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雪降る季節
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「フィネメイゼ・アルキメデス侯爵、そなたにはこの国の西側、フィヨルナンド王国との国境を面している土地を任せる。頼んだぞ。」
「はっ、この生命にかけまして、この大役を全ういたします。」
フィネメイゼが領地をもらったということは、今後の方針を決めてからしばらく立った頃に公表した。それはフィネメイゼのギリギリまで考えていきたいという要望を受けてだ。
フィネメイゼに任せる土地はこれからニシゾノ王国アルキメデス侯爵領となる。その通告を聞いたアルキメデス侯爵領に住むものは歓喜の声を上げたとか。
やはり王都から少し離れていたところにもフィネメイゼの働きぶりは伝わっていたらしい。
公表されてすぐ、アルキメデス侯爵領の中で最も大きな町であるカタルシスにフィネメイゼの屋敷を置くことが決定され、すぐさま建設が始まった。
今までは王都まで届けなければならなかった書類もアルキメデス侯爵領に住む者たちであればカタルシスへ持っていけば良くなるので、きっと民の生活も楽になるだろう。
「私の仕事も減って民の利便性も向上!これからすべての貴族に領地を与えようかしら!!」
「ねね様、ちゃんと仕事してください。」
「ぶー。」
最近ますますレイナが厳しくなった気がする。なんというか護衛ってより秘書みたいな感じになっている。でも夜にはたくさん甘えてきてくれてかわいいよ。
あ!そういう意味じゃないから!勘違いしないでください!!
あれからあっという間に1ヶ月が経過して、青々としていた木々たちはいつの間にか赤や黄色などにそれぞれ染まり始めていた。そう、秋が来たのだ。
王宮を含め、町ではすぐそこまで迫ってきている冬に備えて慌ただしく準備が行われている。
日本と同じようにここ、ニシゾノ王国には四季が存在する。しかし、日本とは違って気温が一年を通して低く、冬の期間が長いそうだ。そのために、冬支度は念入りに行う。冬の間はこの世界では基本的に経済も停滞、作物も育たないために、それぞれの家でしっかりと蓄えをしないといけないのだ。
冬、家で暇なのでバッグを作ったり、靴を作ったりとそれぞれ家でできることをする。それを冬が明けた春のマーケットで売りに出すのだ。
あの公表のあと、フィネメイゼと私は冬支度に加えて、アルキメデス侯爵領に関する様々なことを行った。
アルキメデス侯爵領で働く人を募集、と言っても王宮で働いていた人たちの一部を移したのだが。でも、一応新しく採用もした。主に軍隊の人たちだ。
アルキメデス侯爵領には軍隊を置かないといけないのは皆わかっていることだろう。
そして、カタルシスで建設が進められていた屋敷が完成した。冬が来る前にということで相当急いだらしい。
冬の間はフィネメイゼはそちらに住むらしく、雪が降り始める頃には王宮を離れるらしい。寂しくなる。
そして、それから更に1ヶ月が経過した。
1ヶ月前、冬支度で慌ただしく動いていた町もいつの間にか落ち着き、もう殆どを外を歩いている人はいない。昨日、ここ王都フェッペルゲンで雪が降った。
「では陛下、私はそろそろカタルシスへ向かいます。くれぐれも、お体にお気をつけください。」
「うん。フィーもね。」
私がそう言うと、フィネメイゼは深く一礼をし、自身で用意した豪華ながらもあまりごてごてしていないフィネメイゼらしい馬車に乗り、王都をあとにした。
本当は雪が降り始める前に出発したほうが良かったのだろうが、ギリギリまでここに居たいということで、雪が降り始めてからの出発となった。
それから1週間、フィネメイゼが館に付くのを待っていたかのように雪は勢いを増し、あっという間にあたりを銀色に染め上げた。
気温も零度を下回る日々。この時期は王宮内も静かで、経済が滞るためにほとんど仕事がない。
これはどこの国でも同じらしく、こういう時期に来年の春から行う政策をみんなで会議するのが普通らしい。
レイナはフィネメイゼがいなくて寂しそうだ。私も寂しい。
仕事の途中、顔をあげるといつもそこにはフィネメイゼがいて、私のくだらない暇つぶしや現実逃避の会話に乗ってくれていたのだ。
レイナにとってもいい遊び相手だったし、私も困ったらフィネメイゼに相談していたから。
雪が降り始めてから約2ヶ月、フィネメイゼが屋敷についてから1ヶ月と3週間、レイナとともにおやつを食べていた頃、勢いよく戸が叩かれ、私の返事を待つ前に部屋に飛び込んできた執事は顔を真っ青にしながらこう告げた。
「陛下!アルキメデス侯爵からです!フィヨルナンド王国で反乱発生!アルキメデス侯爵領へ避難民が殺到しているそうです!!」
季節は冬、外は一面の雪景色で気温は零度以下。風が吹き荒れ、10m先も見えないような大雪だ。
雪が降っていなかったら1週間くらいで着いたかもしれない。しかし、この状態ではここまで早馬を飛ばしても2週間は最低かかるだろう。
フィネメイゼはただ1人、2週間も前からたった1人で……。
「はっ、この生命にかけまして、この大役を全ういたします。」
フィネメイゼが領地をもらったということは、今後の方針を決めてからしばらく立った頃に公表した。それはフィネメイゼのギリギリまで考えていきたいという要望を受けてだ。
フィネメイゼに任せる土地はこれからニシゾノ王国アルキメデス侯爵領となる。その通告を聞いたアルキメデス侯爵領に住むものは歓喜の声を上げたとか。
やはり王都から少し離れていたところにもフィネメイゼの働きぶりは伝わっていたらしい。
公表されてすぐ、アルキメデス侯爵領の中で最も大きな町であるカタルシスにフィネメイゼの屋敷を置くことが決定され、すぐさま建設が始まった。
今までは王都まで届けなければならなかった書類もアルキメデス侯爵領に住む者たちであればカタルシスへ持っていけば良くなるので、きっと民の生活も楽になるだろう。
「私の仕事も減って民の利便性も向上!これからすべての貴族に領地を与えようかしら!!」
「ねね様、ちゃんと仕事してください。」
「ぶー。」
最近ますますレイナが厳しくなった気がする。なんというか護衛ってより秘書みたいな感じになっている。でも夜にはたくさん甘えてきてくれてかわいいよ。
あ!そういう意味じゃないから!勘違いしないでください!!
あれからあっという間に1ヶ月が経過して、青々としていた木々たちはいつの間にか赤や黄色などにそれぞれ染まり始めていた。そう、秋が来たのだ。
王宮を含め、町ではすぐそこまで迫ってきている冬に備えて慌ただしく準備が行われている。
日本と同じようにここ、ニシゾノ王国には四季が存在する。しかし、日本とは違って気温が一年を通して低く、冬の期間が長いそうだ。そのために、冬支度は念入りに行う。冬の間はこの世界では基本的に経済も停滞、作物も育たないために、それぞれの家でしっかりと蓄えをしないといけないのだ。
冬、家で暇なのでバッグを作ったり、靴を作ったりとそれぞれ家でできることをする。それを冬が明けた春のマーケットで売りに出すのだ。
あの公表のあと、フィネメイゼと私は冬支度に加えて、アルキメデス侯爵領に関する様々なことを行った。
アルキメデス侯爵領で働く人を募集、と言っても王宮で働いていた人たちの一部を移したのだが。でも、一応新しく採用もした。主に軍隊の人たちだ。
アルキメデス侯爵領には軍隊を置かないといけないのは皆わかっていることだろう。
そして、カタルシスで建設が進められていた屋敷が完成した。冬が来る前にということで相当急いだらしい。
冬の間はフィネメイゼはそちらに住むらしく、雪が降り始める頃には王宮を離れるらしい。寂しくなる。
そして、それから更に1ヶ月が経過した。
1ヶ月前、冬支度で慌ただしく動いていた町もいつの間にか落ち着き、もう殆どを外を歩いている人はいない。昨日、ここ王都フェッペルゲンで雪が降った。
「では陛下、私はそろそろカタルシスへ向かいます。くれぐれも、お体にお気をつけください。」
「うん。フィーもね。」
私がそう言うと、フィネメイゼは深く一礼をし、自身で用意した豪華ながらもあまりごてごてしていないフィネメイゼらしい馬車に乗り、王都をあとにした。
本当は雪が降り始める前に出発したほうが良かったのだろうが、ギリギリまでここに居たいということで、雪が降り始めてからの出発となった。
それから1週間、フィネメイゼが館に付くのを待っていたかのように雪は勢いを増し、あっという間にあたりを銀色に染め上げた。
気温も零度を下回る日々。この時期は王宮内も静かで、経済が滞るためにほとんど仕事がない。
これはどこの国でも同じらしく、こういう時期に来年の春から行う政策をみんなで会議するのが普通らしい。
レイナはフィネメイゼがいなくて寂しそうだ。私も寂しい。
仕事の途中、顔をあげるといつもそこにはフィネメイゼがいて、私のくだらない暇つぶしや現実逃避の会話に乗ってくれていたのだ。
レイナにとってもいい遊び相手だったし、私も困ったらフィネメイゼに相談していたから。
雪が降り始めてから約2ヶ月、フィネメイゼが屋敷についてから1ヶ月と3週間、レイナとともにおやつを食べていた頃、勢いよく戸が叩かれ、私の返事を待つ前に部屋に飛び込んできた執事は顔を真っ青にしながらこう告げた。
「陛下!アルキメデス侯爵からです!フィヨルナンド王国で反乱発生!アルキメデス侯爵領へ避難民が殺到しているそうです!!」
季節は冬、外は一面の雪景色で気温は零度以下。風が吹き荒れ、10m先も見えないような大雪だ。
雪が降っていなかったら1週間くらいで着いたかもしれない。しかし、この状態ではここまで早馬を飛ばしても2週間は最低かかるだろう。
フィネメイゼはただ1人、2週間も前からたった1人で……。
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