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134話目 見張り
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船に乗船していると突然、感じたこともないような揺れを感じた。
横に大きく揺らされるような今乗っている大きなクルーズ船では通常起こり得ないような揺れ。
焦ってあたりを見渡すと、先ほどまで見えていた一面の大海原は消え去り、辺りに広がっていたのは夜中の真っ暗な森の中であった。
「―――ユウヒ、ユウヒ、起きて。」
昨日の固い石とは異なる腐葉土のふかふかとした地面に包み込まれるように横になった私は、気が付くと夢の中に入ってしまっていたようだ。
どうやら船が揺れていたのではなく、メアリーによって私が揺らされていたのだ。
「もう、やっと起きた。見張り交代の時間だよ!」
眠い目を必死にこすりながら思い出す。
「そうだ!今試合中だった!」
それを聞いたメアリーはあきれたような大きなため息をついてから、「私もう寝るから。」と言って私によっていい感じにくぼんだふかふか腐葉土ベッドの上へと転がっていった。
メアリーから目を離すと、そこにはすでに音符猫が起きていた。
メアリーの少し横にはアルミがすやすやと一定のリズムで心地の良い寝音を立てている。
このゲーム内の季節がいつに設定されているのかは定かではないが、夜の為結構辺りは冷えている。
まあ温感設定をゼロにすれば寒さは感じないのだが、そんなこと言ったらせっかくの4人でのお出かけが台無しだ。
音符猫はそこらへんに大量に落ちている木の枝とはっぱを使って小さな焚火を作り、オレンジ色に燃える火に手をかざしながら暖を取っていた。
「ゆるキャン△でね、言ってたの。松ぼっくりは着火剤になるって。ほんとだった。」
突然何言っているのかと疑問に思ったが、おそらく音符猫も寝起きで少し寝ぼけているのだろう。
そこは深く追求しないで私は音符猫と同じようにメアリーが造形で作ったであろう椅子の上に腰を掛けた。
松ぼっくりが落ちているということは季節は秋なのだろうか。
ただ、雪山の山頂は雪が積もっていたわけだから、秋であるとは言い切れないか。
パチパチと弾ける枯れ枝の音を聞きながらぼんやりとあたりを眺めていると、薄暗い森の木の陰に2つの明るい点を確認することができた。
あれは何だろうか。
そこそこ距離があるため昨日、すでに0時を越しているため一昨日になるのかもしれないのだが、山頂で使った小さな双眼鏡をアイテムボックスから取り出した。
「どうした?」
「いや、なんかいると思って。」
双眼鏡で先ほどの光のあたりを覗いてみると、そこにいたのは大きめのオオカミのような見た目をしたモンスターであった。
一度双眼鏡を太ももの上に乗せ双剣を引き抜いてスキルを発動しながら飛ばす。
急いで双眼鏡を再び手に取って覗くと、見事に敵の脳天に突き刺さり倒せたことが確認できた。
周りを確認してみても仲間の姿は見つけることができない。
「よし、倒したよ。オオカミ系のモンスターだった。」
「やっぱりユウヒ凄いね。私見つけることすらできなかったよ!」
素直にほめられて調子に乗ったユウヒは「こんなのちょちょいのチョイよ!」などと言っていたが、音符猫はそれを温かい目で見守っていた。
横に大きく揺らされるような今乗っている大きなクルーズ船では通常起こり得ないような揺れ。
焦ってあたりを見渡すと、先ほどまで見えていた一面の大海原は消え去り、辺りに広がっていたのは夜中の真っ暗な森の中であった。
「―――ユウヒ、ユウヒ、起きて。」
昨日の固い石とは異なる腐葉土のふかふかとした地面に包み込まれるように横になった私は、気が付くと夢の中に入ってしまっていたようだ。
どうやら船が揺れていたのではなく、メアリーによって私が揺らされていたのだ。
「もう、やっと起きた。見張り交代の時間だよ!」
眠い目を必死にこすりながら思い出す。
「そうだ!今試合中だった!」
それを聞いたメアリーはあきれたような大きなため息をついてから、「私もう寝るから。」と言って私によっていい感じにくぼんだふかふか腐葉土ベッドの上へと転がっていった。
メアリーから目を離すと、そこにはすでに音符猫が起きていた。
メアリーの少し横にはアルミがすやすやと一定のリズムで心地の良い寝音を立てている。
このゲーム内の季節がいつに設定されているのかは定かではないが、夜の為結構辺りは冷えている。
まあ温感設定をゼロにすれば寒さは感じないのだが、そんなこと言ったらせっかくの4人でのお出かけが台無しだ。
音符猫はそこらへんに大量に落ちている木の枝とはっぱを使って小さな焚火を作り、オレンジ色に燃える火に手をかざしながら暖を取っていた。
「ゆるキャン△でね、言ってたの。松ぼっくりは着火剤になるって。ほんとだった。」
突然何言っているのかと疑問に思ったが、おそらく音符猫も寝起きで少し寝ぼけているのだろう。
そこは深く追求しないで私は音符猫と同じようにメアリーが造形で作ったであろう椅子の上に腰を掛けた。
松ぼっくりが落ちているということは季節は秋なのだろうか。
ただ、雪山の山頂は雪が積もっていたわけだから、秋であるとは言い切れないか。
パチパチと弾ける枯れ枝の音を聞きながらぼんやりとあたりを眺めていると、薄暗い森の木の陰に2つの明るい点を確認することができた。
あれは何だろうか。
そこそこ距離があるため昨日、すでに0時を越しているため一昨日になるのかもしれないのだが、山頂で使った小さな双眼鏡をアイテムボックスから取り出した。
「どうした?」
「いや、なんかいると思って。」
双眼鏡で先ほどの光のあたりを覗いてみると、そこにいたのは大きめのオオカミのような見た目をしたモンスターであった。
一度双眼鏡を太ももの上に乗せ双剣を引き抜いてスキルを発動しながら飛ばす。
急いで双眼鏡を再び手に取って覗くと、見事に敵の脳天に突き刺さり倒せたことが確認できた。
周りを確認してみても仲間の姿は見つけることができない。
「よし、倒したよ。オオカミ系のモンスターだった。」
「やっぱりユウヒ凄いね。私見つけることすらできなかったよ!」
素直にほめられて調子に乗ったユウヒは「こんなのちょちょいのチョイよ!」などと言っていたが、音符猫はそれを温かい目で見守っていた。
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