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未開の森②

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本日2話目の投稿です。ご確認ください。

――――――――――――――





「ねね様だけだと不安だから、私も付いていって良い?」
「不安ってどういうこと!? 大丈夫だよ、1人でいけるから」
「ダメです。レイナ様は陛下の護衛なので。じゃ、よろしくお願いしますね」
「まかせて!」

 と言うことで、まさかまさかのレイナが付いてくることになった。
 まあいいんだけどね。レイナちゃんと2人の旅。愛があふれそう。

「すぐ戻るけど、その間国の管理はお願い。王族が2人も居なくなるってやばい気がするけど、まあしょうがないよね~」
「いや、しょうがなくないです。本当に一大事ですから早く戻ってきてくださいね。冬支度だってあるんですから」
「はーい。じゃ、レイナちゃん行こっか」
「うん!」

 そう満面の笑みで頷き返してくるレイナちゃん。あー、かわいい。
 そういえばレイナちゃんって私の護衛だったなぁってふと思う。普段はバリバリ仕事していて忘れそうになるけど、騎士団長くらいならやっつけられるほど強いからね。
 普通にチートでしょ。転生者なの?

 まあ、んなわけないか。

「ん? どうしたの?」
「いや、なんでもないよ~、さ! いこ!」
「うん!」
「はぁ、くれぐれもお気をつけて」

 空を飛ぶ移動と言えば何を使う?
 箒? 絨毯? さて、どっちで行こうかな~。

「レイナちゃんどっちが良い?」
「絨毯かな~」
「じゃあ絨毯で行こっか」

 アイテムボックスから絨毯を取り出して、重力魔法の圧をマイナスにして掛けていく。
 さらに様々な魔法を掛けていくと上手く空を飛べるようになるってわけ。
 こうやって一見単純そうに見える魔法でも、案外いろいろな魔法が組み合わさっていたりする。それは魔法を使う人の技量だね。
 通常魔法の重ね掛けは魔力の消費量的にあまりしないのだけど、私はもうあれだから。もう魔力山盛りもりもりだから。気にしないことにした。

 それにしてもアリかぁ……。正直冒険は楽しいけどアリは嫌だな。普通に嫌。
 だってアリだよ? きしょいでしょ普通に。小さい2ミリくらいのアリならまだいいよ。いや、きしょいわ。ごめん普通にきしょいわ。
 でも今回は2センチくらいあるわけでしょ? え? きしょ。

 まあアリも必死に働いているわけか。私が書類の束を前にして執務室から逃亡している間も、せっせと狩りをしてせっせと食べ物を巣へ運んでいるんだね。
 凄い。私より偉いかもしれない。

 あ、でも働き蟻の一部はニートって聞いたことがある。巣の中でニート生活をしているとか。何でなんだろ。何かきっとそれも生命の神秘的なものがあるんだろうけど。

 大体ここから森までは飛ばせば3日あれば付くと思う。帰りはワープでヒュンだから、行きだけの旅路だね。
 もちろんご飯もたんまり持ってきているし、テントも持ってきてるからキャンプ気分で冒険しようと思う。
 何かあっても私とレイナで倒せない相手は居ないと思う。大体レイナ1人で大丈夫だと思うけど、私も居るからね。
 ドラゴンでもボコボコだから。



 赤い絨毯に2人してあぐらをかいている。
 私もレイナも小さいから、少し小さめの絨毯でも十分だ。
 この絨毯は落ちないような作りになっている。いや、作りにはなってないね。私の魔法で落ちないようにしてある。
 だからレイナがうたた寝をしても落ちることはないし、私が途中で寝てしまってもそのまま目的地に向かって等速直線運動を展開する。
 山にぶつかりそうになったらゆっくりと減速するようにしてあるよ。

 きっと動き回ると思って、2人とも動きやすい格好になっている。
 私もレイナもガチガチの鎧とかが好きじゃ無くて、基本的に軽い皮製の物を利用している。
 まずレイナは動体視力が良くて、基本的に攻撃を食らわない。なので正直防具はほとんど必要ないのだが、数で押されるとその限りでは無い。
 実際数ヶ月前の戦闘にて負傷している。

 私は攻撃を避けるのは苦手。
 ただ、常に体内に魔力を循環しているため、私の体はそのままでも鎧のように堅い。まあ傷つけることはほとんど無理だと思う。
 傷ついたとしてもすぐにヒールを掛ければ元通り。即死級じゃない限り死なない。

「景色きれいだね」
「ほんとだね!」

 私の国は良い意味でのどかだ。
 そりゃあ町の周辺は家も建ち並んで相当都会の部類に入ると思う。あくまでこの世界ではと言う前提が付くが。
 ただ、すこし外へ行くと豊かな緑が広がっている。
 徐々に広がっていった領地。ニシゾノ王国の中には草原から山、大きな川に岩場までいろいろなものがある。
 今通っているのは豊かな草原で、高低差がほとんど無い。
 遠くの方にかすんで見える山脈に、ゆっくりと太陽が沈み始めた。
 空はオレンジ色に変わり、オレンジに照らされた草木は風に吹かれてゆったりとなびいている。

 鳥さんたちと併走しながら、豊かな自然の中をアリの群れに向かって進んでいく。
 ああ、目的地が海とかだったら良かったのになぁ……。 
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