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7章 軍事介入
解放連合国①
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講義から2週間後のテストの結果が出た、ある日のこと。遂に、時代が動き始めたようだ。アルファはそう悟りはじめたのである。
アルファがそのように思い始めた頃、国王にある知らせが送られた。
「国王陛下、本日未明、王国に対し、国交を開こうとしている国の存在が確認されました。いかがなさいますか?」
一人の家臣の報告を聞き、国王も気づいた。
「その国の名は何というのだ」
「解放連合国…声明によれば、王国と比べても、強力な軍隊を保有し、多種族協力法を施行しており、多くの種族が集まった連合国だそうです。また、『神のお告げによって我々はこれからの大戦の存在を確認している。この戦禍を減らすため協力を要請する』との声明もしています」
「陛下、所詮、どこかの農村の周辺の種族の者が集まって、小規模なオカルト集団を名乗っているだけでしょう」
そう言うのは、財政を担当している大臣である。彼自身こんなことよりも教育に走って、財政を立て直そうとしているのだろう。だが、あくまでこの場は国王陛下の御前であり、あまり好ましい状況とは言えなかった。
「だが、このような電報に近いものを使えるということは、その国の技術力を証明するものであろう。確かに胡散臭いところはありはするが、王国の歴史書にもそのような聖戦を予言するものがあった。万が一のことを考え、最低限の接触は必要なのではないか?」
国王がそんなことを言いだしては、反対の余地が生まれない。しかしながら、残念なことにこの接触は数人の使者を送るだけという、大変小規模なものになっており、相手からしては面食らいである。この日の報告は淡々と流れていった。
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「静かなものだな。ここまで人数がおるのに、雑音がここまでないとはな…」
国王は、アルファに言う。一見すると、数十万人が整列して自分の目前で敬礼をしているこの光景に驚きを隠せなかったからだろう。
「何を言ってるんですか。この王国の大半の国民は国王陛下に敬意を表していますから、この程度は造作もないでしょう」
その後、国王にアルファが小声で「まぁ、ここまでにするのにはかなりの苦労がありましたがね」と話す。国王もそれを聞き、納得している様子だ。ここまでの経緯を話すには、まず順番付けをして小隊をいくつにも分け、それぞれの隊長に国王陛下に対する考え方の講義という名のディスカッションをしてから、愛国心を持たせた…と、まぁ~完全な軍国思考に近いことをしているため、あまりおおっぴらには公表できない。平たく言えば、洗脳をしたようなものだからな。ここまでを推測したかはよくわからないが、国王は一言、「恐ろしいな。流石は鬼将軍だ」と言った。鬼将軍は心外だが、やっていることもやっていることなので、反論はできない。当然、人体実験はしていない。あれは倫理に反しているからな。流石に俺でもしたいとは思わない。
「して、アルファ=インスペクターよ、ここには何人おるのだ?」
民衆の前ではその偉そうな口調で話そうと心掛けている国王だったが、実は民衆の3割はすでにそのことに気がついていることを彼はまだ知らなかった。
「ざっと、15万人ですね。以前のテストの成績上位者と私が適当に…厳正なる審査を行った者達です。この軍隊があれば、ある程度の軍事力を秘密裏に保持することができます」
「よくやった。これで、万が一の時の対応が可能となった。これからもよろしく頼むぞ。王国軍総監督長官」
わざとらしい呼び方だなぁとは思いつつも、自分が調きょ…育てた兵士とは言え、民衆には変わりない。そのため、この場での言葉遣いによってはこれからの指揮の効率に支障をきたす可能性がある。
「了解しました。国王陛下」
そう言い、軽く礼をすると、国王はぞんざいにその部屋から立ち去った。その後、兵士たち全員に戦闘に関する知識を講義したり、魔法についての講義などをアルファ一人でこなした。その頃から、アルファは、鬼将軍兼魔導王と呼ばれるようになった。稀に、剣の講義をすることもあったが、それについてはスピア(敬称略)の方が上手いという感想が多かった。のちに、この兵士たちの実力に関して推測がされたが、旧冒険者ランクB以上ランクSまでであるという見解だそうだ。
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(前回から出ている旧冒険者ランクというものが出ていますが、この話が公開されたと同時に、解説の方も公開いたします)
遂に、軍事介入。これから話は急展開を迎えます。因みに、現在、ストーリーに関して整理しているのですが、まだ先の方になるでしょうが、後にこの時代についての話が語られる場面がきますが…。遠い、未来なので忘れていても構いません。
読んでいただき、ありがとうございます!これからもよろしくお願いします!
アルファがそのように思い始めた頃、国王にある知らせが送られた。
「国王陛下、本日未明、王国に対し、国交を開こうとしている国の存在が確認されました。いかがなさいますか?」
一人の家臣の報告を聞き、国王も気づいた。
「その国の名は何というのだ」
「解放連合国…声明によれば、王国と比べても、強力な軍隊を保有し、多種族協力法を施行しており、多くの種族が集まった連合国だそうです。また、『神のお告げによって我々はこれからの大戦の存在を確認している。この戦禍を減らすため協力を要請する』との声明もしています」
「陛下、所詮、どこかの農村の周辺の種族の者が集まって、小規模なオカルト集団を名乗っているだけでしょう」
そう言うのは、財政を担当している大臣である。彼自身こんなことよりも教育に走って、財政を立て直そうとしているのだろう。だが、あくまでこの場は国王陛下の御前であり、あまり好ましい状況とは言えなかった。
「だが、このような電報に近いものを使えるということは、その国の技術力を証明するものであろう。確かに胡散臭いところはありはするが、王国の歴史書にもそのような聖戦を予言するものがあった。万が一のことを考え、最低限の接触は必要なのではないか?」
国王がそんなことを言いだしては、反対の余地が生まれない。しかしながら、残念なことにこの接触は数人の使者を送るだけという、大変小規模なものになっており、相手からしては面食らいである。この日の報告は淡々と流れていった。
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「静かなものだな。ここまで人数がおるのに、雑音がここまでないとはな…」
国王は、アルファに言う。一見すると、数十万人が整列して自分の目前で敬礼をしているこの光景に驚きを隠せなかったからだろう。
「何を言ってるんですか。この王国の大半の国民は国王陛下に敬意を表していますから、この程度は造作もないでしょう」
その後、国王にアルファが小声で「まぁ、ここまでにするのにはかなりの苦労がありましたがね」と話す。国王もそれを聞き、納得している様子だ。ここまでの経緯を話すには、まず順番付けをして小隊をいくつにも分け、それぞれの隊長に国王陛下に対する考え方の講義という名のディスカッションをしてから、愛国心を持たせた…と、まぁ~完全な軍国思考に近いことをしているため、あまりおおっぴらには公表できない。平たく言えば、洗脳をしたようなものだからな。ここまでを推測したかはよくわからないが、国王は一言、「恐ろしいな。流石は鬼将軍だ」と言った。鬼将軍は心外だが、やっていることもやっていることなので、反論はできない。当然、人体実験はしていない。あれは倫理に反しているからな。流石に俺でもしたいとは思わない。
「して、アルファ=インスペクターよ、ここには何人おるのだ?」
民衆の前ではその偉そうな口調で話そうと心掛けている国王だったが、実は民衆の3割はすでにそのことに気がついていることを彼はまだ知らなかった。
「ざっと、15万人ですね。以前のテストの成績上位者と私が適当に…厳正なる審査を行った者達です。この軍隊があれば、ある程度の軍事力を秘密裏に保持することができます」
「よくやった。これで、万が一の時の対応が可能となった。これからもよろしく頼むぞ。王国軍総監督長官」
わざとらしい呼び方だなぁとは思いつつも、自分が調きょ…育てた兵士とは言え、民衆には変わりない。そのため、この場での言葉遣いによってはこれからの指揮の効率に支障をきたす可能性がある。
「了解しました。国王陛下」
そう言い、軽く礼をすると、国王はぞんざいにその部屋から立ち去った。その後、兵士たち全員に戦闘に関する知識を講義したり、魔法についての講義などをアルファ一人でこなした。その頃から、アルファは、鬼将軍兼魔導王と呼ばれるようになった。稀に、剣の講義をすることもあったが、それについてはスピア(敬称略)の方が上手いという感想が多かった。のちに、この兵士たちの実力に関して推測がされたが、旧冒険者ランクB以上ランクSまでであるという見解だそうだ。
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(前回から出ている旧冒険者ランクというものが出ていますが、この話が公開されたと同時に、解説の方も公開いたします)
遂に、軍事介入。これから話は急展開を迎えます。因みに、現在、ストーリーに関して整理しているのですが、まだ先の方になるでしょうが、後にこの時代についての話が語られる場面がきますが…。遠い、未来なので忘れていても構いません。
読んでいただき、ありがとうございます!これからもよろしくお願いします!
応援ありがとうございます!
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