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映画館の恋
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とある田舎の、こじんまりとした個人映画館。スクリーンに映るヒロインに一目惚れした私は、仕事終わりの夜、決まって映画館に足を運んでいた。
当然観る作品は毎回同じ。彼女の演技を観ると、仕事のストレスなんかすっかり忘れてしまう。唯一の癒しだった。
今日もいつものように彼女の演技を楽しんでいた。しかし、日々の仕事の疲れが影響してか、私の瞼は次第に重くなっていく。そして、いつしか眼は完全に閉じ切っていた。
クライマックスシーン。壮大な音楽で再び意識を取り戻した私は、すぐさま目線をスクリーンに向けた。
ヒロインが映るはずのシーンに、彼女はいない。
どうしたものかとそのままスクリーンをジッと見つめていると、突然隣の女性がニコッと微笑みかけた。一瞬困惑したが、私に彼女の正体がわからないわけがない。長く綺麗な黒髪。白い肌。画面越しに何度も何度も見ていた彼女が目の前にいた。
「いつもありがとうございます。見に来てくれて。けど今寝ちゃってたでしょー。ダメですよ、もう」
「ご、ごめん。けど君…ヒロインの… 抜け出してきちゃって大丈夫なの?」
「お客さん貴方しかいないし、寝ちゃってたし、いいかなーと思って!そうだ、このままナイショで遊びに行きましょうよ!私良い所知ってるの。ついてきてくれる?」
こうして、私と貞子の付き合いは始まったのだった。
当然観る作品は毎回同じ。彼女の演技を観ると、仕事のストレスなんかすっかり忘れてしまう。唯一の癒しだった。
今日もいつものように彼女の演技を楽しんでいた。しかし、日々の仕事の疲れが影響してか、私の瞼は次第に重くなっていく。そして、いつしか眼は完全に閉じ切っていた。
クライマックスシーン。壮大な音楽で再び意識を取り戻した私は、すぐさま目線をスクリーンに向けた。
ヒロインが映るはずのシーンに、彼女はいない。
どうしたものかとそのままスクリーンをジッと見つめていると、突然隣の女性がニコッと微笑みかけた。一瞬困惑したが、私に彼女の正体がわからないわけがない。長く綺麗な黒髪。白い肌。画面越しに何度も何度も見ていた彼女が目の前にいた。
「いつもありがとうございます。見に来てくれて。けど今寝ちゃってたでしょー。ダメですよ、もう」
「ご、ごめん。けど君…ヒロインの… 抜け出してきちゃって大丈夫なの?」
「お客さん貴方しかいないし、寝ちゃってたし、いいかなーと思って!そうだ、このままナイショで遊びに行きましょうよ!私良い所知ってるの。ついてきてくれる?」
こうして、私と貞子の付き合いは始まったのだった。
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