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132話目 連携

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「前戦った時と全然違うよ。連携してくる!」

「了解!」

以前戦った時を想像してかかったらおそらく倒すのに手間がかかる相手だろう。

しっかり練習してきたのであろうその連携は、非常に素早く1人で戦うには扱いにくかった。

ただ、私たちも全員揃って今では4人だ。

ほかのチームに負けないくらい必死にここまで練習してきた。

依然として私の視界の右上には現実世界の体調不良を知らせるマークが点滅し続けている。

そんなものに負けやしない。

相手は前側に前衛の槍使いに片手剣使い、後方に魔法使い二人を置いたカバーの取りやすいフォーメーションでいる。

この形をまず崩していかないと、積極的に攻撃に出ることができない。

極めて面倒くさいフォーメーションだが、連携の典型的な形でもある。

私たちもこの形で相手が来ることを想定した練習というものを何回かこなしてきている。

軽く枝の上でジャンプをして一気に相手の方へと飛び込んでいく。

それが合図になったかのように相手の2人の魔法使いは私の方へとそれぞれ先ほども使ったウォーターボムとウィンドカッターを飛ばしてきた。

その詠唱付きの魔法を詠唱無しのウォーターバレットで音符猫が防ぎ、2つの水魔法と1つの風魔法がぶつかったあたりには霧のようなものが生成されている。

その中に突っ込んでいった私は、そのまま前衛の2人の合間を進み、1人1人を分断するかのような大きな壁を作り出した。

そこに残りの3人が合流し、一気に相手の片手剣使いを叩く。

メアリーが大剣を大きく振ったが、それを体をひねるようにして避ける片手剣使い。

ただ、その避けた先にはアルミの強化魔法によって通常の2倍近くまで威力が高まっている音符猫のファイヤーボールが向かってきていた。

それを片手剣で切り裂くと、瞬きする間もなく上からやってきたのは双剣を握った私。

空中ジャンプのスキルを使いながら相手の首元に刃を突き立て、そのまま一思いに切断する。

相手の片手剣使いが倒れたころ、大きく回り込んでやってきたのはディオメーデースの残された3人である。

魔法使いの2人がこちらに向かって魔法を飛ばしてくるが、それぞれ私とメアリーで落とした。

アルミは攻撃に参加することができないため、私は前衛をメアリーと音符猫に任せてアルミのそばへ寄る。

すると、私たち4人の周りに緑色の靄がかかった。

アルミの回復魔法だ。

続けざまに、茶色の靄がかかった。

今度は防御力増加である。

それを待っていたかのように前側の2人は一気に動きを変えて前の方へと進んでいく。

メアリーは大剣を縦に振るって相手の魔法使いの1人の杖を地面へと叩き落とした。

そして、それに合わせるように音符猫がファイヤーランスを魔法使いの顔へと叩きつけた。

それに反撃するようにもう1人の魔法使いが音符猫に向かってウォーターボムを飛ばすが、メアリーが土の壁を作り出してそれを防いだ。

すぐにその土の壁は消え、一気に2人は魔法使いの方へと駆けて行った。

その間に入るように出てきたのがリーダーである槍使いだ。

槍使いは両手で槍を構えると、弧を描くように2人を攻撃した。

それを軽々避けると、メアリーが大きく地面を蹴って後ろへ下がって来た。

交代の合図である。

槍は非常に素早いペースで攻撃を与えることができる。

しかし、大剣は攻撃のペースが遅いため、あまり相性がよろしくない。

私はメアリーがこちらへ下がってくるのを見て、一気に地面を蹴って相手の方へと飛び込んでいった。

音符猫が相手の方に攻撃にもならないような水をかけると、ロックバレットを細かく砕いて相手の2人の顔元へと散らす。

弱い風魔法が張り巡らされている戦場に舞った細かく大量の岩の粒は、目くらましになるとともに水にぬれた相手の体に張り付く。

私は2層で購入していたゴーグルをつけていたため、その攻撃を食らうことはない。

岩の粒が舞う中へと一気に飛び込んでいくと、右足で槍使いの頭を大きく横に蹴り、そのまま魔法使いに逆手に握った双剣を押し付ける。

そして、地面を大きく蹴って岩の粒が舞う戦場から離脱すると、音符猫によって早口で詠唱された上級魔法のフレアがあたり一帯を真っ赤に染め上げた。

火が消えたとき、そこに敵の姿はなかった。
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