38 / 95
おとり捜査
しおりを挟む
「ねね~、これは食べれる奴?」
「ん~?これは食べれる奴だよ~。」
これはおとり捜査だ。しかし、なぜか過去一の幸せを感じる。
「はぁ……幸せだわ……。」
「へっへっ、嬢ちゃんたち?こんな山奥で何をしているのかな?」
私が幸せをかみしめていると、木の陰から身長が高めで筋肉モリモリな大男が出てきた。
私の幸せな時間を妨害しやがって!!
そう心の底から強く思うのだが、今はあくまで仕事中なので抑える。王宮に戻ったらレイナちゃんをよしよしする。
「えーっと、私たちは木の実を集めているのです。」
「そっかそっかぁ、お父さんお母さんはいないのかい?」
「はい。お家にいます。」
「じゃあ今は2人きりなのか。」
「はい。」
「しゃあ!聞いたか野郎ども!」
話していた大男がそう叫ぶと、私たちの周りを囲むように盗賊らしい姿をしたやつらが出てきた。
私たちは驚き、困惑するような“演技”をする。
気が付いていないわけがないでしょう。
「うっひょー、大きいほうはともかく、小さいほうはきれいな髪で上物じゃないか!」
「ほんとだぜ!ちぇっ、今時黒い髪とか珍しいけどあんまり売れないんだよな。それに胸もないし。」
あ?
「あのちっちゃい子は高く売れそうだぜ!えっと、姉の方はまな板だからあれか。」
あ?
クソあの野郎。絶対許さない。
「俺は黒い子好きだぞ。」
うんうん。わかってるなお前。
「うそだろおまえ、目ぇ腐ってるんじゃねえのか?」
……
「ちょ、ねね様抑えて!」
「お前ら!こっちが少女だからって好き勝手言いやがって!!私だって可愛いだろうが!!!!!」
「「「「「「……」」」」」」
「なんか言えや!!!」
「いや、俺は可愛いと……」
「うるさい!!嘘をついて機嫌を取ろうつったって私はそんな嘘で機嫌がよくなるほど甘くはない!」
「え、ちょ」
もう怒った。マジでめちょめちょにしてやるわ。
「レイナ、後ろ頼む。」
「はい!」
レイナは素早く隙の無い動きで腰に隠していたナイフを取り出した。
私は盗賊が逃げないようにあたり一帯に魔法を使って塀を作った。
ものすごい音と揺れで盗賊たちはざわめく。
「な、なんだ!?」
「いいか!よく聞けあほう共!!私の名前はニシゾノ・チナリ!ここニシゾノ王国の国王だ!!」
盗賊たちは何言ってんだといわんばかりの表情で突っ立っている。
甘いわ!こんな戦闘時に警戒を怠るなんてあほじゃないのか!
隙だらけだったので軽く氷で作った槍を飛ばしてみた。
「ぐはッ!?」
「「「「「親分!!」」」」」
は?親分?
私が放った一発はものすごい速度で大男の胸元に飛んで行き、深くまで突き刺さった。
当たった男は吹き飛ぶように倒れた。
「お、親分が一撃で……。」
どうやら私の実力を奴らは甘く見ていたようだ。
私は不覚にも古龍と同じくらいの強さを持っている。
盗賊たちは私がただの村娘ではないことにようやく気が付きだしたらしい。全員が戦闘態勢に入り、剣を向けている。
私は軽く合図をし、レイナと別れて前の方へ戦いへ向かった。
私の魔法の使いかたはほかの人とは異なっている。圧縮されている魔力、その魔力に加えている圧力を少し弱め、溢れ出てきた魔力を使って攻撃するのだ。
そのために、私には詠唱が必要ない。脳内詠唱とかでもなく本当に必要がないのだ。
しかも、力の弱めかた次第ではものすごい力で発動できるし、詠唱がない分素早く魔法を発動できる。
(チナリ、あれをやってみたら?)
脳内に話しかけてきた神様が言う『あれ』とは私が密かに研究してきていた最強の魔法である。
やってみるか。
『あれ』とは簡単に言うと魔力を相手に送り込んで爆発させるという開発中の新しい魔法だ。魔法と言っていいのかはわからないけど。
さすがに爆発させたら死んじゃうので、爆発しない程度に注ぎ込む。そうすることによって魔力過多で身動きが取れなくなるのだ。
この魔法を使うためには相手に接触する必要がある。
接触しなくても発動する方法に関しては今研究中だ。できるにはできるのだが、魔力を空気中に流して範囲内の敵を一掃するような魔法になる。
別に1人だったらそれでもいいのだが、今はレイナがいる。下手するとレイナが死ぬのだ。
「ほっ!」
私は足に身体強化魔法をかけて一気に地面をけりこむ。
そして土魔法で跳び箱のようなものを作って上に乗り、再び身体強化をして相手に向かって突撃する。
そして相手の首元を掴み一気に魔力を注ぎ込む。
私に魔力を注ぎ込まれた盗賊はたちまち立っているのが困難になり、地面へと倒れこんだ。
彼は何かが体内に注ぎ込まれていることはわかっただろうが、量が多すぎてそれが魔力だとは気が付かなかっただろう。
何が起きているのかもわからないままに身動きが取れなくなって倒れる。
これが新しい魔法である。
「ん~?これは食べれる奴だよ~。」
これはおとり捜査だ。しかし、なぜか過去一の幸せを感じる。
「はぁ……幸せだわ……。」
「へっへっ、嬢ちゃんたち?こんな山奥で何をしているのかな?」
私が幸せをかみしめていると、木の陰から身長が高めで筋肉モリモリな大男が出てきた。
私の幸せな時間を妨害しやがって!!
そう心の底から強く思うのだが、今はあくまで仕事中なので抑える。王宮に戻ったらレイナちゃんをよしよしする。
「えーっと、私たちは木の実を集めているのです。」
「そっかそっかぁ、お父さんお母さんはいないのかい?」
「はい。お家にいます。」
「じゃあ今は2人きりなのか。」
「はい。」
「しゃあ!聞いたか野郎ども!」
話していた大男がそう叫ぶと、私たちの周りを囲むように盗賊らしい姿をしたやつらが出てきた。
私たちは驚き、困惑するような“演技”をする。
気が付いていないわけがないでしょう。
「うっひょー、大きいほうはともかく、小さいほうはきれいな髪で上物じゃないか!」
「ほんとだぜ!ちぇっ、今時黒い髪とか珍しいけどあんまり売れないんだよな。それに胸もないし。」
あ?
「あのちっちゃい子は高く売れそうだぜ!えっと、姉の方はまな板だからあれか。」
あ?
クソあの野郎。絶対許さない。
「俺は黒い子好きだぞ。」
うんうん。わかってるなお前。
「うそだろおまえ、目ぇ腐ってるんじゃねえのか?」
……
「ちょ、ねね様抑えて!」
「お前ら!こっちが少女だからって好き勝手言いやがって!!私だって可愛いだろうが!!!!!」
「「「「「「……」」」」」」
「なんか言えや!!!」
「いや、俺は可愛いと……」
「うるさい!!嘘をついて機嫌を取ろうつったって私はそんな嘘で機嫌がよくなるほど甘くはない!」
「え、ちょ」
もう怒った。マジでめちょめちょにしてやるわ。
「レイナ、後ろ頼む。」
「はい!」
レイナは素早く隙の無い動きで腰に隠していたナイフを取り出した。
私は盗賊が逃げないようにあたり一帯に魔法を使って塀を作った。
ものすごい音と揺れで盗賊たちはざわめく。
「な、なんだ!?」
「いいか!よく聞けあほう共!!私の名前はニシゾノ・チナリ!ここニシゾノ王国の国王だ!!」
盗賊たちは何言ってんだといわんばかりの表情で突っ立っている。
甘いわ!こんな戦闘時に警戒を怠るなんてあほじゃないのか!
隙だらけだったので軽く氷で作った槍を飛ばしてみた。
「ぐはッ!?」
「「「「「親分!!」」」」」
は?親分?
私が放った一発はものすごい速度で大男の胸元に飛んで行き、深くまで突き刺さった。
当たった男は吹き飛ぶように倒れた。
「お、親分が一撃で……。」
どうやら私の実力を奴らは甘く見ていたようだ。
私は不覚にも古龍と同じくらいの強さを持っている。
盗賊たちは私がただの村娘ではないことにようやく気が付きだしたらしい。全員が戦闘態勢に入り、剣を向けている。
私は軽く合図をし、レイナと別れて前の方へ戦いへ向かった。
私の魔法の使いかたはほかの人とは異なっている。圧縮されている魔力、その魔力に加えている圧力を少し弱め、溢れ出てきた魔力を使って攻撃するのだ。
そのために、私には詠唱が必要ない。脳内詠唱とかでもなく本当に必要がないのだ。
しかも、力の弱めかた次第ではものすごい力で発動できるし、詠唱がない分素早く魔法を発動できる。
(チナリ、あれをやってみたら?)
脳内に話しかけてきた神様が言う『あれ』とは私が密かに研究してきていた最強の魔法である。
やってみるか。
『あれ』とは簡単に言うと魔力を相手に送り込んで爆発させるという開発中の新しい魔法だ。魔法と言っていいのかはわからないけど。
さすがに爆発させたら死んじゃうので、爆発しない程度に注ぎ込む。そうすることによって魔力過多で身動きが取れなくなるのだ。
この魔法を使うためには相手に接触する必要がある。
接触しなくても発動する方法に関しては今研究中だ。できるにはできるのだが、魔力を空気中に流して範囲内の敵を一掃するような魔法になる。
別に1人だったらそれでもいいのだが、今はレイナがいる。下手するとレイナが死ぬのだ。
「ほっ!」
私は足に身体強化魔法をかけて一気に地面をけりこむ。
そして土魔法で跳び箱のようなものを作って上に乗り、再び身体強化をして相手に向かって突撃する。
そして相手の首元を掴み一気に魔力を注ぎ込む。
私に魔力を注ぎ込まれた盗賊はたちまち立っているのが困難になり、地面へと倒れこんだ。
彼は何かが体内に注ぎ込まれていることはわかっただろうが、量が多すぎてそれが魔力だとは気が付かなかっただろう。
何が起きているのかもわからないままに身動きが取れなくなって倒れる。
これが新しい魔法である。
11
お気に入りに追加
2,720
あなたにおすすめの小説
異世界でお取り寄せ生活
マーチ・メイ
ファンタジー
異世界の魔力不足を補うため、年に数人が魔法を貰い渡り人として渡っていく、そんな世界である日、日本で普通に働いていた橋沼桜が選ばれた。
突然のことに驚く桜だったが、魔法を貰えると知りすぐさま快諾。
貰った魔法は、昔食べて美味しかったチョコレートをまた食べたいがためのお取り寄せ魔法。
意気揚々と異世界へ旅立ち、そして桜の異世界生活が始まる。
貰った魔法を満喫しつつ、異世界で知り合った人達と緩く、のんびりと異世界生活を楽しんでいたら、取り寄せ魔法でとんでもないことが起こり……!?
そんな感じの話です。
のんびり緩い話が好きな人向け、恋愛要素は皆無です。
※小説家になろう、カクヨムでも同時掲載しております。
異世界でフローライフを 〜誤って召喚されたんだけど!〜
はくまい
ファンタジー
ひょんなことから異世界へと転生した少女、江西奏は、全く知らない場所で目が覚めた。
目の前には小さなお家と、周囲には森が広がっている。
家の中には一通の手紙。そこにはこの世界を救ってほしいということが書かれていた。
この世界は十人の魔女によって支配されていて、奏は最後に召喚されたのだが、宛先に奏の名前ではなく、別の人の名前が書かれていて……。
「人違いじゃないかー!」
……奏の叫びももう神には届かない。
家の外、柵の向こう側では聞いたこともないような獣の叫ぶ声も響く世界。
戻る手だてもないまま、奏はこの家の中で使えそうなものを探していく。
植物に愛された奏の異世界新生活が、始まろうとしていた。
【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?
歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。
それから数十年が経ち、気づけば38歳。
のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。
しかしーー
「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」
突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。
これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。
※書籍化のため更新をストップします。
神によって転移すると思ったら異世界人に召喚されたので好きに生きます。
SaToo
ファンタジー
仕事帰りの満員電車に揺られていたサト。気がつくと一面が真っ白な空間に。そこで神に異世界に行く話を聞く。異世界に行く準備をしている最中突然体が光だした。そしてサトは異世界へと召喚された。神ではなく、異世界人によって。しかも召喚されたのは2人。面食いの国王はとっととサトを城から追い出した。いや、自ら望んで出て行った。そうして神から授かったチート能力を存分に発揮し、異世界では自分の好きなように暮らしていく。
サトの一言「異世界のイケメン比率高っ。」
スマートシステムで異世界革命
小川悟
ファンタジー
/// 毎日19時に投稿する予定です。 ///
★☆★ システム開発の天才!異世界転移して魔法陣構築で生産チート! ★☆★
新道亘《シンドウアタル》は、自分でも気が付かないうちにボッチ人生を歩み始めていた。
それならボッチ卒業の為に、現実世界のしがらみを全て捨て、新たな人生を歩もうとしたら、異世界女神と事故で現実世界のすべてを捨て、やり直すことになってしまった。
異世界に行くために、新たなスキルを神々と作ったら、とんでもなく生産チートなスキルが出来上がる。
スマフォのような便利なスキルで異世界に生産革命を起こします!
序章(全5話)異世界転移までの神々とのお話しです
第1章(全12話+1話)転生した場所での検証と訓練
第2章(全13話+1話)滞在先の街と出会い
第3章(全44話+4話)遺産活用と結婚
第4章(全17話)ダンジョン探索
第5章(執筆中)公的ギルド?
※第3章以降は少し内容が過激になってきます。
上記はあくまで予定です。
カクヨムでも投稿しています。
聖女の紋章 転生?少女は女神の加護と前世の知識で無双する わたしは聖女ではありません。公爵令嬢です!
幸之丞
ファンタジー
2023/11/22~11/23 女性向けホットランキング1位
2023/11/24 10:00 ファンタジーランキング1位 ありがとうございます。
「うわ~ 私を捨てないでー!」
声を出して私を捨てようとする父さんに叫ぼうとしました・・・
でも私は意識がはっきりしているけれど、体はまだ、生れて1週間くらいしか経っていないので
「ばぶ ばぶうう ばぶ だああ」
くらいにしか聞こえていないのね?
と思っていたけど ササッと 捨てられてしまいました~
誰か拾って~
私は、陽菜。数ヶ月前まで、日本で女子高生をしていました。
将来の為に良い大学に入学しようと塾にいっています。
塾の帰り道、車の事故に巻き込まれて、気づいてみたら何故か新しいお母さんのお腹の中。隣には姉妹もいる。そう双子なの。
私達が生まれたその後、私は魔力が少ないから、伯爵の娘として恥ずかしいとかで、捨てられた・・・
↑ここ冒頭
けれども、公爵家に拾われた。ああ 良かった・・・
そしてこれから私は捨てられないように、前世の記憶を使って知識チートで家族のため、公爵領にする人のために領地を豊かにします。
「この子ちょっとおかしいこと言ってるぞ」 と言われても、必殺 「女神様のお告げです。昨夜夢にでてきました」で大丈夫。
だって私には、愛と豊穣の女神様に愛されている証、聖女の紋章があるのです。
この物語は、魔法と剣の世界で主人公のエルーシアは魔法チートと知識チートで領地を豊かにするためにスライムや古竜と仲良くなって、お力をちょっと借りたりもします。
果たして、エルーシアは捨てられた本当の理由を知ることが出来るのか?
さあ! 物語が始まります。
異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?
お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。
飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい?
自重して目立たないようにする?
無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ!
お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は?
主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。
(実践出来るかどうかは別だけど)
異世界召喚?やっと社畜から抜け出せる!
アルテミス
ファンタジー
第13回ファンタジー大賞に応募しました。応援してもらえると嬉しいです。
->最終選考まで残ったようですが、奨励賞止まりだったようです。応援ありがとうございました!
ーーーー
ヤンキーが勇者として召喚された。
社畜歴十五年のベテラン社畜の俺は、世界に巻き込まれてしまう。
巻き込まれたので女神様の加護はないし、チートもらった訳でもない。幸い召喚の担当をした公爵様が俺の生活の面倒を見てくれるらしいけどね。
そんな俺が異世界で女神様と崇められている”下級神”より上位の"創造神"から加護を与えられる話。
ほのぼのライフを目指してます。
設定も決めずに書き始めたのでブレブレです。気楽〜に読んでください。
6/20-22HOT1位、ファンタジー1位頂きました。有難うございます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる