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【過去の記憶】
しおりを挟む未就学児だったとき、僕らは出会った。
家族経営の我が家は祖父が歯科医、父親が歯科医兼助手をし、母親が受付事務を担当していた。僕の世話は祖母がすることが多かった。
その日は朝から祖母の具合が悪くて、僕の居場所をどうしようかと両親が話していた。幼稚園が特別好きでなかった僕は、今日は休んでもいいと言われて嬉しかったのを憶えている。
一人遊びが得意な子どもだったが、両親は僕一人を自宅に残しておくのは心配だったのだろう。医院の待合室の一角は子供向けの遊び場になっていて、僕はそこで両親が仕事を終えるまで待っていた。
静かに絵本を読んだり積み木をしたりして遊んでいたとき、ふと顔を上げた先にその子(、、、)はいた。
その子は医院の入り口から少し逸れたところでうずくまっていた。通り道からは見えないが、僕の座っている場所からだとガラス越しに丸見えだった。
最初は何をしているのだろうという興味本位。かくれんぼをしているのだろうか。それとも蟻の行列を観察しているのか。僕もよく庭で蟻たちの行進を見ているから、同じ遊びをしているのだと思った。
今治療を受けている患者の連れかもしれない。治療が終わるのを隣の公園で待っている子どもは意外と多い。
その思考はすぐに「違う」に変わっていく。
その子はしゃがんだままぴくりとも動かない。下を向いているので顔色も分からない。
「妙だ」という感情は僕の中でもぞもぞと蠢(うごめ)く。僕は次第に怖くなって、外靴に履き替えて医院の扉を開けた。扉に設置されたベルがチリンチリンと音を立てる。その音に受付の母親が気づき、僕の名前を呼んだが、僕は引き寄せられるようにその子の元に駆け寄った。
「ねえ、だいじょうぶ?」
顔を覗きこんで、異様さの正体が明確になっていく。
服は薄汚れて皺がつき、髪には虱(しらみ)がわいていた。
全体的に臭(にお)いがきつい。新聞紙を外に放置して、何年も経ったあとのような鼻につく、酸っぱいのかしょっぱいのか分からない独特な臭い。何日も洗っていないのは一目瞭然だった。
汚いという感覚を知らなかった僕は、その子どもの状態が何なのか、さっぱり見当がつかなかった。
僕の声に反応して顔を上げたその子の頬はこけていて、目は虚(うつ)ろだった。体は骨張っていて、自分よりも二回りほど小さく、幾分か年下だろうと思った。僕はそのとき幼稚園に入ったばかりだったが、その姿がおかしいということを本能で察知した。
僕を心配しに外に出た母親が、背後で息を飲む音が聞こえる。
母親が何度も声をかけるが、反応が全くといってない。母親はその子を抱きあげて、僕を促し、待合室に戻る。強張った顔の母親を見た父親が急いで救急車を呼んだ。
焦点の定まらない瞳が頭から離れない。がくんがくんと揺れ動く頭を母親が支えて、だらんと落ちた手を僕はずっと握りしめていた。柔らかなすべすべの手ではない。かさついた真っ黒に汚れた手。皮膚はぼろぼろで、爪はところどころ欠けている。
しばらくして赤いランプを回しながら救急車がやってきた。図鑑でしか見たことがない、初めての救急車。僕は喜べなかった。憧れの白い車に乗ってもなお、心はずうんと沈んだままだ。
到着したあと、その子は消毒され、点滴が差される。針が痛いとも、お腹がすいたとも、不満の言葉を一切口にしない。放心した様子で遠くを見つめる姿は、まるで死人のようだった。病院に着いてからしばらくして、その子は目を閉じた。
僕はまた怖くなる。母の真似(まね)をして、その子の口元に手を伸ばす。息をしているかどうかを繰り返し確認しては、か細い息に安堵とは言いがたい胸の締めつけを感じた。単に力を温存するように眠ってしまっただけだったが、そのまま一生目を覚まさないのではないかと僕は不安で仕方がなかった。
隣に座って、じっと起きるのを待つ。それはもしかしたら三十分に満たない時間だったかもしれない。幼い僕にとっては途方もなく長く心細い時間だった。
その間に、子どもの親と僕の親が、警察を間にひと悶着あったそうだ。揉め事を知ったのは随分あとのことで、僕は両親の偉大な働きを知らずにいた。
その子が起きる前に、母親は僕に言い聞かせる。
「この子はとても可哀想な子なの。だから守ってあげなくちゃいけないの。この子と友達になってね。一緒に遊んで、一緒にご飯を食べましょう。一織は、この子にどうやってお話すればいいか、分かるかな?」
僕は母親の言葉一つ一つに頷いた。
母親に言われたからではない。僕は確かに純粋な気持ちとして、この子どもを守りたいと思ったのだ。
そしてその子の名前を教えてもらい、目覚めるのをひたすら待った。無限にも感じたその時間を、僕は一生忘れないだろう。
目を開けたその子の本名――さーやというあだ名の元となった名前――を呼ぶと、目の奥に落ちていってしまいそうな真っ黒な目を見開いた。大きな大きな、綺麗な目だった。
その驚きの意味を今は理解している。さーやはあのとき、初めて人から名前を呼ばれたのだ。「おい」でも「おまえ」でもない、さーやだけの名前を。
初めて会ったときのさーやはまるで、絵本の中に出てくる骸骨に、皮を張ったような風貌だった。がたがたの歯に、土気色の肌、指の腹の半分もない爪。栄養失調の小さな体に拒絶反応を起こさないように、少しずつ栄養を与えていく。
周囲の大人の協力を得ながら、僕とご飯を食べたり昼寝をしたりするうちに、さーやは普通の子どもと同じような肉付きになっていった。医院内の待合室で絵本を読んだり、公園の遊具で遊んだりして同じ時間を一緒に過ごす日々。さーやは夕方になると家に戻り、朝になって僕が迎えに行くという暮らしが続いた。
今でも僕の両親が、さーやの保護者とどんな確約を結んだかは知らない。かたくなに両親は教えてくれなかったが、当時のさーやを助けたのは間違いなく僕の両親だった。
何週間に一度、大人がさーやに会いに来る。あれはきっと児童相談所の人や保健所の人だったのだろう。
親が健在であるさーやは強制的に引き離すという選択は取られなかった。近所の目である僕の両親がいたからか、さーやの家のようなケースは多いからか、監視対象として見守る方向に定まっていった。
大人たちが裏で動き回っている間に、さーやは言葉を覚え、話すということを知っていった。それは子どもに与えられた最低限の学びだった。さーやはそれさえも蔑(ないがし)ろにされて、僕の知らない数年を生きていたのだ。
僕が「あれは雲だよ」と言うとさーやは僕の言葉を反復した。僕は兄弟ができたみたいで嬉しくて、たくさんの言葉を教えた。
知能指数の高かったさーやは、順調に言葉を記憶していき、幼い僕の語彙力を超えていった。悔しさは否めない。むくれてさーやを困らせたこともあった。
ともに過ごす時間が増えるにつれて、僕もまた成長する。さーやに負けても拗ねることはなくなった。立場が変わって、新しい事柄を教えてもらう番になっても、楽しい時間に変わりはなかった。
僕たちの関係性は初めての友人というより、家族というくくりの方が的確だ。かけがえのない存在で、欠けてはならない大事な者。
一方通行の思いだけであったなら、僕の持つ思いもこれほど肥大化しなかったことだろう。さーやが同じ思いを僕にぶつけていてくれたから、僕らの関係は成り立っていた。
実際のところ、さーやと身近に過ごした時間は五年ほどで、さーやが引っ越してしまったあと、僕らの間には物理的な距離という壁ができた。
疎遠にはなることはなく、毎日同じ学校でさーやと会い、行動をともにしていた。それを冷やかすボス猿気取りの児童も、周囲にもっと溶けこむように注意した教師もいた。
どんなに周りに邪魔されても、僕とさーやは別々の行動を取らなかった。一緒にいるのが当たり前で、僕らはお互い以外を欲してはいなかったからだ。
お互いだけで完結する世界に僕らはいた。そうは言っていられなくなったのは、小学五年生も半ばを過ぎた頃。
僕がいじめの標的になったのだ。
理由はいくつかある。目立った男子のグループにも所属せず、さーやとばかり遊んでいたのが大きな理由らしい。
目をつけられたのが僕だけだったのは、男女問わず好かれていた日比野が、さーやをとても気にいっていたからのようだった。
何が最初のいじめであったかは覚えていない。誰に陰口を叩かれようと嫌われようとどうでもよかった。
そう精神的に割りきれていても、いじめを受けて喜ぶような人間はいないだろう。それは僕にも当てはまり、さーやとの時間が減るのが煩わしく、周囲を気にかけるのも面倒だった。
受け流していられればよかったが、そのような態度が相手に火をつけてしまったのだろう。
一人で居るところを狙い撃つように、ゴミや水をかけられる。あるときはさーやを人質に取られ、暴力を振るわれたこともあった。服が汚れるのは家族に言い訳するのが大変だったが、我慢できないほどではなかった。
身体的に痛いものは痛い。僕の痛がる反応を見て楽しむいじめっ子を、喜ばせる趣味はなかった。ぐっと感情を押しこめて、痛む体をさするだけに留めた。
だが、執拗に多から一方的にいじめられ、精神的にまいらない児童がいるだろうか。僕が無理をしてでも我慢し続けたのは、標的が僕以外に向くことは困るからだ。
矛先がさーやに向いてしまう可能性。それを否定できなかった。日比野の影響力が、すべての児童に及んでいるわけではない。たかが同い年の女子である。
実際、さーやにも余波が広がったことがある。そのとき僕は初めて反撃したが、自分から動いたのはあとにも先にもあのときだけだった。
さーやは、いじめなんてどうでもいいと流せるような人間だ。僕が痛くなければ、陰口程度は気にも留めない。
だから、さーやが傷ついてしまうかもしれないと危惧するのは、僕のエゴでしかない。さーやには平穏な日々を送ってほしいという僕のわがままだ。
そのわがままを突き通して、僕は判断を誤った。
「先生は一織のいじめについて、どうお考えですか?」
小学六年のときである。僕のいじめを見過ごしていた担任教諭に、さーやは鋭い言葉を向けた。
僕のいないときに、職員室に、一人特攻して。
ちょうどその少し前、僕は階段から突き飛ばされた。数名の女子の犯行で、他学年の生徒が見ていたことで、故意であることは明白であった。怪我は軽傷で済んだものの、膝には痛々しく青紫色の痣ができた。
担任教諭は教室に僕と犯人である女子たちだけを残し、僕にこのことは不問にするよう言った。彼女たちが受験を控える進学組だったからだ。
「先生は全部なかったことにしたいようですが、現に一織は怪我をしていますし、見ていた低学年の子もいます。自分たちは最終学年ですが、このままでは低学年の子に示しがつかないのでは? そのところ、どうお考えですか?」
理路整然とした丁寧な声が、職員会議前の職員室にはっきり響いたそうだ。
僕の怪我を知って、さーやは黙っていなかった。それはそうだ。僕もさーやに怪我があれば、負わせた犯人の元へ殴りこみに行くだろう。
さーやは怒りながらも、冷静だった。
他の教師が大勢集まる職員会議前の時間を狙って、職員室に突撃した。
担任教諭に次々と言葉を投げた。今までいじめを見て見ぬ振りしていた担任教諭を非難し、いじめの実態の暴露から、最近の階段での事件まで掘りさげる。担任教諭に口を挟ませることなく、最後まで理知的に批判し弁論した。
最初は怒鳴りつけて黙らせようとした担任教諭も、しっかり通る声で口を止めないさーやに物怖じしてしまったという。
証拠だと言わんばかりに、今まで僕がどこで誰にいじめられたか、その内容まで事細かにまとめた資料をさーやはぶつける。それを見て、担任教諭は何も言えなくなった。
その場面を僕が知ったのは、帰宅後の自宅でのことだった。
母親が副校長からの電話を受けとり、僕のいじめの実態と、担任教諭へのさーやによる尋問の話を聞いたのだ。起きたことすべての内容を把握できていなかった謝罪と、僕へのメンタル面を懸念する電話だった。
すぐに母親は僕を心配したが、僕はさーやの行動力に驚いた。
さーやが僕には量れないほど知能が高いと知っていた。しかし、大人の男を黙らせるほどの力があるとは思えなかった。むしろ虐待の影響から逆らう行為を避けていた。
さーやが渡る危機は僕が排除してきた。そのつもりだった。
ふたを開けてみればどうだろう。さーやに守られているのは、この僕だ。
翌日の朝には、どこから話が漏れたのか、さーやが担任教諭を突撃したことはクラス中が知っていた。淡々とした口での攻撃を見ていた生徒がいたらしく、さーやを怒らせてはいけないという認識がじわじわと広がったのだ。
それが浸透する頃には、さーやと仲がよい僕をいじめの標的にするべきではないという考えが統一化されていた。担任教諭が僕らの担任を外されたことも、ある意味影響があったのかもしれない。
さーやは頭がよく、機転も利く。契機は僕のいじめだったのかもしれないが、さーやは元から魅力にあふれる人物だ。それまで僕と日比野としか関わりがなかったため、発見されなかった長所に多くの者が注目しだした。
僕はさーやに守られ、いじめから脱却できた。
が、面白くはない。
僕はさーやを利用したくなかった。
さーやは表立ったり、積極的に発言したりすることが苦手なのを知っていた。それを僕のせいで我慢してまで演じさせてしまった。
だから――僕はさーやから距離を置くことを決めた。
「どうして一織のそばにいちゃいけないの?」
感情の抜け落ちた瞳は、人に恐怖を与えるのだと知った。色の映らない目、下に垂れ下がった頬が、僕の答えを待っている。
さーやは僕の行動の意味を理解しなかった。さーやのためだと言っても、さーやはいやだと叫ぶ。
「あいつらが一織をいじめたからいけないの?」
「そうだけど、そうじゃない。僕が弱いからだよ」
「弱くたっていいよ。弱くていいから、一緒にいてよ」
僕は力なく首を振る。
さーやの無表情に亀裂が走る。僕はさーやを傷つけたのだ。
宣言通り、僕は外でさーやを避けた。反して、さーやは他のグループの輪に入っていった。僕が生きやすい環境を整えるのだと息まいて、陽気を演じだした。
僕の身勝手な意地に、このときはまだ気づいていなかった。それが最善だと信じて疑わない、愚かな子どもだったのだ。
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