47 / 95
王子様?
しおりを挟む
「ひ~!ひ~!」
早朝の王宮、静かな王宮の中に不気味な声が響く。
その声の出どころは、国王執務室。
「あああ!!!仕事が終わらない!!!」
そう、チナリである。
最近チナリはとにかく忙しかった。
その主な原因は学院なのだが、その学院の仕事をやっていたり、入学式に出席したり、儀式をしたりしていたために、国に関する書類がたまりにたまっていたのだ。
基本的に、書類に関しては他の大臣がやってくれるのだが、以前、書類の見落としによって悪事の発見が遅れてしまったことなどを踏まえ、ほぼすべての書類を国王である私がチェックするというふうになったのだ。
「いや、いくら何でも多すぎでしょ……。」
書類をチェックして、印を押す。
ただその作業だけなのに、途方もないように感じる。
その書類の内容が、よくわからない専門用語でまみれたものや、数字など。あたまおかしなるよ。
「あぁ!ねぇレイナちゃ~ん、手伝ってよぉ……。」
「駄目ですよねね様、頑張ってください。」
「レイナちゃんってさぁ、言ってしまえば王女なわけじゃん。手伝ってぇ!」
「無理ですよ。私は成人したら公爵の位を頂いて王家から離れるのですから。」
そうか、そうかぁ。
レイナちゃんいつまでも私のところにいるってわけじゃないんだよねぇ……。
そう思うと、寂しくなってきた。
「って!ねね様!どうしたのですか!!」
「レイナぁ。」
チナリは、そのことが心にずしりときたようで、泣き出してしまった。
ちなみに今日のチナリは徹夜だ。今の時刻は午前5時である。
あ、レイナちゃんは昨日早く寝て、4時ごろ起床してきました。
「もう、公爵の位与えるのやめる。王女になってよぉ。」
「えぇ!ちょ、ねね様ほんとにどうしたのですか!」
チナリの以前からの習性として、徹夜などにより極限状態に達すると、涙もろくなって思考能力が低下するというものがある。
今のチナリは、この終わらない膨大な職務と常に襲い続ける眠気により、極限状態に達しているのであった。
「ねね様、今日はもう寝ましょう。」
「運んで。」
「はい?」
「運んで!!私を寝室まで連れて行って!!」
「は、はぁ……。」
レイナはあきれたようにそう返事をすると、私を軽々持ち上げて寝室へと連れて行った。
チナリはベッドに着くなり、あっという間に眠りについてしまったとか。
「ねね様……。」
従者による話なのだが、チナリを連れて戻って来たレイナは、私の寝ているベッドに軽く腰を掛け、私の顔を眺めていたらしい。
その光景はまるでおとぎ話に出てくるお姫様と王子様のようで、とても美しかったとか何とか。
(あああ!やってしまった最悪だ!!)
その日のお昼ごろ、目が覚めて朝のことを思い出したチナリは自身の行動に対する後悔、レイナに対する恥ずかしさで、今にも叫びたいような気分だった。
レイナが私を抱えて廊下を歩くシーンを、王宮内に勤めるたくさんの人に目撃されており、今ではその話で持ち切りだとか。
チナリ様可愛い!とか、レイナ様かっこいい!とか。
最悪だ。
これからはしっかりと仕事を毎日消化して、眠かったらすぐに寝ます。
「ねね様、かわいかったですよ!」
「ああああああああああ!!やめでぐれぇ!!死ぬッ!死ぬッ!」
それからしばらく、レイナは楽しそうな顔で私のことを煽って来たとか。
早朝の王宮、静かな王宮の中に不気味な声が響く。
その声の出どころは、国王執務室。
「あああ!!!仕事が終わらない!!!」
そう、チナリである。
最近チナリはとにかく忙しかった。
その主な原因は学院なのだが、その学院の仕事をやっていたり、入学式に出席したり、儀式をしたりしていたために、国に関する書類がたまりにたまっていたのだ。
基本的に、書類に関しては他の大臣がやってくれるのだが、以前、書類の見落としによって悪事の発見が遅れてしまったことなどを踏まえ、ほぼすべての書類を国王である私がチェックするというふうになったのだ。
「いや、いくら何でも多すぎでしょ……。」
書類をチェックして、印を押す。
ただその作業だけなのに、途方もないように感じる。
その書類の内容が、よくわからない専門用語でまみれたものや、数字など。あたまおかしなるよ。
「あぁ!ねぇレイナちゃ~ん、手伝ってよぉ……。」
「駄目ですよねね様、頑張ってください。」
「レイナちゃんってさぁ、言ってしまえば王女なわけじゃん。手伝ってぇ!」
「無理ですよ。私は成人したら公爵の位を頂いて王家から離れるのですから。」
そうか、そうかぁ。
レイナちゃんいつまでも私のところにいるってわけじゃないんだよねぇ……。
そう思うと、寂しくなってきた。
「って!ねね様!どうしたのですか!!」
「レイナぁ。」
チナリは、そのことが心にずしりときたようで、泣き出してしまった。
ちなみに今日のチナリは徹夜だ。今の時刻は午前5時である。
あ、レイナちゃんは昨日早く寝て、4時ごろ起床してきました。
「もう、公爵の位与えるのやめる。王女になってよぉ。」
「えぇ!ちょ、ねね様ほんとにどうしたのですか!」
チナリの以前からの習性として、徹夜などにより極限状態に達すると、涙もろくなって思考能力が低下するというものがある。
今のチナリは、この終わらない膨大な職務と常に襲い続ける眠気により、極限状態に達しているのであった。
「ねね様、今日はもう寝ましょう。」
「運んで。」
「はい?」
「運んで!!私を寝室まで連れて行って!!」
「は、はぁ……。」
レイナはあきれたようにそう返事をすると、私を軽々持ち上げて寝室へと連れて行った。
チナリはベッドに着くなり、あっという間に眠りについてしまったとか。
「ねね様……。」
従者による話なのだが、チナリを連れて戻って来たレイナは、私の寝ているベッドに軽く腰を掛け、私の顔を眺めていたらしい。
その光景はまるでおとぎ話に出てくるお姫様と王子様のようで、とても美しかったとか何とか。
(あああ!やってしまった最悪だ!!)
その日のお昼ごろ、目が覚めて朝のことを思い出したチナリは自身の行動に対する後悔、レイナに対する恥ずかしさで、今にも叫びたいような気分だった。
レイナが私を抱えて廊下を歩くシーンを、王宮内に勤めるたくさんの人に目撃されており、今ではその話で持ち切りだとか。
チナリ様可愛い!とか、レイナ様かっこいい!とか。
最悪だ。
これからはしっかりと仕事を毎日消化して、眠かったらすぐに寝ます。
「ねね様、かわいかったですよ!」
「ああああああああああ!!やめでぐれぇ!!死ぬッ!死ぬッ!」
それからしばらく、レイナは楽しそうな顔で私のことを煽って来たとか。
1
お気に入りに追加
2,705
あなたにおすすめの小説
俺のスキルが無だった件
しょうわな人
ファンタジー
会社から帰宅中に若者に親父狩りされていた俺、神城闘史(かみしろとうじ)。
攻撃してきたのを捌いて、逃れようとしていた時に眩しい光に包まれた。
気がつけば、見知らぬ部屋にいた俺と俺を狩ろうとしていた若者五人。
偉そうな爺さんにステータスオープンと言えと言われて素直に従った。
若者五人はどうやら爺さんを満足させたらしい。が、俺のステータスは爺さんからすればゴミカスと同じだったようだ。
いきなり金貨二枚を持たされて放り出された俺。しかし、スキルの真価を知り人助け(何でも屋)をしながら異世界で生活する事になった。
【お知らせ】
カクヨムで掲載、完結済の当作品を、微修正してこちらで再掲載させて貰います。よろしくお願いします。
神によって転移すると思ったら異世界人に召喚されたので好きに生きます。
SaToo
ファンタジー
仕事帰りの満員電車に揺られていたサト。気がつくと一面が真っ白な空間に。そこで神に異世界に行く話を聞く。異世界に行く準備をしている最中突然体が光だした。そしてサトは異世界へと召喚された。神ではなく、異世界人によって。しかも召喚されたのは2人。面食いの国王はとっととサトを城から追い出した。いや、自ら望んで出て行った。そうして神から授かったチート能力を存分に発揮し、異世界では自分の好きなように暮らしていく。
サトの一言「異世界のイケメン比率高っ。」
異世界でフローライフを 〜誤って召喚されたんだけど!〜
はくまい
ファンタジー
ひょんなことから異世界へと転生した少女、江西奏は、全く知らない場所で目が覚めた。
目の前には小さなお家と、周囲には森が広がっている。
家の中には一通の手紙。そこにはこの世界を救ってほしいということが書かれていた。
この世界は十人の魔女によって支配されていて、奏は最後に召喚されたのだが、宛先に奏の名前ではなく、別の人の名前が書かれていて……。
「人違いじゃないかー!」
……奏の叫びももう神には届かない。
家の外、柵の向こう側では聞いたこともないような獣の叫ぶ声も響く世界。
戻る手だてもないまま、奏はこの家の中で使えそうなものを探していく。
植物に愛された奏の異世界新生活が、始まろうとしていた。
聖女やめます……タダ働きは嫌!友達作ります!冒険者なります!お金稼ぎます!ちゃっかり世界も救います!
さくしゃ
ファンタジー
職業「聖女」としてお勤めに忙殺されるクミ
祈りに始まり、一日中治療、時にはドラゴン討伐……しかし、全てタダ働き!
も……もう嫌だぁ!
半狂乱の最強聖女は冒険者となり、軟禁生活では味わえなかった生活を知りはっちゃける!
時には、不労所得、冒険者業、アルバイトで稼ぐ!
大金持ちにもなっていき、世界も救いまーす。
色んなキャラ出しまくりぃ!
カクヨムでも掲載チュッ
⚠︎この物語は全てフィクションです。
⚠︎現実では絶対にマネはしないでください!
転生してギルドの社畜になったけど、S級冒険者の女辺境伯にスカウトされたので退職して領地開拓します。今更戻って来いって言われてももう婿です
途上の土
ファンタジー
『ブラック企業の社畜」ならぬ『ブラックギルドのギル畜』 ハルトはふとしたきっかけで前世の記憶を取り戻す。
ギルドにこき使われ、碌に評価もされず、虐げられる毎日に必死に耐えていたが、憧れのS 級冒険者マリアに逆プロポーズされ、ハルトは寿退社(?)することに。
前世の記憶と鑑定チートを頼りにハルトは領地開拓に動き出す。
ハルトはただの官僚としてスカウトされただけと思っていたのに、いきなり両親に紹介されて——
一方、ハルトが抜けて彼の仕事をカバーできる者がおらず冒険者ギルドは大慌て。ハルトを脅して戻って来させようとするが——
ハルトの笑顔が人々を動かし、それが発展に繋がっていく。
色々問題はあるけれど、きっと大丈夫! だって、うちの妻、人類最強ですから!
※中世ヨーロッパの村落、都市、制度等を参考にしておりますが、当然そのまんまではないので、史実とは差異があります。ご了承ください
※カクヨムにも掲載しています。現在【異世界ファンタジー週間18位】
異世界隠密冒険記
リュース
ファンタジー
ごく普通の人間だと自認している高校生の少年、御影黒斗。
人と違うところといえばほんの少し影が薄いことと、頭の回転が少し速いことくらい。
ある日、唐突に真っ白な空間に飛ばされる。そこにいた老人の管理者が言うには、この空間は世界の狭間であり、元の世界に戻るための路は、すでに閉じているとのこと。
黒斗は老人から色々説明を受けた後、現在開いている路から続いている世界へ旅立つことを決める。
その世界はステータスというものが存在しており、黒斗は自らのステータスを確認するのだが、そこには、とんでもない隠密系の才能が表示されており・・・。
冷静沈着で中性的な容姿を持つ主人公の、バトルあり、恋愛ありの、気ままな異世界隠密生活が、今、始まる。
現在、1日に2回は投稿します。それ以外の投稿は適当に。
改稿を始めました。
以前より読みやすくなっているはずです。
第一部完結しました。第二部完結しました。
神に異世界へ転生させられたので……自由に生きていく
霜月 祈叶 (霜月藍)
ファンタジー
小説漫画アニメではお馴染みの神の失敗で死んだ。
だから異世界で自由に生きていこうと決めた鈴村茉莉。
どう足掻いても異世界のせいかテンプレ発生。ゴブリン、オーク……盗賊。
でも目立ちたくない。目指せフリーダムライフ!
修学旅行に行くはずが異世界に着いた。〜三種のお買い物スキルで仲間と共に〜
長船凪
ファンタジー
修学旅行へ行く為に荷物を持って、バスの来る学校のグラウンドへ向かう途中、三人の高校生はコンビニに寄った。
コンビニから出た先は、見知らぬ場所、森の中だった。
ここから生き残る為、サバイバルと旅が始まる。
実際の所、そこは異世界だった。
勇者召喚の余波を受けて、異世界へ転移してしまった彼等は、お買い物スキルを得た。
奏が食品。コウタが金物。紗耶香が化粧品。という、三人種類の違うショップスキルを得た。
特殊なお買い物スキルを使い商品を仕入れ、料理を作り、現地の人達と交流し、商人や狩りなどをしながら、少しずつ、異世界に順応しつつ生きていく、三人の物語。
実は時間差クラス転移で、他のクラスメイトも勇者召喚により、異世界に転移していた。
主人公 高校2年 高遠 奏 呼び名 カナデっち。奏。
クラスメイトのギャル 水木 紗耶香 呼び名 サヤ。 紗耶香ちゃん。水木さん。
主人公の幼馴染 片桐 浩太 呼び名 コウタ コータ君
(なろうでも別名義で公開)
タイトル微妙に変更しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる