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7章 軍事介入
解放連合国⑥
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「この国は身分制を用いず、他民族を集合させているのでしょう。その証拠に隠していたのかは存じ上げませんが、見えてますよアルベルト=リベルト殿」
そう口角を少し上げて意地の悪そうなそしてどこか寂しげな表情を浮かべるアルファ=インスペクターの姿があった。その発言によってアルベルト=リベルトは少し怯えた顔をする。それを見たアルファ=インスペクターはなおも追い打ちをかける様子でいる。このままでは空気を悪くしてしまうと考え、国王はその口を開く。
「アルファ=インスペクター、それはどういうことかな」
少し威圧感を出し、彼の考えを変えようと試みた。どうやら効果はあったようで少し萎縮した様子で質問に答えた。
「彼らは人間ではありません。亜人種や獣人などの民族が集まってるですよ。現にアルベルト=リベルト殿も例外ではないのですよ。さあ、もう隠さないでいいですよ、アルベルト=リベルト殿?」
そう言い、トーンを下げて続けた。
「あなたの下手くそな幻術はもうとっくに我々は見破っています。だいたい、今更その程度の差異でしのごの言うつもりは毛頭ないので安心してください」
賛同を求める彼の視線を王国側の人間は誰もが彼を見ないように逸らしていた。気づいていなかったなんて口が裂けても言えない……。解放連合国側からしたら自分たちのことがモロバレで心底心配しただろう。交渉で大事なのは自分の情報を相手にどれだけ知らせないかがポイントだというのにバレていたなど上に言っては身を滅ぼしかねないだろう。だがこれによって彼らは幻術を解いた。
「すまない、いかに信用する王国殿に対しご無礼を果たしてしまった申し訳ない」
皮膚からは人間のものからトカゲのような鱗が出ており、全身が茶色のような色になっていた。当然怯えはしないが、不覚にも彼らの容姿を見て驚いてしまった。
「いいや、それは良いですよ。ただ、少しめんどくさいことになりました」
彼らは人間ではない。だからといって軍部が醜態を晒すとは思えないが、王国兵の一部や民衆から反対活動が出るかもしれない。奴隷制度は我が国は容認していないが、その手の裏の連中を中心に批判されるだろう。運悪く殺されるかもしれない。それを考えるととても難題のように思える。ただし反対活動が起きたとしてもそれは貴族中心となるだろう。没落貴族にとってここは稼ぎ場所だろうからな。ただそんなことまで考えるなら決定できそうにない。思考が複雑になってきて外面は考える人のようである。それを断ち切ろうとアルベルト=リベルト殿が口を開いて声を発した。
「確かにリスクは上がってしまいます。しかし我々、解放連合国に協力していただいた暁には必ず王国殿に協力します。ハイリスクハイリターンです。どうかお選びください」
ここまで統率された軍を持つ彼らを味方にすればかなり強いだろう。そう考えながらまた思考の波に埋まっていく。
今回はあとがきを省略します。次回の目処は今月中です。
そう口角を少し上げて意地の悪そうなそしてどこか寂しげな表情を浮かべるアルファ=インスペクターの姿があった。その発言によってアルベルト=リベルトは少し怯えた顔をする。それを見たアルファ=インスペクターはなおも追い打ちをかける様子でいる。このままでは空気を悪くしてしまうと考え、国王はその口を開く。
「アルファ=インスペクター、それはどういうことかな」
少し威圧感を出し、彼の考えを変えようと試みた。どうやら効果はあったようで少し萎縮した様子で質問に答えた。
「彼らは人間ではありません。亜人種や獣人などの民族が集まってるですよ。現にアルベルト=リベルト殿も例外ではないのですよ。さあ、もう隠さないでいいですよ、アルベルト=リベルト殿?」
そう言い、トーンを下げて続けた。
「あなたの下手くそな幻術はもうとっくに我々は見破っています。だいたい、今更その程度の差異でしのごの言うつもりは毛頭ないので安心してください」
賛同を求める彼の視線を王国側の人間は誰もが彼を見ないように逸らしていた。気づいていなかったなんて口が裂けても言えない……。解放連合国側からしたら自分たちのことがモロバレで心底心配しただろう。交渉で大事なのは自分の情報を相手にどれだけ知らせないかがポイントだというのにバレていたなど上に言っては身を滅ぼしかねないだろう。だがこれによって彼らは幻術を解いた。
「すまない、いかに信用する王国殿に対しご無礼を果たしてしまった申し訳ない」
皮膚からは人間のものからトカゲのような鱗が出ており、全身が茶色のような色になっていた。当然怯えはしないが、不覚にも彼らの容姿を見て驚いてしまった。
「いいや、それは良いですよ。ただ、少しめんどくさいことになりました」
彼らは人間ではない。だからといって軍部が醜態を晒すとは思えないが、王国兵の一部や民衆から反対活動が出るかもしれない。奴隷制度は我が国は容認していないが、その手の裏の連中を中心に批判されるだろう。運悪く殺されるかもしれない。それを考えるととても難題のように思える。ただし反対活動が起きたとしてもそれは貴族中心となるだろう。没落貴族にとってここは稼ぎ場所だろうからな。ただそんなことまで考えるなら決定できそうにない。思考が複雑になってきて外面は考える人のようである。それを断ち切ろうとアルベルト=リベルト殿が口を開いて声を発した。
「確かにリスクは上がってしまいます。しかし我々、解放連合国に協力していただいた暁には必ず王国殿に協力します。ハイリスクハイリターンです。どうかお選びください」
ここまで統率された軍を持つ彼らを味方にすればかなり強いだろう。そう考えながらまた思考の波に埋まっていく。
今回はあとがきを省略します。次回の目処は今月中です。
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