転生者は常識外れなのだが…

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8章 新世界の扉

孤軍奮闘③

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 地獄にも思える戦場の中でどうして兵士たちは冷静でいられるか。無論、頭のネジは何本か抜けているの筋であり、常識人は大抵、長生きしないものだ。ただ、そのようなものたちを見捨てることはいささか心及ばない。

「とりあえず、この辺の脅威に当たるやつらを蹴散らしとけばいいな」

そう言って、アルファ=インスペクターはスピカと共に魔族を倒していく。当然ながらスピカはあまり戦わない。何故なら彼女自身も魔導王に匹敵しうる力を持っているため、各地を転々とするという忙しい身なのだ。

「ええ、ざっとSランクは一体…いや、これは指揮官かも。Aランクは20~30ぐらいかな」

「……かなり多いな。やはり二手に分かれなくては処理に間に合わないか、仕方ない。スピカ西から俺は東から制圧していく。怪我している兵には応急処置を。…可能なら転移までしてくれると助かる」

「了解。じゃあ、西から行ってくるね」

意気揚々と西巡回を始める。ぱっと見は可憐な女性が飛び回るといういい絵だが、その目下では世にも恐ろしい魔族がバッタバッタ倒れていくという摩訶不思議なことが起こっている。…やっぱり俺より戦場は向いてるんじゃないか?俺自身は実は集団戦向けではないあくまで個人戦。いくら魔術が使えてもありえないくらいの数の魔法陣をそれなりの強度にするのは至難の技であり、最も戦場でそんな好機はそうそう訪れることはない。

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辺りを見回すとかなりBレート以下雑魚が多い。このぐらいならば王国の兵は負けることを知らないだろう。ただAレートにもなるとかなりきつくなってくる。だからこそ俺が遠距離からチマチマやっつけていくのだが、いかんせんAレートは硬いのでそれなりの強度を必要とする。だからこそ、その周り一帯の魔族が爆散するのはザラにあることである。

「それにしてもこんな量、どこに隠れてたんだ?普通こんなにいればいくら遠くとも少しくらい感知できるはずなんだが。なんにせよひとまずやるしかない」

そうやって戦場を駆け回っていると久しく聞いていなかったレベルアップの音が鳴り響く。いい加減慣れてもいいかもしれないがこれには慣れないと思う。レベル1000越えでこれなんだ、おそらく不可能だろう。ただ魔族の量も当然、有限であり、気付いた時にはもう殆ど、魔族は消え失せていた。

「ようやく終わったよ~」

そんなテンションでスピカはやってくる。いや、そんなテンションおかしいんだけれどな。

「了解。こちらも終わったから大将叩きに行こうか」

ごく自然のように言ったが、当然のように俺はようだ。スピカは怪訝そうな顔をするがやがて元どおりになり、作戦を決行することになった。

--------
強い魔力反応を追って敵の本陣まで乗り込んだのだが、帰って陣営が希薄に感じる。

「アルファ、余りにも敵が少ない。一度、様子を見に行ってくれない?」

「分かった。だがくれぐれも油断するなよ」

そう言って踵返す。心なしか少し歩幅がいつもより大きく感じる。

しばらくして、スピカは強い反応のありかに到着した。ただいくつか不可解な点があり、腑には落ちない。だが、戸を開き的に警戒する、がしかしそこにはアリンコ一匹の気配すら感じられなかった。そこで気がついた。自分が嵌められたことに。そう気付いた時はもう遅かった。戸は閉まり、ありえない数の魔族が襲いかかる。スピカではあるから死にはしないが、とてもじゃないが余裕があるとも言える状況ではなかった。

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最近、プログラミングしてるんですが、基礎の基礎しかわからないんですよね。どなたか教えてくださったらとても嬉しいのですが…というのはさておき、長い間更新していられなかったのですが、次回も不定期に投稿します。ただ、必ず話が途切れることはありません。ただ忙しいので…。これを書いている今すら、睡眠時間を削ってるんです。また頑張って書きますのでお願いします。(今回短めで、すみません)
お気に入りの方が増えていてくれてとても嬉しかったです。不定期投稿のこの作品を観てくれてありがたいです!
(7月中に出す予定です)
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