18 / 95
裁判所と会議
しおりを挟む
現在、この国に存在する貴族は私を除いて5人だけなのだ。しかもその全員が王城で働いており、領地を一切持っていない。忙しくて管理ができないのだ。
そのため、今この国の領地はすべて私が管理している。そして憲法は作ったものの政治や立法、裁判などはすべて私が行っている状態だ。
これは極めてまずいと思っている。私に権力が集中しすぎてしまっているのだ。そのため、少しでも権力を分散するため、私は以前から計画していた裁判所を作ることとした。
場所は城壁内で、以前別の国で法律に関する仕事を担当していたというアンジェリカという26歳の女性を裁判官として据えることにした。
日本のように裁判所をランク付けして分けるわけではなく、王都中央裁判所としてここですべての判決を行うことにしている。アンジェリカのほかにもその手の物に詳しい者や、一般の人の目線からの考えを教えてほしいので、今の日本でいうところの裁判員制度も導入した。
まあ、このようなものがあるとしても最終判決はすべてアンジェリカに一任されるわけで、それこそ大臣とかとは比にならないほどの重役だ。アンジェリカの判断によって極端な場合生きているから死刑とかもできてしまうのだ。さすがにここまでのことはないだろうが、そのようなことだ。
そのような重役に爵位を持っていない人が就けるわけはないので、アンジェリカには伯爵になってもらってアンジェリカ・テミシスと名乗ってもらう。
アルジェリカに関してはレイナと神様にも手伝ってもらってしっかりと調査をしており、そのような自分勝手な行動はしないという判断になっている。
私の国で用意された処罰は基本的には懲役、あまりにひどい場合は死刑となる場合もあるが、レアケースだろう。
罰金刑は作らなかった。この世界では言ってしまえば貧富の差が激しいのだ。農民はお金を持っていないのに一部の富裕層は大量のお金を持っている。
自分はこの状態に疑問を持ち、問題視をしているのだが、現状はそう簡単には変えることはできない。
もし罰金刑を導入してしまったら、富裕層のやつらが罰金刑で済む程度のことは簡単に犯してしまう可能性があるのだ。だから罰金といった公平ではない罰則はつけないことにした。
一応、他の国では犯罪奴隷と呼ばれるものも存在しているのだが、私は日本で生まれ、日本で育ってきたために奴隷というものにあまりいい感情は持っていない。
だからそれも導入はしないことにした。
「今から法律の制定に関する会議を始めます。」
裁判所の設立に伴って法律を新しく何個か作ることにした。一応憲法は存在しているのだが、それは罰則などを詳しく定めているものではない。そのために新しくしっかり作ることにした。
この会議の参加者は、私とレイナ、爵位持ち5人、その中にはもちろん新しく貴族となったアンジェリカも含まれている。そして、町に住む一般の人、農民や商人の方々からも意見を聞きたかったため、それぞれ5人ずつ集めた計22人で行われることとなった。
場所は王城内大会議室である。
「あ、あの、こ、この度はこのような場にお招きいただき、誠にありがとうございます。」
一般の方々の代表者と思わしき人物が代表のあいさつのようなものをした後、全員でそろって「ありがとうございます。」と言って一礼をした。
「とりあえずお座りください。えーっと、この場所では爵位等を気にせず、できるだけ自身の思ったことをしっかりと伝えてください。あなた方が伝え渋ることによって生活に困ってしまう領民が出てしまうかもしれないのです。心して臨むように。」
そうなのだ。ここにいる人たちはこの国を代表して今会議をしている。もしこんなところで「おかしい」と思ったことに対して発言ができないのであれば、その「おかしい」と思った法律がこの国で成立し、生きにくい世の中になってしまうかもしれない。
現在ここにいて爵位を持っていない一般の人は国民の生活が懸かっているという状況を理解し、プレッシャーで押しつぶされそうになっていた。
でも、ここでしっかりと発言しないといけないということはしっかりわかっているのだ。
「では、まず町の治安維持のための法律を決めていきましょう。」
会議は午前中に始まったはずが夜遅くまで続き、それでもまだ終わらなかったために、翌日も続けられることとなった。
王国側と国民側の意見がそれぞれ一致し、どちらとも異論のない状態になるまで会議が続けられたためにここまで長い時間がとられてしまったのだ。
実は法律に関する会議は1日目の夕方あたりですでに終わっていたのだが、その後、雑談程度に話し合われたこの国の方針や税率、社会福祉等の話が白熱し、長く続いてしまったのだ。
その会議の中で気になる話題があった。
以前、私の国での税を大幅に見直し、他の国ではよくある農作物の収穫量の何割を税として徴収するというのがなくなった。
これはあまりに衝撃的なことであり、一部の民からは「こんなに減税をして国の経済は大丈夫なのか!」といった声も出たほどだ。農民は多額の税を負担がなくなり、自由に使えるお金が2倍にまでなった人もいたそうだ。
農民はお金を使うことに慣れていない。そのお金は基本的には貯蓄に回されたのだが、その貯蓄に目をつけるような人が現れた。
それは、一部の地主である。
地主は、この件を受けて土地の貸出料を大幅に増額、逆に税廃止前よりも生活が厳しくなってしまう人も出ているようだ。実際、ここに来てくれた農家のおじさんも被害を受けているらしく、生活が厳しいらしい。
あまりにもひどい。
「フィネメイゼ、地主から貸出料申請の書類が届いていたと思うが、どうなっている?」
「ハッ、今すぐに調べます。1度離席させていただいてもよろしいでしょうか。」
「よい。今すぐ行ってこい。」
フィネメイゼはそのおじさんが被害を受けているという地主の書類データを取りに行った。ほかの地主も悪さをしているのだろうが、なんせ情報が少なすぎるのでまずはおじさんのところの地主だけだ。
これはまずいことになったぞ。
民の暮らしを楽にしようとしたのに、そのことを逆手にとって逆に民の生活を圧迫するような不届き者がいるなど、断じて許せることではない。
沸々と怒りが湧き出てくるのがわかった。
そのため、今この国の領地はすべて私が管理している。そして憲法は作ったものの政治や立法、裁判などはすべて私が行っている状態だ。
これは極めてまずいと思っている。私に権力が集中しすぎてしまっているのだ。そのため、少しでも権力を分散するため、私は以前から計画していた裁判所を作ることとした。
場所は城壁内で、以前別の国で法律に関する仕事を担当していたというアンジェリカという26歳の女性を裁判官として据えることにした。
日本のように裁判所をランク付けして分けるわけではなく、王都中央裁判所としてここですべての判決を行うことにしている。アンジェリカのほかにもその手の物に詳しい者や、一般の人の目線からの考えを教えてほしいので、今の日本でいうところの裁判員制度も導入した。
まあ、このようなものがあるとしても最終判決はすべてアンジェリカに一任されるわけで、それこそ大臣とかとは比にならないほどの重役だ。アンジェリカの判断によって極端な場合生きているから死刑とかもできてしまうのだ。さすがにここまでのことはないだろうが、そのようなことだ。
そのような重役に爵位を持っていない人が就けるわけはないので、アンジェリカには伯爵になってもらってアンジェリカ・テミシスと名乗ってもらう。
アルジェリカに関してはレイナと神様にも手伝ってもらってしっかりと調査をしており、そのような自分勝手な行動はしないという判断になっている。
私の国で用意された処罰は基本的には懲役、あまりにひどい場合は死刑となる場合もあるが、レアケースだろう。
罰金刑は作らなかった。この世界では言ってしまえば貧富の差が激しいのだ。農民はお金を持っていないのに一部の富裕層は大量のお金を持っている。
自分はこの状態に疑問を持ち、問題視をしているのだが、現状はそう簡単には変えることはできない。
もし罰金刑を導入してしまったら、富裕層のやつらが罰金刑で済む程度のことは簡単に犯してしまう可能性があるのだ。だから罰金といった公平ではない罰則はつけないことにした。
一応、他の国では犯罪奴隷と呼ばれるものも存在しているのだが、私は日本で生まれ、日本で育ってきたために奴隷というものにあまりいい感情は持っていない。
だからそれも導入はしないことにした。
「今から法律の制定に関する会議を始めます。」
裁判所の設立に伴って法律を新しく何個か作ることにした。一応憲法は存在しているのだが、それは罰則などを詳しく定めているものではない。そのために新しくしっかり作ることにした。
この会議の参加者は、私とレイナ、爵位持ち5人、その中にはもちろん新しく貴族となったアンジェリカも含まれている。そして、町に住む一般の人、農民や商人の方々からも意見を聞きたかったため、それぞれ5人ずつ集めた計22人で行われることとなった。
場所は王城内大会議室である。
「あ、あの、こ、この度はこのような場にお招きいただき、誠にありがとうございます。」
一般の方々の代表者と思わしき人物が代表のあいさつのようなものをした後、全員でそろって「ありがとうございます。」と言って一礼をした。
「とりあえずお座りください。えーっと、この場所では爵位等を気にせず、できるだけ自身の思ったことをしっかりと伝えてください。あなた方が伝え渋ることによって生活に困ってしまう領民が出てしまうかもしれないのです。心して臨むように。」
そうなのだ。ここにいる人たちはこの国を代表して今会議をしている。もしこんなところで「おかしい」と思ったことに対して発言ができないのであれば、その「おかしい」と思った法律がこの国で成立し、生きにくい世の中になってしまうかもしれない。
現在ここにいて爵位を持っていない一般の人は国民の生活が懸かっているという状況を理解し、プレッシャーで押しつぶされそうになっていた。
でも、ここでしっかりと発言しないといけないということはしっかりわかっているのだ。
「では、まず町の治安維持のための法律を決めていきましょう。」
会議は午前中に始まったはずが夜遅くまで続き、それでもまだ終わらなかったために、翌日も続けられることとなった。
王国側と国民側の意見がそれぞれ一致し、どちらとも異論のない状態になるまで会議が続けられたためにここまで長い時間がとられてしまったのだ。
実は法律に関する会議は1日目の夕方あたりですでに終わっていたのだが、その後、雑談程度に話し合われたこの国の方針や税率、社会福祉等の話が白熱し、長く続いてしまったのだ。
その会議の中で気になる話題があった。
以前、私の国での税を大幅に見直し、他の国ではよくある農作物の収穫量の何割を税として徴収するというのがなくなった。
これはあまりに衝撃的なことであり、一部の民からは「こんなに減税をして国の経済は大丈夫なのか!」といった声も出たほどだ。農民は多額の税を負担がなくなり、自由に使えるお金が2倍にまでなった人もいたそうだ。
農民はお金を使うことに慣れていない。そのお金は基本的には貯蓄に回されたのだが、その貯蓄に目をつけるような人が現れた。
それは、一部の地主である。
地主は、この件を受けて土地の貸出料を大幅に増額、逆に税廃止前よりも生活が厳しくなってしまう人も出ているようだ。実際、ここに来てくれた農家のおじさんも被害を受けているらしく、生活が厳しいらしい。
あまりにもひどい。
「フィネメイゼ、地主から貸出料申請の書類が届いていたと思うが、どうなっている?」
「ハッ、今すぐに調べます。1度離席させていただいてもよろしいでしょうか。」
「よい。今すぐ行ってこい。」
フィネメイゼはそのおじさんが被害を受けているという地主の書類データを取りに行った。ほかの地主も悪さをしているのだろうが、なんせ情報が少なすぎるのでまずはおじさんのところの地主だけだ。
これはまずいことになったぞ。
民の暮らしを楽にしようとしたのに、そのことを逆手にとって逆に民の生活を圧迫するような不届き者がいるなど、断じて許せることではない。
沸々と怒りが湧き出てくるのがわかった。
19
お気に入りに追加
2,720
あなたにおすすめの小説
【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?
歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。
それから数十年が経ち、気づけば38歳。
のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。
しかしーー
「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」
突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。
これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。
※書籍化のため更新をストップします。
異世界でお取り寄せ生活
マーチ・メイ
ファンタジー
異世界の魔力不足を補うため、年に数人が魔法を貰い渡り人として渡っていく、そんな世界である日、日本で普通に働いていた橋沼桜が選ばれた。
突然のことに驚く桜だったが、魔法を貰えると知りすぐさま快諾。
貰った魔法は、昔食べて美味しかったチョコレートをまた食べたいがためのお取り寄せ魔法。
意気揚々と異世界へ旅立ち、そして桜の異世界生活が始まる。
貰った魔法を満喫しつつ、異世界で知り合った人達と緩く、のんびりと異世界生活を楽しんでいたら、取り寄せ魔法でとんでもないことが起こり……!?
そんな感じの話です。
のんびり緩い話が好きな人向け、恋愛要素は皆無です。
※小説家になろう、カクヨムでも同時掲載しております。
異世界でフローライフを 〜誤って召喚されたんだけど!〜
はくまい
ファンタジー
ひょんなことから異世界へと転生した少女、江西奏は、全く知らない場所で目が覚めた。
目の前には小さなお家と、周囲には森が広がっている。
家の中には一通の手紙。そこにはこの世界を救ってほしいということが書かれていた。
この世界は十人の魔女によって支配されていて、奏は最後に召喚されたのだが、宛先に奏の名前ではなく、別の人の名前が書かれていて……。
「人違いじゃないかー!」
……奏の叫びももう神には届かない。
家の外、柵の向こう側では聞いたこともないような獣の叫ぶ声も響く世界。
戻る手だてもないまま、奏はこの家の中で使えそうなものを探していく。
植物に愛された奏の異世界新生活が、始まろうとしていた。
神によって転移すると思ったら異世界人に召喚されたので好きに生きます。
SaToo
ファンタジー
仕事帰りの満員電車に揺られていたサト。気がつくと一面が真っ白な空間に。そこで神に異世界に行く話を聞く。異世界に行く準備をしている最中突然体が光だした。そしてサトは異世界へと召喚された。神ではなく、異世界人によって。しかも召喚されたのは2人。面食いの国王はとっととサトを城から追い出した。いや、自ら望んで出て行った。そうして神から授かったチート能力を存分に発揮し、異世界では自分の好きなように暮らしていく。
サトの一言「異世界のイケメン比率高っ。」
神速の成長チート! ~無能だと追い出されましたが、逆転レベルアップで最強異世界ライフ始めました~
雪華慧太
ファンタジー
高校生の裕樹はある日、意地の悪いクラスメートたちと異世界に勇者として召喚された。勇者に相応しい力を与えられたクラスメートとは違い、裕樹が持っていたのは自分のレベルを一つ下げるという使えないにも程があるスキル。皆に嘲笑われ、さらには国王の命令で命を狙われる。絶体絶命の状況の中、唯一のスキルを使った裕樹はなんとレベル1からレベル0に。絶望する裕樹だったが、実はそれがあり得ない程の神速成長チートの始まりだった! その力を使って裕樹は様々な職業を極め、異世界最強に上り詰めると共に、極めた生産職で快適な異世界ライフを目指していく。
スマートシステムで異世界革命
小川悟
ファンタジー
/// 毎日19時に投稿する予定です。 ///
★☆★ システム開発の天才!異世界転移して魔法陣構築で生産チート! ★☆★
新道亘《シンドウアタル》は、自分でも気が付かないうちにボッチ人生を歩み始めていた。
それならボッチ卒業の為に、現実世界のしがらみを全て捨て、新たな人生を歩もうとしたら、異世界女神と事故で現実世界のすべてを捨て、やり直すことになってしまった。
異世界に行くために、新たなスキルを神々と作ったら、とんでもなく生産チートなスキルが出来上がる。
スマフォのような便利なスキルで異世界に生産革命を起こします!
序章(全5話)異世界転移までの神々とのお話しです
第1章(全12話+1話)転生した場所での検証と訓練
第2章(全13話+1話)滞在先の街と出会い
第3章(全44話+4話)遺産活用と結婚
第4章(全17話)ダンジョン探索
第5章(執筆中)公的ギルド?
※第3章以降は少し内容が過激になってきます。
上記はあくまで予定です。
カクヨムでも投稿しています。
異世界召喚失敗から始まるぶらり旅〜自由気ままにしてたら大変なことになった〜
ei_sainome
ファンタジー
クラスメイト全員が異世界に召喚されてしまった!
謁見の間に通され、王様たちから我が国を救って欲しい云々言われるお約束が…始まらない。
教室内が光ったと思えば、気づけば地下に閉じ込められていて、そこには誰もいなかった。
勝手に召喚されたあげく、誰も事情を知らない。未知の世界で、自分たちの力だけでどうやって生きていけというのか。
元の世界に帰るための方法を探し求めて各地を放浪する旅に出るが、似たように見えて全く異なる生態や人の価値観と文化の差に苦悩する。
力を持っていても順応できるかは話が別だった。
クラスメイトたちにはそれぞれ抱える内面や事情もあり…新たな世界で心身共に表面化していく。
※ご注意※
初投稿、試作、マイペース進行となります。
作品名は今後改題する可能性があります。
世界観だけプロットがあり、話の方向性はその場で決まります。
旅に出るまで(序章)がすごく長いです。
他サイトでも同作を投稿しています。
更新頻度は1〜3日程度を目標にしています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる