転生者は常識外れなのだが…

syu117

文字の大きさ
上 下
57 / 65
7章 軍事介入

解放連合国⑥

しおりを挟む
「この国は身分制を用いず、他民族を集合させているのでしょう。その証拠に隠していたのかは存じ上げませんが、アルベルト=リベルト殿」

そう口角を少し上げて意地の悪そうなそしてどこか寂しげな表情を浮かべるアルファ=インスペクターの姿があった。その発言によってアルベルト=リベルトは少し怯えた顔をする。それを見たアルファ=インスペクターはなおも追い打ちをかける様子でいる。このままでは空気を悪くしてしまうと考え、国王はその口を開く。

「アルファ=インスペクター、それはどういうことかな」

少し威圧感を出し、彼の考えを変えようと試みた。どうやら効果はあったようで少し萎縮した様子で質問に答えた。

「彼らは人間ではありません。亜人種や獣人などの民族が集まってるですよ。現にアルベルト=リベルト殿も例外ではないのですよ。さあ、もう隠さないでいいですよ、アルベルト=リベルト殿?」

そう言い、トーンを下げて続けた。

「あなたの下手くそな幻術変装はもうとっくに我々は見破っています。だいたい、今更その程度のでしのごの言うつもりは毛頭ないので安心してください」

賛同を求める彼の視線を王国側の人間は誰もが彼を見ないように逸らしていた。気づいていなかったなんて口が裂けても言えない……。解放連合国側からしたら自分たちのことがモロバレで心底心配しただろう。交渉で大事なのは自分の情報を相手にどれだけ知らせないかがポイントだというのにバレていたなど上に言っては身を滅ぼしかねないだろう。だがこれによって彼らはを解いた。

「すまない、いかに信用する王国殿に対しご無礼を果たしてしまった申し訳ない」

皮膚からは人間のものからトカゲのような鱗が出ており、全身が茶色のような色になっていた。当然怯えはしないが、不覚にも彼らの容姿を見て驚いてしまった。

「いいや、それは良いですよ。ただ、少しめんどくさいことになりました」

彼らは人間ではない。だからといって軍部が醜態を晒すとは思えないが、王国兵の一部や民衆から反対活動が出るかもしれない。奴隷制度は我が国は容認していないが、その手の裏の連中を中心に批判されるだろう。運悪く。それを考えるととても難題のように思える。ただし反対活動が起きたとしてもそれは貴族中心となるだろう。没落貴族にとってここは稼ぎ場所だろうからな。ただそんなことまで考えるなら決定できそうにない。思考が複雑になってきて外面そとずらは考える人のようである。それを断ち切ろうとアルベルト=リベルト殿が口を開いて声を発した。

「確かにリスクは上がってしまいます。しかし我々、解放連合国に協力していただいた暁には必ず王国殿に協力します。ハイリスクハイリターンです。どうかお選びください」

ここまで統率された軍を持つ彼らを味方にすればかなり強いだろう。そう考えながらまた思考の波に埋まっていく。

今回はあとがきを省略します。次回の目処は今月中です。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活

天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――

絶対に間違えないから

mahiro
恋愛
あれは事故だった。 けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。 だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。 何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。 どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。 私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。

お前じゃないと、追い出されたが最強に成りました。ざまぁ~見ろ(笑)

いくみ
ファンタジー
お前じゃないと、追い出されたので楽しく復讐させて貰いますね。実は転生者で今世紀では貴族出身、前世の記憶が在る、今まで能力を隠して居たがもう我慢しなくて良いな、開き直った男が楽しくパーティーメンバーに復讐していく物語。 --------- 掲載は不定期になります。 追記 「ざまぁ」までがかなり時間が掛かります。 お知らせ カクヨム様でも掲載中です。

最強令嬢とは、1%のひらめきと99%の努力である

megane-san
ファンタジー
私クロエは、生まれてすぐに傷を負った母に抱かれてブラウン辺境伯城に転移しましたが、母はそのまま亡くなり、辺境伯夫妻の養子として育てていただきました。3歳になる頃には闇と光魔法を発現し、さらに暗黒魔法と膨大な魔力まで持っている事が分かりました。そしてなんと私、前世の記憶まで思い出し、前世の知識で辺境伯領はかなり大儲けしてしまいました。私の力は陰謀を企てる者達に狙われましたが、必〇仕事人バリの方々のおかげで悪者は一層され、無事に修行を共にした兄弟子と婚姻することが出来ました。……が、なんと私、魔王に任命されてしまい……。そんな波乱万丈に日々を送る私のお話です。

幼い公女様は愛されたいと願うのやめました。~態度を変えた途端、家族が溺愛してくるのはなぜですか?~

朱色の谷
ファンタジー
公爵家の末娘として生まれた6歳のティアナ お屋敷で働いている使用人に虐げられ『公爵家の汚点』と呼ばれる始末。 お父様やお兄様は私に関心がないみたい。愛されたいと願い、愛想よく振る舞っていたが一向に興味を示してくれない… そんな中、夢の中の本を読むと、、、

メインをはれない私は、普通に令嬢やってます

かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・ だから、この世界での普通の令嬢になります! ↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

処理中です...