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187話目 初動
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「ここは?」
「うーん、湿地っぽい感じかな?」
ぬるぬるとして湿った地面、ところどころ水たまりのようなものがある。
そして地面からは様々な種類の草が生い茂っている。
背丈の高いものもあるが、低いものの方が多い。
どうやら私たちは湿地からスタートのようだ。
「よし、じゃあ打ち合わせ通りいきましょう!」
ぬかるんだ地面に足を取られないように気を付けながら、打ち合わせ通りねるを中心にあたりの監視を始める。
「敵影はなさそうだ」
「こっちも大丈夫っす!」
「こっちもです」
「じゃあフィールドの状態伝えまーす!」
各方面の安全が確認を取れたところで、ねるがフィールドの状態を伝える。
現在地はマップ中央付近の湿地帯で、この湿地帯をぐるりと囲むように山脈、その山脈の向こうには砂漠が広がっているというなかなかにハードなフィールドだ。
「じゃあねる、交代お願いします」
「まかせて!」
作戦を立てるために見張りとフィールドを見るのを交換する。
(結構中心だな……。あまり移動しない方がいいか?)
フィールドの中心付近とは聞いていたが、思ったよりど真ん中だ。
付近に小高い丘のようなところは見られないし、森のような身を隠せるところもない。
(これは参ったな。随分とひどいところに落とされてる)
山に行こうにもぬかるんだ地面に足を取られて時間がかかる。
足元に気を取られていて的に倒されるなんてことがあり得るかもしれない。
「よし、できるだけこの範囲からは動かないことにします」
どうせ身を隠すところが存在しないのであれば、もういっそのこと変なことはせずにここで待ち構えることにする。
フィールドは徐々に中心に向かって縮まっていくというのは、運営側から事前に通告があった。
ということは、どちらにせよここに戻ってくることになるわけだ。
それならば初めからここにいて、ある程度の土地勘を手に入れてこのぬかるんだ地面にも慣れていたほうがいい。
付近に遮蔽物がないということは、相手からこちらが見つかりやすい。
もちろん逆も然りなのだ。
「よし。じゃあ私は付近の探索してくるので、3人はここで待機していてください。神谷君は感覚共有を使って私とは反対方向の探索をお願いします」
ここで別行動をとるのは危険かと思ったが、敵がいないので大丈夫だろう。
何かあれば合図が来るはずだ。
「おっとユウヒ選手、ここで味方を置いて単独行動に出ました!」
「いやぁ、いきなり単独行動とは思い切った作戦ですね」
「確かに“NiceNeet”の周りにはすぐに戦いになりそうなチームはないですからね。ここで付近の状態を把握しておくのは確かにいいかもしれません。神谷蓮選手はテイマーですから、感覚共有が使えるのも強いですね」
:このチームヤバくね?
:案外そうでもないかもしれないぞ。プロ自体は1人なわけだし
:ユウヒがどう動くか
:確かにプロが複数いるチームと戦えばユウヒの負担が半端じゃないわな
:ユウヒ動き速すぎるだろ
:あのぬかるんだ地面でどうやって動いているんだ?
配信の画面には、ぬかるんだ地面に足を取られることがなく疾走するユウヒの姿が映っている。
左上に表示されているマップ、プレイヤーを指すピンはあまり動かずスポーン地点で作戦を考えているにもかかわらず、1つだけ爆走で移動するピンがあった。
「さぁ、ユウヒ選手はおそらくスキル『造形』を駆使しながらぬかるんだ地面を気にせず進んでいますね!」
「いやぁ、やっぱりすごいですね。お?前方に“魚肉ハンバーグ”がいますね。もしかしたら戦いが発生するかもしれません!」
:いきなり戦い!?!?
:まじか?
:さすがのユウヒでも1対4はきついのでは?
:魚肉ハンバーグってperi選手いるでしょ?
:RWE所属のプロだよね?
:これは面白くなってきたぞ!
「うーん、湿地っぽい感じかな?」
ぬるぬるとして湿った地面、ところどころ水たまりのようなものがある。
そして地面からは様々な種類の草が生い茂っている。
背丈の高いものもあるが、低いものの方が多い。
どうやら私たちは湿地からスタートのようだ。
「よし、じゃあ打ち合わせ通りいきましょう!」
ぬかるんだ地面に足を取られないように気を付けながら、打ち合わせ通りねるを中心にあたりの監視を始める。
「敵影はなさそうだ」
「こっちも大丈夫っす!」
「こっちもです」
「じゃあフィールドの状態伝えまーす!」
各方面の安全が確認を取れたところで、ねるがフィールドの状態を伝える。
現在地はマップ中央付近の湿地帯で、この湿地帯をぐるりと囲むように山脈、その山脈の向こうには砂漠が広がっているというなかなかにハードなフィールドだ。
「じゃあねる、交代お願いします」
「まかせて!」
作戦を立てるために見張りとフィールドを見るのを交換する。
(結構中心だな……。あまり移動しない方がいいか?)
フィールドの中心付近とは聞いていたが、思ったよりど真ん中だ。
付近に小高い丘のようなところは見られないし、森のような身を隠せるところもない。
(これは参ったな。随分とひどいところに落とされてる)
山に行こうにもぬかるんだ地面に足を取られて時間がかかる。
足元に気を取られていて的に倒されるなんてことがあり得るかもしれない。
「よし、できるだけこの範囲からは動かないことにします」
どうせ身を隠すところが存在しないのであれば、もういっそのこと変なことはせずにここで待ち構えることにする。
フィールドは徐々に中心に向かって縮まっていくというのは、運営側から事前に通告があった。
ということは、どちらにせよここに戻ってくることになるわけだ。
それならば初めからここにいて、ある程度の土地勘を手に入れてこのぬかるんだ地面にも慣れていたほうがいい。
付近に遮蔽物がないということは、相手からこちらが見つかりやすい。
もちろん逆も然りなのだ。
「よし。じゃあ私は付近の探索してくるので、3人はここで待機していてください。神谷君は感覚共有を使って私とは反対方向の探索をお願いします」
ここで別行動をとるのは危険かと思ったが、敵がいないので大丈夫だろう。
何かあれば合図が来るはずだ。
「おっとユウヒ選手、ここで味方を置いて単独行動に出ました!」
「いやぁ、いきなり単独行動とは思い切った作戦ですね」
「確かに“NiceNeet”の周りにはすぐに戦いになりそうなチームはないですからね。ここで付近の状態を把握しておくのは確かにいいかもしれません。神谷蓮選手はテイマーですから、感覚共有が使えるのも強いですね」
:このチームヤバくね?
:案外そうでもないかもしれないぞ。プロ自体は1人なわけだし
:ユウヒがどう動くか
:確かにプロが複数いるチームと戦えばユウヒの負担が半端じゃないわな
:ユウヒ動き速すぎるだろ
:あのぬかるんだ地面でどうやって動いているんだ?
配信の画面には、ぬかるんだ地面に足を取られることがなく疾走するユウヒの姿が映っている。
左上に表示されているマップ、プレイヤーを指すピンはあまり動かずスポーン地点で作戦を考えているにもかかわらず、1つだけ爆走で移動するピンがあった。
「さぁ、ユウヒ選手はおそらくスキル『造形』を駆使しながらぬかるんだ地面を気にせず進んでいますね!」
「いやぁ、やっぱりすごいですね。お?前方に“魚肉ハンバーグ”がいますね。もしかしたら戦いが発生するかもしれません!」
:いきなり戦い!?!?
:まじか?
:さすがのユウヒでも1対4はきついのでは?
:魚肉ハンバーグってperi選手いるでしょ?
:RWE所属のプロだよね?
:これは面白くなってきたぞ!
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