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9章 フリーダム王国
建国②
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アストラル王国とは旧王国が残した負の遺産とも言える。しかも、恐怖公とも呼ばれる魔物が統治していることも不穏な空気を出している。そして、軍人が少なく文民が多い様に見えるが恐怖公の暗黒従兵と言う能力によって大幅に強化されており、軍人でなかった人々も軍人とタメを張る程の能力を有するらしい。それを利用して農業などの人出のかかる作業も少人数で可能になっているのだそうだ。一方でフリーダム王国の多くは軍部の人間で文民は少ない。だが、封建主義を取るため、フリーダム王国にとって大きな損害とは言えない。しかしながら、アストラル王国があることで旧王国の人々が中途半端に分割されており、互いに牽制を重ねなくてはならない。言うなれば、互いに人質を取り合っているようなものだ。そんな関係性もあるのだから、新国・ラインハルト王国の申し出は特段、邪険する様なものではない。だからこそその申し出に異議は出さなかった。まあ、その間にどんな考えがあるのかはあまりわからなかったのだが。
それから数週間経って、ラインハルト当人が居る新国・ラインハルト王国へフリーダム王国の重臣らが行った。無論その中には魔導王の姿もあった。
「では、詳細な話を詰めていこうか」
陛下は多少砕けた口振りで言う。ラインハルトは特段気にせず二の句を継ぐ。
「ええ、要するにこちらから資金を提供してフリーダムの方々の復興を目指しながら私共と貴国でアストラルへ宣戦布告しようと言うものです。アストラル王国の国民の中で軍人は少ないですが、そのトップが手強いらしいのです」
「かの恐怖公の事かな?確かに彼の能力によってあの国は周辺国家を脅かすレベルになっているとは思うが」
アストラル王国の侵攻によってこのまま手を出さなければ、フリーダム王国はなすすべもなくやられるが、その後、新国・ラインハルト王国へ牙を剥く危険性もある。勿論、フリーダム王国にも切り札がないこともないのだが。
「その通りです。恐怖公は現在、民の内男性の80%強を徴兵しようとしています。普通ならばそんなものは愚策に終わりますが、恐怖公の力をもってすれば…」
恐怖公の力があれば確かに強い軍隊を多く生産することもできれば人外の様な者も多くいることは容易に想像できる。早く処置を行うのも必要不可欠なものである。
「我らも早期に解決しなくてはならないと言うのはわかるのだが……。いかんせん、時間が足りなくてな。彼の国へ使者を送っても全く戻ってこないと言うのは各国から聞いている。これこそ再び各国の連合を作るべきなのではないか?」
陛下もどうにか多くの国を巻き込んだほうが確実なのだと思っているのだろうか。
「そうですね。しかし時間がないのもありますから……。取り敢えず、貴国の復興を最優先にすると言うのはどうでしょうか。これ以降の話は各国で話すとして」
この場で決め切るのは容易なことではない。だから、後回しにする様にしているのだろう。
「面目無い。だが、この話は我々の間のみでの話にひとまずしておこう。もしかすると、我が王国を国と認めない輩もいるかもしれない。少しの間、内政の落ち着くまで。どうだろうか?」
陛下は気弱になりながらも言う。一国の王としてはあまり褒められたものではないが一応は知り合い同士の会話。国と国が公式に話しているわけではない。
「そのあたりが妥当でしょうね。おっと、今日はもう遅いですからここでお泊まりください」
柔和な笑顔を見せてラインハルトは言った。
それから数週間経って、ラインハルト当人が居る新国・ラインハルト王国へフリーダム王国の重臣らが行った。無論その中には魔導王の姿もあった。
「では、詳細な話を詰めていこうか」
陛下は多少砕けた口振りで言う。ラインハルトは特段気にせず二の句を継ぐ。
「ええ、要するにこちらから資金を提供してフリーダムの方々の復興を目指しながら私共と貴国でアストラルへ宣戦布告しようと言うものです。アストラル王国の国民の中で軍人は少ないですが、そのトップが手強いらしいのです」
「かの恐怖公の事かな?確かに彼の能力によってあの国は周辺国家を脅かすレベルになっているとは思うが」
アストラル王国の侵攻によってこのまま手を出さなければ、フリーダム王国はなすすべもなくやられるが、その後、新国・ラインハルト王国へ牙を剥く危険性もある。勿論、フリーダム王国にも切り札がないこともないのだが。
「その通りです。恐怖公は現在、民の内男性の80%強を徴兵しようとしています。普通ならばそんなものは愚策に終わりますが、恐怖公の力をもってすれば…」
恐怖公の力があれば確かに強い軍隊を多く生産することもできれば人外の様な者も多くいることは容易に想像できる。早く処置を行うのも必要不可欠なものである。
「我らも早期に解決しなくてはならないと言うのはわかるのだが……。いかんせん、時間が足りなくてな。彼の国へ使者を送っても全く戻ってこないと言うのは各国から聞いている。これこそ再び各国の連合を作るべきなのではないか?」
陛下もどうにか多くの国を巻き込んだほうが確実なのだと思っているのだろうか。
「そうですね。しかし時間がないのもありますから……。取り敢えず、貴国の復興を最優先にすると言うのはどうでしょうか。これ以降の話は各国で話すとして」
この場で決め切るのは容易なことではない。だから、後回しにする様にしているのだろう。
「面目無い。だが、この話は我々の間のみでの話にひとまずしておこう。もしかすると、我が王国を国と認めない輩もいるかもしれない。少しの間、内政の落ち着くまで。どうだろうか?」
陛下は気弱になりながらも言う。一国の王としてはあまり褒められたものではないが一応は知り合い同士の会話。国と国が公式に話しているわけではない。
「そのあたりが妥当でしょうね。おっと、今日はもう遅いですからここでお泊まりください」
柔和な笑顔を見せてラインハルトは言った。
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