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ミニトマト

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 ゲルツが連れて行ってくれたのは、農場の入り口から凸凹とした道を少し行ったところにある、ミニトマトの畑だ。

「おいしそう!」

 畑には、鮮やかな赤色をしたきれいなミニトマトがずらりとなっていて、ほのかに甘酸っぱい香りをあたりにまき散らしていた。

「ゲルツ!とってもいい?」
「どうぞ殿下。たくさん採ってたくさん食べてください。」

 レイナは近くにあったミニトマトに手をやり、プチっともぎった。

「おお!とれた!」
「殿下、もしよかったらこのまま食べてみてください。」
「このままでも食べれる?」
「もちろんじゃ。……ほら、こんなふうに。」

 そういうと、ゲルツは近くにあったミニトマトを採り、そのまま口の中へと放り込んだ。
 それを見て、レイナも同じようにミニトマトを口の中へと放り込み、味わうように食べた。

「甘くておいしい!酸っぱくない!」

 どれどれ、私も一つ。
 ……確かに酸っぱくない。トマト特有の酸味が薄くて、甘みが結構強い。

「これは私たちが今研究しているトマトなのですよ。トマト嫌いの人でも食べやすいように、甘く青臭くないトマトを研究しているのですじゃ。」
「そうなんですね、ゲルツさん。」
「陛下!そうなんですよ!もしよかったらいっぱい採っていってください!」

 私はアイテムボックスからざるを取り出し、レイナに渡した。

「いっぱい採っておいで。」

 ゲルツさん曰く、ここら辺のミニトマトは研究用で、王宮にも一般にも流通しないそうだ。
 自分たちだけでは食べきれないから、たくさん採っていってほしいとのこと。遠慮なくいただくことにする。

 レイナは、次から次へとミニトマトを採っていっている。
 その光景を見ながらゲルツは感嘆の声を漏らしている。
 どうやら、レイナは適当に取っているように見えるのだが、赤々としていてつやのある、特に美味しそうなミニトマトを中心に採取しているらしい。
 私にはわからなかったのだが、きっとおいしいトマトの証拠なのだろう。

「ぎゃ!虫だ!!」

 しばらくは夢中になって採っていたのだが、どうやら虫が出たようだ。

「ほっほっほ、これはテントウ虫ですな。」
「そうなの?おいしい?」
「うーん、あんまり食べない方がいいかと思いますよ。……ほら。」
「あ……。」

 あってなんだあって!
 確かに虫嫌いだけどさ!ていうかテントウ虫食べないでくれ!私のレイナちゃんに対するイメージ崩壊しちゃう!



 結局、その日はたくさんのミニトマトを採って王宮へと戻った。
 さすがに採りすぎて2人で食べきることは無理だったので、フィネメイゼとかその他の大臣に配りまくった。
 みんな美味しい美味しいって食べてくれていたのがよほどうれしかったみたいで、レイナはまた行きたいと騒いでいる。
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