91 / 193
90話目 夏海との会話
しおりを挟む
「ふぅ……、疲れた。」
ゲームからログアウトし、左側の壁にかけてある猫型の振り子時計に目をやると、すでに今日は終わり、新たな今日が訪れていた。
「こんなに籠ってたか。」
それもそのはず、朝の9時ごろはじめて15時間籠っていたわけだ。
0時を超すのは当たり前だろう。
私は、全身がすっぽりと収まるようにできている専用のゲーム機からゆっくりと抜け出し、左側にあるもう1つのゲーム機に目をやった。
しかし、そこには夏海の姿はなく、私はそのまま1階下にある私たちの家の大きなリビングへと向かった。
「あれ?電気がついてる。」
おそらくリビングに電気はついておらず、夏海はすでに夢の中にいるだろうと思っていたのだが、その予想は外れたようだ。
私の予想はあまり外れないのだが、珍しいことである。
私はドアノブに手をやり、ドアノブを下に下げながら扉を開ける。
「お!夕日お疲れ!」
リビングに入ると、中央に置いてある大きなソファーに夏海が腰を掛け、テレビを見ながら優雅にワインを飲んでいた。
夏海は24歳で、お酒を飲むことのできる年齢だ。
ワインはお酒の中ではフルーティーで飲みやすいといっていたのだが、私はまだ16歳の未成年なので、その言葉が真実かどうか確かめるにはまだ時間がかかるだろう。
私はてくてくとソファーの方へと歩き、夏海の隣にゆったりと腰を掛けた。
「2人はどう?」
「2人とも頑張ってるよ。腕も相当いいし、これはもっと訓練すれば化けるよ。」
「そっか。」
私は机の上に置いてあるおつまみ用のカルパスを手に取り、1つ口の中へと放り込んだ。
「カルパスはおいしいね。……やっぱりワインに合うの?」
私がそう質問を投げかけると、夏海は少し大きめな声で元気よく返事をした。
「そりゃ合うさ!ベストマッチよベストマッチ!」
「ふーん、そうなんだね。」
私もお酒を飲めれば一緒にこの話で盛り上がることができるのだろうな。
私はそう思いながらソファーを立ち、少し歩いたところにある冷蔵庫へと手を伸ばす。
冷蔵庫の中にはスーパーで買った1リットル紙パックに入っているぶどうジュースが入っている。
私はそれを手に取り、縦に長いガラスのガラスのグラスへと注いだ。
「ワインとぶどうジュースじゃ味は違うよ。」
「いいんだよ、乾杯。」
「うん、乾杯。」
どうやらワインに合うと評判のおつまみはぶどうジュースにも合うようだ。
「で、装備の方はどんな感じなの?」
「えーっとね、まだあまり進んではないんだよ。取り合えず今はどんなのにしようか考えてるっていう感じだね。」
私たちはそれぞれの飲み物を手にしながらテレビを見ている。
テレビに映っていたのは日本のふるさとの風景を届ける番組だった。
「……夕日、こういうところに行きたいの?」
「あれ?バレた?」
私は表情を変えずにテレビを見ていたつもりでいたのだが、どうやら多少顔に出ていたらしい。
そういうところに現実世界で訪れたことはないので、少し興味があったのだ。
「まあそうだね。私はこういうところに行ったことがないから。」
私がそういうと、夏海は立ち上がり、手を組んで裏返し、大きく伸びをした。
そうして私の方を見た。
「じゃあ、大会が終わったら行こっか。」
私は考える時間すら自分に課すこともなく、一切の間も入れずに即答した。
「うん。」
私は机の上に置いてあったぶどうのジュースを飲み干し、歯を磨いてそのまま眠りについた。
ゲームからログアウトし、左側の壁にかけてある猫型の振り子時計に目をやると、すでに今日は終わり、新たな今日が訪れていた。
「こんなに籠ってたか。」
それもそのはず、朝の9時ごろはじめて15時間籠っていたわけだ。
0時を超すのは当たり前だろう。
私は、全身がすっぽりと収まるようにできている専用のゲーム機からゆっくりと抜け出し、左側にあるもう1つのゲーム機に目をやった。
しかし、そこには夏海の姿はなく、私はそのまま1階下にある私たちの家の大きなリビングへと向かった。
「あれ?電気がついてる。」
おそらくリビングに電気はついておらず、夏海はすでに夢の中にいるだろうと思っていたのだが、その予想は外れたようだ。
私の予想はあまり外れないのだが、珍しいことである。
私はドアノブに手をやり、ドアノブを下に下げながら扉を開ける。
「お!夕日お疲れ!」
リビングに入ると、中央に置いてある大きなソファーに夏海が腰を掛け、テレビを見ながら優雅にワインを飲んでいた。
夏海は24歳で、お酒を飲むことのできる年齢だ。
ワインはお酒の中ではフルーティーで飲みやすいといっていたのだが、私はまだ16歳の未成年なので、その言葉が真実かどうか確かめるにはまだ時間がかかるだろう。
私はてくてくとソファーの方へと歩き、夏海の隣にゆったりと腰を掛けた。
「2人はどう?」
「2人とも頑張ってるよ。腕も相当いいし、これはもっと訓練すれば化けるよ。」
「そっか。」
私は机の上に置いてあるおつまみ用のカルパスを手に取り、1つ口の中へと放り込んだ。
「カルパスはおいしいね。……やっぱりワインに合うの?」
私がそう質問を投げかけると、夏海は少し大きめな声で元気よく返事をした。
「そりゃ合うさ!ベストマッチよベストマッチ!」
「ふーん、そうなんだね。」
私もお酒を飲めれば一緒にこの話で盛り上がることができるのだろうな。
私はそう思いながらソファーを立ち、少し歩いたところにある冷蔵庫へと手を伸ばす。
冷蔵庫の中にはスーパーで買った1リットル紙パックに入っているぶどうジュースが入っている。
私はそれを手に取り、縦に長いガラスのガラスのグラスへと注いだ。
「ワインとぶどうジュースじゃ味は違うよ。」
「いいんだよ、乾杯。」
「うん、乾杯。」
どうやらワインに合うと評判のおつまみはぶどうジュースにも合うようだ。
「で、装備の方はどんな感じなの?」
「えーっとね、まだあまり進んではないんだよ。取り合えず今はどんなのにしようか考えてるっていう感じだね。」
私たちはそれぞれの飲み物を手にしながらテレビを見ている。
テレビに映っていたのは日本のふるさとの風景を届ける番組だった。
「……夕日、こういうところに行きたいの?」
「あれ?バレた?」
私は表情を変えずにテレビを見ていたつもりでいたのだが、どうやら多少顔に出ていたらしい。
そういうところに現実世界で訪れたことはないので、少し興味があったのだ。
「まあそうだね。私はこういうところに行ったことがないから。」
私がそういうと、夏海は立ち上がり、手を組んで裏返し、大きく伸びをした。
そうして私の方を見た。
「じゃあ、大会が終わったら行こっか。」
私は考える時間すら自分に課すこともなく、一切の間も入れずに即答した。
「うん。」
私は机の上に置いてあったぶどうのジュースを飲み干し、歯を磨いてそのまま眠りについた。
0
お気に入りに追加
548
あなたにおすすめの小説
絶世のディプロマット
一陣茜
SF
惑星連合平和維持局調停課に所属するスペース・ディプロマット(宇宙外交官)レイ・アウダークス。彼女の業務は、惑星同士の衝突を防ぐべく、双方の間に介入し、円満に和解させる。
レイの初仕事は、軍事アンドロイド産業の発展を望む惑星ストリゴイと、墓石が土地を圧迫し、財政難に陥っている惑星レムレスの星間戦争を未然に防ぐーーという任務。
レイは自身の護衛官に任じた凄腕の青年剣士、円城九太郎とともに惑星間の調停に赴く。
※本作はフィクションであり、実際の人物、団体、事件、地名などとは一切関係ありません。
貧乏冒険者で底辺配信者の生きる希望もないおっさんバズる~庭のFランク(実際はSSSランク)ダンジョンで活動すること15年、最強になりました~
喰寝丸太
ファンタジー
おっさんは経済的に、そして冒険者としても底辺だった。
庭にダンジョンができたが最初のザコがスライムということでFランクダンジョン認定された。
そして18年。
おっさんの実力が白日の下に。
FランクダンジョンはSSSランクだった。
最初のザコ敵はアイアンスライム。
特徴は大量の経験値を持っていて硬い、そして逃げる。
追い詰められると不壊と言われるダンジョンの壁すら溶かす酸を出す。
そんなダンジョンでの15年の月日はおっさんを最強にさせた。
世間から隠されていた最強の化け物がいま世に出る。

【完結】VRMMOでチュートリアルを2回やった生産職のボクは最強になりました
鳥山正人
ファンタジー
フルダイブ型VRMMOゲームの『スペードのクイーン』のオープンベータ版が終わり、正式リリースされる事になったので早速やってみたら、いきなりのサーバーダウン。
だけどボクだけ知らずにそのままチュートリアルをやっていた。
チュートリアルが終わってさぁ冒険の始まり。と思ったらもう一度チュートリアルから開始。
2度目のチュートリアルでも同じようにクリアしたら隠し要素を発見。
そこから怒涛の快進撃で最強になりました。
鍛冶、錬金で主人公がまったり最強になるお話です。
※この作品は「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過した【第1章完結】デスペナのないVRMMOで〜をブラッシュアップして、続きの物語を描いた作品です。
その事を理解していただきお読みいただければ幸いです。

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?
釈 余白(しやく)
ファンタジー
HOT 1位!ファンタジー 3位! ありがとうございます!
父親が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。
その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。
最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。
その他、多数投稿しています!
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394
運極さんが通る
スウ
ファンタジー
『VRMMO』の技術が詰まったゲームの1次作、『Potential of the story』が発売されて約1年と2ヶ月がたった。
そして、今日、新作『Live Online』が発売された。
主人公は『Live Online』の世界で掲示板を騒がせながら、運に極振りをして、仲間と共に未知なる領域を探索していく。……そして彼女は後に、「災運」と呼ばれる。
VRゲームでも身体は動かしたくない。
姫野 佑
SF
多種多様な武器やスキル、様々な【称号】が存在するが職業という概念が存在しない<Imperial Of Egg>。
古き良きPCゲームとして稼働していた<Imperial Of Egg>もいよいよ完全没入型VRMMO化されることになった。
身体をなるべく動かしたくないと考えている岡田智恵理は<Imperial Of Egg>がVRゲームになるという発表を聞いて気落ちしていた。
しかしゲーム内の親友との会話で落ち着きを取り戻し、<Imperial Of Egg>にログインする。
当作品は小説家になろう様で連載しております。
章が完結次第、一日一話投稿致します。

ダンジョンで有名モデルを助けたら公式配信に映っていたようでバズってしまいました。
夜兎ましろ
ファンタジー
高校を卒業したばかりの少年――夜見ユウは今まで鍛えてきた自分がダンジョンでも通用するのかを知るために、はじめてのダンジョンへと向かう。もし、上手くいけば冒険者にもなれるかもしれないと考えたからだ。
ダンジョンに足を踏み入れたユウはとある女性が魔物に襲われそうになっているところに遭遇し、魔法などを使って女性を助けたのだが、偶然にもその瞬間がダンジョンの公式配信に映ってしまっており、ユウはバズってしまうことになる。
バズってしまったならしょうがないと思い、ユウは配信活動をはじめることにするのだが、何故か助けた女性と共に配信を始めることになるのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる