謝罪

みるくてぃー

文字の大きさ
上 下
2 / 5

第2話

しおりを挟む
その後、母親はまた新しい男にすがり、続けざまに二人目も産んだ。

精神も安定してないのに、いくらでも無責任に出産して、小学5年になっている優が二人のオムツも交換し、母親不在の折りにはミルクを飲まし、風呂に入れ、寝かしつけた。
当然夜泣きもするので、夜中も中々寝る暇が優には無かった。
学校に遅刻することも度々で、ここでまた児相が再び動いた。

母親は子供達との別れに泣き叫んだが、優にとっては施設に入れられた方がありがたかった。
施設は施設でもちろん辛いことも沢山あった。
だが、ゆっくり夜は寝れる。
優は疲れ果てていた。
まだ小学生なのに、睡眠さえ満足に取ることが出来ない。
弟達の世話が嫌なわけではないが、食事も自分で、何もかも自分で、そしてまだ自分自身が子供であるにも関わらず、子育てを強いられる。

優は疲れ果てていた。
母親が寂しがるのは、せいぜい次の男が出来るまでの間。
しかも、既に一夜を共にするだけの相手ならごまんと居る。
母親は優から見ても、美しかった。
化粧なんかしなくても、整っているからそのままでも十分過ぎる。

若くして子供を産んでるので、年齢も若い。
ただ、この女の性格は重かった。
依存性が非常に高くて、たまに気でも狂ったかのような行動を取ることがある。
どんなに美人でも、長く一緒に付き合って行けるタイプの人間では無い。
精神疾患を抱えているんだろうが、度が過ぎる。

男は別れたらそれで良いが、血の繋がった優はこの女とは切っては切れない関係である。

優は母親を恨んでいた。
可愛がられるのは、男と別れた一時だけ。
それ以外はほぼ召使いだ。
この女の後始末を押し付けられて。
恐らく優が居なかったら、弟どちらかは命を落としていたかも知れない。

彼女の非常識極まりない行動のせいで、優は体が鉛のように重く疲れ果てていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

10u

朽縄咲良
ミステリー
【第6回ホラー・ミステリー小説大賞奨励賞受賞作品】  ある日、とある探偵事務所をひとりの男性が訪れる。  最近、妻を亡くしたというその男性は、彼女が死の直前に遺したというメッセージアプリの意味を解読してほしいと依頼する。  彼が開いたメッセージアプリのトーク欄には、『10u』という、たった三文字の奇妙なメッセージが送られていた。  果たして、そのメッセージには何か意味があるのか……? *同内容を、『小説家になろう』『ノベルアッププラス』『ノベルデイズ』にも掲載しております。

大学生はバックヤードで

リリーブルー
BL
大学生がクラブのバックヤードにつれこまれ初体験にあえぐ。

九龍城寨図書館と見習い司書の事件簿~忘れられたページと願いの言葉~

長谷川ひぐま
ミステリー
「あらゆる本が集まる」と言われる無許可の図書館都市、『九龍城寨図書館』。 ここには、お酒の本だけを集めた図書バーや、宗教的な禁書のみを扱う六畳一間のアパート、届かなかった手紙だけを収集している秘密の巨大書庫……など、普通では考えられないような図書館が一万六千館以上も乱立し、常識では想像もつかない蔵書で満ち溢れている。 そんな図書館都市で、ひょんなことから『見習い司書』として働くことになった主人公の『リリカ』は、驚異的な記憶力と推理力を持つ先輩司書の『ナナイ』と共に、様々な利用者の思い出が詰まった本や資料を図書調査(レファレンス)していくことになる。 「数十年前のラブレターへの返事を見つけたいの」、「一説の文章しかわからない作者不明の小説を探したいんだ」、「数十年前に書いた新人賞への応募原稿を取り戻したいんです」……等々、奇妙で難解な依頼を解決するため、リリカとナナイは広大な図書館都市を奔走する。

由紀と真一

廣瀬純一
大衆娯楽
夫婦の体が入れ替わる話

ほのぼのミステリー

Algo_Lighter
ミステリー
ほのぼのとした日常の中に隠れた、小さな謎を解く心温まるミステリー。 静かに、だけど確かに胸に響く優しい推理をお楽しみください。

お狐様の言うとおり

マヨちくわ
ミステリー
犯人を取り逃したお巡りさん、大河内翔斗がたどり着いたのは、小さな稲荷神社。そこに住み着く神の遣い"お狐様"は、訳あって神社の外には出られない引きこもり狐だけれど、推理力は抜群!本格的な事件から日常の不思議な出来事まで、お巡りさんがせっせと謎を持ち込んではお狐様が解く、ライトミステリー小説です。 1話完結型のオムニバス形式、1話あたり10000字前後のものを分割してアップ予定。不定期投稿になります。

もしもし、お母さんだけど

歩芽川ゆい
ミステリー
ある日、蒼鷺隆の職場に母親からの電話が入った。 この電話が、隆の人生を狂わせていく……。 会話しかありません。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

処理中です...