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「「お疲れ様~!!」
試合の後、配信をつけながらチームメンバーと反省会を行った。
その中で今後はコラボ配信のような物をしていこうという話になったので、今回は打ち上げのような物はなかった。
打ち上げは今度みんなでコラボするときにやろうねということだ。
代わりといってはなんだけど、ていうかチームで打ち上げしたとしてもやっていただろうけど、今メアリーこと夏海と家で打ち上げを行っている。
「っぷはぁッ!! いやー、これを夕日と飲めないのが残念でたまらねぇ!!」
「まあまあ、あと3年待ってね」
「はぁい、気ままに待ちますよ。それにしてもまさか夕日を倒したのが音符ちゃんだったとはね。驚きだわ」
そう笑いながらビールをいっきに飲み干す夏海。
私は詳しく知らないのだが、あのときの配信のコメントと言ったら公式配信も、私のも音符猫の配信もすべて大盛り上がりだったらしい。
どちらか一方は確実に最後まで残るとされていたわけで、そこを倒したのがまさかのチームメンバーである音符猫だと。
確かに見ている側からすればとてつもない熱い展開だけれど、そんな取れ高期待してやっている訳ではないから複雑な気持ちだよ……。
ちなみに、キルポイントのおかげで私たちの順位は10位だと言うことだが、そのことでもネットはなかなかに盛り上がった。
『大規模大会初! 優勝にユウヒ選手がいない!』
「これね」
そうスマートフォンでネットの記事を表示する夏海。
そうなのである。
初めての敗北を体験してしまったわけだ、私は。
「率直に今の気持ちは?」
「……くやしい。悔しいッ!!」
まあゲームをやっている以上負けという物は存在するのだから、それは仕方が無い。
それでも悔しい物は悔しいわけだ。
なみなみとオレンジジュースの注がれたグラスを掴み、一気に飲み干す。
「ぷはぁッ……。まったくねぇ、私が首位取れなかっただけで騒がないでほしい」
優勝できなかったことをいろいろ言われると正直精神的にも来るんだけど。
マジで悔しい。
「まあまあ、でもここまで守り切れたのすごくない? もうリリースから1年は経ってるわけだし」
「そうだねぇ。ゲームの人口も相当増えてきたし。ていうかさ、私別ゲーやりたいんだけど」
「ん? どうして急に?」
「私サンライズファンタジー以外のゲームやったことないのよ」
「そうなの!?」
でも初めてやったゲームで大会を連覇し続けるっていうのは本当にすごいことをやったなって思う。
多分私はこれからもサンライズファンタジー以外のゲームをガチることはないだろうなぁ……。
スポンサーからいろいろもらったけれどマジで使っていない。
FPSゲームとかやってみたいんだけど。
それこそ夏海が前やってたって言うあのゲームとかね。
「あのゲーム?いいじゃん。Lesser誘ってみる?」
私は友達0から始めたわけだけど、気がついたらいろいろなところでつながりが生まれている。
始めは夏海だけだったチャットアプリのフレンドも今ではたくさん。
まだまだ体は完全な状態ではないけど、始めたよりも確実にいい方向に向かっている。
これは夏海のおかげ。
私このゲームに出会ってなかったらどうなっていたんだろう。
しょっちゅう考えるけど、正直バッドエンドしか想像が出来ない。
そういったバッドエンドまみれの私の人生の中で、たった一つのハッピーエンドへつながる道。
それを私はうまく引き当てられている気がする。
ツイてないなぁ……、って思うことが多かった日々だけど、もしかしたらこのときのために運をためていただけかもしれないね。
多少酔っ払っている夏海がソファーにだらっとなりながらこちらに話しかけてくる。
「ていうか今回の結果さ、音符猫が優勝した訳じゃん? 実質夕日のチームが2位で私たちが3位でしょ」
「えぇ? 何その極論」
「でもそうじゃん!」
「まあ、そうだけどね……」
こんな感じで落ち込む素振りすら見せない夏海を見てると落ち込んでるこっちが馬鹿馬鹿しくなってくる。
まあどうせ今後も大会はたくさんあるわけで、強い人がたくさん出てきてくれればそれはそれで戦い甲斐があるってものよ。
正直今回の夏海との戦いで、今まで戦いをあまり楽しめてなかったんだなって気がついた。
戦いとは、ゲームとはこんなにも面白い物だったのだと再認識するいい機会を得られたのはラッキーだったと思う。
「あ、そうそう。大会でしばらく無かったけど、明日正午からチーム練習だからちゃんと来てね」
「わかった。ていうかさ、夏海のほうが寝坊多くない? そっちこそちゃんと来てよ?」
「……おう」
「なんだその隙間は?……まあいいや」
そう言って新しい缶ビールとオレンジジュースを取り出して、缶ビールを夏海の前に置く。
再びなみなみとオレンジジュースの注がれたグラスを持って手を突き出す。
「乾杯」
「乾杯!……って、どうした急に」
「へへ、何でも無いよ~」
試合の後、配信をつけながらチームメンバーと反省会を行った。
その中で今後はコラボ配信のような物をしていこうという話になったので、今回は打ち上げのような物はなかった。
打ち上げは今度みんなでコラボするときにやろうねということだ。
代わりといってはなんだけど、ていうかチームで打ち上げしたとしてもやっていただろうけど、今メアリーこと夏海と家で打ち上げを行っている。
「っぷはぁッ!! いやー、これを夕日と飲めないのが残念でたまらねぇ!!」
「まあまあ、あと3年待ってね」
「はぁい、気ままに待ちますよ。それにしてもまさか夕日を倒したのが音符ちゃんだったとはね。驚きだわ」
そう笑いながらビールをいっきに飲み干す夏海。
私は詳しく知らないのだが、あのときの配信のコメントと言ったら公式配信も、私のも音符猫の配信もすべて大盛り上がりだったらしい。
どちらか一方は確実に最後まで残るとされていたわけで、そこを倒したのがまさかのチームメンバーである音符猫だと。
確かに見ている側からすればとてつもない熱い展開だけれど、そんな取れ高期待してやっている訳ではないから複雑な気持ちだよ……。
ちなみに、キルポイントのおかげで私たちの順位は10位だと言うことだが、そのことでもネットはなかなかに盛り上がった。
『大規模大会初! 優勝にユウヒ選手がいない!』
「これね」
そうスマートフォンでネットの記事を表示する夏海。
そうなのである。
初めての敗北を体験してしまったわけだ、私は。
「率直に今の気持ちは?」
「……くやしい。悔しいッ!!」
まあゲームをやっている以上負けという物は存在するのだから、それは仕方が無い。
それでも悔しい物は悔しいわけだ。
なみなみとオレンジジュースの注がれたグラスを掴み、一気に飲み干す。
「ぷはぁッ……。まったくねぇ、私が首位取れなかっただけで騒がないでほしい」
優勝できなかったことをいろいろ言われると正直精神的にも来るんだけど。
マジで悔しい。
「まあまあ、でもここまで守り切れたのすごくない? もうリリースから1年は経ってるわけだし」
「そうだねぇ。ゲームの人口も相当増えてきたし。ていうかさ、私別ゲーやりたいんだけど」
「ん? どうして急に?」
「私サンライズファンタジー以外のゲームやったことないのよ」
「そうなの!?」
でも初めてやったゲームで大会を連覇し続けるっていうのは本当にすごいことをやったなって思う。
多分私はこれからもサンライズファンタジー以外のゲームをガチることはないだろうなぁ……。
スポンサーからいろいろもらったけれどマジで使っていない。
FPSゲームとかやってみたいんだけど。
それこそ夏海が前やってたって言うあのゲームとかね。
「あのゲーム?いいじゃん。Lesser誘ってみる?」
私は友達0から始めたわけだけど、気がついたらいろいろなところでつながりが生まれている。
始めは夏海だけだったチャットアプリのフレンドも今ではたくさん。
まだまだ体は完全な状態ではないけど、始めたよりも確実にいい方向に向かっている。
これは夏海のおかげ。
私このゲームに出会ってなかったらどうなっていたんだろう。
しょっちゅう考えるけど、正直バッドエンドしか想像が出来ない。
そういったバッドエンドまみれの私の人生の中で、たった一つのハッピーエンドへつながる道。
それを私はうまく引き当てられている気がする。
ツイてないなぁ……、って思うことが多かった日々だけど、もしかしたらこのときのために運をためていただけかもしれないね。
多少酔っ払っている夏海がソファーにだらっとなりながらこちらに話しかけてくる。
「ていうか今回の結果さ、音符猫が優勝した訳じゃん? 実質夕日のチームが2位で私たちが3位でしょ」
「えぇ? 何その極論」
「でもそうじゃん!」
「まあ、そうだけどね……」
こんな感じで落ち込む素振りすら見せない夏海を見てると落ち込んでるこっちが馬鹿馬鹿しくなってくる。
まあどうせ今後も大会はたくさんあるわけで、強い人がたくさん出てきてくれればそれはそれで戦い甲斐があるってものよ。
正直今回の夏海との戦いで、今まで戦いをあまり楽しめてなかったんだなって気がついた。
戦いとは、ゲームとはこんなにも面白い物だったのだと再認識するいい機会を得られたのはラッキーだったと思う。
「あ、そうそう。大会でしばらく無かったけど、明日正午からチーム練習だからちゃんと来てね」
「わかった。ていうかさ、夏海のほうが寝坊多くない? そっちこそちゃんと来てよ?」
「……おう」
「なんだその隙間は?……まあいいや」
そう言って新しい缶ビールとオレンジジュースを取り出して、缶ビールを夏海の前に置く。
再びなみなみとオレンジジュースの注がれたグラスを持って手を突き出す。
「乾杯」
「乾杯!……って、どうした急に」
「へへ、何でも無いよ~」
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