転生者は常識外れなのだが…

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8章 新世界の扉

孤軍奮闘①

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閉鎖空間であるこの一室はもはや国王の御前であることを忘れてしまったようだ。アルファ=インスペクター自身もマニュアル通りに動くことをやめ、自分の意思で行動。とは言え、この四面楚歌の状態から孤軍奮闘しなくてはならないことを考えるとかなり厳しいところである。ありとあらゆる手段を用いて対応することが今回の作戦の要だともいえよう。それを重々承知している彼は、自らの能力を用いるようにしたようだった。魔導王とも呼ばれる所以はその驚異的な魔力と魔術に対しての理解度である。このような逸材がいるのはまさに不幸中の幸いであり王国の誰もの淡い希望のようなものになっていた。

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戦場にて。

「アルファ=インスペクター様から出撃中止命令が出た。おそらく援護攻撃だろう。総員自らの身を守れ。あの方のことだから我らにダメージを与えることのないようにしているだろうが、もしもを考えて自分自身で自分自身を守るのだ。戦死者を出させぬようにするぞ!」

迫力のある小隊長は自らの隊員に対し喝を入れるように大声を出した。だが、どの程度の魔術援護が来るのかは彼ら自身も知らなかったためそれが来た時は恐れをなしただろう。それから5秒きっかり経った後、魔王軍と思われる軍隊、推定1万が目視出来た。その次の瞬間、大部分を巻き込んで巨大な岩が降り注いだ。当然ココまででも驚きなのだが、その岩1つ1つに青い炎がまとわりついているのだ。その当時、青い炎というのはあまり知られておらず、赤い炎のみであった。そんな者から見た青い炎というのは人知を超えたものとその目に移ったのだ。そしてその炎が魔族を次々と燃やしていく姿を見てより一層恐怖を覚えたのである。圧巻していた小隊長の通信機に彼から通信が来る。

「お相手さんは楽しんでくれていたかい。俺に出来る最大限の接待だったのだがな」

少し軽い口調でその小隊長に言った。ただしそのことは小隊長には狂気に満ちた一言に聞こえたらしく口元を少し開けたまま静止していた。ただ、待たせるわけにはいかないと思ったからか正気を取り戻し、通信機のマイクに声を吹きかける。

「ええ、楽しんでくれたようです。しかし、私たちはおもてなしする方がもういらっしゃらないのですが……」

小隊長は作り笑いをしながら報告をする。

「わかった。では地点を変更する。指揮官は…君にしようか。応援要請が来たら応援を数部隊を送ってあげてくれ。俺は王国第結界の要の強化をしてくる。万が一に備えてな」

先ほどまでのおちゃらけた雰囲気とは変わり、普段の落ち着いた声色になっていた。ここまで雰囲気を瞬時に変えられるのはやはりすごいと思う。ただそれがこの戦場で役に立つのかはポジション次第だろう。

「了解。任務を遂行いたします!」

敬礼を表し、勢いのある声でマイクに声を吹きかけたからか少し遅れてスピーカーから音が届く。

「ああ、頑張ってくれ。戦況を覆さなくてはならないからな」

それから直後にとても小さい声で「おそらく、王国軍では荷が重いだろうが」と独り言をしていた。小隊長はその一言を聞き、少し不思議に思ったが、特に考えず、任務ミッションを遂行することに今の意識を変えた。

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8章のスタートです!前回から会話文を減らしているので、ギャグを入れにくくなっちゃいましたが……。王国軍がここからどうなるのかお楽しみください。頑張って更新を早くしました!(ちなみに更新日時が2つ書かれていますが右のほうは設定の更新日時を表しています)
                                                       読んでいただきありがとうございます!これからもよろしくお願いします!頑張ります!
次回は4月中に出します。
追記、次回を長めにするために5月中に延期させていただきます。申し訳ございません。
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