病弱な私はVRMMOの世界で生きていく。

124話目 拠点改築

「ひとまず、今日はこれ以上やることがないから明日に備えて各自で休むように！」

現在ゲーム内時間で午後の3時だ。

今日はもうここから動く気はないし、これ以上個人的に何かをするとかいうのもないので、休憩を取ることにした。

心から休まる休憩をするためにはできるだけ安全な環境を整えないといけない。

ということで、造形を使ってこの拠点の天井を閉じてしまうことにした。

「ほいッ！」

という身近な掛け声とともに私たちの簡易的な拠点に雨風をしのげる天井が誕生した。

ゲームだからおそらく気にしなくても大丈夫だとは思うのだが、一応ということで、空気を交換する用の空気穴をあけておいた。

「こうやってふたしてみると狭いな。」

私が心の中で感じていたが簡易的であったからしょうがないと喉の奥にしまっていた言葉を、音符猫は一切の躊躇もなく言い放った。

ここぞとばかりに私も会話に参加する。

「確かに狭いなとは思った。」

「そうですね。」

よし、広げよう！

ということで、早速私は造形を使ってこの拠点を拡張することにした。

天井が崩落して死ぬとかいうくだらない理由でこの戦いから離脱をしたくはないため、そこらへんは気を使いながら作っていく。

現在の拠点の大きさは5畳ほどで、お世辞にも広いとは言えない大きさだ。

そのため、定期的に柱を作りながら部屋を拡張していく。

やはり天井は高いほうがいいだろう。

ということで新しく追加するところからは地面を少し下げていくことにした。

階段状になるように工夫しながら地面を掘っていくと、結構簡単に部屋は拡張することができた。

計15畳ほどの大きさになっただろう。

もっと大きくしても良かったのだが、どうせ明日には、長くても明後日にはここから出ることになるだろうということ。

加えて山の頂上近くの為に広げられる面積が小さいことなどから、このサイズに落ち着いた。

ただ、こんなただ広いだけの空間では安らぐことができないだろう。

私は普段からメアリーもとい夏海と一緒の部屋で寝ているためにそこまで気にならないのだが、音符猫とアルミは気になってしまうだろう。

ということで、柱もかねて壁を作ることにした。

ただ、思わぬ敵襲があった場合に対処するため、入り口は大きく開放するような形にした。

完全なプライベート空間とはいかないものの、なかなかの落ち着ける空間ではないか。

ていうか試合中の簡易的な拠点にそこまで求めるなというのもあるが、心の余裕というのは戦いにも大きく反映される。と思っている。

休める時にしっかり休んでおかないと。

「おお！いい感じじゃない！？」

「確かに。まあ、私はまだここで作業するからあれだけど、3人はあっちで休んでてもいいんじゃない？」

「はい。そうさせていただきます！」

メアリーもそういっているし、夜間に全員寝てしまい敵襲に気が付かないとかいう間抜けなことになっては応援してくれている人に顔向けできない。

そのために軽く仮眠を取ることにした。

地面が石の為非常に硬く寝心地は悪いが、それに関してはしょうがないということで気にせず眠りにつくことにする。

造形を使って小さめの枕を作り、そのまま夢の中へとダイブだ。






「ちょっと見てください！FoxAgainはこの試合中にちょっとした家のようなものを作っていますよ！」

「ははッ！！ほんとですね！！」

：こいつら何やってるんだｗｗｗ
：試合中だっていうのに随分呑気で草
：余裕ありすぎだろｗｗｗ
：絶対ユウヒがやっただろうなｗ
：ワイのリアル部屋より豪華なんだが……

ユウヒは眠りについていて気が付いていないようであったが、どうやらこの簡易拠点の様子は公式配信に乗ってしまったようであった。

SNSのトレンドに入るほどには話題になっているのだが、そんなこと知る由もなくFoxAgainメンバーは思い思いに簡易拠点内で思い思いに過ごしているようであった。