなく、平凡で優しい幸せを掴もう、と。
*年齢制限を18→15に変更しました。
「お前を妻だと思ったことはない」と言ってくる旦那様と離婚した私は、幼馴染の侯爵から溺愛されています。
木山楽斗
恋愛
第二王女のエリームは、かつて王家と敵対していたオルバディオン公爵家に嫁がされた。
因縁を解消するための結婚であったが、現当主であるジグールは彼女のことを冷遇した。長きに渡る因縁は、簡単に解消できるものではなかったのである。
そんな暮らしは、エリームにとって息苦しいものだった。それを重く見た彼女の兄アルベルドと幼馴染カルディアスは、二人の結婚を解消させることを決意する。
彼らの働きかけによって、エリームは苦しい生活から解放されるのだった。
晴れて自由の身になったエリームに、一人の男性が婚約を申し込んできた。
それは、彼女の幼馴染であるカルディアスである。彼は以前からエリームに好意を寄せていたようなのだ。
幼い頃から彼の人となりを知っているエリームは、喜んでその婚約を受け入れた。二人は、晴れて夫婦となったのである。
二度目の結婚を果たしたエリームは、以前とは異なる生活を送っていた。
カルディアスは以前の夫とは違い、彼女のことを愛して尊重してくれたのである。
こうして、エリームは幸せな生活を送るのだった。
【短編】悪役令嬢と蔑まれた私は史上最高の遺書を書く
とによ
恋愛
婚約破棄され、悪役令嬢と呼ばれ、いじめを受け。
まさに不幸の役満を食らった私――ハンナ・オスカリウスは、自殺することを決意する。
しかし、このままただで死ぬのは嫌だ。なにか私が生きていたという爪痕を残したい。
なら、史上最高に素晴らしい出来の遺書を書いて、自殺してやろう!
そう思った私は全身全霊で遺書を書いて、私の通っている魔法学園へと自殺しに向かった。
しかし、そこで謎の美男子に見つかってしまい、しまいには遺書すら読まれてしまう。
すると彼に
「こんな遺書じゃダメだね」
「こんなものじゃ、誰の記憶にも残らないよ」
と思いっきりダメ出しをされてしまった。
それにショックを受けていると、彼はこう提案してくる。
「君の遺書を最高のものにしてみせる。その代わり、僕の研究を手伝ってほしいんだ」
これは頭のネジが飛んでいる彼について行った結果、彼と共に歴史に名を残してしまう。
そんなお話。
【完結】27王女様の護衛は、私の彼だった。
華蓮
恋愛
ラビートは、アリエンスのことが好きで、結婚したら少しでも贅沢できるように出世いいしたかった。
王女の護衛になる事になり、出世できたことを喜んだ。
王女は、ラビートのことを気に入り、休みの日も呼び出すようになり、ラビートは、休みも王女の護衛になり、アリエンスといる時間が少なくなっていった。
夫の告白に衝撃「家を出て行け!」幼馴染と再婚するから子供も置いて出ていけと言われた。
window
恋愛
伯爵家の長男レオナルド・フォックスと公爵令嬢の長女イリス・ミシュランは結婚した。
三人の子供に恵まれて平穏な生活を送っていた。
だがその日、夫のレオナルドの言葉で幸せな家庭は崩れてしまった。
レオナルドは幼馴染のエレナと再婚すると言い妻のイリスに家を出て行くように言う。
イリスは驚くべき告白に動揺したような表情になる。
子供の親権も放棄しろと言われてイリスは戸惑うことばかりでどうすればいいのか分からなくて混乱した。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
許婚と親友は両片思いだったので2人の仲を取り持つことにしました
結城芙由奈
恋愛
<2人の仲を応援するので、どうか私を嫌わないでください>
私には子供のころから決められた許嫁がいた。ある日、久しぶりに再会した親友を紹介した私は次第に2人がお互いを好きになっていく様子に気が付いた。どちらも私にとっては大切な存在。2人から邪魔者と思われ、嫌われたくはないので、私は全力で許嫁と親友の仲を取り持つ事を心に決めた。すると彼の評判が悪くなっていき、それまで冷たかった彼の態度が軟化してきて話は意外な展開に・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる