伽藍洞で君を待つ

宮沢泉

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七、人形館にて

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 小学校を過ぎた先に、趣味の菜園にしては大きい畑があった。その一角には、背を競い合ってひまわりが並列して咲いている。その背丈は僕の身長を越えて、沢田よりも少し高かった。

 鮮やかな黄色が青い空に映える。夏の風物詩であるひまわりが今の季節を主張している。太陽に負けず、上向きに咲き誇るひまわりは、僕とは正反対の位置にいるように思えた。

「立派なひまわりね! 東京にはあまりひまわりは咲いていないのよ」

 嘆く日比野に、沢田はたしかにと頷いた。

 ひまわりの下を通り抜けながら、視線はひまわりに向いていた。

「ひまわり畑に行ったんだ」

 沢田がひまわりを見あげながら、思い出を掘り起こすように呟く。

「中学一年んときに、夏休みにクラスの奴らと」

「どこまで行ったの?」

 日比野が話を合わせて問う。

「結構近くだよ。自転車で二、三時間くらい」

「それは近いと言うのか?」

 夏休みを利用した、友達との遠出。まさに青春といった光景だ。僕には不釣り合いな言葉である。

「そんな話、さーやから聞いたことなかったけど?」

 日比野が首を傾げると、沢田は苦い顔をする。

「さーやは……行かなかったんだ」

「なぜ?」

 話の流れからしても、今回の企画にしても、さーやもひまわり畑に行ったのだと思っていた。しかし、肝心のさーやは行かなかったという。

「自転車で行くことは決まってて、そこ、電車じゃ難しい場所だったからさ。そしたら、さーやは自転車持ってないって」

「言ってくれたら、貸したのに!」

 さーやに相談されなかったことに、日比野は納得できないようだった。沢田は日比野の気質にもようやく慣れてきたのか、一々動揺することなく言葉を続けた。

「俺たちも兄弟の自転車を貸すって言ったんだ。そしたら――」

 僕はそのあとに続く言葉が予想できた。

「乗れない、って言ったんだ」

 この地域は交通が便利なため、車を持つよりは公共機関を使った方が安く済む。そんな中で、未成年の移動手段はほぼ徒歩か自転車に絞られる。ほとんどの者が幼いときに習得し、自転車に乗ることができるだろう。

「乗れないなんて、知らなかった」

 今更ながら知った事柄に、日比野は悔しさをにじませる。

「今時珍しいわね」

 女性陣がそう言う中で、僕は珍しいことなのかと内心衝撃を受けていた。家族で乗れるのは、買い物に自転車を使用している母親くらいだったからだ。

「さーやに小さい頃乗らなかったのか、って聞いたらさ。「ああいうのは、後ろで支えてくれる人がいないと乗れないんだよ」って言ったんだ」

 僕の両親は仕事で忙しかったし、僕にはまず、自転車に乗るという発想がなかった。後ろを支えて練習するにも、大人と子どもであるから成立するのであって、子どもと子どもがやったら怪我が倍増する恐れがある。

「さーやはいつも明るかったけど、さっきの話を聞いて思いだしたよ。さーやの家って、結構厳しかったのか?」

 沢田は何も知らない。さーやが見せなかったから、知らない。気づくことができる要素はいくらでもあったはずなのに。

「そうね。さーやは、ずっと……我慢してたと思う」

 日比野が目を伏せた。

 小さなSOSはどこにでも転がっていた。

 僕は全部見えていたのに、行動を起こせたかというと押し黙らざるを得ない。僕らはただの、未成年の子どもでしかなかった。

 会話を続ける空気も霧散して、僕たちは一様に無言で足を動かした。

 ひまわりが後方で風に揺れている。さっきまで誇らしそうに咲いて見えたのに、なぜか寂しげに映ったのは僕の目のフィルターがおかしいからだ。

 太陽が少し傾いてきても、夏の日はまだまだ空の上で地上を照らしている。汗が額から頬を伝う。手の平で拭っても、あとからあとからこぼれてくる。

 沢田と日比野が黙ると、他の者は自分から率先して話をするタイプではない。黙々と次の目的地に向かうだけの一行となっていた。

 おぼろげな道の記憶は全く役に立たず、途中からネットの検索機能に頼る羽目となる。町の名前と目的地の特徴を入れて検索にかけると、場所はすぐ近くを指し示した。

「ねえ、あれかしら?」

 日比野が指し示した先に、三角に尖った屋根が住居の隙間から見えた。

「たぶん、あれだな」

 周囲の住居や小さな公園を回りこんだ先に、住宅街に紛れてその建物は存在した。

 一般的な家屋とは明らかに外装が異なるその洋館は、この地がベッドタウンとなる以前に建てられたのだろう。厳格さを持ち、古めかしさ残る館に覆い尽くすように蔦が全体に巻きついている。それが余計に独特な異国感を演出しており、どこか容易には近寄り難い印象を与えていた。

 館に反して、広く整備された前庭園には、程良く手入れがされた、色とりどりの花々が咲いている。季節が春なら、今以上に華やかな色合いの花たちが風に揺れていたことだろう。

 館の門前には控えめに掲げられた、「OPEN」の文字。一見入りにくいそこは、私立の人形館として開館しているのだ。

 小学生の夏休み、親の了承を得て、僕とさーやはこの人形館に入り浸っていた。他とは違う異質な雰囲気に惹かれたのか、僕らはこの人形館を気に入っていた。

 人形館の館長の老人とも顔見知りになり、長期休暇になるとやってくる僕らを、よく可愛がってくれた。

 老人が亡くなってからは、老人の娘が館長を引き継いだそうだが、その頃には僕らは中学生になっていて足は遠退いていた。

 最初に僕の両親とさーやの四人で訪れたとき、僕らは互いに衝撃を受けた。

 僕は人間という存在が正直好きになれなかった。それを言葉にしたことはなかったが、率先して人と関わろうとしない姿を見て、周囲は気づいていただろう。両親とさーやは別枠で、人間というよりも、家族という括りで認識していた。

 僕の人間嫌いは、さーやの過去を子どもながらに引きずっていたからだ。愛情をもって育てられた自負がある自分とは異なり、さーやの待遇はトラウマを植えつけるには十分だった。

 人間らしい容貌をかたどった人形は心の安定剤。僕は人形に拠り所を求めていた。

 さーやはまた別の意味で人形に関心を持った。人形たちを見つめたときのさーやは、いつもと雰囲気が違っていた。

 さーやは人形に同調を覚えたと、帰り道を辿りながらぽつりとこぼす。

 ――自分と人形に、大して違いはない。

 さーやにとって気づきであり、パズルのピースがかっちりとはまり込んだ的確さであった。

 当時の僕はその意味がよく分かっていなくて、後々思い返して頭を抱えたくなった。僕は本当に大事なことを、いつも時間が随分と過ぎてから気づく。

「涼しい」

「やっぱりどっかで休憩はさむべきだったなぁ」

 人形館の中は冷房がかかっていて、熱を持った体を急速に冷やしてくれた。汗をタオルで拭き取って、落ち着いた頃に昔と同じ館の香りが鼻をくすぐった。

 人形館には正しい順路はなく、自由に見て回ることができる。それは今も変わっていなかった。僕らは受付で発券を済ませ、入り口の正面に飾られた豪奢なドールの前に集まる。

「どう回る?」

「結構広いみたいだし、別行動にしない? 三十分後に集合でどうかしら?」

「それでかまわないよ」

 日比野の提案に乗り、僕らはその場で解散した。

 高橋がふらふらとどこかへ歩いていくのを目の端で見送る。自分も懐かしさを噛みしめながら見廻るかと足を踏みだすと、無言で隣に立つ三崎に気づいた。

「どうかした?」

 まるで不自然なことは一つもないという様子で、三崎が聞いてくる。

「どうか、って……まあ、いいか」

 違和を感じながらも、僕は言葉と動揺の気持ちを飲みこむことにした。

 二階から一階へと下りてくる道順を選び、味わい深いブラウンの階段を上る。踏みしめる床は赤い絨毯が敷かれていて、重厚な感触が足の裏から伝わってくる。

 艶やかな手すりと反対の壁には、人形一体分のスペースが均等にくり貫(ぬ)かれている。フリルをあしらったドレスを着た人形が、ちょこんとミニチュアの椅子に座っていた。

 人形館の主体となっている人形はアンティークドール。愛らしい少女から艶やかな女性、瑞々しい少年から品のいい老人まで、白磁の肌は証明によってより滑らかに演出されている。光加減によって瞳のガラス玉の中に、煌びやかな焦点ができあがり、今にも瞬きをしそうだ。

 人形劇が停止したような物語調の演出で、ガラスケースの中に飾られているものもある。丁寧に作られた装飾が天井や背景を彩り、人形を際立たせていた。

 展示物を順に周りながら、純粋に懐かしさがつのる。人形の独特な危うさに惹かれ、その多種性に目を引かれる。

 二階の角部屋に飾られた、一つの展示物に足が止まった。

 そこは物語のシリーズが展示されているブースで、僕も過去に触れたことがある御伽噺の一ページを切り取った人形劇が演出されている。

 今まで忘れていた。しかし、しっかりと憶えている。昔と変わらない場所に、その展示はあった。

「……『銀河鉄道の夜』だ」

 僕の小さな呟きは、隣にいた三崎に拾われる。

「宮沢賢治の作品よね?」

 壁に沿って、宮沢賢治の童話を模した作品たちが展示されていた。

 宮沢賢治は岩手県出身の詩人であり、童話作家である。生前は出版に恵まれなかったが、現代ではコアなファンが付くほどの著名な作家だ。

 『銀河鉄道の夜』は、宮沢賢治の代表作の一つだ。主人公ジョバンニが、友人のカムパネルラと共に銀河鉄道に乗って旅をする物語。

 舞台はジョバンニが天気輪の柱の丘で、夜空を眺める場面だった。遠近法で表現された丘の上で、人形が星空の背景を一人寂しく見あげている。

 隣のガラスケースに移ると、そこからジョバンニの友人であるカムパネルラも登場して、二体の人形が鉄道の窓から顔を覗かせていた。

「あいつは、この人形の前で必ず動かなくなるんだ」

「なぜ?」

 ビスクドールの黒真珠のような目と目が合う。

 さーやは最後のシーンで、決まって立ち止まった。青や橙で散りばめられた十字架――サウザンクロスを、今まで見たことがない瞳の色でさーやは見つめていた。なぜかと問うと、自分が長いこと一つの作品に留まっていることに気づいていなかった。

 『銀河鉄道の夜』は常設であったため、配置を憶えるほど僕とさーやはそこにいた。絶対に止まるそのシーンを見つめるさーやの背後で、僕は静かにさーやを見ていた。その頃から僕は、予感めいた何かを感じていた。

 さーやの危うさを、儚さを、一番近くにいた僕が気づかないわけがなかった。知っていながら見ない振りをして、砂時計の砂が落ちていく様をただただ眺めていることしかできなかったのだ。

「僕はこの物語が嫌いなんだ」

 思わず漏れた本音を三崎は受け流してはくれなかった。

「あなたが嫌いと断言するなんて」

 その発言に、僕の何を彼女は知っているのかと思う。僕でさえ、自分のことをまるで何も分かっていないというのに。

「君は僕をなんだと思ってるんだ?」

 正直にそう口にすると、三崎はつらつらと僕について述べあげていく。

「何事にも無関心なのに、あの子のことだけ関心の振り幅が大きい人」

 悔しいが、一つも否定できない。彼女の瞳を通して作りあげられる僕は、たしかに僕であると思われた。

「そんなにおかしいとは思わないけど?」

 三崎が作品の中をその貫くような真っ直ぐとした目で観察する。どこから説明すればいいか迷いながら、僕は言葉を紡ぎだした。

「元々未完成の作品なんだ。だけど、完成でないからこそ精巧で、清廉で、そしてどこまでも透明だ」

「褒めているようにしか聞こえないわ?」

「称賛はある。だけど根本的にこの作品の結末が気にいらないんだ」

「それは、……少し分かるかもしれない」

 共感を得たかったわけではないのに、三崎が頷いてくれたことにどこかほっとしている自分がいた。

 『銀河鉄道の夜』の結末。ガラスケースに映った僕の顔は、とても苦々しく見えた。

 息が一瞬詰まる。言葉にすることを恐れていて、でもずっと心の奥底に宿っていたことだ。

「僕(ジョバンニ)を置いて、彼(カムパネルラ)は先にいってしまうんだ」

 僕は展示物から目を逸らし、部屋の出口へと足を向けた。

 その先は決して口には出さない。生きてほしいと、願ったことがないわけではなかった。しかし、生き苦しいと叫び嘆く姿を、僕はとても見ていられなかった。

 置いていったのは果たしてどちらだったのか。それは僕にも、きっとさーやにも分からない。

「置いていかないでと、言うことはできなかったの?」

 部屋を出て、階段を下りていたとき、三崎が囁くように言った。僕は聞き取れなかった振りをすることもできたが、まだ二階部分にいる三崎を見つめた。

「連れていってと、言わなかったの?」

 先程よりはっきりとその言葉は届いた。

 三崎は知っているのだ。さーやが、自分からいなくなった(、、、、、、、、、、)のだと。

 さーやが自分から教えたのか、三崎が気づいたのかは分からない。どちらにしたって、三崎という人間がさーやに不利な行動を今更とるとは思えなかった。

 僕が振り向いたことで、三崎は階段上で止まったままだ。僕が答えるまで、彼女は動きそうになかった。

「言わないわけがないだろ?」

 僕も一緒にいく、と言ったとき、さーやはどんな顔をしていただろう。大事なものを見守るような儚い笑みを浮かべていた。どこまでも、綺麗な顔をしていた。

「願われたんだ。その願いを、僕は叶えなければならない。だから僕は、一緒にはいけない」

 反故(ほご)にしたいと思ったことは一度や二度ではない。それがさーやからの願いでなければ、とっくのとうに約束を破っていただろう。

 でも最初から、さーやの願いを叶えない、などという選択が僕にはないのだ。

「あの子は、雁字搦(がんじがら)めの鎖みたいね」

「ははっ、その通りだな」

 皮肉の笑みをこぼしても、三崎の表情は変わらない。僕たちは無言のまま、階下へと歩みを進めた。

 一階部分を一周して、玄関のホールで日比野たちと合流する。「こんな素敵なところがあるなんて知らなかった!」と、日比野は楽しそうに声を弾ませた。

「楽しんでくれてよかったわ」

 受付に座っていた女性が出てきて、わざわざ僕らのために出入り口の扉を開けてくれる。それに礼を言って、人形館をあとにしようとしたとき、女性は寂しそうな雰囲気を醸した。

「ここ、来月には閉館が決まってるの」

 僕らは一様に驚いて顔を見合わせる。悲しみを押しこめるように、女性はゆっくりとした声で言った。

「ほとんど父の道楽だったからね。人形は市の博物館に寄贈する予定なの。よかったら、そちらも観にいってね」

 庭を通り抜け、門の外に出ても、女性は僕らの背に手を振ってくれた。きっと久しぶりの客だったのだ。そして最後かもしれない客。父親の残した人形館を大事にしてきた彼女の心中を思うと、胸が切なく詰まった。

「まさか閉館してしまうなんてね」

「最後に行くことができてよかったな」

 呑気に話す日比野と沢田の声を聞きながら、僕はどうしようもない寂寥感に襲われていた。

 思い出の場所が一つ消え、さーやの影もまた薄くなっていく。当時のさーやを、僕はちゃんと思い描けるだろうか。


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