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5章2年生になったら
未来①
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「じゃあ、要するに、2週間後、爆破されるのね」
「その通りだ」
俺はベータに答える。
「とりあえず、誰が大穴を開けたのかを考えることからね」
ベータは神妙そうな顔でそう言う。
「それについてはよくわからないから、1から探すことになるな」
「何か手がかりはあるのか?アルファ」
ジャックは心配そうに言う。元はと言えば、こいつの課題が…。
「!?」
し、しまった。殺気を漏らしてしまったようだ。こう見えてジャックはこういう、気の流れに敏感なのだ。
「うんにゃ、ないな」
「かなりしんどいなぁ」
ジャックは空を見ながらそう言う。
「もう朝だし、学園に行く用意をしないとな」
そそくさと準備を…しているのは俺だけで、それ以外は早速行こうとしている。スピアは気付き、手伝おうとするが、その時にはすでに支度を済ませていたので、学園に向かうことにした。
「今日から君達も2年生だ。今までのような軟弱な姿勢でいては1年生に顔が立たない。毅然とした態度でいてくれ」
1時限の先生…名前は忘れたが、2年の総合担任だ。因みに教科は武術と言いながら、戦術についてだ。
実は、一つ気になるのが、魔術系の教師が殆ど異動となった。理由はよくわからない。
「では、授業を始める」
その一声で授業は始まる。ノートを取る者や俗に言う録音魔法を使う者や最初から、記録を取らず、終わってから空間切り取り系統魔術を応用して写真のようなものにする者まで様々である。因みに俺は、ノートを取る派である。
「~であるからして対魔人及び対魔神術式は難解であり、敵に隙を見せないのが目的である。このような術式の代表例として~」
先生の言うことを全てはまとめてはいるが、何しろ早いので書くのは雑になりやすい。
「周囲抹消及び完全拘束下の回復不能ダメージを負わすのが最も効率が良い。しかし、このような状況にはなりにくいため~」
戦術というのは勉強になるのだ。隣では一生懸命、ノートを写すスピアがいた。どうやら、間に合っていないようだ。
「先生!」
元気の良い声が教室全体に響き渡り、いつものことながら察するものが多かったが、それでも後ろを向こうとしたものも多かった。
「なんだね。デント君」
少々呆れたような様子で言う。無論、教えるのは初めてでも噂ぐらいは知っていたはずだ。
「『周囲抹消及び完全拘束下の回復不能ダメージを負わすのが最も効率が良い。』と言っていましたが、回復不能ダメージを負わせるのは簡単でしょう。だって、元はと言えば、魔力も似ているのですから、体の強度なんて考える必要があるのですか」
戦ったことのないものはこう言うのだろう。安全地帯からではわからないかもしれないが、奴らはとても丈夫だ。
自分自身も経験はないが、レートがSを超えだすという。
「魔人はともかく、魔神は尋常じゃないですよ。そうですね、貴方の60倍は強いでしょう。魔人でも」
(魔人も魔神も当て字で呼ぶことが多い)
次の瞬間、授業終了のチャイムが鳴り響く。教師もチャイムがなっては何も出来ない。
「これで授業を終了する。復習を忘れないように」
雪崩のように、ドミノのように教室中にあった静かな空気は、霧散した。
「陛下、報告したいことが…」
「陛下ではない、校長と呼ぶのだ」
少し不機嫌そうだが、これから話す内容によってさらに機嫌を悪くするだろう。
「校長、2週間後、食料庫が爆破されます。如何いたしますか」
「対策はそちらに任そう」
「一国の国王が一生徒に頼むのですか。この国はツケが回ったようですね…」
「ジョークはそこまでにしてくれ。勝率はどのくらいなのだ」
「…ギャンブルと同じですよ。結果は最後までわからないものですよ」
アルファはニヤリと笑う。一先ず、校長は安心したように言う。
「ならば良い、本当なら今日、言ってもいいが、集中できなくなるだろう。2週間後、これがひと段落ついてからこの話はすることとしよう。意義はあるか」
「いえ、いえ」
「一つ聞いてもいいか?」
明らかに一国の王がする態度ではないが、ここは非公式の場である。別にいいだろう。
「別に良いですが」
「貴君はどこまでわかっているんだ?」
「貴君ですか。おそらく、1,000年後まではほぼ正確に予知できると思います。まぁ~これは予知ではなく、予測ですが」
-----------------------------------------------------------
前回の矛盾にも触れながらの内容でしたが、如何だったでしょうか。
アルファと国王は何かを知っているのかもしれませんね。(語るのはいつになるのだろう…)
次回は早く、更新できるように頑張ります。余談ですが、本作の27話の一部を訂正致しました。
読んでいただき、ありがとうございます!これからもよろしくお願いします!
追記 9/29投稿いたします。
「その通りだ」
俺はベータに答える。
「とりあえず、誰が大穴を開けたのかを考えることからね」
ベータは神妙そうな顔でそう言う。
「それについてはよくわからないから、1から探すことになるな」
「何か手がかりはあるのか?アルファ」
ジャックは心配そうに言う。元はと言えば、こいつの課題が…。
「!?」
し、しまった。殺気を漏らしてしまったようだ。こう見えてジャックはこういう、気の流れに敏感なのだ。
「うんにゃ、ないな」
「かなりしんどいなぁ」
ジャックは空を見ながらそう言う。
「もう朝だし、学園に行く用意をしないとな」
そそくさと準備を…しているのは俺だけで、それ以外は早速行こうとしている。スピアは気付き、手伝おうとするが、その時にはすでに支度を済ませていたので、学園に向かうことにした。
「今日から君達も2年生だ。今までのような軟弱な姿勢でいては1年生に顔が立たない。毅然とした態度でいてくれ」
1時限の先生…名前は忘れたが、2年の総合担任だ。因みに教科は武術と言いながら、戦術についてだ。
実は、一つ気になるのが、魔術系の教師が殆ど異動となった。理由はよくわからない。
「では、授業を始める」
その一声で授業は始まる。ノートを取る者や俗に言う録音魔法を使う者や最初から、記録を取らず、終わってから空間切り取り系統魔術を応用して写真のようなものにする者まで様々である。因みに俺は、ノートを取る派である。
「~であるからして対魔人及び対魔神術式は難解であり、敵に隙を見せないのが目的である。このような術式の代表例として~」
先生の言うことを全てはまとめてはいるが、何しろ早いので書くのは雑になりやすい。
「周囲抹消及び完全拘束下の回復不能ダメージを負わすのが最も効率が良い。しかし、このような状況にはなりにくいため~」
戦術というのは勉強になるのだ。隣では一生懸命、ノートを写すスピアがいた。どうやら、間に合っていないようだ。
「先生!」
元気の良い声が教室全体に響き渡り、いつものことながら察するものが多かったが、それでも後ろを向こうとしたものも多かった。
「なんだね。デント君」
少々呆れたような様子で言う。無論、教えるのは初めてでも噂ぐらいは知っていたはずだ。
「『周囲抹消及び完全拘束下の回復不能ダメージを負わすのが最も効率が良い。』と言っていましたが、回復不能ダメージを負わせるのは簡単でしょう。だって、元はと言えば、魔力も似ているのですから、体の強度なんて考える必要があるのですか」
戦ったことのないものはこう言うのだろう。安全地帯からではわからないかもしれないが、奴らはとても丈夫だ。
自分自身も経験はないが、レートがSを超えだすという。
「魔人はともかく、魔神は尋常じゃないですよ。そうですね、貴方の60倍は強いでしょう。魔人でも」
(魔人も魔神も当て字で呼ぶことが多い)
次の瞬間、授業終了のチャイムが鳴り響く。教師もチャイムがなっては何も出来ない。
「これで授業を終了する。復習を忘れないように」
雪崩のように、ドミノのように教室中にあった静かな空気は、霧散した。
「陛下、報告したいことが…」
「陛下ではない、校長と呼ぶのだ」
少し不機嫌そうだが、これから話す内容によってさらに機嫌を悪くするだろう。
「校長、2週間後、食料庫が爆破されます。如何いたしますか」
「対策はそちらに任そう」
「一国の国王が一生徒に頼むのですか。この国はツケが回ったようですね…」
「ジョークはそこまでにしてくれ。勝率はどのくらいなのだ」
「…ギャンブルと同じですよ。結果は最後までわからないものですよ」
アルファはニヤリと笑う。一先ず、校長は安心したように言う。
「ならば良い、本当なら今日、言ってもいいが、集中できなくなるだろう。2週間後、これがひと段落ついてからこの話はすることとしよう。意義はあるか」
「いえ、いえ」
「一つ聞いてもいいか?」
明らかに一国の王がする態度ではないが、ここは非公式の場である。別にいいだろう。
「別に良いですが」
「貴君はどこまでわかっているんだ?」
「貴君ですか。おそらく、1,000年後まではほぼ正確に予知できると思います。まぁ~これは予知ではなく、予測ですが」
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前回の矛盾にも触れながらの内容でしたが、如何だったでしょうか。
アルファと国王は何かを知っているのかもしれませんね。(語るのはいつになるのだろう…)
次回は早く、更新できるように頑張ります。余談ですが、本作の27話の一部を訂正致しました。
読んでいただき、ありがとうございます!これからもよろしくお願いします!
追記 9/29投稿いたします。
応援ありがとうございます!
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