病弱な私はVRMMOの世界で生きていく。

107話目 お買い物

次に見に行ったのはアルミである。

アルミはどうやら回復関係の物に興味があるようで、ポーションや包帯などのエリアに居座っている。

「アルミ、ここでも医療？」

「まぁ、職業病とでもいうのでしょうか、仕事を辞めた今でも医療に関しての関心は深まるばかりですし、ゲームの中でもこのような回復系の職業ですから。性に合っているんですよ。」

当人がそれならそれでいい。

実際、彼女のサポーターとしての腕はほかのどのプレイヤーよりも素晴らしいし、品物を物色している最中にも目が輝いていた。

軽く話し終えると、アルミはすぐに物色に戻り、ぶつぶつと楽しそうに呟きながら商品を見ていた。

あのように何か1つでも没頭できるようなものがあると、人生葉より豊かになっていくのだろう。

心の底からそう思う。

私、このゲームに出会っていなかったらどうなっていたのだろう。

って、今はそんなことは良しとして、最後メアリーのところへ行くことにする。




メアリーはすぐに見つけることができた。

この店に着いてからそこそこ時間が立っていると思うのだが、いまだに鉱石や素材を見ていた。

どうやらお気に召したものがあったらしく、かご一杯に品物を詰めながら回っている。

「メアリーどお？いいのは見つかった？」

私がそういうと、メアリーは目をキランキラン輝かせながらこちらを向いた。

「いっぱいある！！これはすごい！！」

どうやら良かったようだ。

ぴょんぴょん小刻みに揺れるメアリーはまさに、現実世界の夏海とそう大差ないのだが、2人が見ればゲーム内のクールなメアリーのイメージはあっという間に崩壊するだろう。

先ほども言ったが、なにか一つ没頭できることがあるというのはいいことだ。

私はそれを否定するわけではない。

「このフェルニウムが――――――」

長くなりそうだったので、私は一度引いておくことにした。

さて、ここまで3人のお買い物風景をお届けしたわけだが、次は私の番である。

とはいっても、何か欲しいものがあったわけではないので、適当にお店の中を回っていく。

私ってこのゲーム以外に没頭しているものはないし、ゲームの中でメアリーのように何か1つのことに打ち込んでいるわけでもない。

そうなってくると、物欲というものは自然と存在が薄れていくわけで、お店を一通り回ったところで何かこれと言ってほしいものは見当たらなかった。

仲間と壁にぶち当たり、それを協力して乗り越える。

一緒に1つの目標に向かって駆けていく友人がいる。

今はこの幸せで十分かな。