5回目の転生でやっと村人に

幕間ーうごめく者ー

ー冷静な少年ー

　†††はまた、悩んでいた。
　もちろんそれは「キュリオシティ」のことだ。
　いつものようにまたおもちゃを見つけ、それがほしいようだ。
　全く。彼女の好奇心には呆れる。
　どうしてあんなに他人に好奇心を持てるのであろうか。
　僕には全くわからない。
　僕は他人に興味が全くない。
　人を人として見ていないのだ。
　僕にとっては地をはうミミズぐらいの存在でしかない。
　しかし、キュリオシティと‡‡‡は別だ。
　2人は違う。
　仲間なのだ。
　僕が物心ついたとき最初に思ったのは怒り。
　生まれつき身寄りのなかった僕は、他の家族を見て激しい怒りを覚えた。

　「なんで、あいつは幸せそうな顔をしてるんだ。」
　「どうして、僕には親がいないんだ。」

　親に愛情を注がれなかった僕は成長と共に歪んでいった。
　しかしそんな僕にも救世主が現れた。
　‡‡‡だ。　
　彼はこの絶望だらけの世界を一瞬で壊してくれた。
　まるで蝋燭の炎を消すように。
　そして、僕の世界には明かりが灯った。
　歪んでしまっていた、僕の心が少し戻ったような気がした。
　そして、‡‡‡は「一緒に来るか？」と、誘ってくれた。
　それまでは誰にも興味を持たず、そして興味を持たれなかった。
　しかし、その人は違った。
　僕は一瞬でその人の虜になった。
　一緒に旅をして5年ほどが立った頃。
　キュリオシティも旅に加わった。
　ちょうどその頃だった。
　名前を持たなかった僕が名前をつけてもらったのは。
　その時つけてもらった名前は

　「ヘイトレッド」

　この世の中を憎んでいた、僕の名前。