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2章 婚約破棄のちプロポーズ! 婚約破棄編
社交界デビュー
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クライへの想いを自覚して、早いもので半年、私は今夜の、15歳の誕生日パーティーが社交界デビュー。
これが終われば、私は正式に第2王子殿下の婚約者として社交界にでることとなり、それ相応の気品ある振る舞いが求められてくる。
あんなバカ、ゲフンゲフン、あんな婚約者のために自分だけ苦労するなんて全くしもって納得できない。
だがまぁ、貴族社会の事情は複雑であり、婚約を取りやめることなどできない。そんなことをすれば格好の噂のマト、大変なのは目に見えている。そして私は噂と陰口に耐えられる気がしない。
社交界において噂や世間体は大切だ。
だがまぁ、それを重視しすぎて心を蔑ろにしてもいけない。
心が蔑ろにされたからこそ、ニーナとシェルプのような最悪例が出来てしまうこともある。
コンコン、ガチャ
「「失礼いたします」」
「迎えに来たよ、フローシア」
悶々と考え込んでいると、時間が近づいたようだ。
お兄様とメイド達が迎えに来た。
その役割はエスコートしてもらう人のものだが、婚約者たるディトスリ様はエスコートをしないため、お兄様に頼むことにした。
まぁ、ディトスリ様は、伯爵令嬢に想いを寄せているという噂があるため、殆ど期待していない。
「ありがとうございます、参りましょう」
お兄様の腕を取って、階下へと向かう。
✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎
パーティーが始まり、主催者としてのスピーチ、挨拶回りが終盤に近づいてきた。
この後、私達が一曲踊り、パーティーのダンスの部が始まる。
その事実と続く貴族達との挨拶に疲れつつ、何とか最後の人に。
って、
「ディトスリ様?」
「フローシア。わざわざこの俺がお前のパーティーに来てやったぞ!」
いや、来てやったぞじゃない。
婚約者のエスコートすらほっぽり出し、他の女にうつつを抜かしているお前に言われたくない。
しかし本心は隠して、
「ありがとうございます。光栄ですわ」
「ふふん、もっとありがたがれ!」
イラッ
メキメキッ
苛立ちのあまり、右拳を思いっ切り握りしめてしまう。
気づかれないように深呼吸を行い、溢れ出そうになる殺気を抑え込む。
気を逸らそうと視線をずらすと、ディトスリ様の隣、というか陰に隠れていて立っていた少女に気付いた。
死角に立っていたため、気づきにくい位置にいたが、挨拶が遅れた非礼は詫びなければ。
「ご挨拶が遅れて大変申し訳なく思います。貴女様のお名前を、お聞きしてもよろしいでしょうか?」
「あ、えっと、わ、わわわ、わた、私はっ…」
急にどもり出した少女に首を傾げていると、ディトスリ様が胸を張って言い放った。
「こいつは俺の最愛の、リンティア。リンティア・クレスだ!お前如きが気安く話しかけていい相手ではない!なにせ将来の王妃だからな!」
…うわぁ。胸張って言い放つ事じゃないよね?
これが終われば、私は正式に第2王子殿下の婚約者として社交界にでることとなり、それ相応の気品ある振る舞いが求められてくる。
あんなバカ、ゲフンゲフン、あんな婚約者のために自分だけ苦労するなんて全くしもって納得できない。
だがまぁ、貴族社会の事情は複雑であり、婚約を取りやめることなどできない。そんなことをすれば格好の噂のマト、大変なのは目に見えている。そして私は噂と陰口に耐えられる気がしない。
社交界において噂や世間体は大切だ。
だがまぁ、それを重視しすぎて心を蔑ろにしてもいけない。
心が蔑ろにされたからこそ、ニーナとシェルプのような最悪例が出来てしまうこともある。
コンコン、ガチャ
「「失礼いたします」」
「迎えに来たよ、フローシア」
悶々と考え込んでいると、時間が近づいたようだ。
お兄様とメイド達が迎えに来た。
その役割はエスコートしてもらう人のものだが、婚約者たるディトスリ様はエスコートをしないため、お兄様に頼むことにした。
まぁ、ディトスリ様は、伯爵令嬢に想いを寄せているという噂があるため、殆ど期待していない。
「ありがとうございます、参りましょう」
お兄様の腕を取って、階下へと向かう。
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パーティーが始まり、主催者としてのスピーチ、挨拶回りが終盤に近づいてきた。
この後、私達が一曲踊り、パーティーのダンスの部が始まる。
その事実と続く貴族達との挨拶に疲れつつ、何とか最後の人に。
って、
「ディトスリ様?」
「フローシア。わざわざこの俺がお前のパーティーに来てやったぞ!」
いや、来てやったぞじゃない。
婚約者のエスコートすらほっぽり出し、他の女にうつつを抜かしているお前に言われたくない。
しかし本心は隠して、
「ありがとうございます。光栄ですわ」
「ふふん、もっとありがたがれ!」
イラッ
メキメキッ
苛立ちのあまり、右拳を思いっ切り握りしめてしまう。
気づかれないように深呼吸を行い、溢れ出そうになる殺気を抑え込む。
気を逸らそうと視線をずらすと、ディトスリ様の隣、というか陰に隠れていて立っていた少女に気付いた。
死角に立っていたため、気づきにくい位置にいたが、挨拶が遅れた非礼は詫びなければ。
「ご挨拶が遅れて大変申し訳なく思います。貴女様のお名前を、お聞きしてもよろしいでしょうか?」
「あ、えっと、わ、わわわ、わた、私はっ…」
急にどもり出した少女に首を傾げていると、ディトスリ様が胸を張って言い放った。
「こいつは俺の最愛の、リンティア。リンティア・クレスだ!お前如きが気安く話しかけていい相手ではない!なにせ将来の王妃だからな!」
…うわぁ。胸張って言い放つ事じゃないよね?
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